冬の烏と夏の朱鷺――おとき柳助物語

三章企画

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風の乳房

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 気が付くと、風に青葉が染みている。
 下谷常在寺裏の【水茶屋ひたちや】でも、そろそろ店の軒先に、菖蒲の葉でもさそうかと思案し始めた頃合、四十絡みで六尺に足らぬほどの大柄な馴染み客が上がった。
 客は、隣町の摩利支天横町の裏店の、しがない饅頭屋の美作屋柳助《みまさかや・りゅうすけ》だという触れ込みだったし、実際その通りだったが、時折、ふとした素振りに武家の水に浸かった匂いがした。ぶしつけに尋ねた者がいたが、柳助は笑い飛ばした。
「おれの曾祖父《ひいじい》さんと言う人が紀州の田舎から江戸に出てきたときには、もう菓子職人だったぜ……」
 柳助の話は、嘘ではないが真実というわけでもない。今は辞めてしまったが、曾祖父の代から、御用菓子司の旗本大久保主水家の菓子杜氏を勤めていた。つまり、柳助は、職人でありながら、同時に旗本の家来として、武家の仕来りにじっくり染まって生きてきたのである。
 店に上がるなり、
「しばらく、居続けになるかもしれねえが、構わねえかい」
 そう言った柳助の口振りにどこか思い詰めた匂いがしている。
「ああ。好きなだけいて、頭ん中を空っぽにしなさるといい」
 主の藤四郎が声をかけた。
「何しろ、根を詰めるのが一番の毒だ」
 ああ、と曖昧に笑った柳助の背中を、遣り手婆のおしずが押すようにして店の奥へと運んでいった。
 
「おとき」
 と、柳助が相方の女に声をかけた。
 かけておいて、ひと遊びすんで掠れた喉に冷や酒を流し込んで言った。
「障子を開けてくんな。上野の山下に駆け下りる風が見てぇ」
「あいよ、柳さん」
 おときは、素肌に軽く襦袢を引っかけたままで障子を開けた。待っていたかのように、山下を走り回っていた五月《ごがつ》の風が光を纏って飛び込んで来る。
「気持ちのいいこと」
 風は襦袢を膨らませ、露わになった透き通るようなおときの白い胸乳にまとわりついている。
「おとき、そこをどきな。オレぁ、五月の風の香を嗅ぎてぇんで、お前ぇの白粉の臭いを鼻に入れたかぁねえんだ」
 おときは、みるみる顔を通り越して紅くなった胸乳を隠しながら障子のそばを離れた。はずが、不意に振り返って柳助の鼻先に近寄って大きく胸元をはだけた。おときは、こぼれた出た白い豊かな乳房を、柳助の鼻面に、ぎゅうっと音が出るほど押しつけた。
「あたしのおっぱいと遊ぶより、風と遊ぶ方が楽しいのかぇ、柳さん。風におっぱいがあるんなら見てみたいもんさ」
 おときは、柳助が事態を飲み込むより早く部屋を出て、間仕切りを閉める前に舌を出した。
 柳助は、うっと短く声を漏らしたきり、しばらくは苦笑しか手がなかった。
 やがて、柳助は、鼻についた白粉をぬぐい取りながら、染みついたおときの体臭《におい》の向こう側にあるはずの、五月の風の馨《かおり》を一心に捜して始めた。が……。
 じきに、ふう、とおそろしく長いため息をついた。
「喜太郎が相手で、五月の風の薫りする菓子か……。厄介な仕事だな」 
 何気なく触れた鼻や頬には、まだおときの乳房の感触が残っている。しっとりと吸い付くような肌触りと、青葉風を受けてひんやりとした柔らかさ……。柳助は見えぬ乳房を、おそるおそる包み込むように両の手を顔に押し当てた。何か、もやついたものが柳助の胸奥に引っかかっている。
 おときなら、真っ赤になりながら、
「それが、あたしのおっぱいの味ってもんさ」
 と得意気に言ってすませるところだろう。だが、柳助はそこで引っかかり、立ち止まってしまっていた。
  
