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19話
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帝国への手紙
拝啓
帝国の森にも若葉が映える季節になってる頃と思いますが、如何お過ごしでしょうか
此方は暑い日差しを受けながら件の森近くで一番の街へと着ております
言われた通り素性は隠さずに堂々と来たせいか
抵抗も少なく旅をする事が可能となりました
そして、東の森に住まう狼族に接触出来るチャンスも巡ってまいりました
実情妖精が減った理由も踏まえて良い報告が出来ると思います
それでは、お身体に気を付けてお過ごし下さい
敬具
ps:息子に会えるかも知れません
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「Sランクからの手紙には何と書かれておりましたか?父上?」
『…息子に逢えるかもとか何とか…』
「息子と言うと…異世界とかいうけったいな話に出てくるミラクル科学世界ってやつですか?」
あんなファンタジー誰が信じるというのだ…
『あーまぁ奴も歳を召して呆けたのかも知れぬ』
「幾ら父上のお知り合いの勇者とはいえ、お年を召され過ぎではございませんか?」
『いやしかしだな、手紙は比較的まともではないか?』最後は置いといて
「文字など幾らでも若くして書けるではありませんか!少し前に父上が口説いてた町娘に書いた恋文とて若さ爆発でマトモに読める者が居なかったくらいでしたしょ?」
『まだ覚えて居たのか!!忘れていたと思ったのに!!』
「忘れるわけ無いでしょ!?母君が額に入れて永久保存版にしてますよ?」
それを聞いた皇王は年寄りの動きをかなぐり捨てて
飛ぶ様に皇后様の部屋へ走って消えた
それを見て深い溜息を吐き
勇者が送ってきた手紙を見る
「勇者の子供ね…彼もまた苦労が耐えないのかも知れないな…」私みたいに…
皇王の机に手紙を畳んみ置き
残りの報告書を読み始める皇子であった
~東の森での現状と推測の報告書~
東の森以外の森では結界も安定しており、特に破られた形跡は無い
だが、目に見えて妖精の気配がしない
まるで残らず誰かに連れ去られたとか滅せられたとと言われても信用するくらい居なかった
何処の森でも妖精の数は減っており
特に目立って酷かったのは火山の南部で
サラマンダーが巣食う山が冷えて冷害が勃発
南国の果物の輸出が止まった
隣にあったドライアドの森も
主が居なくなって森が維持出来ず
いくつかの森が砂に飲まれたと聴いた
風も止み砂の拡散が止まった事でそれ以上の被害は出ていないが、このままだと被害は甚大となる可能性が高い
風が止んだという事は、雨雲の運搬も今後期待出来ない
それが続けば田畑は枯れ
人の生きられぬ土地になるだろう
事態はこれだけではない
西の森に居たウンディーネ
森の賢者ノームもこぞって居なくなった
浄化の水が滞り、教会を中心とした国が一つ没落した
賢者の居なくなった森でも他と同じ様に森が枯れたなどの報告が見て取れた
ただ、可笑しいのは
各森で起こった異常事態が東の森には1度も起こってない事だろうか
各森で消えた妖精が未だに生きていて
後継者も産まれて居ない事だろうか
全ての答えは東の森にあるかも知れない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこで、報告書は終わった
随分詳しく調べたのだな老勇者
意外と優秀そうだな父上の小間使い
「腐ってもSランクと言う事か」
そう呟いて父の書斎から出ていった
◆◇◆◇◆
「ご、御免なさい…許してください…」
と、噎び泣く
仁王立ちする母の前に跪き許しを乞う父親の
見たくは無いものだ…
ましてや孫や娘の旦那様も居たら…
情けなさ過ぎるだろー…
ただ、それをしても
母と居たい、添い遂げたいとする気持ちは痛い程分かった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
