Shine Apple

あるちゃいる

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二十一話

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 ーーパーティ名【お肉食べたい】の二人が魔森の街から旅に出る少し前。
 タクミ達を探し必死の形相で街中を走り回る幼女が居ると噂になっていた。

 その幼女は道行く人々を捕まえては自分の背丈よりも大きな杖を持って脅していると噂になっていた。

 「おい!きちゃま! 魔女の弟子を知っているか⁉ 隠すと杖でぶっ叩くじょ!」

 「何だこの子w魔女様の真似か? 可愛いなぁはははははっ」

 「子供扱いするなっ! あたちがその魔女様だ!」

 「はははは! お嬢ちゃん魔女様はもっと老けた婆ちゃんだよ? お嬢ちゃんみたいにちっこくねーんだ。 もしかして迷子かい? お母さんを探してやろうか?」

 幼女に捕まり話し掛けられた人は誰も彼女の話を真剣に聞かず、大魔女ヨネ様の姿を真似てる幼子と思った。

 「くちょー! じぇったい許さないんだからー‼」

 ガキ扱いしてきた奴を片っ端から殴って気絶させては魔女の弟子を探す幼女。

 この幼女は若返った大魔女ヨネ本人だった。

 shine Appleを一口食べたら40代になった魔女は少し実験をしてみた。
 その結果、数日開けて食べれば毎回一口食べた事になることを突き止めた。
 最初の一口でおばさんになり、また数日後に一口囓ると少女になった。
 この頃タクミと契約書を交した。
 その後に何となくもう少し若返ろうとしてもう一口食べたらすっかり幼女にまで若返ってしまった。

 こんなに若返るとは思っていなかった魔女ヨネは全てタクミのせいにして仕返しをしようと探していてのだ。

 だが、見付からなかったので仕方なく

 「魔女がタクミを探している」

 っという噂を流す様にスラムの小僧達に金を渡して広めさせた。
 耳に入れば会いに来ると考えたからだ。
 辞めさせたとはいえ一応師匠だった訳だから会いに来るのは当然と思っていた。

 (その後直ぐにタクミ達は噂を耳にして旅に出る)

 そして翌日の朝、タクミから奪った宿屋を営業する初日、魔動車に乗り込むと草原の宿屋へと車を走らせた。

 今後稼げる金を想像しながらニヘニヘと笑い、油断したのかうっかり最後の実を一口食べてしまった。

 【この日を境に大魔女ヨネは魔動車を残して姿を消した】




 最後に食べた一口で幼女から赤子へと若返った為にハンドルが握れなくなった魔女。

 「あー! うー?」

 としか言えなくなった魔女は魔法も口に出来なくなっていた。
 そして乗っていた魔動車から杖が転げ落ち、緩やかなカーブで拳大の石に乗り上げ少し跳ねると赤子の魔女も落ちた。

 その落ちた赤子は川に落ち流されて川下で一人の男に拾われる。

 この男は海を隔てた帝国の人攫いで、魔力の強い者を探しにこの国を訪れていた。

 魔力の強い子供を攫い、裏魔導研究所の動力として使うつもりで居たようで、棚からぼた餅的な赤子を拾うと歓喜した。

 魔力を図る装置で針が振り切れたのだ。

 魔女は触るな小僧! と叫んだのだが

 「あー!ゔーっ!」

 としか聴こえず、あっという間に布で包まれると男は小脇に抱えて走り出した。

 砂浜に停めていた船まで一目散に駆け出した。

 その後魔女は、誰にも知られる事なく帝国地下深くで鎖に繋がれ、魔法が使えなくなる首輪を付けて、十数年地下で暮らす事になった。



 魔女が来ないまま宿は開けないし、食材も何も無いのでパスタも作れず、途方に暮れた雇われ達は翌日まで待ってからギルドへと報告しに向かう。

 その道中で人垣が出来ていたので見に行くと、魔女の魔動車が横倒しになって倒れていた。
 こんな事故で魔女が死ぬはずないと思った面々だったが心配になった一人が横倒しの車を元に戻し周りを確認するも魔女は見つからなかった。
 その為急いでギルドへ報告しに行き捜索願を出したが結局見つからなかった。
 魔女はその頃海の上なので見つかるはずも無い。

 暫くもぬけの殻だった元タクミの宿屋は空き家にするには勿体無いとダッジが借りて、借り賃は一応ギルドへ毎月渡す事になった。

 魔女に雇われてた人等もダッジに雇われる事になり、二号店として宿屋と食事処を開くことになった。

 タクミがナタリーに渡していた調味料も麺も無かったが、彼女の舌と努力で小麦からうどんの様な麺を作り出し、二号店の目玉となって人気店へと発展していく事になるのだが、それはまた数年後の話。
  

 


 
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