ピエロのサイコロ

花角瞳

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♦︎第3章

ピエロの禁書~ラストゲーム~③

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私が入院している間に、ママは他の男と子供をつくり、弟を生んだの。


ママが去年私にくれたあのケーキとプレゼントは、ママのお金で買ったのではなく、男が出したお金だった。


新しいパパには一度も会ったことはないけれど、今年結婚するみたい。


そして私には弟ができる。



名前は政雄。



だからマックン、そう名づけたの。


マックンは弟の代わり。


弟が出来たときの喜びは、言葉じゃ表せないほどだった。


ママが弟を抱いて病室に入ってきたとき、私はこう言ったの。



「私にも触らせて」



この上ない笑顔で両手を差し出し、ママの目を見た。


ママは眉間にしわを寄せて私の手を払いのけた。



「あなたが触ると汚れてしまうわーーー。」





あれから二年の月日が流れた。


窓から見える元気に遊ぶ子供の姿。


走って転んで無邪気に笑って。


私はまだ一人病室の中。


窓の外を悲しい顔で、今にでも泣き出しそうな表情で見つめているとマックンが私を慰めてくれる。


こうして私は辛い日々を乗り越えてきた。


窓の外を見ると、ママと弟の姿が見えた。


元気に走り回って、ママに飛びついて。


羨ましい。


初めはほんの少しの嫉妬心から。


ママと新しいパパと弟の姿。


眩しくて、幸せそうで。


その中に私も混ぜて?


大声で笑って、全速力で走って、ママとパパの胸元へ飛びついて。



羨ましい。



羨ましいよ。



弟が憎い。






私だけどうして別世界に住んでいるの?


ねぇ、お願い。


私のママを奪わないで。






弟が憎い―――。




弟が生まれてからは、ママは病院にこなくなった。


来ても一月に二回ほど。


汚れた獣を見るみたいに、歪な目で私を見る。


いや、もう目を合わそうともしない。


そしてまた、悪夢が私に襲い掛かる。


憎い。


殺したい。


羨ましい。


看護婦さんはいつもこういうの。



「頑張って」



その一言が私をどれだけ苦しめたのか。


何を頑張れというの?


生きること?


体を治すこと?


私の体はもう治らない。


ねぇ、聞いてマックン。


私の願いが叶うなら、私はこう願うわ。






私を産んだママ、ママを奪った弟を殺したい―――。
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