東の森に着くと出て行く前とは明らかに雰囲気が違っていた
急ピッチで進められた後も見えていたが
それにしたって変わり過ぎだ
結界川が流れ、俺が良く出入りしていた浅瀬には橋が出来た
その橋を検問所にして村が出来ていて銀狼族が移住し
妖精王が橋の出入りを厳しく管理しているという
その村の周りには、掘りがあり村を囲うように掘られた穴には、結界川から支流を伸ばし第二の結界に改造、出入り口を翅妖精達が管理しているという
つまり…どういう事かというと、
現代へと続く扉が地続きになり、許可制ではあるが、行き来出来る様になった
そーいうことだろう
森の入り口から軽トラに引かれた馬車毎
第一結界村に入り、降ろされた俺達にそう説明してきたシノ爺(シノの爺様)
その村を驚きと畏怖で見渡す親父を連れだって
第二結界の橋の前まで来た
そこで、陣取っていた母を中心としたメンバーが
親父を被告として裁判紛いのことを始め
最終的に噎び泣く父を許した母が亮介(孫)を連だって
新居へと去っていった所だ
橋を渡る際、親父の体から火花が散り
何かが砕けた音がした
その音に気が付かないのか、親父は母に肩を抱かれて歩き過ぎたので、詳しくは分からなかったが
何かの呪いの様な監視する装置ではないかと
ウンディーネは言う
既に壊れているので触っても問題無いというので
触ってみると、何かの虫の様な物だった
所々焦げていて、詳しくは探ろうとしたら霧散した
それを見たシルフは霧散した煙を追って空へと消えた
後を付けて後ろに何者が居るのか調べてくるらしい
まぁ、取り敢えずは…
チラッと皆を見廻して
シノと共に
「「ただいま!」」っと挨拶した
すると、ノームがウンディーネがドライアドがサラマンダーがお義兄さんが
「「「「「おかえりっ!!」」」」」
っと満面の笑みで応えてくれた
積もる話は追々ってことで先ずは湯に浸かって休めと、背中を押され東屋へとやって来た
今はお義兄さんは住んでおらず
空き部屋になってるって事なので
俺とシノの新居として扱うそうだ…
新居って早くない?え!成人したの!?
いつの間に…え!?此方に向かってる最中に?
へー…それはおめでとう?
「なんで疑問形なのよ!」っとシノにいいパンチを貰う
「結婚式はこっちで上げる?向こうで上げる?
それとも両方?」っと真顔で聞いてくる
えっー。
言葉を詰まらせていると
ジリジリと迫ってくるシノ
身の危険を察した俺は露天風呂へダイブして逃げた
逃げられる物では無いのに…と、一部始終を見ていたサラマンダーとノームが星見酒しながら呟いた
因みに先に住んでた家は…異空間化していて
各王が住んでいるらしい
身体を冷やしに日に一度裏山の中腹に移動する
サラマンダー以外は大体皆仕事をしていて
部屋には寝に帰る程度らしい
(妖精も寝るのか?)
この中ではサラマンダーがプー太郎って事か
そう言ったら「違う!!」と怒られた
「どちらかと言うとお前だけだ無職は」
そう言って俺を見た
あれー?みんなが俺を見てる
寧ろシノもこっち側だろ?なんで睨んでるの?
「旦那様が無職っていうのはちょっとね…」
と苦笑いされた!!
まぁそうだな…何かしないとな…
「村長なんだし村が発展する事考えてね?」
っとノーム
「田畑は任せなさい!」とドライアド
「移住者募れば?」とウンディーネ
「軽く言うなよ」と俺
まぁ取り敢えず全て置いといて!
乾杯しよう乾杯
「結婚早まったかしら」とシノ
「結婚まだ早いからね?」と俺
ボソリと言ったので聞こえてないようで良かったです
宴会も中盤になった頃
霧散した煙を追っていたシルフが帰ってきた
「おかえりー」という俺に
「あなたもおかえり」っと返された
「はいただいま」とグラスを渡して『チンッ』と乾杯
「で?何かわかったの?」とウンディーネ
「うーん…いちおう帝国までは追えたけど、そこからは先へは入れなかったの」っとシルフ
(妖精が入れない場所が帝国に?たしか勇者は帝国から派遣されてた筈…何かあんのか?)
