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十二話
しおりを挟む日が昇る前に食堂を建てる前の基礎工事だけやって置く、と言っても水回りだけだ。
トイレ用の地下パイプは土魔法で簡単に作れるので浄化槽までを繋げるだけで数分で終わる。
調理用に使う水は本館(宿側)と厨房を繋げる予定なので考えないことにした。
整地は寝る前にやったので、基礎となる部分を土魔法と水魔法、仕上げに火魔法で固めて仕上げ終わる頃に宿客が起きてきた。
宿客の朝食を作り、晩飯用にパンを焼いていると外からざわざわとした人の声がし始めたので外に出ると、人が集まっていた。
俺と同じ年齢(10歳前後)がだいたい20人
俺より少し上だがどう見ても10代前半くらいのが10人
どう見てもコイツラの弟っぽいのが10人の計40人程の団体が俺の宿の前に集まっていた。
「え……と?」
何だろうか……社会科見学でもやってるのか?と、思っていると。
「「「おはよーございます!」」」
と、声を揃えて挨拶されたので
「はい、おはよーございま……す?」
語尾に疑問符を残して返事を返す。
「今日はよろしくお願いしますね!」
少年たちの後ろから昨日の冒険者ギルドで対応してくれたお姉さんが会釈してきた。
「え……まさか……建築の人手ですか?」
「はい!お客様の年齢から見て扱う仕事を推測して選んでまいりました!」
「あ……いや、作るのは二階建ての食堂何ですけど……大丈夫ですか?」
「大丈夫です! この子達は自分の村や教会で修復作業などを主にやっている子達なので!」
見るからに子供しかいないのに太鼓判を押される。
流石に追い返す訳にもいかないし、取り敢えず時間も無いので、仕事ぶりを見て明日も働いて貰うか判断する事にして、設計図を見せる。
成人している駆け出しの冒険者という年上の少年達を中心にして、役割分担を話し合い始めた。
その様子を眺める、意外とテキパキと仕事をしているようだ。
現代人感覚は捨てるべきだと自分に言い聞かせる事になった。
この国の人等は子供から家の手伝いをするようで、物心ついた頃から屋根に登ったりするんだそうだ。
屋根の修理から新しい家屋も手伝うらしく、設計図も見やすかったのか骨組みが昼過ぎくらいには完成した。
やたら早い。
それだけ優秀なのだろう。
俺がやるよりも早かった。
手伝おうとすると
「パンはパン屋」
そう言ってやんわりと断られた。
餅は餅屋と似たような諺なのだろう……
仕方なく昼飯でも作ろうと厨房へと入る。この世界はあまり昼飯という習慣は無いようで、腹が減れば屋台で間食するくらいなのだそうだ。
だがここは草原手前の宿屋群で屋台はまだ無い。
屋台が出来るのは肉祭りが始まってからだから、間食は出来ない。
腹も減るだろうし軽く食べられるサンド系の物を作った。
良い匂いがしたのか作業の手を止めてコチラをガン見し始めた子供達を手招きして間食タイムにした。
余程美味かったのかあっという間に食べてしまった。硬いはずのパンも気にならないくらいの勢いだった。
「私までスイマセン!」
付き添いで来ていた冒険者ギルドの職員のカラーヌさんも喜んで食べていた。
食べ終わると屋根を作る者と中の二階部分を作ったり、階段を作ったりと役割分担して作業が始まった。
「本当に仕事が早いですね」
「でしょう?」
カラーヌさんと食後のお茶を呑みながら作業風景を眺めた。
日が暮れる頃にはある程度外壁などは完成し、あとは内装や細かい部分(トイレとか厨房)を俺を交えてやらないと作れない箇所を残して今日は引き上げるという。
作業に満足だったので1人大銀貨一枚と明日もよろしくという意味も込めて銀貨五枚づつ付けて給金を払った。
少年達も大喜びでまた必ず来ますと言って付き添いのカラーヌさんと街へと帰っていった。
晩飯を作り酒が飲みたいからと宿客は他の店へと消えていく。
うちの店では酒の提供はしない事にしてる。
俺がまず飲めないし、食堂を増設するに当たって他の宿からクレームが入ったからだ。
飯が美味くどの店より人が集まった初日を見ている宿主達が俺が増設すると聞いた途端客が奪われると不安になったようで、ダッジさんを通じて言いに来た。
住み分けをするためにも酒の提供はしない約束をして、増設する事を許してもらったって感じなのだ。
なので、うちの客もこの宿で酒を飲みたがったが取り決めだからと言うと渋々納得してくれた。
◇
次の朝も昨日と同じメンバーがやって来て仕事を始めた。
既にやることが分かっているのか、内装をやる者と俺と共に厨房作りやトイレ作りを手伝うものとで別れる事になった。
昼前になると俺は抜けて間食タイム用のサンド系を作りに向かう。
厨房に入ろうとすると、呼び止められた。
振り向くとそこには羊が六匹横に並び、その横にカラーヌさんが立っていた。
「すいません少し早かったのですが、調理等の従業員募集の方が集まったので、連れてきました」
そう言ってカラーヌさんは横に居る羊達を紹介し始めた。
「羊……?」
俺は唖然と固まるしか無かった。
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