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♦︎第2章
ピエロのトランプ②
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予想通りのウーの発言に、私の目からは涙が零れ落ちていった。
「どうしたの?」
ウーが心配そうに私を見つめる中で両手で顔を隠すと、ウーは零れ落ちる涙を傍に置いてあったティッシュ箱から一枚とり、丁寧に優しくふき取ってくれた。
震える声で私は言った。
「巧が言ってた。10年前に一度ピエロとゲームをしたって。
でも願いは叶えてくれなかった。巧は怒ってピエロにこう言ったの。
『どうして僕の願いは叶えてくれないの!?』
そしてピエロはこう言った。
『たった一人のお兄ちゃんだから』
微かに聞こえたその言葉は、そう言ったのか確信がもてなかった。
だから巧は夢から目覚めた後もずっと考えていた。
もしかしてさっきのピエロは自分のせいで亡くなった弟なのかもしれないと。
でも分からなかった。
本当に弟だったのか。
思い当たる節はたくさんあった。
今でも覚えている愛しい弟の声。
行動、話し方、そして手のひらにある大きなほくろ。
絶対にあれは弟だったって。
だから願いを受け入れられなかったんだって」
涙を零しながら話す私の姿を見て、ウーは悲しい、すべての真実を知っているような表情で私に言った。
「その通りだよ。ユウ」
ウーの発言に確信を持った私は早くこのことを巧みに伝えるために立ち上がり、本を持ったまま入り口の前に立ちドアを開けようとした。
するとウーが私の足を鋭い爪を生やした両手で掴み
「ユウはもうここから出ることは出来ない」
と、全身の毛を奮い立たせ、青い瞳を真っ赤に染め上げこう言った。
「ユウは次のピエロとなる者。
真実を知った以上、もう上の世界に戻ることは許されない」
力強く握るその手は、私の足の肉の中にめり込み、血が爪の間をとおり零れ落ちていく。
痛みで悲鳴をあげる私を見て、ウーは我にかえり、パッと手を離す。
さっきの悪魔のような表情が嘘のように元に戻る。
不気味な笑みを浮かべながら、椅子に座るようにと私を元の場所へ戻した後、私に二つの質問をした。
「一つ目はこのページから何が見える?」
私の手元から本を取ると、再び机の上に置き、ページをめくり
『サイコロ』
と書いているページを開く。
『サイコロ』と灰色で書かれた文字の下に、もう一つ赤色で書かれている文字が浮かび上がる。
ウーに赤色で書かれている文字を読んでみてと言われていたから、溢れる血をティッシュで押さえながら、それを口に出して読んでみる。
「トランプ」
その言葉と共に、体が光りだす。
みるみるうちに服装が変わり、顔や体にはメイクが塗られていく。
ウーがすかさず私の目の前に全身用の鏡を差し出す。
唖然とした表情で鏡を見ている私。
赤い大きな口・猫の目のような目・真っ白な肌の色。
そしてピンク色のピエロ用服。
「似合っているよ、ユウ」
にこにこと笑顔を作るウーは私に質問をする時間も与えずすぐにもう一つの質問をする。
「巧は君の何?」
首を傾げて不思議そうにウーは問いかける。
私はこう答えた。
「巧は私の夫・・・。」
驚く不利もせず、無表情のままウーは告げる。
「そっか、君の大切な人はピエロとなっても忘れることはないよ。
でも今までの記憶は消えてしまう。
そして憎しみだけが君の中に残る。
でも大丈夫。怖がらないで。
僕が君の傍にいるから」
光と共に私は宙に浮かび上がる。
ウーの姿が小さくなるにつれ、また新たな場所へ移動する。
静まり返るその薄暗い場所には私以外に誰もいない。
机の上にはあのピエロの本が置かれている。
私はゆっくりと机に向かい、本を手に持ち椅子に座る。
足を組み、ページをめくる最中に、ドスンッと大きな音が部屋中に鳴り響く。
そして私はこう言うの。
「ようこそ暗黒堂へ。今から私とゲームをしましょう。」
