Shine Apple

あるちゃいる

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六十七話

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 「はい、これ渡しておくわね」

 ある程度の概要を決めた跡、中の構造を任された俺にラメルが一つの宝石を渡してきた。

 今まで使っていた出入り口になってた宝石では力が弱く、飛行船の中をあれ以上広く作れないのだとか。

 渡された宝石は、拳大の大きさで六面体のダイヤモンドになっていて、六大精霊の力を凝縮し付与してあるらしく、かなり高価な物らしい。

 「中の構造はあんたの想像力に任せるけど、飛行船の大きさもそれなりに大きくなるから階層は最低でも3階建ての屋上くらいは余裕で出来るわよ」

 その分魔力も増えるけど七ウサ居るから存分にやりなさいと言われた。

 飛行船の形はウサ達に任せる事になり、俺は自分の理想と妄想とを駆使してかなり明確に考えた。

 そして、皆の想像が一致したのか、そろそろ始めると言うので、魔力車に積んでいた食料や私物を全て俺とメリヌのアイテムバッグにしまう。

 この際だから燻製小屋も新調する事にしたので置いていった。

 全員外に出ると、出入り口の扉に嵌め込まれていた宝石を砕いた。

 一度嵌め込まれた宝石は薄い膜となって魔力車に溶け込んでいる為外せないのだそうだ。

 外して売ればそこそこになる値段の宝石を持ったいなぁと思いながら砕かれる瞬間を見ていた。

 キラキラと光る粒の様に舞った宝石を眺めた跡、半径十mの大きさで新たに召喚魔法陣を描いていく。

 食品を出す為のスタンプ魔法陣では大きさ的に足りないのだそうだ。

 ウサ達の想像した飛行船が大きすぎるのではないかと言うと、絶対に譲れないと口々に言われた。

 「はぁ……じゃあ始めるか……」

 魔法陣の真ん中に俺が膝まずき両手を地面に付けて集中する、その周りを七匹の精霊が右手を隣の肩へと付けて繋げ、左手を俺の背中に付ける。

 各精霊達の魔力を反時計回りで流して魔力の渦を作り混ぜ合わせる。

 それを少しずつ均等に俺へと流す。
 受け取った魔力を俺の魔力と混ぜながら魔法陣の中心から全体へと流していく。

 流れる汗も尋常ではない量が流れる
 それに気を取られることも無く、全集中力を両手の掌へと注いでいく。

 三十分が過ぎて一時間が過ぎた辺りから、魔力が魔法陣全体に広がり波打つように広がる光が六色の虹の様に魔法陣全体を包み込んでいった。

 完全に半円を描き始め魔力の壁が出来上がった。

 そこからが本番だった。
 一致団結したうさ達の想像力で飛行船の形が作られていく。
 俺の想像力で中身を作っていく。

 その形が一致した瞬間

 ”カッ!”と、光り輝いた。

 ついに完成し、黒い影がメリヌを覆う。

 だがメリヌの瞳にうつるのは全魔力を放出し倒れる一人と七匹のうさぎ達

 ピクリとも動かない彼等を慌てて担ぎ上げながら出入り口になってる場所を見付けて中へと次々と運び込んでいった。













 魔森の街の外で大勢の民達が集まっていると各ギルドへ通報があった。

 何だ何だと集まってきた衛兵やら門兵達が見た事もない大きさの物体を遠巻きにしながら囲っている。

 得体のしれないに誰も近付けないようにしているのだ。

 形が形だけに誰もおいそれとは近づかなかったが、万が一の場合もあるからだ。

 そこへ各ギルドマスター達も異変に気付きその場に集まっていた。

 「……なぁベアード」
 「なんだ……」
 「この形は……もしかしなくても……だよな?」
 「ああ……多分な……」
 「って事はタクミ様が関わってると思うか?」
 「十中八九間違いないだろうな……」
 「そうか……」

 商業ギルドマスターのベアードと、冒険者ギルドのマスターが見上げる先には大きな生物がよこたわっていた。
 最初は魔獣かと思ったが、横たわる獣の肩から巨大なショルダーバッグが見えたので、召喚獣かも知れない。

 はぁぁ……と、同時に溜息を吐くと、集まっていた民衆を散らす為に各ギルド員達へ支持を出した。

 (……公爵を説得と言ったのに襲撃するつもりなのか?……)
 そう考えると胃痛がしてきたベアードは、腹を抑えながらヨロヨロとギルドへ戻っていった。









 そよそよと流れる微風そよかぜにタクミの髪が揺れる。

 柔らかな日差しが閉じた瞼に当たるとゆっくりと目を覚した。
 ふわふわとした枕の上で寝ていたようで寝ぼけながら枕を触る。

 「あ、起きた?」
 陽の光が後光の様にメリヌの周りを覆っていた。
 そんなメリヌを見て天使の様だと思った。

 『ようやく起きたのねタクミ? グズグズしてるとまた夜が来るわよ?』

 メリヌの膝枕で眠っていた俺を囲む様にウサ達が取り囲んでいた。
 白うさの片割れのレッドは居なかった。
 ブラウンだけがこちらに残り、ナタリーさん達が心配だからと山国へと帰ったらしい。

 俺達は新しく出来た屋上の草原に運ばれたようだ。
 小山の様になっていて、眼下に泉が見える。
 そこから小川が流れ魚が跳ねていた。

 「成功……したのか?」
 『ええ、凄いわよ!』
 そういってラメルが立ち上がり
 『さぁ!見に行きましょうよ!タクミ様!』
 と、俺の手を引くソラ

 ワイワイと俺を囲むチェリーにブラウンとペロン。

 マロンが居ないな?っと、キョロキョロ探すと

 「マロンなら操縦席見に行ってるよ!」と、メリヌが教えてくれた。

 よっぽど楽しみだったのか、マロンは目を覚ますと飛んでいったそうだ。

 「よし、それじゃあマロンを誘って外へと行こうか」

 そういって俺は駆け出した。





時間は少し戻る……

 色々あって深夜にようやく寝れたベアードを起こすかの様に明け方近くに警笛がなる。

 何事かとギルドの執務室から飛び出したベアードに門兵が駆け付け理由を話す

 「なに? 動き出した?」
 何が?と思った瞬間昨日現れた巨大な生き物を思い出した。

 急いで現場に向かう各マスターに職員達が見た物は

 横たわっていた筈の生き物がちょこんと座り、両手に人参を抱えていた。

 前に見たときは無かったが、今は背中に大きな袋を背負っていた
 頭には帽子も被っている。
 おそらく帽子や袋はバッグから出て来たのだろうと推測する。
 何故なら似たようなアイテムバッグをタクミが装備していたからだ。

 その巨大な生き物はそのまま動く事は無かったが、すっかり目を醒ましてしまったので、何か動きがあるまでその場に留まる事にした。
 

 
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