そう思ったが親父は今は母と水入らずで此処には居ないそのうち聞けばいっかと呑みに戻った
「シルフおかえりー!何飲む?色々あるよー♪」っとはしゃぐノーム
「随分はしゃいでいるなぁノームのやつ」
と俺が言うと
「そらそうよー!アンタがいじけて家出してからノームも落ち込んでね…其れから一滴も呑まなかったんだから」一人酒は寂しかったわーとウンディーネ
「いじけてって…まぁ間違っちゃいねーけど…」
(まぁ素直じゃ無かったというのはそうだな)
「でもその後お互い認めて分かり合えたと思ったけどなぁ?その時飲まなかったのか?」と俺
「一緒に呑みたかったんだって!可愛いとこあるでしょ?」フフフっと笑いながらチビリと呑んだ
今はシルフに絡み酒を振る舞うただの飲んだ呉爺にしか見えないが…
「おう!呑んでるか?コージ」と
腕にドライアドを纏わせて徳利を傾けるサラマンダーが来た
「おい、徳利は盃じゃねーぞ!」と笑いながら
日本酒を入れてやる
「チビチビ飲むのは性に合わん」とゴボゴボ一期呑み
それを素敵っと目をハートにして見てるドライアド
変な恋してるよねっといつだったかノームが言っていたのを思い出す
まさに納得である
むしろ変な趣味してるよねドライアド
もちろん声には出さない
俺の肩をトントンと叩きウンディーネが言う
「顔に出てるわよ?」と
え。ってするもドライアドと目があった
「私の趣味も大概だけどアンタよりマシよ?ロリコンオヤジ」っと蔑む様に言われた
「イヤイヤイヤイヤ違うから!」と俺
「何が違うの?」とシノ
「ヒィッ!?」と変な声が出てしまった
コイツいつの間に…⁉
「シノちゃん実はねー」とドライアド
「なんでもない!何でもないよ!シノ、ソーダキスしよう!」っと喚いて焦って
食い気味にドライアドを制する俺
「え。酔ってるの?コージ…キスはいいけど夜にね♡」とやんわり拒否される
ノームが遠くで「シノちゃーん」と呼ぶ声で
向こうに消えてホッと胸を撫で下ろす
「ロリコンオヤジ」とボソリと言われたが反論はできなかった
その横でクククと笑うウンディーネと
尻に敷かれる未来しか見えねーなぁと呆れる
サラマンダー
「うっせ黙れ…」とふて腐れながらチビチビと呑み
夜はふけて行く
亮介と親父の意見:酒造を作る
ウンディーネの水と
ドライアドの稲
ノームの土
で作り上げたお米で日本酒を作り
其れを特産にしたい
メリット
「妖精が作る酒は帝国でも滅多に呑めない程の高級酒で異世界でもこっちの世界でも必ず売れる!安定性がある!」と親父
「名前はもう考えてあるんだ!あとはゴーサイン出してくれれば大丈夫だよ!国の許可も僕の母さん(姉)が請け負ってくれるみたいだし!」
デメリット
「人手が足りない…壊滅的なまでに人出が足りない。いっその事異世界から人を連れてくるか?」
と親父
「異世界から連れてきてもいーんだけど、ソレを観光客に見られるとちょっと困った自体にならないかな?」た亮介(甥)
母とお義兄さんの案:絵本の中に入った感覚になる村として観光地にしたい
「此処はかなり昔の日本がそのまま残ってる
小川にしても、民家にしても、裏山はちょっと見せられなくなったけど(ファンタジー過ぎて)
それでも他の山々には山菜が実り、秋には紅葉もある!何よりもサラマンダーさんを冷やす時に出る蒸気が高層域で雲になり、それが雨と成って落ちて来る事でウンディーネさんの清い水が聖水のように降り注ぎここら一帯が清められてる、そのお陰で夜になると、蛍みたいな妖精が光り輝いて凄く幻想的になるんだよ!」と、お母様
「イラストレーターの僕のインスピレーションを刺激して止まない!ここの風景は宝物だよ!無駄な発展なんてする必要ない!そのままの風景をそのままパッケージにして売り込むべきだと思うよ」
