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蜘蛛猫になった
蜘蛛猫、騎士長に頼まれる?
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壁の中は人でごった返していた。
日が沈んだというのにこれだけの人が出歩いているのは、この都市の道が整備され、街灯が整備され、人が暮らしやすくなるために昔の人が頑張って、そして今の時代を生きる人がそれを受け継ぎ整備したからである。
現代日本に生きてると、こういう当たり前の事に気づけないよね。
人混みを進んでいくと、王城よりは小さいもののあまりにも大きなお屋敷が見えて来た。
その門の前には護衛の老騎士が立っていた。彼はしシャロに気づいたとたん、涙を流しながら走って来た。
あまりにも鬼気迫るもんだから、ついつい身構えてしまった。
「お嬢ざまー!!」
「爺や!」
「帰宅するのが遅いですぞよ~」
「い、痛い、痛い。ちょっと色々あったから遅れちゃった」
「ピ…」
く、苦しい。ちょ?!爺やさん、私ごと抱きしめてます。ギブです、マジギブです。折れます、私の蜘蛛の身体が潰れます。
うぷ、気持ち悪い。
「も、申し訳ありません!それでも反省して下さい。奥様も心配されておりますぞ」
「ママも?!じゃあ急がないとね!!」
急足に門の中に入っていく、その際に爺やさんと一瞬目が合う。
爺やさんは私を見た瞬間に硬直し、冷や汗を流していた。
一体どうしたのだろうか?私の顔に何か付いているのかな?
爺やさんの右手がゆっくりと腰に下げた愛刀に向かっているのが見えた。
「お、お嬢様。その背に担いでいるのは?」
「ん。この子はシャロの命を救ってくれた子だよ」
「な、なんと!?」
「だから大丈夫」
シャロちゃんも爺やさんが私に向けて剣を向けようとしているのが見えたようなので、満面の笑みで大丈夫と伝える。
爺やさんは剣を納めた。シャロちゃんの想いを汲み取ったのだろう、でも内心は穏やかではないのだろう。
手を振ってシャロちゃんを送った。それを確認すると、先程よりも速度を上げ走り出す。てか、敷地内でこんだけ全力で走らないと家に行けないって、どんだけお金持ち何でしょね?
「後少しだよ」
そんな事を思っていると、家?屋敷が見えて来た。これまたベタな薔薇と噴水に囲まれた屋敷。
その前に佇む一人の女性。シャロちゃんをそのまま大きくしたような姿。違うのは背丈と大きなおっぱい。凛々しい表情。
そしてその細腕の何処にそんな力があるのか?と思うほど大きな大剣を背負っていること。
「ママ~」
「あらシャロちゃんたらこんな時間まで何処に行ってたのかしら!!」
帰ってきた娘相手に、行きなし大剣を振り下ろす親が何処にいるのよ!!
それを澄まし顔で受け止めるシャロちゃんも、シャロちゃんよ。
「もーママ。帰る度にそれで斬ろうとしないでよ~」
「ふふふ、愛情よ。それよりもどうしたのかしら?こんな時間まで帰って来ないなんて」
「いやぁ~フェニキスに出会しちゃって~」
「フェニキスですって?」
多分あの魔物のことなんだろう。
「死ぬかと思ったけどね、この子が助けてくれたの」
「ピニャ?」
「猫?!」
シャロちゃんはママさんの前に私を差し出す。
てか、爺やさんもママさんもそんなに驚かなくても良くない?
「ううん。顔は猫だけど蜘蛛さんだよ」
「蜘蛛?シャロちゃん、ママを揶揄っているのかしら?」
「揶揄ってないよー猫蜘蛛さん」
はいはい、この拘束糸を解けばいいのね。シュルシュルシュル~私のボディが露わになる。シャロちゃんに抱っこされてたので、前足でオジキするように構えて頭を下げた。
「ピニャ」
「本当に蜘蛛だわ」
「ね、本当だったでしょ。ママ」
「ええ、疑ってごめんなさい、シャロ。それと娘を助けてくれてありがとう」
私に向かって手が伸びる。その手は私の前で止まり、どうやら握手を求められているようだったので、前足を差し出した。
その前足を握られた。このママさんは、私の姿にも気をされず、娘であるシャロちゃんを助けてくれた事に敬意を払ったのだ。
流石シャロママである。何というか肝が据わってらっしゃいます。
打ち解けた所で、私の背にまた悪寒が走った。
「ど……こ……」
微かに何かが聞こえた。シャロちゃんが振り返ると、此方の方に向かって砂煙が近づいているのが見えた。
「居たー!!」
その砂煙の正体はこれまた金髪のおじさんだった。それが私の姿を見た瞬間加速しているではないか、何事かと構えるのは当然の事で、まだ残っていた残炎を牙に宿らせる。
それを見たシャロちゃんが、私の顔を見て笑った。
「あれシャロのパパだよ」
「ピ?!」
あのおじさんがシャロちゃんのパパ??確かにシャロちゃんやママさんと同じような気配を感じる。
シャロちゃんってお母さん似だったんだね。
そんな事を思っていると、シャロパパはもう目前まで来ていた。そのままジャンプするように飛び上がり、前屈みになり重い鎧を折りたたみあの姿は……土下座だ!?
