46 / 105
46話
しおりを挟む
「世界樹の木に住まう魔王︰略して世界樹の王
おっ!なんか格好良くなった?」
『却下に決まってんだろうがっ!巫山戯んな!』
と、「目くじらを立てるのは魔王の側近にして精霊王。通称︰二足の草鞋『き、貴様!何処まで儂を愚弄すれば……! 』揶揄ってんだよ」
『ムキィーーッ!!同じだろうがぁぁあっ!!』
「あっははは! 本当にベロは楽しいなぁ! リアクションが! 」
『で? 勇者が何ですって? 』と、本気で疲れが貯まって来てるウンディーネが、うんざりしたように聴くと
「彼は酪農家に成りたかったらしくてね、チーズ職人の牧場へ置いてきた』
『はぁぁ…………もぅやだぁぁあっ!』と泣きながら走り去ったウンディーネ
『お主謝らなくて良いのか? 』とベロが珍しく心配そうに聴く
「何で? 俺なんもしてねーんだけど? 」
本当に何もしてない気がする……
首を傾げて考えているとウンディーネを連れた田島がやって来て「何、人の女泣かしてんだゴラァ」と凸られてボコられてシバかれて床で寝てる所
「あれー?俺何にも悪くなくねー? 」
と、呟いて目を覚ますと床かと思ってたら地中でした。(えー……)何かの箱に入れられている様です。「え、怖⁉ 何本気で封印しちゃってんの⁉ 」エエエエエッマジなのこれ? えー……。
「あ!、壺。あ、あるわ」ウンディーネの水を染み込ませたスボンジに世界樹の種を蒔きます
そのまま、放置しますとムクムク育つので先っぽの下に潜ります
スンスン育つと世界樹は芽を出します、スクスクと育つもんだから地中から共に復活しました!(地味に二本に成った世界樹)
「ただいま! 」という俺の姿を見付けたベロは苦虫を噛み潰したような顔で跪ずき俯きます
悔しそうな顔を覗き込んではクフフ!っと笑うと、歯ぎしりをして器用に「ぐぬぬっ! 」て、言葉が出るってのがもう、楽しくて楽しくて、つい……
「オーベロンに命じる」ニヤニヤ
『クッ…な、何なりと……ウグク…ク…何なりと仰ってク、ク、クダ……さい』抗えない力とはなんて面白……いやいや、怖い怖い。
まぁいーや。「我の最側近と成り馬車馬の様に働き給え」『ヒグッフギュー…オ、オマカセ……オ……』と言ったあと落ち込んだ
「さてと、それではどこを攻めようか……」チラッと見ると『な、なな、何を言ってるんじゃーッ!!』
「冗談だククク呼ぶまで好きにしろ」
『は……』力なく答えて去ってった二足の草鞋
正義と悪の間で彼は何を思うのかね……
しかし何しようかね……うっかり開けた秘密通路は、シノの近衛が見張る事と成った。馬くんは馬車と一緒に此方に来ている……「あれ……今何か重要な事を思い浮かんだような……」馬くんと馬車と俺とくれば……送迎馬車!
さっそく運行しよう!
