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♦︎第1章
サイコロの目『1』
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「君たちは何処から来たの?」
「分からない。気づくとここに立っていたんだ」
「私も」
青いキャップ帽子を被り、赤い車の絵が描かれているTシャツに少し大きめの青い短パンを履いた男の子。
男の子より背が高く、黒いワンピースを着てピンクのサンダルを履き、長い髪を二つにくくった女の子。
どちらも僕より年下で、まだ幼い顔つきをしている。
幼い顔つきと、体型からして二人とも小学生くらいだと思う。
ここが何処かも分からず、襲い掛かっている恐怖は
半端なものではないことが、震える少女の体を見ると一目で分かる。
薄暗い暗闇の中でいったい何が起こるのか。
目の前に笑みを見せながら立っている僕の姿は、彼らにとってどのように写っているのだろう。
今にでも泣き出しそうな女の子は瞳を潤わせ僕を見る。
そして目と目が合う瞬間すぐさまそっぽを向く。
今の状況に少し好奇心があるかのように、笑みをみせる男の子の表情は僕の心を擽る。
早く彼らと遊びたい。
そう思わせる男の子の表情に、僕はさっそくゲームについて簡単に説明をした。
その説明を聞いて女の子はさっきまで涙を目に浮かべ体を震わせていたのに、一瞬にして笑顔になる。
男の子はその場で飛び跳ね大喜び。
そりゃそうさ。
自分が心から憎んでいる人を殺してもらえるのだから。
まぁ、殺すのは僕だけど。
説明も一通り済んだところで、さっそくゲームを始めようか。
でも一つだけ話していないことがあるんだ。
それはまだ教えない。
楽しみがなくなっちゃうでしょ?
では今からゲームを始めよう。
「君が今、殺したい人は何人いるの?」
「僕は六人」
「私は二人」
「そっか。じゃあどちらかが、このサイコロを振ってごらん」
「僕が振るよ」
男の子はピエロの手からサイコロをとり、勢い良く地面に落とす。
カラッ、コロコロ
静まり返るこの空間に一つの赤いサイコロが転がり落ちる。
そのサイコロが出した数は―――――
『6』
「君は六人の人を殺したかったんだよね。ほらごらん。ぴたりと数字があたったよ。
望みどおりに殺してあげよう」
ピエロは男の子の手を握り、リズムを取りながら楽しそうに、一緒にダンスを踊りだした。
ダンスを踊ったことのない男の子は初めは焦り、動揺していたが、徐々に体がなれていく。
時を忘れて愉快に踊る二人。
それを見ていた女の子は頬を膨らまし、少し怒った口調でピエロに言った。
「・・・。私、六人も殺したいと思った人いないもん」
その言葉が放たれたと同時に、男の子の手をパッと離し踊りを辞めると、ピエロの体はみるみるうちに赤くなり、
真っ赤になった大きな目玉でギョロッと彼女を睨みつけた。
眉間にしわを寄せしばらく睨みつけていると、真っ赤な大きな口を尖らせ言った。
「それはこのゲームのルールを知っていての発言かい?」
「ルール・・・?」
彼女は顔をしかめ、殺気を感じたのか少しずつ重い足を引きずりピエロから離れようとした。
と、
その時!!!!
ピエロは再びにやりと口を尖らせ、彼女の腕を素早く掴みとると、
ゆっくりとした口調でピエロがまだ説明していない
「外れたときのルール」について説明をし始めた。
説明を聞いている途中、彼女の顔色は一気に青ざめ、その場に立っていられなくなり
腰を抜かし地面に座り込んでしまった。
そして、とても残虐なルールーは、彼女の心を一気に凍りつかせた。
「君が出した数より、サイコロの目が大きければ
余った分の数だけ、君の大切な人が死んでいくんだよ。
君が出した数は2だ。
サイコロの目は6だから、四人が犠牲者となるんだね。
さぁ、誰が死んでいくのかな?
楽しいね」
そう言い残すとピエロは手拍子を始め、スキップをしながら腰を抜かした彼女の周りを回り始めた。
そして笑顔で楽しそうに歌を歌いだした。
『君が出した数よりも
多く出ちゃったサイコロの目
さぁ、誰が死ぬのかな?