 ことは、十日ほど前のこと。
 柳助は、注文を受けていた端午の節句の祝い菓子を、赤坂新町四丁目の芸州屋へ届けに行った。すると、真っ直ぐ座敷に通した上で、柳助から直に菓子を受け取った主の藤助が、無造作に言った。
「柳助、五月の風の馨のする菓子を食べてみたいものだが、お前に出来るか。おとうと弟子の喜太郎は、自信ありげに帰っていったぞ」
 それが、柳助を悩ませている芸州屋の注文だった。
 芸州屋藤助の曾祖父は、芸州浅野家の四十二万石の家老格の一族で、未だに浅野家とは深い関係もある。藤助にいくぶん武家気質が残っているのも、仕方がないのかもしれない。
――首尾が良ければ浅野家に推挙もしよう。いつまでも、しがない饅頭屋で終わるお主でもあるまい。
 注文の向こう側には、藤助のこうした配慮が見え隠れしていた。だから、厳しい。
――大久保主水の元菓子杜氏としての意地と力量をはっきりと見せて欲しい、と。
 ただ、問題もあった。
 柳助のおとうと弟子喜太郎は、大久保を独立してすぐ、日本橋の通り二丁目式部小路の裏店に看板すら出せない小体な店を出した。ほどなく喜太郎の店は朝から並んでも買えない者が出るほど繁盛し、今では本町四丁目に表店を構えるまでになっている。法界悋気を抜きにしても、周囲の者の言うように身上を仕上げたのである。
 喜太郎は、商売の才覚もさることながら、菓子杜氏としての腕も生半可なものではない。
 柳助も、喜太郎の腕を見込んだからこそ、大久保からの独立を勧め、餞《はなむけ》に曾祖父秘伝の菓子の製法まで教えた。すると、喜太郎は、さらに工夫を重ねて数種の変わり菓子を作り上げたのである。それが、当たった。その上、京都の御用菓子司と結んで、ちかぢか御所御用のお墨付きまで貰う手筈を調えていた。
 ただでさえ厳しい芸州屋の注文に加えて、腕と実績と看板を持つ喜太郎を相手にせねばならないのである。
 ――並はずれたものを仕上げねばならない。
 と思えば、柳助でなくとも頭を抱えざるを得ない。
 時節の素材を使い、あるいは時候の風物をかたどるだけでは、喜太郎には勝てないし、とうぜん藤助も納得すまい。
 五月の風の薫のする菓子……。
 柳助には、藤助のかけた謎の答もまだ解けていない。
 菖蒲の葉を型どった香り高いよもぎ餅の菓子を作り、桑の実の紫で花菖蒲の色を付け、五月の味を出したところで、それだけのことだ。謎を解き、その上でもう二工夫はして、柳助という職人の凄みが出ねば、依頼された菓子の重みに応えることはできない。

 例えば、と柳助は頭を巡らせている。
 柏餅や蓬餅はあるのだから、桑餅があってもいい。
 小指ほどの大きさの、いっそ小豆の一粒か二粒あんを、求肥で包んだ小餅をこしらえる。中身(あん)に桑の実に入れたものも、だ。その小餅を、さらに求肥で包みこんで餅にする。それを桑の葉で包むのはどうだろうか、と。
 餅を噛み切ったとき、粒あんの甘さと堅さと、桑の実の甘酸っぱさと柔らかさがお互いに引き立つだろうし、桑の香りが季節を感じさせるはずだ、と。
 だが、求肥の食感を生かそうとすれば、餡には量感がいる。既にある餅菓子と変わらなくなる。かといって、減らせば求肥に呑み込まれて餡の存在が消えてしまう。塩梅が難しすぎる……。
 それ以前に、と柳助は考えている。
『それでは、風の馨のする菓子ではない』
 柳助は長い溜息を口から吐いた。代わりに、鼻からは、何時までも消えないおときの白粉の、新しい匂いが幽かだが紛れ込んできた。耳には、
「柳さん。今日も泊まってくんだろ」
 おときの声と膳を並べる音が入ってきた。いつか、日は落ちている。
 柳助は、あいまいに頷いた。ひたちやには、すでに居続けて四日になる。

 出された膳に杯はあったが、酒はなかった。代わりにすんだ紫色の汁が入っている。一見ブドウの汁のようだったが、さらに澄み、もっとトロリとしていた。
 柳助は、こいつは何だ、と聞こうとして止めた。
 おときの眼は、柳助を見つめたまま動かない。
 柳助は、香りを嗅ぎ、口に含んだ。舌先に香りがまとわりつき、鼻に味が抜けていく。
 それは、幾つかの果物の甘みと香りが融けだして、練れて酒に代わったものだとはわかる。だが、果物を酒に漬け込んだ果実酒とは味も風味も違う。
『味と香りが、ここまで渾然となるものがあるのか。これは一体なんだ』
 柳助の眼が、思わずおときに縋った。待っていたように、
「猿酒……。猿が樹のうろに入れてた果物が、いつの間にか酒になるんだって。柳さん、ずいぶん飲んだからねえ。たまにはこんなのもさ、悪かないだろ」
 おときは得意げに答え、柳助は静かに頷いた。
「ね、ね、柳さん。それで……。風のおっぱいとは十分遊んだかい」

