柴犬シバのゆかいな?日々   シバの短編集

篠宮 楓

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男もすなる日記といふものを……

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男もすなる日記といふものを雄もしてみんとてするなり。


 字書けないから、脳内だけどな!





 〇月×日 月曜日 晴れ

朝、物凄い衝撃を受けて目を覚ます。
 慌てて頭を上げれば、腹にねーさんの頭を発見。
こわっ。
 頭だけじゃねーよ、ちゃんと首から下もついてるよ。
 思わず二度見しちゃったし。

……で、なんでこんなところで寝てんの、このねーさんは。



 昼、エサをたらふく食って眠い。
うとうとしていたら、にーさんが新しい首輪を持ってきた。

 「けんしろーみたいで格好いいだろ?」

……これ読んでる人で、けんしろーを思いつく人がいてくれたらいいな←作者ぼやき
 そんなとげとげしたものが付いている首輪なんてお断り! と顔を背けたら、

 「そんなにつけたいか! つけやすいように首を出してくれるなんて!」

……むしろ、お前がつけろ!
オレ様にそん重厚なものは似合わねぇんだよ!
シバだからな!? 土佐じゃねーんだからな!!
オレ様に似合うと言えば、赤い首輪だろう!
なんでだろーな、よくわかんねーけど作者のイメージだ!!



 夜、にーさんに無理やりつけられた首輪を見て、桜が大爆笑。
なんで今日に限って、家にくるんだよ。
しかも夜ってお前……、はっ!
そうか、とうとう!!

 『ヤラせろ!』
 『だっさいやつとは、お断り☆』

……星マークまでつけやがった(涙



 〇月▽日 曇り

朝。さすがに連続でねーさんは転がってなかった。
すげぇ、ホッとした。
なんか昨日は嫌な事があったらしくてオレんとこでヤケ酒して寝ちゃったらしいぜ。
それ、女としてどうよ。


 昼。なぜか昼寝から目を覚ますと、にーちゃんがいた。
 桜の飼い主一家の、にーちゃんな。
オレ様が目を覚ましたことに気が付くと、少し目を細めて傍らに座った。
 「昨日は、彼女が君の傍で寝てしまったらしいね。……俺が悪いんだ、迷惑かけてごめんな」
にーちゃんが悪いの?
 「彼女への気持ちを取り出して見せられればいいと……、心から思うよ」
 寂しそうな苦しそうな声。

……なんか、ヤバイ空気Dadamore?

 思わず尻尾を足の間に丸めたら、もう一度ごめんと呟いて頭を撫でていった。
すぐそばの通路から、車のエンジンの音。
そのまま、車はどこかに行ってしまったらしい。

 結局夕方に帰ってきたねーさんとは、にーちゃんは会わなかった。


 夜。ねーさんの手には、かんちゅーはい。
 一気に呷ってから、オレ様の傍に腰を下ろした。
 「ねー、やっぱりさ。離れたら、忘れられちゃうのかなぁ。シバってばどう思う?」
オレ様的に、このままねーさんがまた酔い潰れるんじゃないかとちょっと心配している最中。
 「やっと好きって言えて、付き合い始めて」
あー、それリアルタイムで見てるから、言わなくても分かってるよねーさん。
 「そしたらいきなり遠い場所に転勤とか。二・三年待っててくれないかとか」
あれ、それって……??

 「いきなり何それって思って呆然としてたら、”戻ったら結婚しよう”ってさ」
わふん?
そこ、喜ぶところじゃないの?
 首を傾げれば、頭から背中にかけて撫でられて目を細める。
 「結婚とか……。嬉しいけど……嬉しかったけど!」
がばっと、首に抱きつくねーさん。

くっ、苦しいぜ! マイ飼い主!!

 「私、絶対耐えられない! ずっとずっと心配する! 心変わりしないって、どーしていえるの?! 彼が好きだけど、信じる事なんて……信じてても無理だよぉ……」

カラン……

中身を地面にこぼしながら、缶がころころと転がっていった。


それを見ながら、わふんと呟く。



 『このシリーズって、コメディじゃなかったっけ?』




 〇月△日 晴れ


朝。「なぁ、シバ。お前はずっとあの二人を見てたんだろう? 彼は、信頼に足る人なのかい?」
 珍しく、とーさんが座っていた。
ねーさんはあれから二・三日オレ様の所に来ていない。
かーさんが零す愚痴から察するに、プチ家出をしているらしい。
 居場所は分かってるらしいけれど。

その間、毎日夜ににーちゃんが訪ねてきていた。
 玄関で何か言葉を交わした後、肩を落として帰っていく。
 桜を連れてこない所を見ると、なんだかとても深刻そうに見えた。

とーさんの言う彼とは、にーちゃんのことを言ってるんだろう。
オレ様は、ぺろりととーさんの手をなめた。

 悪い。ここは頬をなめるシーンかもしれないけど、オレ様、雌以外なめたくねーわ。

とーさんは少し驚いたように目を見開いた後、寂しそうに笑って部屋へと戻っていった。


 昼。にーちゃんが来た。
 今日って、休日か。
とーさんが朝オレのところに来た時に気付けよっていう突っ込みは、今のところ受け付けません!

