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11話
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母の手記
ある日アイツが冒険者に成って世界を旅するようになった
ある時は大海原を帆船で渡ってたり
ある時は砂の大海原で帆船に乗ってたりした
(進むのかそれ…)
そしてそのまま行方知れずになった
数年毎にしか連絡を寄越さないアイツは忘れた頃にハガキを送って来てた
それも数年間無い
行政に伝えれば死亡者扱いで保険金が降りる
もし、生活に困ったらそれで生活しろとも言われていた
子供達も成人して家を出た今
それをしなくても、困ることはなくなったよ
そう空に向かって呟いた
伝わるかも分からないけど取りあえず呟いた
いつ帰って来ても良いように部屋はそのままにしてある
長男も行方不明になった
長男は出掛ける前に行方不明になったら死亡届を何年後に出しといてねーっと言って出ていった
それが望みならと、言う事を守って
昨年死亡届を出しといた
その保険金は別れた奥さんへ無事に渡ったらしい
律儀な息子だよ…本当に…
末の息子が会社をリストラされ首になったと聞いた
40後半で仕事も見つからないと電話口でこぼしていた
それが突然アパートを引き払って引っ越すと言う
うちの男共は閃くとノーブレーキで突っ走る様だ
まぁ止めもしないから仕方ない
しかし移転先が消滅集落と言う聞いたことも無い
場所へ向かったと聞いた時には気でも狂ったかと心配になった
流石に放っては置けないと孫にもお願いして
遊びに行くって事にして様子を見に行った
息子は少女と暮らしていた…
息子が犯罪者になってしまった…
育て方を間違えたのか?と自問自答
放任主義で来た事を後悔していると
なに?預かってるの?なんで?
え?嫁⁉流石に無いわー…
何よ!違う?…アンタねぇ…ちゃんとはっきりさせなさいよ?
少女とはいえ慕ってきてくれたんでしょ?
まったく女性に対する扱いがなってない子に育っちゃったわ…
はぁぁ…大丈夫かしら…
それにしてもこの子随分生き生きとしてるわね?
心なしか若返ってるような…何かしら
水かしらね?不思議だわ…
不思議といえばこの少女も不思議ね…
犬耳?付けて尻尾まであんなフッサフサで…
孫が言うにはこすぷれいやーって言うらしいわ
それにしてもまるで本物みたいに思うんだけど…
尻尾だって根本が温かいのよ?
家にも泊まってないっていうし
アパートなんて見当たらないし
14歳って言うけど…どこで寝てるのよ…
田舎とはいえ一人なのよ?
本当にあの子はしょーのない息子ね
まったく…
って、あら?此方に着いたときには無かった物が出来てるわ…
風呂場に水を貼る装置?へー…
全自動じゃないのね…五右衛門風呂?へーっ!
ちょっと興味が沸いてきたわね!
夜に入ろうかしら♪
酒宴も粗方終わったし
ソロソロお風呂に…
「バァちゃん!お湯わかしたからお風呂入っちゃいなよ!僕が火の番してるからさ!」
できた孫やー!涙出るわー!
結婚する時にアイツの生命保険で家でも作って上げましょ‼
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
それにしても姉との仲が良いのか悪いのか…
本当に謎な姉弟よね…
まぁ仲は良いのかしらね何度殴られても抵抗しない弟ってのは優しさからなんだろうし
(違いますよ?お母様…幼少期からの洗脳です)
シノちゃんお姉さん知らない?
え?出掛けた?そう…買い物行くなら頼みたい物あったのに…あの子も存外自由にいきてるわよね…
旦那が良かったのね!男運は最高みたいだし
孫ちゃんもしっかり者だし
私とは大違い…ね(クス…)
仕方ない夕御飯は私が作るとして…
息子は何をしてるのかしら…
冷蔵庫のお肉使って良いのかしらね?
ちょっとシノちゃん聞いてくれる?
「卸す分以外は大丈夫ですよー母様!」
あらそうなのねー
っていうか母様だなんて…可愛いわね!
息子には勿体無いわ…
じょあ、もうすぐ良い時間になるから
呼んできてくれる?
え?岩風呂作ってる?もうすぐ出来るから
少し待てって!?