 言ったおときの顔がみるみる紅くなっていくのが、行燈の灯りの影でもはっきりとわかった。柳助は苦笑いしながら、
「いや、お前が妙なことをしたおかげで、風どころか、白粉に包まれたまんまだ」
「ねえ、ねえ。それじゃあ、あたしの勝ち?」
 言いながら、そろそろと、おときが近づいてくる。
「よせよ」
 おときを避《よ》けようとして杯の猿酒がこぼれ、幾つもの滴が、柳助の博多帯の上で、一瞬丸まって、すぐに消えた。おときの乳房が顔に触れ、ゆっくりと柳助の頬を包み込んでいく。
 おときの白粉の匂い、その向こうに香るおときの体臭、猿酒の香り、渾然とした匂いがおときの乳房の中に包み込まれていく気がした。
 柳助の頭の中で何かが弾けた。
「これだ。おとき、その猿酒、あるだけ出してくれ」
 柳助はおときの両肩を掴んで揺さぶりながら、何度も叫んでいた。

 四半時後、柳助は、おときが工面した猿酒を携えると、振り返りもせず飛ぶように店に帰っていった。
 そのとき、柳助の頭の中にあったのは、餅皮(求肥)の中に猿酒を詰め、その中に桑の実や小豆の子餅餡玉を浮かべるというものだった。だが、すぐに行き詰まった。時間をおくと餅皮が溶け、ぐずぐずになってしまう。かといって皮に練り込むと水気がなくなり、香は残っても、舌触りが消えてしまう。
――餅皮が溶けず、とろりしとしたあの舌触りを残す方法はないのか……。 
 柳助は頭を抱え込んだまま、まんじりともせず朝を迎えた。
 気が付くと平生なら饅頭屋の店を開ける時分になっている。
「おーい。柳助のおっさん。今日は店開けてるかい」
 近所の子らの声がすると、遠慮もなく店の引き戸を手繰り開け、
「きょうはおるぞ」ずかずかと入り込んできた。
「おっさんが店を休むと、わしらの稼ぎも減る。腹も減る。今日の分はどこだ」
 口々に勝手なことを言いながら店の中を眺め回している。
「今日も休みだ。帰れ」
 柳助がことば荒く怒鳴りつけても聞いていない。口々に言い返してきた。
「けち。饅頭はねえけど、団子……じゃねえか、みたいなのがあるじゃねえか。これ売りに行っちゃだめか。折角見つけた客が逃げちまうんだぜ」
「そいつは売りもんじゃねえ。手を付けるな。だいたいお前らに売り子を頼んだ覚えはねえ。勝手に利鞘取って売ってるんだろうが……」
「けちなこといいっこなしだぜ、柳助のおっさん。近所の者は相身互いというじゃねえか」
「兄貴。こいつは、みたらし団子の出来そこねえで、ちっともうまかねえぜ。やめとこうや」
「勝手に店のものに手を出すな。勝手に喰うな」
 子どもらをどやしながら、柳助は目の前が開けた気がした。
――みたらしだと……。そうか、砂糖醤油の葛餡か……。
「そうか、わかった。わかった。ありがとうよ、昼から来な。今日はただで饅頭を下ろしてやる。精々頑張って売って来るといい」 
 喚声が上がった。
 子どもとは言え、小遣いを貯めて柳助の饅頭を買って売りさばき、利鞘を得ようとする。その心根が、俺に眼を開かせてくれる。ここで店を開いたのは間違いじゃなかった。
 柳助は、ぼんやりと考えていた。
 
