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♦︎第3章
ピエロの禁書~ラストゲーム~⑥
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その瞬間に暗黒所の方からたくさんの動物達がこっちに向かって走ってきた。
暗闇の中から姿を次々に現す。
その中に、猫や犬、兎や亀、猿やリス。
小さな体を持つ動物達が私の周りをいっせいにして囲んだ。
よく見ると、動物達だけではなく、人形やぬいぐるみも立っている。
気味が悪くなり、私は一歩足を引きずり警戒をする。
すると全身黒の男爵の服を着た猫が私の前に立ち、丁寧に帽子を持ってお辞儀をすると、長い尻尾を左右に動かしながら口を開けた。
「直美さん、初めまして。
君のことはウーから聞いています。
私達はね、君達人間に育てられ、幸せをもらった者なんだ。
動物達は、死ぬまで飼い主に育ててもらい幸せをもらった者。
私達ぬいぐるみや人形は、直美さんが手に持つその人形のように大切にしてもらった者。
みんな人間が大好きなんですよ。
だから君達の願いを叶えてあげようと。
本はピエロとなるのに相応しい憎い心を持ったものに与えられる。
本の中身はピエロの日記。
誰を殺したか、何人殺したかなどを記録するもの。
でもそれには限界があるのです。
ほらこの子を見てみて下さい」
男爵は私の手をとり、大きなスクリーンの前に連れて行った。
そこに写ったピエロの映像は、涙を流し日記を書いている男の子の姿だった。
ウーがスクリーンの前に立ち、映像の中のピエロを指差した。
「この子の名前は拓也。
出来すぎる兄を持ち、自分を見てもらいたいという嫉妬心から自殺をして、ずっと兄を恨んできた。
亡くなってからもこの子の気持ちは誰にも理解してもらえずずっと苦しんでる。
自ら僕らのところにきて、ピエロになりたいと言い出したのはこの子が初めてなんだ。
でも人を殺すということに抵抗をもちだして、今では涙を流しながら、人を殺す。
誰かが代わってあげなくてはいけない。
でもこの子の心を理解してあげられる人が現れない限り拓也は成仏できない。
ナオミは拓也の心を誰よりも理解してあげられると思う。
自分と似た環境の中で育ってきたからね。
拓也を救えることが出来るのは君だけだ。」
力強く手を握り、涙を流すウー。
映像を見みていると、拓也くんのつらさが身にしみて心に伝わってくる。
人を殺すという行為はどれだけ残虐なことだろう。
私には出来ない。
人を殺すことなんて。
でも・・・。
「分かった。私がピエロになる。」
私の心に憎しみがあったのは事実。
だから今度は私がピエロとなり、人を殺していく。
それはとてもいけないこと。
だったら私は人を殺さない。
ただ遊んであげるだけ。
殺すか殺さないかは私が決めることだもの。
「いいの?
でももしナオミがピエロになったら、また誰かが現れるまで君は一生ピエロのままだ。
それでもいいの?」
「うん。もう決めたの。私を拓也くんの元へ連れて行って」
ウーの手を再び握り、私はこの場を後にする。
十歳の私には、生きていても何も出来ない。
体の弱い私には働くこともできない。
この病気は一生治ることはない。
ならばピエロとなろう。
そして人を決して殺さない心の綺麗なピエロになろう。
今から私はピエロとなる。
偽りの憎しみと共に・・・。
そしてまた今宵も悪夢のゲームが繰り広げられる―――。
「私 みんなが 大好き――――」
「ナ・・・・オミ・・・。
君の心、僕救ってあげられたかな・・・
君が大切にし・・てくれ・・たから・・
僕は・・・しあ・・わ・・せだった・・よ・・
あ・・・り・・がとう・・・」
(クマのマックンより)
THE END.
暗闇の中から姿を次々に現す。
その中に、猫や犬、兎や亀、猿やリス。
小さな体を持つ動物達が私の周りをいっせいにして囲んだ。
よく見ると、動物達だけではなく、人形やぬいぐるみも立っている。
気味が悪くなり、私は一歩足を引きずり警戒をする。
すると全身黒の男爵の服を着た猫が私の前に立ち、丁寧に帽子を持ってお辞儀をすると、長い尻尾を左右に動かしながら口を開けた。
「直美さん、初めまして。
君のことはウーから聞いています。
私達はね、君達人間に育てられ、幸せをもらった者なんだ。
動物達は、死ぬまで飼い主に育ててもらい幸せをもらった者。
私達ぬいぐるみや人形は、直美さんが手に持つその人形のように大切にしてもらった者。
みんな人間が大好きなんですよ。
だから君達の願いを叶えてあげようと。
本はピエロとなるのに相応しい憎い心を持ったものに与えられる。
本の中身はピエロの日記。
誰を殺したか、何人殺したかなどを記録するもの。
でもそれには限界があるのです。
ほらこの子を見てみて下さい」
男爵は私の手をとり、大きなスクリーンの前に連れて行った。
そこに写ったピエロの映像は、涙を流し日記を書いている男の子の姿だった。
ウーがスクリーンの前に立ち、映像の中のピエロを指差した。
「この子の名前は拓也。
出来すぎる兄を持ち、自分を見てもらいたいという嫉妬心から自殺をして、ずっと兄を恨んできた。
亡くなってからもこの子の気持ちは誰にも理解してもらえずずっと苦しんでる。
自ら僕らのところにきて、ピエロになりたいと言い出したのはこの子が初めてなんだ。
でも人を殺すということに抵抗をもちだして、今では涙を流しながら、人を殺す。
誰かが代わってあげなくてはいけない。
でもこの子の心を理解してあげられる人が現れない限り拓也は成仏できない。
ナオミは拓也の心を誰よりも理解してあげられると思う。
自分と似た環境の中で育ってきたからね。
拓也を救えることが出来るのは君だけだ。」
力強く手を握り、涙を流すウー。
映像を見みていると、拓也くんのつらさが身にしみて心に伝わってくる。
人を殺すという行為はどれだけ残虐なことだろう。
私には出来ない。
人を殺すことなんて。
でも・・・。
「分かった。私がピエロになる。」
私の心に憎しみがあったのは事実。
だから今度は私がピエロとなり、人を殺していく。
それはとてもいけないこと。
だったら私は人を殺さない。
ただ遊んであげるだけ。
殺すか殺さないかは私が決めることだもの。
「いいの?
でももしナオミがピエロになったら、また誰かが現れるまで君は一生ピエロのままだ。
それでもいいの?」
「うん。もう決めたの。私を拓也くんの元へ連れて行って」
ウーの手を再び握り、私はこの場を後にする。
十歳の私には、生きていても何も出来ない。
体の弱い私には働くこともできない。
この病気は一生治ることはない。
ならばピエロとなろう。
そして人を決して殺さない心の綺麗なピエロになろう。
今から私はピエロとなる。
偽りの憎しみと共に・・・。
そしてまた今宵も悪夢のゲームが繰り広げられる―――。
「私 みんなが 大好き――――」
「ナ・・・・オミ・・・。
君の心、僕救ってあげられたかな・・・
君が大切にし・・てくれ・・たから・・
僕は・・・しあ・・わ・・せだった・・よ・・
あ・・・り・・がとう・・・」
(クマのマックンより)
THE END.
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