五右衛門風呂の次は岩風呂ねぇ…
魅力的だけどあの五右衛門風呂も素敵なのよ?
蛍なのか凄いキラキラしててね…光の海に漂ってる気分になるの
え?岩風呂もそんな感じになる予定なの?
じゃあさっさと作りなさいよ
え?出来たの?
……………アイツも大概だったけど
末の息子まで大概なのね………
まぁ困らないからいっか………
僕の名前は高塚 亮介(18)高校3年生
大学に向けて勉強中だったけど母の弟で結構良い大学を出てたコウジさんが何を思ったのか限界集落に住むと聴いた
その時僕は勉強に疑問を抱く様になってて
何の為に大学は行こうとしてるのか分からなくなっていた
学校の先生に聞いてもそれを探しに大学へ行くんだよっていう曖昧な言葉しか返ってこなかった
しかもその言葉に酔ってるのか悦に浸ってて気持ち悪かった
塾の先生に聞くと遊ぶ為に勉強してるとか
金を稼ぐために勉強してるとか
何か俗物めいた言葉しか返ってこなかった
まぁそれはそ~なんだろうけど…
やはり分からなかった
僕の父はイラストレーターで殆ど外に出ない
主に出るのは母で
父の助手みたいな仕事をしている
常に家にいるから相談なら家族に…って思ったけど
これが中々出来なかった
身近過ぎるっていうのも考えものだ
なので叔父さんと話そうと思ってた矢先に全て捨てて田舎へ住むと決めた叔父さんが心配になった
何があったのだろう…
これ会いに行って良いもんなのだろうか…
暫く悩んでいたら
母が一言、会いに行けばいーじゃない!何を迷うの?アイツに気を使う必要はないわよ?っと
ちゃんと調教しといたから怒らないわよ?という
それはそれでどーなの!?っとは思ったが
折角なので夏休みを利用して会いに行くことになった
夏休みになったので母が車を
友人ごと借りて来た
(だ・ん・し・こー・こー・せー!きゃー!)って叫んでた少し変わった人みたいだ…
友人の運転で山奥の村へと向かっている
事前に布団が無いことや食料を持って来るように言われていたので
シェラフだけ人数分買って
食料は現地で買おうって事になった
叔父さんの家に着いたのはその日の昼前くらいだった
母の友人にハグして(母に頼まれた)挨拶したら、お礼を言って帰って行った
(顔が真っ赤だった。因みに男性)
叔父さんの村は限界を迎えた限界集落で
消滅集落になってたそうだ
なので、車を返してしまった事を悔やんでた(母)
「やはり最後までこき使っとけば良かったわ…」
ボソリと聞こえたが怖いので突っ込まなかった
部屋は開いていたのでそのまま荷物を置いて
仕方ないから食料は山菜で誤魔化そっかっと
婆ちゃんも言うので
裏にあった山へと登っていった
どれが山菜なのか分からないまま適当に草を毟っていく母親を無視して
父と一緒に山頂まで歩いた
山頂に着くと軽トラが鍵をさしたままの状態で置いてあった
多分叔父さんが乗ってきた物だと分かった
その辺に居るのかと探すが見当たらなかった
母に車があるよー!っと教えると
婆ちゃんを担いだ母がやって来た
これは丁度よい!っと助手席に乗った母は
婆ちゃんに運転させて隣町のスーパーに買い出しに行こう!と言い出した
父が何か事件に巻き込まれたんでは無いかと
母を説得するが
「あの弟にしてそれは無い!あったとしても私等に何が出来るとは思えない!なので時間は有意義に使わなければ成らないのよ!」と、言い切った
何も言い返せない父は溜め息を吐きながら荷台へと乗り、僕の手を取って引っ張り上げた
そのまま隣町へと車で向かった
その後大量に買った食料とその量の倍くらいの酒類を積んで帰ってくると
納屋に頭から突っ込み車を止めた
父と一緒に荷物を降ろしていると
後ろから叔父さんの声が聴こえた
帰ってきた事に安堵して振り向くと其処には
叔父さんと犬か狼のコスプレをした
可愛い少女が立っていた
少女が言うには叔父さんの嫁なのだそうだ
叔父さんが言うには預かってる娘だという
こんなに流暢に話す叔父さんは初めてだったので
珍しい物でも見るかの様にしていると
見慣れない物が裏のお風呂に出来ていた
昼前に辿り着いたとき叔父さんを探していたので裏も確認済みだった
なので、お風呂周りにこんな水瓶なんてなかったし、お風呂に勝手に水が流れる装置なんて無かった
まして、頂上から車を見つけて乗って来る時も
頂上にそんな竹筒無かったはず!