 『シバ、元気?』
 今日は、桜も一緒だ。
 珍しくしおらしい桜に、なんだか嫌な気がする。
そっとオレ様の横に伏せた桜は、じっと見ていたオレ様を見て少しだけ笑った。

 「な、何言って……!」

 『!?』

いきなり部屋から聞こえてきた声に、ぐるっと顔を向けた。
ねーさんがいるのか!?

プチ家出先は、もしかしてにーちゃんの所だったのか!
 『違う違う、にーちゃんちじゃなくてうち。実家の方』
 『へ? 嫁入り前の上に付き合ったばっかのビミョーなねーさんを、実家に泊まらせたの!?』
あーり-えーねーっ!
 桜は、まぁねと呟いた。

 『妹ちゃんは離れに住んでるから、そこに泊まってたのよ。それを今日にーちゃんに見つかったって事』
 『それにしたって、すげーなー。なんでそこまでしてくれんの、うちのねーさんに』

 何の話し合いをしているのか分からないけれど、家の中から若い男女のいい会う声が漏れ聞こえる。

 『付き合い始めて数か月しかたってないのにいきなり遠距離なんて、同じ女性として感じるところがあったんじゃない?』

……お前、本当に犬?
マジで、前世人間だったんじゃね?

 『だったらついていけばいーじゃん。ねーさんもにーちゃんと一緒に行けばいーじゃんか!』
 『簡単にそれが出来たら、苦労しないわよ』

……その話し合い、って事。

 『にーちゃんの心が伝わって、望むようになればいいと思うけど。いきなり結婚は無理でも、同棲とか……』
 『だな!』
 飼い主が悲しむのは、愛玩動物的に断固阻止したい!
 桜は少しだけ目を伏せると、そうねと呟いた。


 夜。
 「桜、帰るよ」
にーちゃんが、オレの傍で伏せる桜を呼びに来た。
ぴくりと耳が、声に反応する。
そこには、にーちゃんしかいない。

 「シバくん」
にーちゃんは桜の背中を撫でながら、しゃがみこんだ。
 空いている手で、オレ様の頭を撫でる。
 「君の大切な彼女、俺が貰っていくから」
 『……』
ねーさんは、にーちゃんと行くことになったらしい。
じっと、にーちゃんの目を見つめる。
 「ごめんな」
 『……』

なんでそんな顔、するの?
ねーちゃんと一緒にいられて、よかったじゃんか!

 『シバ、たぶんしばらくは会えないだろうけど、元気でね。結構、楽しかったわ』

そういって、桜はにーちゃんと共に帰って行った。

 『桜……?』

……あれ? もしかして、恋愛フラグたってたんじゃね……?


 深夜。
 「シバ、今までありがとう」
ねーさんが、そういってオレ様を抱きしめた。



 〇月≧日 晴れ

 ねーさんが、にーちゃんと一緒にいなくなった。



☆月≦日 雨

ねーさんが引っ越してから数週間。
 桜に会う事もなく、にーちゃんに会う事もなく。
やっと、ごめんの意味が分かったよ。
……にーちゃんや


%月∑日 晴れ

「シバ!」
 『……ここどこ?』
 目が覚めたら、見知らぬ庭でした。
 顔を後ろに向けてみれば、体半分がゲージに入ったまま。

 『またかよ』

 懐かしい、寝てる間のゲージ拉致に今回はなぜか笑ってしまう。
だって、そこには。

 『シバ、あんたまた寝てる間に連れてこられたのねぇ』
 「シバくん、久しぶり」
 桜とにーちゃんがいて。
 「シバ、会いたかった!」
ねーちゃんがいて。

 中古の平屋を借りたというねーさんとにーちゃんが、オレと桜を連れてきてくれたのだ。
 『あんた、ご飯あんまり食べてなかったんだって? それで相談されたにーちゃん達が引き取るって決めたらしいわよ』
 『え、オレの所為!?』
それでもいいけど!
 『二人も寂しがってたから、ちょうどいいって』
うん、そっか!

とりあえず、嬉しいからどっちでもいい!


ねーさんと会えて、にーちゃんと会えて。
しかも……

『桜』

 恋愛フラグ、たったもんねっ!
 体を摺り寄せようとしたら、ふぃっと逸らされた。
 『あれ?』

 桜は庭の向こうに目を向けている。
 『シバだとしても、キープくんがいないと心もとないからね!』
 早速素敵なかたを見つけなきゃ!

……はい? きーぷ??

さっきまでの感動のご対面は、まったく消滅している。
 顔を部屋の方に向ければ、いちゃつきにしか見えない飼い主二人の姿。

 顔を戻せば、近所の同胞の気配を探ってる桜の姿。


……あれ? フラグは???
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