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四十九話
しおりを挟む教室は特に決まっておらず、自分の受ける学科に移動して授業を受けるらしい。
朝学園に来て困る事にならない様に、一応決まった席はあるみたいだが、他の人が座ってたりするので、そこは適当で良いみたいだ。
授業を受ける前に自分のロッカーに荷物を仕舞う人用にロッカーは決まっていた。
これはこの学園で唯一の自分の場所である。が、アイテムバッグがあるので使わなかった。
メリヌも腰バッグがアイテムバッグになってるので使わないそうだ。
因みに指に嵌めていた指輪型のアイテムボックス(調味料入れ)はラメルに渡した。
ケチャップやマヨネーズに味塩コショウとケバブとハンバーガーを作るのに必須だったから。
そのうち全員に持たせようと思ってる。
そこまで高い物では無さそうだしね。
「やあこんにちは!」
メリヌと一緒に並んで座っていると声をかけられた。
メリヌの横に立っていた男性は俺を見ることなくメリヌに向かって話をしに来たようだ。
が、メリヌはガン無視してる。
(挨拶くらいしてやればいーのに……)
と、思ったが従者が主を差し置いて先に話すのはマナーが悪いのだ。
なので……
「こんにちは」
と、俺が先に答えると
「君には話しかけていないよ? 僕は此方のお嬢さんに話しかけてるんだからね?」
空気読めよ!っと、睨んできた
「俺の従者に何か用ですか?」
なので、そう答えると
「え……君の従者なの⁉ 君はパン屋の子だろ? この子はウサギ屋で働いてるのを見たから声をかけたんだけど?」
という。
うさぎ屋?……あ、ケバブ屋の事かな?……何故に俺を見てパン屋と繋げたのか謎だったが。
違うと何度も言って
「俺はケバブ屋だよ?」
と言っても
「従業員が全てうさぎ何だから間違ってないだろ⁉ 看板だってウサギの絵だろうが!」 と騒ぐので、埒が開かない。
なのでメリヌに目配せして本当だと言って貰えないか頼んだ。
すると溜息を吐きながら男を睨み
「我が主に失礼な態度を取るなら覚悟しろよ?」
と、殺気込めて凄んでしまった。
その男は小さく悲鳴を上げると腰を抜かしたのか、床に尻餅を付いてしまったので、急いで立ち上がらせて謝った。
「な、な……」
としか、言葉を発せなくなって居たので
まぁ落ち着けよと言おうとしたら、俺の手を振り払って言う。
「き、貴様ら俺が誰か知らないのか! パルモティア子爵の息子だぞ俺は! 父は騎士なんだぞ⁉ そこの女!少し可愛いからっていい気になるなよ! そこのお前もだ! いいか⁉ 俺に逆らうと店をやっていけない事になるぞ!」
等と脅してきた。
「あー、悪かったって。 腰抜かした事は黙っててやるから落ち着けよ」
と少し大声でいうと顔を真っ赤にして喚き散らかし
「憶えてろよ……」
と、ひとこと言って肩を怒らせながら去ってった。
彼は騎士の家系らしく女の子に凄まれて腰を抜かしたのが、相当恥ずかしかったらしい。
その騎士の息子が去った後、俺の隣に座ってた女性が教えてくれた。
「きみきみ、学園の決まりでは身分の差は無いと書いてあるけど、実際は普通に身分をひけらかす奴は多いから気を付けなね?」
「え、そうなんですか?」
というと、頷きながら
「彼等の様な貴族達が言うには【問題は問題にさせなきゃ問題にはならない】って事らしいよ?」
「は?」
(つまり、何かしても揉み消す力が有るからって事かね?)
「兎に角気をつけて」
っと助言をくれた。
なので、丁寧に頭を下げてお礼を言いクッキーの入った黒ウサ印の紙袋を渡した。
ケバブ屋でサービス的にたまに配っているクッキーだ。
店の看板を作る時に何が良いか話した時、ラメルがソソっと渡してきたのが自分の顔を書いた絵だった。その絵が中々可愛かったので採用して、サービス用のクッキーを入れる袋にも書いてみたのが始まりだった。
長い時間待たせてしまった事へのお詫びのつもりだったが、意外と好評だったので続けていた。
そして女性に渡したのも情報をくれた事への対価だったのだが
「え? ちょっと!これって噂のクッキーじゃない⁉」
というので
「噂……ですか?」
と聞けば、初日にケバブを買いに並んだ最後の人がオマケを貰ったと噂され、その後も何かしら貰える人が居て噂になってると聞かされた。
その女性はとても喜んだ後、友達に見せるからっと言って教室から出ていった。
その後は特に問題も起きず午前中で授業は終わった。
終わったというか今日は体力作りの為の訓練は無かったので帰ることにした。
家に帰ると結構ギリギリで回していたので、手伝った。
最後の客が帰ったあと、集計は任せて晩飯を作る。
今日はグラタンにした。
精霊は飯を食わなくても良いのだが、俺の作る飯は美味いというので10人分を作る。
ラメル(黒ウサ)
レッドとブラウン(白ウサ双子)
マロンとソラ(茶ウサ、水色ウサ)
俺とメリヌで七人分なのだが、パン屋夫妻とペロン(緑ウサ)も家で飯を食うのだ。
トリーユ曰く
「皆で食べたほうが美味しいから!」
だってさ、なので対価は要らないからパンをだせっというと旦那が了承した。
グラタンに舌づつみを打ち、パンを齧ってると外から声をかけられた。
「夜分すまない!魔導師様!私はパルモティアと申す!」
知らない声だが名前は憶えていた。
子爵だか騎士だかの家だ。
早速親に頼んで来たのかと思ってドアを開けると……
顔面のパーツが変わって二倍くらいに顔を腫らし、制服がボロボロになってる青年と頭を下げる騎士様が土下座しながら床に頭を擦りつけていた。
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