Shine Apple

あるちゃいる

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二十二話

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 私の名前はプリムローザ(25歳♀絶賛恋人募集中だ)
 この街の冒険者ギルドで働いてる、勤続10年のベテラン職員である。
 話し方は気にしないでくれ、兵士だった父の癖が私にも付いただけの事だ。

 この街は山の裾野に位置していて、主に獣を狩る狩人かりゅうどが多く滞在している街だ。
 山で採れるのは薬草類の他、山菜やキノコも採れる。
 森に生息する生き物は獣が多い事から冒険者は意外と少ない。

 隣の国のように魔の森が隣接していないので、魔に侵された生物が居らず冒険者には稼げない街なのだ。

 この国の中心は商業ギルドと狩人ギルドが仕切っている。

 それでも隣国の草原から溢れ出した桃魔森猪モモマンチョが、この時期になると私達の国にもやってくるので冒険者は必要で、数は少ないが居る。

 そのもの達へ仕事を斡旋するのが私の仕事である。
 先輩はいないし、後輩も居ない。
 ギルドマスターさえ存在しないので私が兼任している。
 入った当時は居たのだが腰が痛いからと言って一年後に退職した。
 今は孫と仲良く暮らしているらしい。

 噂で肉祭りが始まりそうだと聞いてるが、未だに山には現れていない。
 なのでとても暇なのだ。 
 
 暇なのでこの街の地図でも書こう。
 観光客用に渡す地図である。

 この街は隣の国の様に肉祭りをやる程桃魔森猪ももまんちょは現れない。

 なので主食はパンで肉は山で狩られる獣の肉が中心だ。
 鹿・猪・狼・熊等、多種多様な肉や皮が捕れるので革製品が結構多く出荷されている。隣国から溢れてくる桃魔森猪は成長すると茶魔森猪チャマンチョに成長する。

 詳しく調べた研究科が言うには、幼生の桃魔森猪は育つ場所で毛色が変わるらしい。

 隣国の様に魔の森が近いと黒魔森猪クロマンチョに成長し、この山裾で育つ桃魔森猪は茶魔森猪に育つという。

 そして育った毛色で産むこの数も変わる。
 黒魔森猪は2年毎に繁殖期を迎え、大量に子供を産み落とすのに対して、茶魔森猪は毎年繁殖期があり、数匹しか産まない。

 この謎は未だに誰も解明しておらず、もし解明出来た者がいれば一等勲章も夢では無い。

 が、この街でも隣の街でもそうだが、脳筋ばかりで誰も調べようとはしなかった。

[閑話休題]


 まぁ、そんな事もありこの街の屋台は獣肉を使った店が多いのだ。

 そして革製品の充実だ、狼や鹿などの革は柔らかく家具や敷物として加工され、寒い冬でも暖かくして寝れる。
 この街の宿屋の殆どが狼か鹿の革布団を使っている。その他に革の服なども多く、街に住む人々以外の近隣の村でも革の服を着ている。丈夫だし防具の代わりにもなるので、山へ山菜を取りに行く時にも着ていく。
 その他の猪や熊の毛皮は防具に適しているし、鎧にも成るので狩人や冒険者にも人気だ。隣国にも売りに出している。

 山から流れる地下水も豊富で兎に角美味いし、この街に生まれて本当に良かったと思っている。







 街の紹介や主だった宿等や人気の屋台等をを書き記していると、珍しく旅の冒険者がやってきた。

 一人は背中にバックラーと棍棒を背負った獣人で胸と腰に羊族特有のフワフワした毛を生やしていた。
 角は小さく背も小さいことから見ても年齢は若い様だ、羊族特有の白い髪色にゆるふわな天然パーマをショートカットにしてとてもよく似合っていた。
 目鼻立ちは幼さは残るが綺麗な顔をしていて、肌はピチピチだ。少し羨ましい

 その隣は人族だろうか背中にショルダーバッグを背負っている。
 腰に解体用ナイフと採取用ナイフを差しているし、彼は荷物持ちだろう事が見て分かる。
 彼もまた少年の様な顔をしている。
 この少年も相当若いだろう。

 二人パーティか……珍しくはないが戦闘出来るのが一人というのは珍しかった。

 しかしこんな時期に歳の若いパーティとは……曰く付きか? と少し警戒した。

 この時期というのは肉祭りのことだ。
 隣国でもうすぐ始まるか始まってる祭りには参加せず、こんな狩人が主体の街に来る奴なんて曰く付きか、犯罪者か、駆け落ちか、変わり者くらいと相場が決まっている。

 その二人を受付の席から眺めていると、掲示板から一枚の依頼を剥がし持ってきた。
 その序に国を渡った証明申告書に名前とパーティ名を書き、剥した依頼書に添えて出してきた。

 それを受け取り先に申告書を読む。


 パーティ名 お肉食べたい
 リーダー メリヌ
 荷物持ち タクミ

 魔森の街から移動中
 目的 路銀稼ぎの為しばらく滞在予定

 読み終わると改めて頭を少し下げて挨拶をする。

 「山裾の街へようこそメリヌ様 私はこのギルドを仕切るプラムローザと申します。 しばらく滞在と書いてありますが駆け落ちですか?」

 面倒事なら滞在は拒否するのが決まりでもある、街の民を守るのもギルドの役目だからだ。

 なので聴きにくい事でもズバッと聞く。
 決して興味がある訳ではない。
 歳若い獣人と人族のカップルなんて珍しくも無い事だ。
 変な名前のパーティ名だって若さ故の事だろう。
 さぁ吐きたまへ!さぁ!さぁ!

 と、興味しんしんな気持ちを隠しながら冷静を装う。

 「タクミ? カケオチって何?」
 「唐揚げの仲間だよ」
 「ふーん。食い物か……じゃあ違うよ お姉さん」

 首をコテンと倒して隣の少年と会話しているのを見る。

 (違うだろ! 知ってるだろ少年よ! 誤魔化せたみたいな顔をするな! クソ!)

 「依頼書拝見しますね……」

 少年には軽く流され、違うとパーティリーダーが言うのだからこれ以上聞くのはマナー違反かと思い依頼書を見る。

 桃魔森猪の肉を20匹と適当に山菜採取の依頼だった。

 二人を見ても特に無理して狩ると言うことも無いだろうと感じたので許可印をポンと押して返す。

 「期限は3日となっておりますので、よろしくお願いします」

 そう言って礼をすると二人はギルドを跡にした。

 残された私はモヤモヤしていた。
 駆け落ちだと思ったが違うのか? でも曰く付きだと私の感は告げている。

 (まぁいい、何かあったら対処すればいっか……)

 そう思う事にして、彼らが去った扉を見つめた。
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