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蜘蛛猫、親御さんへのご挨拶をする。
番外編 王城にて
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時は遡り、丁度チョコちゃんとクレープを買っていたくらいの時間。
12代目要塞都市シルデストの王である。モルルス・シルデスト王並びに、ルト・シルデスト王妃に謁見する為、シャロパパ事、ランス・ペンドラゴンは王城を訪れていた。
まあ、分家な訳だから。そんなにそんなに気を使う必要もないのだけど。
一応相手は王族。この国のトップな訳だから、形だけでもという事だ。
「ご無沙汰しております。ランス・ペンドラゴン、モルルス王並びにルト王妃へのご報告に参りました」
「ほう。報告とな」
モルルス王がパチっと指を鳴らすと、兵士が全員扉の外へと退場した。ルト王妃が気さくに話し出す。
「珍しいじゃない?アーサーちゃんじゃなくて、ランス。貴方が報告に来るなんて?」
「そうだな!ランスよ!早く報告せい!」
「はは、それじゃあ報告します。先に妻のアーサーですが、今朝まで娘にこっ酷く搾られておったので、連れて来ませんでした」
「はあ……全くあの娘は何をやってるのやら……」
ルト王妃が頭を抱えて椅子に肘をつく。
「その原因となったのが娘が連れてきたとある魔物とうちのメイドでして……」
「ほほ~魔物とな。其奴はどんな奴なんだ?」
どう説明するかまとめてきたつもりだったが……悩んだ後に、そのままの見た目を言うことにした。
「頭が猫で身体が蜘蛛でございます」
「……今なんと」
「頭が猫で身体が蜘蛛でございます」
王と王妃はぽかんと口を開ける。それもそうだろう。女神の戯れで作られた魔物だ。この世に1匹しかいないのだから。
「ごほん。それでどうしてあの娘が怒られる事になったのかしら?」
其れからの経緯を話した。笑いを堪えきれなかったのか、モルルスは腹を抱えて笑う。
「なっはっは!あのバカ姉の狂人者の攻撃を凌いだだと。それだけでも凄いというのに、メイド1人を守りきったと。こりゃあ天晴だな!そのイトという魔物は」
※正確にはアーサーは、モルルス王の実の姉ではない。従妹で若干アーサーの方が歳上というだけ。ルト王妃は、アーサーの親友であり、元ライバルである。ランスもアーサーやルト王妃と同年代で勇逸、アーサーに真っ向から挑み、攻撃を凌いだ漢である。それを気に入られたから結婚したそうだよ。
by.愛の女神の愛ネットより
「それで家を壊して、お客さまとメイド1人を殺しそうになったのがシャロちゃんにバレて一晩中冷水に漬けられてたと」
呆れる王妃と爆笑する王様。それをどうしたものかと動行を見守るシャロパパ。
ひとしきり笑ったモルルスは、シャロパパからその魔物が出した糸で編んだ布をもらった後、一呼吸置いてから口を開いた。
「ワシは、そのイトという魔物が心底気に入った!!今度時間を作るから連れてまえれ!」
「あはは、そう言うと思ってましたよ」
乾いた笑いが出る。
「後、アーサーちゃんも連れておいでね」
「はい。お手柔らかにお願いしますよ」
「ふふふ、善処するわ」
帰宅後に、その瞳は善処する気など全くなさそうだったと、シャロパパから聞いたシャロママは青ざめるのであった。
「チュウ……ここのは美味しいチュウ」
「チュウ……早く帰るッチュ」
「わかっているチュウ」
王城の地下、食糧庫にて、2匹のネズミが侵入していた。
「必要なのは~……」
「やばいッチュ!」
「逃げるチュウ~」
「「チュウ~」」
自分の身体3つ分の食糧を風呂敷に入れ、逃げ帰るのであった。
12代目要塞都市シルデストの王である。モルルス・シルデスト王並びに、ルト・シルデスト王妃に謁見する為、シャロパパ事、ランス・ペンドラゴンは王城を訪れていた。
まあ、分家な訳だから。そんなにそんなに気を使う必要もないのだけど。
一応相手は王族。この国のトップな訳だから、形だけでもという事だ。
「ご無沙汰しております。ランス・ペンドラゴン、モルルス王並びにルト王妃へのご報告に参りました」
「ほう。報告とな」
モルルス王がパチっと指を鳴らすと、兵士が全員扉の外へと退場した。ルト王妃が気さくに話し出す。
「珍しいじゃない?アーサーちゃんじゃなくて、ランス。貴方が報告に来るなんて?」
「そうだな!ランスよ!早く報告せい!」
「はは、それじゃあ報告します。先に妻のアーサーですが、今朝まで娘にこっ酷く搾られておったので、連れて来ませんでした」
「はあ……全くあの娘は何をやってるのやら……」
ルト王妃が頭を抱えて椅子に肘をつく。
「その原因となったのが娘が連れてきたとある魔物とうちのメイドでして……」
「ほほ~魔物とな。其奴はどんな奴なんだ?」
どう説明するかまとめてきたつもりだったが……悩んだ後に、そのままの見た目を言うことにした。
「頭が猫で身体が蜘蛛でございます」
「……今なんと」
「頭が猫で身体が蜘蛛でございます」
王と王妃はぽかんと口を開ける。それもそうだろう。女神の戯れで作られた魔物だ。この世に1匹しかいないのだから。
「ごほん。それでどうしてあの娘が怒られる事になったのかしら?」
其れからの経緯を話した。笑いを堪えきれなかったのか、モルルスは腹を抱えて笑う。
「なっはっは!あのバカ姉の狂人者の攻撃を凌いだだと。それだけでも凄いというのに、メイド1人を守りきったと。こりゃあ天晴だな!そのイトという魔物は」
※正確にはアーサーは、モルルス王の実の姉ではない。従妹で若干アーサーの方が歳上というだけ。ルト王妃は、アーサーの親友であり、元ライバルである。ランスもアーサーやルト王妃と同年代で勇逸、アーサーに真っ向から挑み、攻撃を凌いだ漢である。それを気に入られたから結婚したそうだよ。
by.愛の女神の愛ネットより
「それで家を壊して、お客さまとメイド1人を殺しそうになったのがシャロちゃんにバレて一晩中冷水に漬けられてたと」
呆れる王妃と爆笑する王様。それをどうしたものかと動行を見守るシャロパパ。
ひとしきり笑ったモルルスは、シャロパパからその魔物が出した糸で編んだ布をもらった後、一呼吸置いてから口を開いた。
「ワシは、そのイトという魔物が心底気に入った!!今度時間を作るから連れてまえれ!」
「あはは、そう言うと思ってましたよ」
乾いた笑いが出る。
「後、アーサーちゃんも連れておいでね」
「はい。お手柔らかにお願いしますよ」
「ふふふ、善処するわ」
帰宅後に、その瞳は善処する気など全くなさそうだったと、シャロパパから聞いたシャロママは青ざめるのであった。
「チュウ……ここのは美味しいチュウ」
「チュウ……早く帰るッチュ」
「わかっているチュウ」
王城の地下、食糧庫にて、2匹のネズミが侵入していた。
「必要なのは~……」
「やばいッチュ!」
「逃げるチュウ~」
「「チュウ~」」
自分の身体3つ分の食糧を風呂敷に入れ、逃げ帰るのであった。
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