というわけで、(ベロくんがここを見る度に嘆く)世界樹の木で作った放牧地と厩のある小屋。裏山の向かいの藪を削ったら草原に成りまして……そこがもっぱら厩に適していたもんだからアッという間に馬小屋と放牧地が完成、寝藁は世界樹のウッドチップにした所、常にフカフカ排泄物は浄化されて即スラスラの眷属が回収して、肥料にしてる
その横に世界樹で作った馬車がある何時でも出れる様に達くんが管理してる。完全に御者になった達くん、料理は止まってから作るので問題ないらしい。ノームの無限壺も彼に下賜したので、うまく使ってくれるだろう。俺が使わない時は馬小屋レストランとして運用しているらしい。蜂くんとベロが店に居たのを見た事がある。
そしてまさか付き合っているとは夢にも思ってなかった。蜂君は女の子でベロは男性である職場恋愛と言うやつだな……さすが異世界
ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー
達くんと俺と馬とで村へ来るキャンパーを迎えに隣の町の駅まで馬車で迎えに来ています。
特に予約は入ってないので、客が来るまで待機中です。
たまに通る人にこの馬車はなんですか? っと聞かれると、麹村への定期馬車ですと答え
「乗りますか? 」と聴くと、首を横に振って去っていく
写真取っていーですか?と聞かれれば快く了承し
馬車と馬くんと達くんを背景にして写真を撮ってさる。その繰り返しで夕方に成る日々
夕方になると馬車を移動し駐車場代わりの空き地を月極で借りて、そこに野営する。
あくまでも送迎馬車なので人が乗るまでそこで待機している。(既に三日目)
今日はこの前邪魔をされて食えなかった兎肉をご飯に乗っけた兎丼を作っている。
達くんにも作ってあげようと、今夜は俺が作っている。なぜか、感動されて先程からさめざめと泣いている達くん。根本が良い子なのだろう、折角だから日頃の感謝を込めて、労ってやろうと思う。
竈で焼いていた串兎肉に塩と胡椒を適量振って
炊きたてご飯を飯盒から丼へとよそって
兎肉串から外しながらご飯に乗っける。
そこに箸も付けて渡してやった
肉食なのか雑食なのかイマイチ分からなかったががっついて食ってる所を見ると余程美味いのだろう
『うう!感無量で御座る! 』と泣きながら食べている。そんな姿を見ると、作ってよかったと微笑み自分も食べていく。
やはり、美味いなぁ「ん~♡」と言いながら食べていると『もし、そこの御方……』と声がした
またどこぞの貴族かと、思ったが……そーいや、ここは隣町だったなと、思い出し食いながら振り向くと……淡く輝く白い和服を着込んだ女性で古墳時代みたいな髪の結び方をしている人がこちらを見てた。
その方は「もしや、そなたはこの先の村人かえ?なら、そこへつれてってたも? 」と、首をコテっと倒して言う。
「今は飯食ってるし、道は暗いから明日ならいーよ? 」と、もぐもぐしながら言うと
「左様であるなら致し方ない……今日は此処で休もうかの、かまうまい? 」と、また首をコテっと倒して馬車へと入り、寝てしまった
なんとも自由な巫女さんだなぁと思ったが、寝ているところへ入るのも憚れたので、外で馬と一緒に丸くなって寝る事にした
次の朝日か登る少し前に起きて馬に餌を上げていると「そろそろ行くかえ?出してたも」と、また首をコテっと倒して言うが
「今は馬の餌の時間だから無理だ」と断り部屋でまだ休めと言ったが
「妾の言う事を聞かぬ者は始めてじゃ、これ!其処の馬よ? 早く走れ」と言ったが
馬くんは微動だにせず飯を食べ続けた
その姿にたいそう驚いたのか
「なんと!妾の声を無視できる程の元に居るのか?誰じゃその者は、答えぬなら見るまでじゃ! 」
と、答えて馬くんをじぃっと見ていたら
馬くんステータス
名前 馬くん(♀)
種族 アングロアラブ(改)
眷属 魔王田辺浩二
「む、魔王か……馬くんとやらすまんかったの魔王に宜しく伝えて欲しいのじゃ……あぁ、怒らせてすまなんだな、ほれこの通り」と、頭を下げて馬くんに詫ていた。
「そこな下郎。なんぞ妾の顔に何か付いておるのか?そんなに見るな……障るぞ? 」と俺を脅して中へと戻った。
「そこな下郎は朝飯食べてゆーっくり出発しやがるでごぜーますよ」と、朝飯をゆっくり食べて
出発したのは午後15時を回った時間だった
「お主良い性格をしておるよの……」と、眉間に皺を作りながらお茶を呑んでる妾さん
もうすぐ日が暮れるのでそこの登山道で一泊しますねーっと、登板道路の出口端へ馬車を止めて休んだ。
「なっ⁉そ、そなた!何を休んでいるのじゃ!日が暮れたのはソナタがモソモソしていたからでは無いか! なんて下郎じゃ!妾が魔王へ嫁いだ暁にはクビにしてやるから覚悟いたせ!」と喚き出した
何か不吉なことを口にした気がしたので聞いてみた。
「今なんておっしゃいましたか? 」
「うん? なんじゃ下郎気になったか?カカッ今更遅いんじゃが、聞かせるだけなら構わんかの
妾は、魔王田辺浩二の后になるべく参った者じゃ!