とお義兄さん
メリット
兎に角メルヘン要素が爆発してるから
絶対嵌まる!!(筈…
デメリット
ここまで来るのにバスも電車もないからねー…
交通が不便過ぎて目も当てられない
俺の案:異世界を活かして観光業兼冒険者ギルドの設立
【リアル・ファンタジー・オフライン】
移民を異世界から募る
街に住まわせ屋台とかやってもらう
日本や世界中から人を住まわせここを拠点にして貰らう
異世界から冒険者ギルドを誘致する
「つまり…どういう事?」とお義兄さん
此処を1つの都市として異世界に認めさせる
此処を異世界の入り口として日本政府に認めさせる
「コチラの世界に搾取されるのは嫌なんだけど?」とシノ
「メリットは沢山あるけど
デメリットも山程あるよ?」と亮介
「ちょっと色々飛ばしすぎだろ!確かにこの村を異世界に混ぜれば人手も解決するが、他の街に移動したらどーすんだ?流石に面倒事しかないぜ?」と親父
「駄目かなー…楽しそうなんだけどなー…」と俺
「楽しそうだけで運営出来るほど優しくないだろ?この世界」とシルフ
「取り敢えずさー日本酒勧めない?飲みたいし」とウンディーネ
「それじゃあ民宿も経営して絵本の世界も一緒に勧めましょう!」と母
「冒険者ギルド誘致はー?」と俺
「「「追々な」」」と流されて
「順番守ろうね?コージ」とシノ
何故か慰められる俺
拝啓
帝国の森にも若葉が映える季節になってる頃と思いますが、如何お過ごしでしょうか
此方は暑い日差しを受けながら件の森近くで一番の街へと着ております
言われた通り素性は隠さずに堂々と来たせいか
抵抗も少なく旅をする事が可能となりました
そして、東の森に住まう狼族に接触出来るチャンスも巡ってまいりました
実情妖精が減った理由も踏まえて良い報告が出来ると思います
それでは、お身体に気を付けてお過ごし下さい
敬具
ps:息子に会えるかも知れません
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「Sランクからの手紙には何と書かれておりましたか?父上?」
『…息子に逢えるかもとか何とか…』
「息子と言うと…異世界とかいうけったいな話に出てくるミラクル科学世界ってやつですか?」
あんなファンタジー誰が信じるというのだ…
『あーまぁ奴も歳を召して呆けたのかも知れぬ』
「幾ら父上のお知り合いの勇者とはいえ、お年を召され過ぎではございませんか?」
『いやしかしだな、手紙は比較的まともではないか?』最後は置いといて
「文字など幾らでも若くして書けるではありませんか!少し前に父上が口説いてた町娘に書いた恋文とて若さ爆発でマトモに読める者が居なかったくらいでしたしょ?」
『まだ覚えて居たのか!!忘れていたと思ったのに!!』
「忘れるわけ無いでしょ!?母君が額に入れて永久保存版にしてますよ?」
それを聞いた皇王は年寄りの動きをかなぐり捨てて
飛ぶ様に皇后様の部屋へ走って消えた
それを見て深い溜息を吐き
勇者が送ってきた手紙を見る
「勇者の子供ね…彼もまた苦労が耐えないのかも知れないな…」私みたいに…
皇王の机に手紙を畳んみ置き
残りの報告書を読み始める皇子であった
~東の森での現状と推測の報告書~
東の森以外の森では結界も安定しており、特に破られた形跡は無い
だが、目に見えて妖精の気配がしない
まるで残らず誰かに連れ去られたとか滅せられたとと言われても信用するくらい居なかった
何処の森でも妖精の数は減っており
特に目立って酷かったのは火山の南部で
サラマンダーが巣食う山が冷えて冷害が勃発
南国の果物の輸出が止まった
