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五十話
しおりを挟む「昨日の夜は大変だったね……」
「それなー……」
昨晩、パルモティア子爵がうちの馬鹿が申し訳ありませんでしたと謝ってきた。
何でも学校を途中で抜けて帰ってきたと思ったら子爵家の紋章の入った大事な盾を持ち出し、子爵家の私兵を連れてうちの店に行こうとしてたのを休憩で訓練から帰って庭で寛いでいた子爵に見付かり、何をしてるのか聞いたらしい。
するとパルモティア子息は
「学園で平民に恥をかかされたから、店ごと破壊してやりに行くんです父上!」
と言ったらしい。
学園では身分等関係無いと諭すと
「我が子爵家を馬鹿にされたんですよ⁉父上! 貴方は平和な世だからと腑抜けてるんですか⁉ お祖父様が生きてらっしゃったらきっと僕の言う事が正しいと言う筈です! これだからパルモティアの血を引いてない入り婿は困るんだ!」
と、逆に罵倒し始めたらしい。
「確かに私は入り婿だし、パルモティア家の元当主で去年亡くなった爺様だったら血の気が多いので手伝ったかも知れないが、馬鹿にされたくらいで平民の店を潰す等はしないだろう」
そう言ったが全く聞かない息子。
因みにどこの店を潰しに行くのか?と聞けば、新しい魔導師様が学園に通いながら経営してる店だという。
普段なら手など挙げない温厚で有名なパルモティア子爵もこればかりは見逃せず、その場でボコボコにしたらしい。
で、息子を連れて謝りに来たのだそうだ。
俺的には返り討ちに出来るから別に何とも思って居なかったので
「いやぁ別に攻めて来られても返り討ちに出来たので……」と、言うと震え出し
「山裾の街での一件は聞いております! ど、どうか御容赦を!何卒ー!何卒御容赦をーっ!」と、涙流しながら噎び泣いた。
まるでサラ金に借りた金を踏み倒して飛んだ人が、サラ金の取り立てに見付かって命乞いをするかの様に俺の足にしがみついてきた。【※あ、分かりにくいかも……?】
(山裾の一件って何だっけ?)
と、クビを傾げていると背中の影からラメルが人型で現れて子爵に声をかけた
「パルモティアよ、聞け。 我が主にして魔森の守護者、魔導師タクミ様は寛大な御方であるぞ? その様な瑣末な事で其方の跡継ぎを処分することは無い もう夜も遅いのだから帰られよ」
そう言うとパルモティア子爵はラメルの事を知っていたのか驚き焦り、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってた顔をマントで拭くと、再び流れてきた涙を流しながらラメルに感謝して帰っていった。
「お前もしかして位高いの?」
パルモティア子爵の態度から見て相当身分が高いのかと問えば
「当たり前じゃろう? 古の時代から世界を魔獣の魔の手から救い続けてる契約精霊じゃぞ? 普通に話せてるお前が異常なんじゃぞ?」
と、何故か胸を張りだしもっと敬ってくれて良いぞとドヤ顔で言ってきた。
「じゃあ明日から神のように扱うから神殿にでも帰ってくださいラメル様」
そう言うと
「嘘……じゃないけど追い出さないでくださいお願いします!何でもしますから!」と、半泣きで言い出した。
「ごめん冗談だ、……助けてくれて感謝する。 ラメル様」
「頼むからいつものように呼んでくれよ~」と遂に泣きだしてしまった。
何となくいじめた感じになってしまったので慰めながら部屋へと戻った。
「あいつ学園来るんかな……」
「顔も腫れてたし暫く来ないんじゃなあ~~い?」と、ミリヌは別にどーでも良いのか制服に着替えながらアクビをした。
ラメルが何でもすると言っていたので召喚以外の仕込みは黒ウサに任せたので、ゆっくり着替えながら階段を降りていった。
「あ!始めまして、若き魔導師様!」
と、階段から降りてすぐにペコリと頭を下げて挨拶してきたピンクのウサギ……。
「また来たの……」
ケバブの種を魔法で掻き混ぜながら溜息を吐くラメル。
「呼んだんじゃないのか?」
白ウサ双子に水色茶色と次々と呼んでるのかと思っていた。
「違うよー私が呼んだのは一回だけよ?最初の双子だけよー」
「じゃあなんで来てるんだ? しかもピンクだぞ……何の精霊だよ」
「あ!申し遅れました私火の精霊で御座います! 精霊界では今は誰も居なくなって寂しくなってしまいまして、呼ばれて無かったのですが来てしまいました。 あ、できれば私にも名前を下さい!」
そう言ってどこから現れたのかフワリと淑女の挨拶の様にドレスのスカートだけが現れ端っこをもって完璧なカーテシーをした。
「じゃー……ぴん「ピンクは嫌です!」んー……じゃあ……も「桃肉みたいに言わないで!」(面倒くさい子来ちゃったなー……ピンク……ピンク……あっ)……じゃあチェリーで」
「チェリー……?まぁ!ステキ!それでお願いしますわ!」
涙目でピンクもモモも全否定されたので桜から連想してチェリーにすると気に入ってくれたようで決定した。
頬にキスをされて晴れて契約を済ますと
何か登校前に疲れてしまい、朝食はトリーユ達が持ってきたパンにジャム付けて簡単にすました。
「ラメル、チェリーに色々仕込んでおいてな~」と、丸投げしてメリヌと一緒に店を出た。
「はぁ……仕方ない……やっときまーす……」
何か色々諦めたラメルの声が背中越しに聞こえた。
学園へ行く前に看板を見ると黒い血液みたいな物が付いていた、なので名前と汚れと一度全部消し、新しく絵を描いてから登校した。
看板には、店の名前と黒ウサギだけが描かれていたのだが全て消し、真ん中に黒ウサがいて、その周りをカラフルなウサギ達がエプロン付けてケバブを作ってる様子を描いといた。
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