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十三話
しおりを挟む「「おかわりお願いします!」」
口いっぱいにハムサンドを頬張りながら次男のドルンと三女のメリヌは皿を差し出す。
育ち盛りなのかこれで三杯目だ。
遠慮せずに食えとは言ったが体も小さいのにどこに入るのか……。
◇
昼頃に訪れた六匹の羊達は獣人であった。
六人家族で遠くの村からこの街まで仕事を探しに来たらしい。
自分たちの村では酪農を営んでいたが、流行り病で家畜達が全て死んでしまい、牧場も手放す事になってしまったそうだ。
その村では新しい仕事も無かった為に、肉祭りが始まる事もあり仕事もあるだろうと、この街まで一家総出でやって来たそうだ。
だが既に街の宿屋や食事処は肉祭りが近かった為に新しい従業員を雇っていて何処にも空きがなかったらしく、藁をも掴む思いで冒険者ギルドへ来たらしい。
そこで偶々鉢合わせたカリーヌさんに紹介されたのがうちだった。
お父さんは死んでしまったらしく居ないそうだ。奥さんのナタリーさんは、牧場でカフェみたいな事もしていたらしく、それなりに料理も出来るそうなのでそのまま雇う事にした。
長女のメリーユと次女のトリーユは双子の姉妹でウエイトレスになって貰う。
長男のドランと次男のドルンは畑仕事を手伝ってもらおうと思う。
末っ子の三女のメリヌは俺より少し下でまだ幼い事もあり好きな時に手伝う感じになった。
建築中の食事処になる場所へ飯を食べさせたあと皆で向かう。
内装も完成し、厨房を渡り廊下で繋ぐだけと成っていた。
本当に仕事が早く一週間は掛かると思っていたが、今日中に終わる事になった。
夕方には作業が全て終わり、完成祝賀会を後日やるからと少年達に伝えて、今日の分の大銀貨一枚と銀貨五枚にボーナス的な意味で1人大銀貨三枚づつ渡してやる。
皆、大変喜んで帰っていった。
だが、駆出しの冒険者たちは次の仕事を探すから明日は来れないと言って残念がっていた。
その他の子らもこれたら来るそうだ。
少し残念だが仕方ない。
彼等も生活があるし、仕事は早い者勝ちなのであぶれると困る事になる。
毎日の様に仕事は出来るそうだが、肉祭りも近いので早めに次を見つけたいんだそうだ。
◇
夕方になると宿客が街で装備を整えて帰ってきた。
草原に居た黒魔森猪の親猪がチラホラと森へと帰って行き、緑色の草原がピンク色に染まりつつある。
黒い母猪が完全に居なくなったと確認出来次第祭りが始まるらしく、他の宿にも装備を整えた冒険者や傭兵達が集まって来ていた。
狩り時間は夜明けと共に始まり、夕方には各々泊まっている宿へと帰るのだそうだ。
夜の草原は桃魔森猪を餌にする生き物が森から現れるそうで、危険なんだそうだ。
明るい昼間は人、夜は魔物と棲み分けが出来ているみたいだ。
それでも全滅にならないくらい桃魔森猪が産まれるというのだから凄い。
宿屋群と桃魔森猪との間には小川が流れており、水を嫌う桃魔森猪達は渡って来ないが、偶に飛び越えて来る個体もいるようで、柵が出来始めていた。
その柵に沿うように櫓も建て始めている。
昼間でも稀に森から魔獣が現れるそうで、櫓の上から見張り小川を飛び越えて来る個体を叩く為に銀色の甲冑を来た兵士達も柵の前にテントの様なものを張り、待機するそうだ。
その兵士たちが食べに来れるように早速今晩からナタリーに仕事を覚えてもらう。
覚えてもらうと言っても最初に出すメニューは一品だけにする。
初日に出したナポリタンが人気になっていて、多分それだけで手が回らなくなりそうだったし、落ち着いたら次のメニューを考えれば良かった。
麺は召喚で出すのでストック分だけ食事処の厨房へ運んだ。
ストック分だけでも結構な重さなで、浮遊魔法を使って俺が運ぶ。
絡めるケチャップもまた召喚で業務用の巨大なケチャップを運ぶ。
味塩コショウは香辛料が入るくらいのアイテム指輪があるらしく、ナタリーは既に持っていた。
そんな便利な物があるのか、いいなぁ……っと呟いた俺の声に反応してか、予備の指輪くれるらしい。
これで香辛料が入った棚が開くので正直助かった。
ナポリタンの作り方は簡単なので、麺を茹でる行程だけ教え、塩加減などもどんな味なのか分かってもらう為に夕御飯はナポリタンにした。
あまりにも美味しかったのかあっという間に平らげてしまった羊ファミリー
その食べっぷりを見て思った事は
(麺だけでは足りないかもしれない)
だった。
なので噛みごたえのある硬めのパンを作る。
こちらはナポリタン全部食べられる前提で無料で食い放題にした。
残す場合は有料にする。
これで残飯も残らないだろう。
◇
藁ベッドもまだ買ってないから寝る場所をどうするか考えていたら、羊に戻れば寝場所は何処でも良いと言う。
なので後日人数分の藁ベッドを置くからと約束して今夜は雑魚寝をしてもらう事にした。
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