何その無駄な出来る子アピール…
それに何か叔父さんの身体締ってなぁい?
母が捲る服から見える逞しい筋肉に
僕はドキドキしてしまった
朝起きてすぐに東屋を作った
まだ、太陽は登っていなかったが
寒くて目が覚めてしまったのだから仕方ない
東屋を作って思った事がある
椅子…硬い
近所をまわり乾燥してそうな家屋を開ける
流石田舎の家である、鍵を掛けてる家は無かった
畳が腐ってない家が数件ある事が分かったので
なるべく使えそうな畳を選んで剝がしていく
数枚纏めて肩に担ぐと走って東屋へと戻り
隙間を塞ぎながら畳を敷いていく
東屋だった物は六畳から七畳程度の部屋に変わり
岩風呂から水分を遮断し、空気の通りも良くして自分の部屋へと戻り、汚姉様を起こさない様に転がして退かし、自分の布団を持って元東屋へと戻り
布団を敷いて寝た
太陽が登る頃には母も姉も起きてきた
俺も気温の上がった部屋に居るのが辛くなり
早々に畑へと向かった
裏庭にあった岩風呂に姉が吃驚している所へ母が来て
その横に渡り廊下が付いた離れの部屋がある事に母が驚愕
畑に水をやって帰ってくると二人並んで口を開けたまま固まっていた
それを見て…母娘だなぁ…と思いながら
声を掛けずに通り過ぎ、朝飯を作る
朝飯を作っているとシノと一緒に義兄と甥っ子が山から帰ってくる所だったので朝飯に誘い
義兄と甥っ子が裏庭にある岩風呂と離れに驚き固まったまま動かなくなったので
シノと二人で朝飯を食べた
そのまま兎肉を持って納屋に行き車にシノを乗せて、隣町に行ってきますと声を掛けて出掛けた
「コウジ?あの人達は何で固まってたの?」
「さぁなぁ?家が出来てたからじゃないか?」
「家くらいすぐ出来るもんじゃないの?」
「こっちの世界では時間が掛かるもんなんだよ」
「…ふーん…変なの」
シノの爺様や父様はうちの家くらいならその日に作れるらしい
まぁ魔法ありきの世界だからってのもあるんだろうけどな
こっちはほぼ人力だからな…って言っても俺も人力で東屋作ってるんだけどね…
「コウジはレベル上がったからね」
「何レベルって?」
「あー…うん。コウジは気にしなくていいよ」
「そうなのか?まぁ、いーならいーけど…それよりシートベルトは付けろって何時も言ってんだろ?」
「これあんまり好きじゃない」
好き嫌いで付けてんじゃねんだから付けろ!っと叱って、ブーブー言いながらも付けて隣町の街道へ入る
この街の出入り口にはたまにねずみ取りが居て
結構頻繁に捕まってる奴がいるので油断ならん
今日は金貨も売る予定なのでしっかり5枚だけ持ってきた
残りの金貨はウンディーネに預かって貰ってる
家探しするクソ姉が居るので置いておけないのだ
見付かったら絶対取られるからな
お年玉だって中学入るまで俺の手にマトモに入った事はない
何かしら理由付けて搾取されるんだ…
世界で一番信じちゃいけないのが姉だ
だが長年の洗脳から一番頼りになるのも姉だと
刷り込まれてるから厄介なのだ
まったく…思考の海にどっぷり浸かってる間に
栗田さん宅へ着いたようだ
「おはよーございます!肉持ってきました!」
っと開き戸を開けて声をかける
この時間なら奥さんは居るはず…
あらあらまぁまぁと奥さんが出てきて
捌いて解体した兎肉を持っていこうとしたが
20kgはあったので運びますよ!っと声をかけ
「ではこちらへお願いしますね」と
ごめんなさいねと言いながらも
嬉しそうにしてくれる
今日は旦那さんは?っと聴くと
碁会所へ最近行くようになったのよーっという