隣にあったドライアドの森も
主が居なくなって森が維持出来ず
いくつかの森が砂に飲まれたと聴いた
風も止み砂の拡散が止まった事でそれ以上の被害は出ていないが、このままだと被害は甚大となる可能性が高い
風が止んだという事は、雨雲の運搬も今後期待出来ない
それが続けば田畑は枯れ
人の生きられぬ土地になるだろう
事態はこれだけではない
西の森に居たウンディーネ
森の賢者ノームもこぞって居なくなった
浄化の水が滞り、教会を中心とした国が一つ没落した
賢者の居なくなった森でも他と同じ様に森が枯れたなどの報告が見て取れた
ただ、可笑しいのは
各森で起こった異常事態が東の森には1度も起こってない事だろうか
各森で消えた妖精が未だに生きていて
後継者も産まれて居ない事だろうか
全ての答えは東の森にあるかも知れない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこで、報告書は終わった
随分詳しく調べたのだな老勇者
意外と優秀そうだな父上の小間使い
「腐ってもSランクと言う事か」
そう呟いて父の書斎から出ていった
◆◇◆◇◆
「ご、御免なさい…許してください…」
と、噎び泣く
仁王立ちする母の前に跪き許しを乞う父親の
見たくは無いものだ…
ましてや孫や娘の旦那様も居たら…
情けなさ過ぎるだろー…
ただ、それをしても
母と居たい、添い遂げたいとする気持ちは痛い程分かった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
東の森に着くと出て行く前とは明らかに雰囲気が違っていた
急ピッチで進められた後も見えていたが
それにしたって変わり過ぎだ
結界川が流れ、俺が良く出入りしていた浅瀬には橋が出来た
その橋を検問所にして村が出来ていて銀狼族が移住し
妖精王が橋の出入りを厳しく管理しているという
その村の周りには、掘りがあり村を囲うように掘られた穴には、結界川から支流を伸ばし第二の結界に改造、出入り口を翅妖精達が管理しているという
つまり…どういう事かというと、
現代へと続く扉が地続きになり、許可制ではあるが、行き来出来る様になった
そーいうことだろう
森の入り口から軽トラに引かれた馬車毎
第一結界村に入り、降ろされた俺達にそう説明してきたシノ爺(シノの爺様)
その村を驚きと畏怖で見渡す親父を連れだって
第二結界の橋の前まで来た
そこで、陣取っていた母を中心としたメンバーが
親父を被告として裁判紛いのことを始め
最終的に噎び泣く父を許した母が亮介(孫)を連だって
新居へと去っていった所だ
橋を渡る際、親父の体から火花が散り
何かが砕けた音がした
その音に気が付かないのか、親父は母に肩を抱かれて歩き過ぎたので、詳しくは分からなかったが
何かの呪いの様な監視する装置ではないかと
ウンディーネは言う
既に壊れているので触っても問題無いというので
触ってみると、何かの虫の様な物だった
所々焦げていて、詳しくは探ろうとしたら霧散した
それを見たシルフは霧散した煙を追って空へと消えた
後を付けて後ろに何者が居るのか調べてくるらしい
まぁ、取り敢えずは…
チラッと皆を見廻して
シノと共に
「「ただいま!」」っと挨拶した
すると、ノームがウンディーネがドライアドがサラマンダーがお義兄さんが
「「「「「おかえりっ!!」」」」」
っと満面の笑みで応えてくれた
積もる話は追々ってことで先ずは湯に浸かって休めと、背中を押され東屋へとやって来た
今はお義兄さんは住んでおらず
空き部屋になってるって事なので
俺とシノの新居として扱うそうだ…
新居って早くない?え!成人したの!?