まだ、結婚しておらぬようじゃしのぅ? 」
(は? 誰の差し金だ?っと、考えても埒が明かんし……このまま、帰ったら側室連れて凱旋とかに、なりかねん!)そう思ったコージだったが、ここで正体表しても碌な事にならないだろうと予測
「はぁ、叔父上の妻ですか? それはまた大変ですねぇ……」と、目を逸らす俺
「叔父上じゃとぉ!?そ、そなた魔王の甥子か!!な、ななんと言う事じゃ!……ヤダもう私ったら♡今までの態度は冗談じゃ!許してたもれ?ウフフフ♡」っと、豹変ぷりにドン引きしてる俺
「い、いやぁ……豹変ぷりが凄いんですね?……ええと? 」どちら様?
「!妾とした事が!自己紹介もせずに失礼した!妾は愛の神エロスの友達の友達の向かいに住んでる母君の実家の近所の孫が、妾である!名は特に無い好きに呼べ」
(つまり最初から赤の他人ってことね?エロスとかまるで関係ないよね?)
好きに呼べ?なら……
「他人様と呼びますね? 」
「なんじゃ?田人とな? 確かに妾の実家は田植え農家じゃが……流石魔王の甥子じゃ、よくわかったのう」
(草か? 草の王の差し金か? ちょっと後で攻めに……)などと考えてたら、いつの間にか寝る時間になったので今日はここ迄って事にして寝た
「ふむ……なぁ甥子さんよ……ソナタ妾に何か隠してる事無いかの?」
朝、目覚めて馬に朝飯食わせて戻ってくると、突然言われた言葉が挨拶じゃないとかどんな育ち方してんだろうな?
「おはよう他人様今日も元気かい?」
と、挨拶するも「先に妾の質問に答えるべきだと思わぬか?甥子様よぅ? 」
と、まるで話にならない。わらわさん
「何も話す事は無いんですけど? どーせ鑑定持ちなら調べては如何かですか? 」と聞いてみれば
「そなたを調べても弾かれるのじゃよ……お主何者じゃ? 」
おやおや、わらわさんのレベルは俺より低いらしい事が発覚。観る相手のレベルが自分より高いとレジストされるのは、聖書に書いてある通りだったらしい。
「魔王の甥子のレベルが低いと何故思う? 」と、ニヤリとしてみると
納得したのか
「それもそうじゃのぅ……世界は広いのぅ」と、ため息まじりに呟く他人様
「ところで他人様」
「なんじゃ?甥子様」
「挨拶されたら挨拶返せと学ばなかったのか? 」呆れ混じりに聞いてみれば
「何故しなきゃならんのか分らん」と斜め方向からの攻撃(は? )ってなった俺の顔を見て、ふんぞり返って子供に諭すように語ってきた
「例えばの話をしようかのぅ? お主が魔王のおじ様に挨拶するのは当然じゃろう? だが、1番上の魔王様はどうじゃ? 挨拶するか? しないじゃろう? つまりだ……目上の者なのだから、する必要は無いのじゃ。わかるかの? 妾は魔王の妻になるのだから、No.2になる訳じゃ。妾が挨拶するのは魔王様だけじゃ分かったかのぅ? 」
(うっわー……マジで要らない子だった事が分かってよかったー……)
「そうですかそうですか。貴女様がどの様に育ってきたか知れて良かったです!有難うございます! 」
そういうと、何故か満足そうに頷いて机に足を乗せ、ふんぞり返りながら
「では、馬車を出してたも」
とか言い出した。
「アイアイサー! 」と返事をすると、口角を上げてニヤリと笑った他人様
そのまま、馬車をUターンして駅まで戻る。その動きには全く気付かずに天井を見上げては「クフフ」とか笑ってる。正直怖い……ので、とっとと棄てようと思います!