 数日後、柳助の姿が赤坂新町の芸州屋にあった。
 柳助は、主の藤助に三宝に載せた薄緑色の餅菓子を差し出した。
 幽かに、抹茶の香が漂っている。
「ご注文の菓子にございます」
 藤助は、静かに口に運んだ。柳助は凝視している。
 抹茶の香が口に入れるまで香っている。
 藤助がそろりと餅に歯を立てると、薄い求肥が破れ、すぐ下の求肥に当たった。下の求肥が裂けると、中から猿酒の香と味とが、ゆるくねっとりとした蜜になって滲み出てきた。さらに噛み進むと、幾つもの小さな餡玉が歯の進みを拒み、そのくせ、餡玉の中の粒あんと桑の実・木苺の異なった堅さがそれぞれ気ままに歯や舌を誘惑する。染み出している猿酒のゆるやかな蜜が餡玉に纏い付き、噛み裂かれて餡玉から自由に浮き出した小豆と桑、木苺のほの甘さとに絡みあって、味が瞬時に幾色にも変わっていく。餅をようやく噛み切ったとき、ふたたび抹茶を練り込んだ求肥の味が、口の中の全ての味をさわやかにまとめ上げていく。
 柳助、と言ったきり、藤助は黙り込んだ。黙り込んだまま、餅を食べ続けている。幾度も三宝の餅に手が伸び、やがて空になっても、藤助は何もしゃべらない。
 どれくらい経ったのだろう。藤助が口を開いた、
「柳助、何を使った」
「小豆、猿酒に軽く漬けた桑の実と木苺を小指ほどの大きさで薄い求肥にくるんであん玉を作りました。この求肥には、桑の実を猿酒に漬け込んだ漬け汁を練り込んであります。また求肥を薄い袋にして猿酒をゆるくこざっぱりした味の葛餡にしたものを入れ、その中に、桑の実、木苺、小豆のあん玉を詰めました。さらにその袋を抹茶を練り込んだ求肥で包んだのでございます。お気に召しましたでしょうか」
「酔うのを除けば上出来だ」
「はて、お酔いになりますか」
 と柳助は幽かに笑った。藤助が軽く眉を顰《ひそ》めると、
「そもそも、五月の薫る風ともうしますと、若葉風、葉風にございましょう。下世話には、葉《は》と書いて、酔うとも読むものでございます」
 と、すまして答えた柳助に、ふふ、と藤助が軽く笑った。
「なるほど、理屈だ。で、なんと名付けるつもりだ」
「垂乳根《たらちね》と名付けました。母親の乳房のような五月の風の馨に抱かれる……。そんな心持ちでございます」
 と答えた柳助の頭の端に、柳助の両頬を挟み込んだおときの乳房の感触がふと蘇って留まっている。柳助は、微かに頬が上気するのを感じていた。
「ふむ。猿酒と風の乳房に酔いつぶれる……というところか。まずまずの、いや、佳い出来だったと言ってもよかろうが、残念だが、これでは使い物にならぬ」
 藤助は冷ややかに言い放った。柳助は耳を疑った。
――佳い出来だが、使い物にならぬだと……。
「それは、どういうことでしょうか」
 柳助が思わず問い返すと、藤助は深いため息を付いた。
「私が、わざわざ言わねばならぬか」
「是非に」
「柳助。この菓子、あと幾つ作れる?」
「残りふたつ……ほどでございます」
「次に作れるのはいつだ」
「……」
 柳助にことばはなかった。
「次が約束できぬのだろう。のう柳助。菓子が佳い出来であれば、人は次ぎも所望する。二度目がないのであれば、使い物にならぬ道理ではないか。敢えて言う。今日のことを殿(芸州候浅野斉賢なりかた)に申し上げたとする。美作屋柳助がかような菓子を拵えました。稀にみる絶品でございましたが、二度は……」
 もう、と柳助は大声を上げて遮った。
「充分にございます。少し考え違いを致しておったようです。此度は私の失態でございました。面目次第もございません」
「わかればよい。よいが、惜しい。実に惜しい。柳助、何とか工夫できぬか。いやせねばならんぞ」
 などと言いながら、藤助はひどく恨めしげに空の三宝を見つめた。
「あれが、二度と食えぬのは、酷だ……」
 藤助がさらに子どもが縋るような眼で柳助を見た。柳助は思わず顔を伏せた。
「似たようなものを作るのは、工夫次第で可能でしょう。それでは、芸州屋さんも舌に嘘を付くことになる。次ぎに猿酒が手にはいるまで待っていただくか、それとも、嘘と承知で紛《まが》い物で満足していただくか……」
「喰わねばよかった……」 
 藤助は、柳助のことばなど聞いていなかった。
 
 その日、ひたちやにも使いが行った。
「おとき、柳さんから届け物だ」
 おときが菓子折を開けると、中に薄い抹茶色の餅がふたつ。同封の半紙一枚に二言三言。
 
 おとき さま

 かぜのおっぱい 
 じんきなさらぬように。

 と書いてあった。
「ばか」
 おときは、小さくつぶやいて、障子を開けた。
 静かに風と光が入り込んできて、おときの襦袢を膨らませ、はだけた胸元からこぼれそうな白い豊かな乳房の上で、眩しいほどに跳ねている。
「柳さん、うまくやれたかな」
 おときは、まとわりつく風と光に眼を細めながら小さくつぶやいた。
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