続く。
*ワンポイント
暗黒所・・・次のピエロとなる者が訪れる場所
暗黒堂・・・ゲームを行う場所
「どうしたの?」
ウーが心配そうに私を見つめる中で両手で顔を隠すと、ウーは零れ落ちる涙を傍に置いてあったティッシュ箱から一枚とり、丁寧に優しくふき取ってくれた。
震える声で私は言った。
「巧が言ってた。10年前に一度ピエロとゲームをしたって。
でも願いは叶えてくれなかった。巧は怒ってピエロにこう言ったの。
『どうして僕の願いは叶えてくれないの!?』
そしてピエロはこう言った。
『たった一人のお兄ちゃんだから』
微かに聞こえたその言葉は、そう言ったのか確信がもてなかった。
だから巧は夢から目覚めた後もずっと考えていた。
もしかしてさっきのピエロは自分のせいで亡くなった弟なのかもしれないと。
でも分からなかった。
本当に弟だったのか。
思い当たる節はたくさんあった。
今でも覚えている愛しい弟の声。
行動、話し方、そして手のひらにある大きなほくろ。
絶対にあれは弟だったって。
だから願いを受け入れられなかったんだって」
涙を零しながら話す私の姿を見て、ウーは悲しい、すべての真実を知っているような表情で私に言った。
「その通りだよ。ユウ」
ウーの発言に確信を持った私は早くこのことを巧みに伝えるために立ち上がり、本を持ったまま入り口の前に立ちドアを開けようとした。
するとウーが私の足を鋭い爪を生やした両手で掴み
「ユウはもうここから出ることは出来ない」
と、全身の毛を奮い立たせ、青い瞳を真っ赤に染め上げこう言った。
「ユウは次のピエロとなる者。
真実を知った以上、もう上の世界に戻ることは許されない」
力強く握るその手は、私の足の肉の中にめり込み、血が爪の間をとおり零れ落ちていく。
痛みで悲鳴をあげる私を見て、ウーは我にかえり、パッと手を離す。
さっきの悪魔のような表情が嘘のように元に戻る。
不気味な笑みを浮かべながら、椅子に座るようにと私を元の場所へ戻した後、私に二つの質問をした。
「一つ目はこのページから何が見える?」
私の手元から本を取ると、再び机の上に置き、ページをめくり
『サイコロ』
と書いているページを開く。
『サイコロ』と灰色で書かれた文字の下に、もう一つ赤色で書かれている文字が浮かび上がる。
ウーに赤色で書かれている文字を読んでみてと言われていたから、溢れる血をティッシュで押さえながら、それを口に出して読んでみる。
「トランプ」
その言葉と共に、体が光りだす。
みるみるうちに服装が変わり、顔や体にはメイクが塗られていく。
ウーがすかさず私の目の前に全身用の鏡を差し出す。
唖然とした表情で鏡を見ている私。
赤い大きな口・猫の目のような目・真っ白な肌の色。
そしてピンク色のピエロ用服。
「似合っているよ、ユウ」
にこにこと笑顔を作るウーは私に質問をする時間も与えずすぐにもう一つの質問をする。
「巧は君の何?」
首を傾げて不思議そうにウーは問いかける。
私はこう答えた。
「巧は私の夫・・・。」
驚く不利もせず、無表情のままウーは告げる。
「そっか、君の大切な人はピエロとなっても忘れることはないよ。
でも今までの記憶は消えてしまう。
そして憎しみだけが君の中に残る。
でも大丈夫。怖がらないで。
僕が君の傍にいるから」
光と共に私は宙に浮かび上がる。
ウーの姿が小さくなるにつれ、また新たな場所へ移動する。
静まり返るその薄暗い場所には私以外に誰もいない。
机の上にはあのピエロの本が置かれている。
私はゆっくりと机に向かい、本を手に持ち椅子に座る。
足を組み、ページをめくる最中に、ドスンッと大きな音が部屋中に鳴り響く。
そして私はこう言うの。
「ようこそ暗黒堂へ。今から私とゲームをしましょう。」
続く。
*ワンポイント
暗黒所・・・次のピエロとなる者が訪れる場所
暗黒堂・・・ゲームを行う場所
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