下手の横づきでーっと笑う奥さん
まぁもう少しで帰ってくるから奥でお茶でも
っと誘われたので、シノも連れてご相伴に授かることにした
お茶とお茶菓子を頂いてると
「ただいまー」っと栗田さんが帰ってきた
「お邪魔してまーす」というと
「来てたのか」と朗らかに笑う
実は聞きたい事がありましてね?っと
対面に座りお茶を奥様から受け取る栗田さんに話しかけた
「役場かぁ…」あったかなぁ?と、奥様の顔を見る栗田さん
村役場ならたしか…今コウジさんが住んでる家の三軒隣にあった筈ですよっと答える
そこに台帳もあった筈と教えてくれた
誰か移転しに来るのかね?と栗田さん
僕の知り合いが数人くる予定なんですよーと言うと
本当に心の底から嬉しかったのか
涙ぐみながら僕の手を握り有り難う!っと言われた
此方こそ有難うございます!と応え
車じゃなかったら一献付けてたよと笑う
自分の生まれ故郷がまた復興するかもと思えば嬉しくもあるのだろう
何かあれば幾らでも力は貸すからな!っと強く言われ
何かあった時は宜しくとコチラも固く握手して
栗田さん宅を後にした
「いい人だね栗田さん」シノも笑顔でいう
「だなぁ…もう少し早く来れていたらと思うとなぁ…」残念でならない
まだ彼が村長としていた時に転出していたら
また違ったアプローチが出来ただろーにな
流石に歳も歳なので引っ越して一から始めるのはキツイからと、戻る事は無いと言い切った栗田さん
その村を託された身としてはちゃんとしたい
俺に託して良かったと思われたい!
なので頑張らねば!っと改めて自分を鼓舞するのであった
ある日アイツが冒険者に成って世界を旅するようになった
ある時は大海原を帆船で渡ってたり
ある時は砂の大海原で帆船に乗ってたりした
(進むのかそれ…)
そしてそのまま行方知れずになった
数年毎にしか連絡を寄越さないアイツは忘れた頃にハガキを送って来てた
それも数年間無い
行政に伝えれば死亡者扱いで保険金が降りる
もし、生活に困ったらそれで生活しろとも言われていた
子供達も成人して家を出た今
それをしなくても、困ることはなくなったよ
そう空に向かって呟いた
伝わるかも分からないけど取りあえず呟いた
いつ帰って来ても良いように部屋はそのままにしてある
長男も行方不明になった
長男は出掛ける前に行方不明になったら死亡届を何年後に出しといてねーっと言って出ていった
それが望みならと、言う事を守って
昨年死亡届を出しといた
その保険金は別れた奥さんへ無事に渡ったらしい
律儀な息子だよ…本当に…
末の息子が会社をリストラされ首になったと聞いた
40後半で仕事も見つからないと電話口でこぼしていた
それが突然アパートを引き払って引っ越すと言う
うちの男共は閃くとノーブレーキで突っ走る様だ
まぁ止めもしないから仕方ない
しかし移転先が消滅集落と言う聞いたことも無い
場所へ向かったと聞いた時には気でも狂ったかと心配になった
流石に放っては置けないと孫にもお願いして
遊びに行くって事にして様子を見に行った
息子は少女と暮らしていた…
息子が犯罪者になってしまった…
育て方を間違えたのか?と自問自答
放任主義で来た事を後悔していると
なに?預かってるの?なんで?
え?嫁⁉流石に無いわー…
何よ!違う?…アンタねぇ…ちゃんとはっきりさせなさいよ?
少女とはいえ慕ってきてくれたんでしょ?
まったく女性に対する扱いがなってない子に育っちゃったわ…
はぁぁ…大丈夫かしら…
それにしてもこの子随分生き生きとしてるわね?