駅の裏側へと着くと「着きましたよ降りてください」と、素っ気なく言う
するとー……
「お主! エスコートも出来んのか? 全くやはり貴様はクビじゃ! 愚か者め! 」そう捨て台詞を吐いて馬車を降りたのを確認後
「ハイヨー馬くん! 」と、鞭を打つ振りをしつつダッシュでその場を離れた
遠くなる馬車にツバを吐き、ここは何処じゃとキョロキョロしてる他人さんの姿を消し去ると
草の王に連絡すべく村へと向けて馬車を飛ばした
村へと付くと馬車を達くんに任せて、一路ウンディーネの居る宿屋へと向かう。
扉を開けて中へ入ると親父が飯を食っていた
何だろう……「久し振り」っとつい声が出た
「……おう」こちらを見ずに生返事
まぁこんなもんかと、通り過ぎると奥から
「ちょっと!コージ、あんた親に対して冷たくないかい? 」と、言い出した
「いや、挨拶はしたろ? 」そういうと
「全く……育て方間違えたかね……」と溜息吐きながら奥へと消えた(なになに何よ? 世間話でもしろってのか? 久し振りって言ったらおうってだけで返されたのよ?その後どう繋げってのよ?)
「おい……何か出てるぞ?その黒い霧何だよ……文句あんなら溜め込まず吐き出せよ!魔王でも言いたい事があったら言えよ? 」と、親父
「ああ」とだけ言って去ろうとしたら
「愛想がねーなぁ……」と呟いたので
「あんたの真似しただけだよクソジジイ」と言ったら、睨まれた。「お父さんと言いなさい」と、言い始めた親父様……「は? なんか変なもんでも食ったのか? 大丈夫か? 」と、心配そうにしてやったのに
「もう直ぐ孫が出来るだろうが? だから口の聞き方を考えろってんだよ馬鹿息子」とか言い出した
「安心しろよクソ親父、親の真似して育っただけだ。文句があんならそちらへどうぞ」
「口の減らねぇクソガキだな、シノちゃんが嫁なんて本当に勿体無い」と言って新聞を読み始めた
「親に似たんだよ色ボケ爺」と返事してウンディーネの部屋へと向かった
そんな二人の大きな子供を見ながら
「シノちゃん、言葉使いはあの二人以外にしましょうね? 」「はい、お義母さま! 」
とか何とか話していたそうな。
おっ!なんか格好良くなった?」
『却下に決まってんだろうがっ!巫山戯んな!』
と、「目くじらを立てるのは魔王の側近にして精霊王。通称︰二足の草鞋『き、貴様!何処まで儂を愚弄すれば……! 』揶揄ってんだよ」
『ムキィーーッ!!同じだろうがぁぁあっ!!』
「あっははは! 本当にベロは楽しいなぁ! リアクションが! 」
『で? 勇者が何ですって? 』と、本気で疲れが貯まって来てるウンディーネが、うんざりしたように聴くと
「彼は酪農家に成りたかったらしくてね、チーズ職人の牧場へ置いてきた』
『はぁぁ…………もぅやだぁぁあっ!』と泣きながら走り去ったウンディーネ
『お主謝らなくて良いのか? 』とベロが珍しく心配そうに聴く
「何で? 俺なんもしてねーんだけど? 」
本当に何もしてない気がする……
首を傾げて考えているとウンディーネを連れた田島がやって来て「何、人の女泣かしてんだゴラァ」と凸られてボコられてシバかれて床で寝てる所
「あれー?俺何にも悪くなくねー? 」
と、呟いて目を覚ますと床かと思ってたら地中でした。(えー……)何かの箱に入れられている様です。「え、怖⁉ 何本気で封印しちゃってんの⁉ 」エエエエエッマジなのこれ? えー……。
「あ!、壺。あ、あるわ」ウンディーネの水を染み込ませたスボンジに世界樹の種を蒔きます