さぁ さぁ 言ってごらんなさい。
四人の大切な人の名前を』
その歌は彼女の心をせかすように聞こえる。
彼女は顔を真っ青にして、ピエロに向かってとっさにこう言った。
「私に大切な人なんていない!!」
二人だけのこの空間に、彼女の叫び声の余韻が残る。
ピエロはピタリと足を止め、彼女を指差しこう言った。
「うーそついた うそついたー
僕、嘘つきは大嫌いなんだ」
「嘘じゃない!本当にいないもの!!」
彼女はすぐさまそう告げると、ピエロはにこりと笑みをつくり、
目を細め彼女の耳元でささやいた。
「じゃあ、僕が勝手に決めるよ。
君の大切な人達を」
そう言い残してピエロは姿を消した。
残された二人は徐々に姿が消えていく。
そう、ここは夢の中。
今から二人は目を覚ます。
次の日。
ピエロとゲームをして遊んだ男の子は、
ずっと憎くて仕方がなかった人達が、突然の事故で亡くなった。
そのため学校にいってもいじめられなくなった。
もう彼をいじめようとする人などいないだろう。
なぜなら、彼には『ピエロ』がついているから。
ピエロとゲームをして遊んだ女の子は、家から出てくることはなかった。
彼女の最後の姿を見た者など、誰もいない。
彼女がもっとも大切だと思っていた人。
それは――――
両親、姉、そして
私―――――
「ねぇ、だれか僕と遊ぼうよ」
END
「分からない。気づくとここに立っていたんだ」
「私も」
青いキャップ帽子を被り、赤い車の絵が描かれているTシャツに少し大きめの青い短パンを履いた男の子。
男の子より背が高く、黒いワンピースを着てピンクのサンダルを履き、長い髪を二つにくくった女の子。
どちらも僕より年下で、まだ幼い顔つきをしている。
幼い顔つきと、体型からして二人とも小学生くらいだと思う。
ここが何処かも分からず、襲い掛かっている恐怖は
半端なものではないことが、震える少女の体を見ると一目で分かる。
薄暗い暗闇の中でいったい何が起こるのか。
目の前に笑みを見せながら立っている僕の姿は、彼らにとってどのように写っているのだろう。
今にでも泣き出しそうな女の子は瞳を潤わせ僕を見る。
そして目と目が合う瞬間すぐさまそっぽを向く。
今の状況に少し好奇心があるかのように、笑みをみせる男の子の表情は僕の心を擽る。
早く彼らと遊びたい。
そう思わせる男の子の表情に、僕はさっそくゲームについて簡単に説明をした。
その説明を聞いて女の子はさっきまで涙を目に浮かべ体を震わせていたのに、一瞬にして笑顔になる。
男の子はその場で飛び跳ね大喜び。
そりゃそうさ。
自分が心から憎んでいる人を殺してもらえるのだから。
まぁ、殺すのは僕だけど。
説明も一通り済んだところで、さっそくゲームを始めようか。
でも一つだけ話していないことがあるんだ。
それはまだ教えない。
楽しみがなくなっちゃうでしょ?
では今からゲームを始めよう。
「君が今、殺したい人は何人いるの?」
「僕は六人」
「私は二人」
「そっか。じゃあどちらかが、このサイコロを振ってごらん」
「僕が振るよ」
男の子はピエロの手からサイコロをとり、勢い良く地面に落とす。
カラッ、コロコロ
静まり返るこの空間に一つの赤いサイコロが転がり落ちる。
そのサイコロが出した数は―――――
『6』
「君は六人の人を殺したかったんだよね。ほらごらん。ぴたりと数字があたったよ。
望みどおりに殺してあげよう」
ピエロは男の子の手を握り、リズムを取りながら楽しそうに、一緒にダンスを踊りだした。
ダンスを踊ったことのない男の子は初めは焦り、動揺していたが、徐々に体がなれていく。
時を忘れて愉快に踊る二人。
それを見ていた女の子は頬を膨らまし、少し怒った口調でピエロに言った。
「・・・。私、六人も殺したいと思った人いないもん」
その言葉が放たれたと同時に、男の子の手をパッと離し踊りを辞めると、ピエロの体はみるみるうちに赤くなり、
真っ赤になった大きな目玉でギョロッと彼女を睨みつけた。
眉間にしわを寄せしばらく睨みつけていると、真っ赤な大きな口を尖らせ言った。
「それはこのゲームのルールを知っていての発言かい?」
「ルール・・・?」
彼女は顔をしかめ、殺気を感じたのか少しずつ重い足を引きずりピエロから離れようとした。
と、
その時!!!!
ピエロは再びにやりと口を尖らせ、彼女の腕を素早く掴みとると、
ゆっくりとした口調でピエロがまだ説明していない
「外れたときのルール」について説明をし始めた。
説明を聞いている途中、彼女の顔色は一気に青ざめ、その場に立っていられなくなり
腰を抜かし地面に座り込んでしまった。
そして、とても残虐なルールーは、彼女の心を一気に凍りつかせた。
「君が出した数より、サイコロの目が大きければ
余った分の数だけ、君の大切な人が死んでいくんだよ。
君が出した数は2だ。
サイコロの目は6だから、四人が犠牲者となるんだね。
さぁ、誰が死んでいくのかな?
楽しいね」
そう言い残すとピエロは手拍子を始め、スキップをしながら腰を抜かした彼女の周りを回り始めた。
そして笑顔で楽しそうに歌を歌いだした。
『君が出した数よりも
多く出ちゃったサイコロの目
さぁ、誰が死ぬのかな?
さぁ さぁ 言ってごらんなさい。
四人の大切な人の名前を』
その歌は彼女の心をせかすように聞こえる。
彼女は顔を真っ青にして、ピエロに向かってとっさにこう言った。
「私に大切な人なんていない!!」
二人だけのこの空間に、彼女の叫び声の余韻が残る。
ピエロはピタリと足を止め、彼女を指差しこう言った。
「うーそついた うそついたー
僕、嘘つきは大嫌いなんだ」
「嘘じゃない!本当にいないもの!!」
彼女はすぐさまそう告げると、ピエロはにこりと笑みをつくり、
目を細め彼女の耳元でささやいた。
「じゃあ、僕が勝手に決めるよ。
君の大切な人達を」
そう言い残してピエロは姿を消した。
残された二人は徐々に姿が消えていく。
そう、ここは夢の中。
今から二人は目を覚ます。
次の日。
ピエロとゲームをして遊んだ男の子は、
ずっと憎くて仕方がなかった人達が、突然の事故で亡くなった。
そのため学校にいってもいじめられなくなった。
もう彼をいじめようとする人などいないだろう。
なぜなら、彼には『ピエロ』がついているから。
ピエロとゲームをして遊んだ女の子は、家から出てくることはなかった。
彼女の最後の姿を見た者など、誰もいない。
彼女がもっとも大切だと思っていた人。
それは――――
両親、姉、そして
私―――――
「ねぇ、だれか僕と遊ぼうよ」
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