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再起【PART①】
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────2017/9/21/Thu────
ロチェスターホテル502号室-AM11:30-
「悪いな。仕事帰りに急に頼んで…適任がレイ、お前しかいなくてな」
「い、いいのよ。うふふ、気にしないで?…あー、あは、そうね、その…ここまで来て疲れてるでしょう?今飲み物用意するから…」
そう言って、レイは広めの室内の奥に入っていこうとしたが、アレックスはそれを遮った。
「いや、大丈夫だ。それよりアイズは…なんだ、寝てるのか」
「……え?そ、そうね。ええ。言われた通り、電車に居て…倒れている所をここまで運んできたの」
レイはぎこちなく動きを止め、丸椅子を奥からひとつ運んできた。
「ほんとに悪いな…それで、アイズのことなんだが、他になにかあったか?誰かにやられるような奴じゃないだろうから、倒れてるってのは糖分が切れたからだろうが…」
「なにか、なにかね…あぁそういえば、近くに黒服の集団が居たわね」
「黒服?」
「えぇ。何やら、私の名前を知っている様だったわ。あと、エージェントだってことも」
「…そいつらをどうしたんだ?」
「殺したわ」
訝しげに聞くアレックスに対して、レイは即答した。
「死体は適当な川に捨てたわ。血痕ごと。2、3秒かかったけど人はいなかったし見られてないわ」
さも当たり前のようにレイは続ける。
「…お前…」
「あら?何か不都合でもあった?」
「……俺の推測では、そいつらは上が送った奴らだ。今回の地下鉄での任務でクラウスとのバディだったアイズを捕まえて話を聞くためにな…なんて事だ。お前に伝えるべきだったな…」
「……え…ちょ、ちょっと待って?でも彼等、銃器を持ってたわ!」
「アイズが大人しくついて行くわけないだろう。少なくとも、携帯麻酔銃を所持しているはずだ」
レイの美しい顔が少しだけ引き攣る。
「もしかして、まずいことしちゃったかしら…?」
「いや、これは俺の情報伝達ミスだ。それにそもそも、向こうはわざわざ武力行使する必要は無いはずだ。俺に引き留めを命令すれば良いだけだからな…だから、あくまで推論に過ぎない」
「そ、そう…」
少しの間、無言の空気が流れた。
「あぁ、そうだ。レイ、お前セクター1に行く用事は済ませたのか?」
「いえ、まだよ…そうね、行かなくちゃ」
少し微笑み、レイは椅子から立ち上がった。
「ありがとな、わざわざ。助かったよ」
「お礼なんていいわよ。あなたはリーダーなんだから、あなたの命令を聞くのは私達の仕事よ」
「頼もしいよ、エージェント・レイ」
アレックスは青い瞳を薄めると、レイはこくりと頷き、その場でふっと消えてしまった。
ひとときの静寂が訪れる。アレックスは、ベッドに横たわるアイズをまじまじと見つめた。横向きに身を丸め、薄茶の毛髪が綺麗に広がっている。
ふと、その襟元が濡れていることに気がついた。
(…ティッシュティッシュ)
ピッとそばの箱ティッシュから1枚2枚とティッシュを取り出すと、それを手にアイズの正面で身を屈めた。 そのままアイズの首元にティッシュをあてがおうとした時、アイズはパッと目を開いた。
ロチェスターホテル502号室-AM11:30-
「悪いな。仕事帰りに急に頼んで…適任がレイ、お前しかいなくてな」
「い、いいのよ。うふふ、気にしないで?…あー、あは、そうね、その…ここまで来て疲れてるでしょう?今飲み物用意するから…」
そう言って、レイは広めの室内の奥に入っていこうとしたが、アレックスはそれを遮った。
「いや、大丈夫だ。それよりアイズは…なんだ、寝てるのか」
「……え?そ、そうね。ええ。言われた通り、電車に居て…倒れている所をここまで運んできたの」
レイはぎこちなく動きを止め、丸椅子を奥からひとつ運んできた。
「ほんとに悪いな…それで、アイズのことなんだが、他になにかあったか?誰かにやられるような奴じゃないだろうから、倒れてるってのは糖分が切れたからだろうが…」
「なにか、なにかね…あぁそういえば、近くに黒服の集団が居たわね」
「黒服?」
「えぇ。何やら、私の名前を知っている様だったわ。あと、エージェントだってことも」
「…そいつらをどうしたんだ?」
「殺したわ」
訝しげに聞くアレックスに対して、レイは即答した。
「死体は適当な川に捨てたわ。血痕ごと。2、3秒かかったけど人はいなかったし見られてないわ」
さも当たり前のようにレイは続ける。
「…お前…」
「あら?何か不都合でもあった?」
「……俺の推測では、そいつらは上が送った奴らだ。今回の地下鉄での任務でクラウスとのバディだったアイズを捕まえて話を聞くためにな…なんて事だ。お前に伝えるべきだったな…」
「……え…ちょ、ちょっと待って?でも彼等、銃器を持ってたわ!」
「アイズが大人しくついて行くわけないだろう。少なくとも、携帯麻酔銃を所持しているはずだ」
レイの美しい顔が少しだけ引き攣る。
「もしかして、まずいことしちゃったかしら…?」
「いや、これは俺の情報伝達ミスだ。それにそもそも、向こうはわざわざ武力行使する必要は無いはずだ。俺に引き留めを命令すれば良いだけだからな…だから、あくまで推論に過ぎない」
「そ、そう…」
少しの間、無言の空気が流れた。
「あぁ、そうだ。レイ、お前セクター1に行く用事は済ませたのか?」
「いえ、まだよ…そうね、行かなくちゃ」
少し微笑み、レイは椅子から立ち上がった。
「ありがとな、わざわざ。助かったよ」
「お礼なんていいわよ。あなたはリーダーなんだから、あなたの命令を聞くのは私達の仕事よ」
「頼もしいよ、エージェント・レイ」
アレックスは青い瞳を薄めると、レイはこくりと頷き、その場でふっと消えてしまった。
ひとときの静寂が訪れる。アレックスは、ベッドに横たわるアイズをまじまじと見つめた。横向きに身を丸め、薄茶の毛髪が綺麗に広がっている。
ふと、その襟元が濡れていることに気がついた。
(…ティッシュティッシュ)
ピッとそばの箱ティッシュから1枚2枚とティッシュを取り出すと、それを手にアイズの正面で身を屈めた。 そのままアイズの首元にティッシュをあてがおうとした時、アイズはパッと目を開いた。
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