そのまま、放置しますとムクムク育つので先っぽの下に潜ります
スンスン育つと世界樹は芽を出します、スクスクと育つもんだから地中から共に復活しました!(地味に二本に成った世界樹)
「ただいま! 」という俺の姿を見付けたベロは苦虫を噛み潰したような顔で跪ずき俯きます
悔しそうな顔を覗き込んではクフフ!っと笑うと、歯ぎしりをして器用に「ぐぬぬっ! 」て、言葉が出るってのがもう、楽しくて楽しくて、つい……
「オーベロンに命じる」ニヤニヤ
『クッ…な、何なりと……ウグク…ク…何なりと仰ってク、ク、クダ……さい』抗えない力とはなんて面白……いやいや、怖い怖い。
まぁいーや。「我の最側近と成り馬車馬の様に働き給え」『ヒグッフギュー…オ、オマカセ……オ……』と言ったあと落ち込んだ
「さてと、それではどこを攻めようか……」チラッと見ると『な、なな、何を言ってるんじゃーッ!!』
「冗談だククク呼ぶまで好きにしろ」
『は……』力なく答えて去ってった二足の草鞋
正義と悪の間で彼は何を思うのかね……
しかし何しようかね……うっかり開けた秘密通路は、シノの近衛が見張る事と成った。馬くんは馬車と一緒に此方に来ている……「あれ……今何か重要な事を思い浮かんだような……」馬くんと馬車と俺とくれば……送迎馬車!
さっそく運行しよう!
というわけで、(ベロくんがここを見る度に嘆く)世界樹の木で作った放牧地と厩のある小屋。裏山の向かいの藪を削ったら草原に成りまして……そこがもっぱら厩に適していたもんだからアッという間に馬小屋と放牧地が完成、寝藁は世界樹のウッドチップにした所、常にフカフカ排泄物は浄化されて即スラスラの眷属が回収して、肥料にしてる
その横に世界樹で作った馬車がある何時でも出れる様に達くんが管理してる。完全に御者になった達くん、料理は止まってから作るので問題ないらしい。ノームの無限壺も彼に下賜したので、うまく使ってくれるだろう。俺が使わない時は馬小屋レストランとして運用しているらしい。蜂くんとベロが店に居たのを見た事がある。
そしてまさか付き合っているとは夢にも思ってなかった。蜂君は女の子でベロは男性である職場恋愛と言うやつだな……さすが異世界
ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー
達くんと俺と馬とで村へ来るキャンパーを迎えに隣の町の駅まで馬車で迎えに来ています。
特に予約は入ってないので、客が来るまで待機中です。
たまに通る人にこの馬車はなんですか? っと聞かれると、麹村への定期馬車ですと答え
「乗りますか? 」と聴くと、首を横に振って去っていく
写真取っていーですか?と聞かれれば快く了承し
馬車と馬くんと達くんを背景にして写真を撮ってさる。その繰り返しで夕方に成る日々
夕方になると馬車を移動し駐車場代わりの空き地を月極で借りて、そこに野営する。
あくまでも送迎馬車なので人が乗るまでそこで待機している。(既に三日目)
今日はこの前邪魔をされて食えなかった兎肉をご飯に乗っけた兎丼を作っている。
達くんにも作ってあげようと、今夜は俺が作っている。なぜか、感動されて先程からさめざめと泣いている達くん。根本が良い子なのだろう、折角だから日頃の感謝を込めて、労ってやろうと思う。
竈で焼いていた串兎肉に塩と胡椒を適量振って
炊きたてご飯を飯盒から丼へとよそって
兎肉串から外しながらご飯に乗っける。
そこに箸も付けて渡してやった