いつの間に…え!?此方に向かってる最中に?
へー…それはおめでとう?
「なんで疑問形なのよ!」っとシノにいいパンチを貰う
「結婚式はこっちで上げる?向こうで上げる?
それとも両方?」っと真顔で聞いてくる
えっー。
言葉を詰まらせていると
ジリジリと迫ってくるシノ
身の危険を察した俺は露天風呂へダイブして逃げた
逃げられる物では無いのに…と、一部始終を見ていたサラマンダーとノームが星見酒しながら呟いた
因みに先に住んでた家は…異空間化していて
各王が住んでいるらしい
身体を冷やしに日に一度裏山の中腹に移動する
サラマンダー以外は大体皆仕事をしていて
部屋には寝に帰る程度らしい
(妖精も寝るのか?)
この中ではサラマンダーがプー太郎って事か
そう言ったら「違う!!」と怒られた
「どちらかと言うとお前だけだ無職は」
そう言って俺を見た
あれー?みんなが俺を見てる
寧ろシノもこっち側だろ?なんで睨んでるの?
「旦那様が無職っていうのはちょっとね…」
と苦笑いされた!!
まぁそうだな…何かしないとな…
「村長なんだし村が発展する事考えてね?」
っとノーム
「田畑は任せなさい!」とドライアド
「移住者募れば?」とウンディーネ
「軽く言うなよ」と俺
まぁ取り敢えず全て置いといて!
乾杯しよう乾杯
「結婚早まったかしら」とシノ
「結婚まだ早いからね?」と俺
ボソリと言ったので聞こえてないようで良かったです
宴会も中盤になった頃
霧散した煙を追っていたシルフが帰ってきた
「おかえりー」という俺に
「あなたもおかえり」っと返された
「はいただいま」とグラスを渡して『チンッ』と乾杯
「で?何かわかったの?」とウンディーネ
「うーん…いちおう帝国までは追えたけど、そこからは先へは入れなかったの」っとシルフ
(妖精が入れない場所が帝国に?たしか勇者は帝国から派遣されてた筈…何かあんのか?)
そう思ったが親父は今は母と水入らずで此処には居ないそのうち聞けばいっかと呑みに戻った
「シルフおかえりー!何飲む?色々あるよー♪」っとはしゃぐノーム
「随分はしゃいでいるなぁノームのやつ」
と俺が言うと
「そらそうよー!アンタがいじけて家出してからノームも落ち込んでね…其れから一滴も呑まなかったんだから」一人酒は寂しかったわーとウンディーネ
「いじけてって…まぁ間違っちゃいねーけど…」
(まぁ素直じゃ無かったというのはそうだな)
「でもその後お互い認めて分かり合えたと思ったけどなぁ?その時飲まなかったのか?」と俺
「一緒に呑みたかったんだって!可愛いとこあるでしょ?」フフフっと笑いながらチビリと呑んだ
今はシルフに絡み酒を振る舞うただの飲んだ呉爺にしか見えないが…
「おう!呑んでるか?コージ」と
腕にドライアドを纏わせて徳利を傾けるサラマンダーが来た
「おい、徳利は盃じゃねーぞ!」と笑いながら
日本酒を入れてやる
「チビチビ飲むのは性に合わん」とゴボゴボ一期呑み
それを素敵っと目をハートにして見てるドライアド
変な恋してるよねっといつだったかノームが言っていたのを思い出す
まさに納得である
むしろ変な趣味してるよねドライアド
もちろん声には出さない
俺の肩をトントンと叩きウンディーネが言う
「顔に出てるわよ?」と
え。ってするもドライアドと目があった
「私の趣味も大概だけどアンタよりマシよ?ロリコンオヤジ」っと蔑む様に言われた
「イヤイヤイヤイヤ違うから!」と俺
「何が違うの?」とシノ
「ヒィッ!?」と変な声が出てしまった
コイツいつの間に…⁉
「シノちゃん実はねー」とドライアド
「なんでもない!何でもないよ!シノ、ソーダキスしよう!」っと喚いて焦って
食い気味にドライアドを制する俺
「え。酔ってるの?コージ…キスはいいけど夜にね♡」とやんわり拒否される
ノームが遠くで「シノちゃーん」と呼ぶ声で
向こうに消えてホッと胸を撫で下ろす
「ロリコンオヤジ」とボソリと言われたが反論はできなかった
その横でクククと笑うウンディーネと
尻に敷かれる未来しか見えねーなぁと呆れる
サラマンダー
「うっせ黙れ…」とふて腐れながらチビチビと呑み
夜はふけて行く
亮介と親父の意見:酒造を作る
ウンディーネの水と
ドライアドの稲
ノームの土
で作り上げたお米で日本酒を作り
其れを特産にしたい