心なしか若返ってるような…何かしら
水かしらね?不思議だわ…
不思議といえばこの少女も不思議ね…
犬耳?付けて尻尾まであんなフッサフサで…
孫が言うにはこすぷれいやーって言うらしいわ
それにしてもまるで本物みたいに思うんだけど…
尻尾だって根本が温かいのよ?
家にも泊まってないっていうし
アパートなんて見当たらないし
14歳って言うけど…どこで寝てるのよ…
田舎とはいえ一人なのよ?
本当にあの子はしょーのない息子ね
まったく…
って、あら?此方に着いたときには無かった物が出来てるわ…
風呂場に水を貼る装置?へー…
全自動じゃないのね…五右衛門風呂?へーっ!
ちょっと興味が沸いてきたわね!
夜に入ろうかしら♪
酒宴も粗方終わったし
ソロソロお風呂に…
「バァちゃん!お湯わかしたからお風呂入っちゃいなよ!僕が火の番してるからさ!」
できた孫やー!涙出るわー!
結婚する時にアイツの生命保険で家でも作って上げましょ‼
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
それにしても姉との仲が良いのか悪いのか…
本当に謎な姉弟よね…
まぁ仲は良いのかしらね何度殴られても抵抗しない弟ってのは優しさからなんだろうし
(違いますよ?お母様…幼少期からの洗脳です)
シノちゃんお姉さん知らない?
え?出掛けた?そう…買い物行くなら頼みたい物あったのに…あの子も存外自由にいきてるわよね…
旦那が良かったのね!男運は最高みたいだし
孫ちゃんもしっかり者だし
私とは大違い…ね(クス…)
仕方ない夕御飯は私が作るとして…
息子は何をしてるのかしら…
冷蔵庫のお肉使って良いのかしらね?
ちょっとシノちゃん聞いてくれる?
「卸す分以外は大丈夫ですよー母様!」
あらそうなのねー
っていうか母様だなんて…可愛いわね!
息子には勿体無いわ…
じょあ、もうすぐ良い時間になるから
呼んできてくれる?
え?岩風呂作ってる?もうすぐ出来るから
少し待てって!?
五右衛門風呂の次は岩風呂ねぇ…
魅力的だけどあの五右衛門風呂も素敵なのよ?
蛍なのか凄いキラキラしててね…光の海に漂ってる気分になるの
え?岩風呂もそんな感じになる予定なの?
じゃあさっさと作りなさいよ
え?出来たの?
……………アイツも大概だったけど
末の息子まで大概なのね………
まぁ困らないからいっか………
僕の名前は高塚 亮介(18)高校3年生
大学に向けて勉強中だったけど母の弟で結構良い大学を出てたコウジさんが何を思ったのか限界集落に住むと聴いた
その時僕は勉強に疑問を抱く様になってて
何の為に大学は行こうとしてるのか分からなくなっていた
学校の先生に聞いてもそれを探しに大学へ行くんだよっていう曖昧な言葉しか返ってこなかった
しかもその言葉に酔ってるのか悦に浸ってて気持ち悪かった
塾の先生に聞くと遊ぶ為に勉強してるとか
金を稼ぐために勉強してるとか
何か俗物めいた言葉しか返ってこなかった
まぁそれはそ~なんだろうけど…
やはり分からなかった
僕の父はイラストレーターで殆ど外に出ない
主に出るのは母で
父の助手みたいな仕事をしている
常に家にいるから相談なら家族に…って思ったけど
これが中々出来なかった
身近過ぎるっていうのも考えものだ
なので叔父さんと話そうと思ってた矢先に全て捨てて田舎へ住むと決めた叔父さんが心配になった
何があったのだろう…
これ会いに行って良いもんなのだろうか…
暫く悩んでいたら
母が一言、会いに行けばいーじゃない!何を迷うの?アイツに気を使う必要はないわよ?っと
ちゃんと調教しといたから怒らないわよ?という
それはそれでどーなの!?っとは思ったが
折角なので夏休みを利用して会いに行くことになった
夏休みになったので母が車を
友人ごと借りて来た
(だ・ん・し・こー・こー・せー!きゃー!)って叫んでた少し変わった人みたいだ…
友人の運転で山奥の村へと向かっている
事前に布団が無いことや食料を持って来るように言われていたので
シェラフだけ人数分買って
食料は現地で買おうって事になった
叔父さんの家に着いたのはその日の昼前くらいだった
母の友人にハグして(母に頼まれた)挨拶したら、お礼を言って帰って行った
(顔が真っ赤だった。因みに男性)