「蜘蛛様ぁあ!!どうか、どーか妻の為に布を作って下さいましぃーー!!」
……ぬ、布?
日が沈んだというのにこれだけの人が出歩いているのは、この都市の道が整備され、街灯が整備され、人が暮らしやすくなるために昔の人が頑張って、そして今の時代を生きる人がそれを受け継ぎ整備したからである。
現代日本に生きてると、こういう当たり前の事に気づけないよね。
人混みを進んでいくと、王城よりは小さいもののあまりにも大きなお屋敷が見えて来た。
その門の前には護衛の老騎士が立っていた。彼はしシャロに気づいたとたん、涙を流しながら走って来た。
あまりにも鬼気迫るもんだから、ついつい身構えてしまった。
「お嬢ざまー!!」
「爺や!」
「帰宅するのが遅いですぞよ~」
「い、痛い、痛い。ちょっと色々あったから遅れちゃった」
「ピ…」
く、苦しい。ちょ?!爺やさん、私ごと抱きしめてます。ギブです、マジギブです。折れます、私の蜘蛛の身体が潰れます。
うぷ、気持ち悪い。
「も、申し訳ありません!それでも反省して下さい。奥様も心配されておりますぞ」
「ママも?!じゃあ急がないとね!!」
急足に門の中に入っていく、その際に爺やさんと一瞬目が合う。
爺やさんは私を見た瞬間に硬直し、冷や汗を流していた。
一体どうしたのだろうか?私の顔に何か付いているのかな?
爺やさんの右手がゆっくりと腰に下げた愛刀に向かっているのが見えた。
「お、お嬢様。その背に担いでいるのは?」
「ん。この子はシャロの命を救ってくれた子だよ」
「な、なんと!?」
「だから大丈夫」
シャロちゃんも爺やさんが私に向けて剣を向けようとしているのが見えたようなので、満面の笑みで大丈夫と伝える。
爺やさんは剣を納めた。シャロちゃんの想いを汲み取ったのだろう、でも内心は穏やかではないのだろう。
手を振ってシャロちゃんを送った。それを確認すると、先程よりも速度を上げ走り出す。てか、敷地内でこんだけ全力で走らないと家に行けないって、どんだけお金持ち何でしょね?
「後少しだよ」
そんな事を思っていると、家?屋敷が見えて来た。これまたベタな薔薇と噴水に囲まれた屋敷。
その前に佇む一人の女性。シャロちゃんをそのまま大きくしたような姿。違うのは背丈と大きなおっぱい。凛々しい表情。
そしてその細腕の何処にそんな力があるのか?と思うほど大きな大剣を背負っていること。
「ママ~」
「あらシャロちゃんたらこんな時間まで何処に行ってたのかしら!!」
帰ってきた娘相手に、行きなし大剣を振り下ろす親が何処にいるのよ!!
それを澄まし顔で受け止めるシャロちゃんも、シャロちゃんよ。
「もーママ。帰る度にそれで斬ろうとしないでよ~」
「ふふふ、愛情よ。それよりもどうしたのかしら?こんな時間まで帰って来ないなんて」
「いやぁ~フェニキスに出会しちゃって~」
「フェニキスですって?」
多分あの魔物のことなんだろう。
「死ぬかと思ったけどね、この子が助けてくれたの」
「ピニャ?」
「猫?!」
シャロちゃんはママさんの前に私を差し出す。
てか、爺やさんもママさんもそんなに驚かなくても良くない?
「ううん。顔は猫だけど蜘蛛さんだよ」
「蜘蛛?シャロちゃん、ママを揶揄っているのかしら?」
「揶揄ってないよー猫蜘蛛さん」
はいはい、この拘束糸を解けばいいのね。シュルシュルシュル~私のボディが露わになる。シャロちゃんに抱っこされてたので、前足でオジキするように構えて頭を下げた。
「ピニャ」
「本当に蜘蛛だわ」
「ね、本当だったでしょ。ママ」
「ええ、疑ってごめんなさい、シャロ。それと娘を助けてくれてありがとう」
私に向かって手が伸びる。その手は私の前で止まり、どうやら握手を求められているようだったので、前足を差し出した。
その前足を握られた。このママさんは、私の姿にも気をされず、娘であるシャロちゃんを助けてくれた事に敬意を払ったのだ。
流石シャロママである。何というか肝が据わってらっしゃいます。
打ち解けた所で、私の背にまた悪寒が走った。
「ど……こ……」
微かに何かが聞こえた。シャロちゃんが振り返ると、此方の方に向かって砂煙が近づいているのが見えた。
「居たー!!」
その砂煙の正体はこれまた金髪のおじさんだった。それが私の姿を見た瞬間加速しているではないか、何事かと構えるのは当然の事で、まだ残っていた残炎を牙に宿らせる。
それを見たシャロちゃんが、私の顔を見て笑った。
「あれシャロのパパだよ」
「ピ?!」
あのおじさんがシャロちゃんのパパ??確かにシャロちゃんやママさんと同じような気配を感じる。
シャロちゃんってお母さん似だったんだね。
そんな事を思っていると、シャロパパはもう目前まで来ていた。そのままジャンプするように飛び上がり、前屈みになり重い鎧を折りたたみあの姿は……土下座だ!?
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……ぬ、布?
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