肉食なのか雑食なのかイマイチ分からなかったががっついて食ってる所を見ると余程美味いのだろう
『うう!感無量で御座る! 』と泣きながら食べている。そんな姿を見ると、作ってよかったと微笑み自分も食べていく。
やはり、美味いなぁ「ん~♡」と言いながら食べていると『もし、そこの御方……』と声がした
またどこぞの貴族かと、思ったが……そーいや、ここは隣町だったなと、思い出し食いながら振り向くと……淡く輝く白い和服を着込んだ女性で古墳時代みたいな髪の結び方をしている人がこちらを見てた。
その方は「もしや、そなたはこの先の村人かえ?なら、そこへつれてってたも? 」と、首をコテっと倒して言う。
「今は飯食ってるし、道は暗いから明日ならいーよ? 」と、もぐもぐしながら言うと
「左様であるなら致し方ない……今日は此処で休もうかの、かまうまい? 」と、また首をコテっと倒して馬車へと入り、寝てしまった
なんとも自由な巫女さんだなぁと思ったが、寝ているところへ入るのも憚れたので、外で馬と一緒に丸くなって寝る事にした
次の朝日か登る少し前に起きて馬に餌を上げていると「そろそろ行くかえ?出してたも」と、また首をコテっと倒して言うが
「今は馬の餌の時間だから無理だ」と断り部屋でまだ休めと言ったが
「妾の言う事を聞かぬ者は始めてじゃ、これ!其処の馬よ? 早く走れ」と言ったが
馬くんは微動だにせず飯を食べ続けた
その姿にたいそう驚いたのか
「なんと!妾の声を無視できる程の元に居るのか?誰じゃその者は、答えぬなら見るまでじゃ! 」
と、答えて馬くんをじぃっと見ていたら
馬くんステータス
名前 馬くん(♀)
種族 アングロアラブ(改)
眷属 魔王田辺浩二
「む、魔王か……馬くんとやらすまんかったの魔王に宜しく伝えて欲しいのじゃ……あぁ、怒らせてすまなんだな、ほれこの通り」と、頭を下げて馬くんに詫ていた。
「そこな下郎。なんぞ妾の顔に何か付いておるのか?そんなに見るな……障るぞ? 」と俺を脅して中へと戻った。
「そこな下郎は朝飯食べてゆーっくり出発しやがるでごぜーますよ」と、朝飯をゆっくり食べて
出発したのは午後15時を回った時間だった
「お主良い性格をしておるよの……」と、眉間に皺を作りながらお茶を呑んでる妾さん
もうすぐ日が暮れるのでそこの登山道で一泊しますねーっと、登板道路の出口端へ馬車を止めて休んだ。
「なっ⁉そ、そなた!何を休んでいるのじゃ!日が暮れたのはソナタがモソモソしていたからでは無いか! なんて下郎じゃ!妾が魔王へ嫁いだ暁にはクビにしてやるから覚悟いたせ!」と喚き出した
何か不吉なことを口にした気がしたので聞いてみた。
「今なんておっしゃいましたか? 」
「うん? なんじゃ下郎気になったか?カカッ今更遅いんじゃが、聞かせるだけなら構わんかの
妾は、魔王田辺浩二の后になるべく参った者じゃ!
まだ、結婚しておらぬようじゃしのぅ? 」
(は? 誰の差し金だ?っと、考えても埒が明かんし……このまま、帰ったら側室連れて凱旋とかに、なりかねん!)そう思ったコージだったが、ここで正体表しても碌な事にならないだろうと予測
「はぁ、叔父上の妻ですか? それはまた大変ですねぇ……」と、目を逸らす俺
「叔父上じゃとぉ!?そ、そなた魔王の甥子か!!な、ななんと言う事じゃ!……ヤダもう私ったら♡今までの態度は冗談じゃ!許してたもれ?ウフフフ♡」っと、豹変ぷりにドン引きしてる俺
「い、いやぁ……豹変ぷりが凄いんですね?……ええと? 」どちら様?