叔父さんの村は限界を迎えた限界集落で
消滅集落になってたそうだ
なので、車を返してしまった事を悔やんでた(母)
「やはり最後までこき使っとけば良かったわ…」
ボソリと聞こえたが怖いので突っ込まなかった
部屋は開いていたのでそのまま荷物を置いて
仕方ないから食料は山菜で誤魔化そっかっと
婆ちゃんも言うので
裏にあった山へと登っていった
どれが山菜なのか分からないまま適当に草を毟っていく母親を無視して
父と一緒に山頂まで歩いた
山頂に着くと軽トラが鍵をさしたままの状態で置いてあった
多分叔父さんが乗ってきた物だと分かった
その辺に居るのかと探すが見当たらなかった
母に車があるよー!っと教えると
婆ちゃんを担いだ母がやって来た
これは丁度よい!っと助手席に乗った母は
婆ちゃんに運転させて隣町のスーパーに買い出しに行こう!と言い出した
父が何か事件に巻き込まれたんでは無いかと
母を説得するが
「あの弟にしてそれは無い!あったとしても私等に何が出来るとは思えない!なので時間は有意義に使わなければ成らないのよ!」と、言い切った
何も言い返せない父は溜め息を吐きながら荷台へと乗り、僕の手を取って引っ張り上げた
そのまま隣町へと車で向かった
その後大量に買った食料とその量の倍くらいの酒類を積んで帰ってくると
納屋に頭から突っ込み車を止めた
父と一緒に荷物を降ろしていると
後ろから叔父さんの声が聴こえた
帰ってきた事に安堵して振り向くと其処には
叔父さんと犬か狼のコスプレをした
可愛い少女が立っていた
少女が言うには叔父さんの嫁なのだそうだ
叔父さんが言うには預かってる娘だという
こんなに流暢に話す叔父さんは初めてだったので
珍しい物でも見るかの様にしていると
見慣れない物が裏のお風呂に出来ていた
昼前に辿り着いたとき叔父さんを探していたので裏も確認済みだった
なので、お風呂周りにこんな水瓶なんてなかったし、お風呂に勝手に水が流れる装置なんて無かった
まして、頂上から車を見つけて乗って来る時も
頂上にそんな竹筒無かったはず!
何その無駄な出来る子アピール…
それに何か叔父さんの身体締ってなぁい?
母が捲る服から見える逞しい筋肉に
僕はドキドキしてしまった
朝起きてすぐに東屋を作った
まだ、太陽は登っていなかったが
寒くて目が覚めてしまったのだから仕方ない
東屋を作って思った事がある
椅子…硬い
近所をまわり乾燥してそうな家屋を開ける
流石田舎の家である、鍵を掛けてる家は無かった
畳が腐ってない家が数件ある事が分かったので
なるべく使えそうな畳を選んで剝がしていく
数枚纏めて肩に担ぐと走って東屋へと戻り
隙間を塞ぎながら畳を敷いていく
東屋だった物は六畳から七畳程度の部屋に変わり
岩風呂から水分を遮断し、空気の通りも良くして自分の部屋へと戻り、汚姉様を起こさない様に転がして退かし、自分の布団を持って元東屋へと戻り
布団を敷いて寝た
太陽が登る頃には母も姉も起きてきた
俺も気温の上がった部屋に居るのが辛くなり
早々に畑へと向かった
裏庭にあった岩風呂に姉が吃驚している所へ母が来て
その横に渡り廊下が付いた離れの部屋がある事に母が驚愕
畑に水をやって帰ってくると二人並んで口を開けたまま固まっていた
それを見て…母娘だなぁ…と思いながら
声を掛けずに通り過ぎ、朝飯を作る
朝飯を作っているとシノと一緒に義兄と甥っ子が山から帰ってくる所だったので朝飯に誘い
義兄と甥っ子が裏庭にある岩風呂と離れに驚き固まったまま動かなくなったので
シノと二人で朝飯を食べた
そのまま兎肉を持って納屋に行き車にシノを乗せて、隣町に行ってきますと声を掛けて出掛けた
「コウジ?あの人達は何で固まってたの?」
「さぁなぁ?家が出来てたからじゃないか?」
「家くらいすぐ出来るもんじゃないの?」
「こっちの世界では時間が掛かるもんなんだよ」
「…ふーん…変なの」
シノの爺様や父様はうちの家くらいならその日に作れるらしい
まぁ魔法ありきの世界だからってのもあるんだろうけどな
こっちはほぼ人力だからな…って言っても俺も人力で東屋作ってるんだけどね…
「コウジはレベル上がったからね」
「何レベルって?」
「あー…うん。コウジは気にしなくていいよ」
「そうなのか?まぁ、いーならいーけど…それよりシートベルトは付けろって何時も言ってんだろ?」