メリット
「妖精が作る酒は帝国でも滅多に呑めない程の高級酒で異世界でもこっちの世界でも必ず売れる!安定性がある!」と親父
「名前はもう考えてあるんだ!あとはゴーサイン出してくれれば大丈夫だよ!国の許可も僕の母さん(姉)が請け負ってくれるみたいだし!」
デメリット
「人手が足りない…壊滅的なまでに人出が足りない。いっその事異世界から人を連れてくるか?」
と親父
「異世界から連れてきてもいーんだけど、ソレを観光客に見られるとちょっと困った自体にならないかな?」た亮介(甥)
母とお義兄さんの案:絵本の中に入った感覚になる村として観光地にしたい
「此処はかなり昔の日本がそのまま残ってる
小川にしても、民家にしても、裏山はちょっと見せられなくなったけど(ファンタジー過ぎて)
それでも他の山々には山菜が実り、秋には紅葉もある!何よりもサラマンダーさんを冷やす時に出る蒸気が高層域で雲になり、それが雨と成って落ちて来る事でウンディーネさんの清い水が聖水のように降り注ぎここら一帯が清められてる、そのお陰で夜になると、蛍みたいな妖精が光り輝いて凄く幻想的になるんだよ!」と、お母様
「イラストレーターの僕のインスピレーションを刺激して止まない!ここの風景は宝物だよ!無駄な発展なんてする必要ない!そのままの風景をそのままパッケージにして売り込むべきだと思うよ」
とお義兄さん
メリット
兎に角メルヘン要素が爆発してるから
絶対嵌まる!!(筈…
デメリット
ここまで来るのにバスも電車もないからねー…
交通が不便過ぎて目も当てられない
俺の案:異世界を活かして観光業兼冒険者ギルドの設立
【リアル・ファンタジー・オフライン】
移民を異世界から募る
街に住まわせ屋台とかやってもらう
日本や世界中から人を住まわせここを拠点にして貰らう
異世界から冒険者ギルドを誘致する
「つまり…どういう事?」とお義兄さん
此処を1つの都市として異世界に認めさせる
此処を異世界の入り口として日本政府に認めさせる
「コチラの世界に搾取されるのは嫌なんだけど?」とシノ
「メリットは沢山あるけど
デメリットも山程あるよ?」と亮介
「ちょっと色々飛ばしすぎだろ!確かにこの村を異世界に混ぜれば人手も解決するが、他の街に移動したらどーすんだ?流石に面倒事しかないぜ?」と親父
「駄目かなー…楽しそうなんだけどなー…」と俺
「楽しそうだけで運営出来るほど優しくないだろ?この世界」とシルフ
「取り敢えずさー日本酒勧めない?飲みたいし」とウンディーネ
「それじゃあ民宿も経営して絵本の世界も一緒に勧めましょう!」と母
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《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
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なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
日曜日以外、1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
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2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!!
2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!!
こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。
どうしよう、欲が出て来た?
…ショートショートとか書いてみようかな?
2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?!
欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
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