「これあんまり好きじゃない」
好き嫌いで付けてんじゃねんだから付けろ!っと叱って、ブーブー言いながらも付けて隣町の街道へ入る
この街の出入り口にはたまにねずみ取りが居て
結構頻繁に捕まってる奴がいるので油断ならん
今日は金貨も売る予定なのでしっかり5枚だけ持ってきた
残りの金貨はウンディーネに預かって貰ってる
家探しするクソ姉が居るので置いておけないのだ
見付かったら絶対取られるからな
お年玉だって中学入るまで俺の手にマトモに入った事はない
何かしら理由付けて搾取されるんだ…
世界で一番信じちゃいけないのが姉だ
だが長年の洗脳から一番頼りになるのも姉だと
刷り込まれてるから厄介なのだ
まったく…思考の海にどっぷり浸かってる間に
栗田さん宅へ着いたようだ
「おはよーございます!肉持ってきました!」
っと開き戸を開けて声をかける
この時間なら奥さんは居るはず…
あらあらまぁまぁと奥さんが出てきて
捌いて解体した兎肉を持っていこうとしたが
20kgはあったので運びますよ!っと声をかけ
「ではこちらへお願いしますね」と
ごめんなさいねと言いながらも
嬉しそうにしてくれる
今日は旦那さんは?っと聴くと
碁会所へ最近行くようになったのよーっという
下手の横づきでーっと笑う奥さん
まぁもう少しで帰ってくるから奥でお茶でも
っと誘われたので、シノも連れてご相伴に授かることにした
お茶とお茶菓子を頂いてると
「ただいまー」っと栗田さんが帰ってきた
「お邪魔してまーす」というと
「来てたのか」と朗らかに笑う
実は聞きたい事がありましてね?っと
対面に座りお茶を奥様から受け取る栗田さんに話しかけた
「役場かぁ…」あったかなぁ?と、奥様の顔を見る栗田さん
村役場ならたしか…今コウジさんが住んでる家の三軒隣にあった筈ですよっと答える
そこに台帳もあった筈と教えてくれた
誰か移転しに来るのかね?と栗田さん
僕の知り合いが数人くる予定なんですよーと言うと
本当に心の底から嬉しかったのか
涙ぐみながら僕の手を握り有り難う!っと言われた
此方こそ有難うございます!と応え
車じゃなかったら一献付けてたよと笑う
自分の生まれ故郷がまた復興するかもと思えば嬉しくもあるのだろう
何かあれば幾らでも力は貸すからな!っと強く言われ
何かあった時は宜しくとコチラも固く握手して
栗田さん宅を後にした
「いい人だね栗田さん」シノも笑顔でいう
「だなぁ…もう少し早く来れていたらと思うとなぁ…」残念でならない
まだ彼が村長としていた時に転出していたら
また違ったアプローチが出来ただろーにな
流石に歳も歳なので引っ越して一から始めるのはキツイからと、戻る事は無いと言い切った栗田さん
その村を託された身としてはちゃんとしたい
俺に託して良かったと思われたい!
なので頑張らねば!っと改めて自分を鼓舞するのであった
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数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
日曜日以外、1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
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2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!!
2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!!
こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。
どうしよう、欲が出て来た?
…ショートショートとか書いてみようかな?
2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?!
欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…
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