「!妾とした事が!自己紹介もせずに失礼した!妾は愛の神エロスの友達の友達の向かいに住んでる母君の実家の近所の孫が、妾である!名は特に無い好きに呼べ」
(つまり最初から赤の他人ってことね?エロスとかまるで関係ないよね?)
好きに呼べ?なら……
「他人様と呼びますね? 」
「なんじゃ?田人とな? 確かに妾の実家は田植え農家じゃが……流石魔王の甥子じゃ、よくわかったのう」
(草か? 草の王の差し金か? ちょっと後で攻めに……)などと考えてたら、いつの間にか寝る時間になったので今日はここ迄って事にして寝た
「ふむ……なぁ甥子さんよ……ソナタ妾に何か隠してる事無いかの?」
朝、目覚めて馬に朝飯食わせて戻ってくると、突然言われた言葉が挨拶じゃないとかどんな育ち方してんだろうな?
「おはよう他人様今日も元気かい?」
と、挨拶するも「先に妾の質問に答えるべきだと思わぬか?甥子様よぅ? 」
と、まるで話にならない。わらわさん
「何も話す事は無いんですけど? どーせ鑑定持ちなら調べては如何かですか? 」と聞いてみれば
「そなたを調べても弾かれるのじゃよ……お主何者じゃ? 」
おやおや、わらわさんのレベルは俺より低いらしい事が発覚。観る相手のレベルが自分より高いとレジストされるのは、聖書に書いてある通りだったらしい。
「魔王の甥子のレベルが低いと何故思う? 」と、ニヤリとしてみると
納得したのか
「それもそうじゃのぅ……世界は広いのぅ」と、ため息まじりに呟く他人様
「ところで他人様」
「なんじゃ?甥子様」
「挨拶されたら挨拶返せと学ばなかったのか? 」呆れ混じりに聞いてみれば
「何故しなきゃならんのか分らん」と斜め方向からの攻撃(は? )ってなった俺の顔を見て、ふんぞり返って子供に諭すように語ってきた
「例えばの話をしようかのぅ? お主が魔王のおじ様に挨拶するのは当然じゃろう? だが、1番上の魔王様はどうじゃ? 挨拶するか? しないじゃろう? つまりだ……目上の者なのだから、する必要は無いのじゃ。わかるかの? 妾は魔王の妻になるのだから、No.2になる訳じゃ。妾が挨拶するのは魔王様だけじゃ分かったかのぅ? 」
(うっわー……マジで要らない子だった事が分かってよかったー……)
「そうですかそうですか。貴女様がどの様に育ってきたか知れて良かったです!有難うございます! 」
そういうと、何故か満足そうに頷いて机に足を乗せ、ふんぞり返りながら
「では、馬車を出してたも」
とか言い出した。
「アイアイサー! 」と返事をすると、口角を上げてニヤリと笑った他人様
そのまま、馬車をUターンして駅まで戻る。その動きには全く気付かずに天井を見上げては「クフフ」とか笑ってる。正直怖い……ので、とっとと棄てようと思います!
駅の裏側へと着くと「着きましたよ降りてください」と、素っ気なく言う
するとー……
「お主! エスコートも出来んのか? 全くやはり貴様はクビじゃ! 愚か者め! 」そう捨て台詞を吐いて馬車を降りたのを確認後
「ハイヨー馬くん! 」と、鞭を打つ振りをしつつダッシュでその場を離れた
遠くなる馬車にツバを吐き、ここは何処じゃとキョロキョロしてる他人さんの姿を消し去ると
草の王に連絡すべく村へと向けて馬車を飛ばした
村へと付くと馬車を達くんに任せて、一路ウンディーネの居る宿屋へと向かう。
扉を開けて中へ入ると親父が飯を食っていた
何だろう……「久し振り」っとつい声が出た
「……おう」こちらを見ずに生返事
まぁこんなもんかと、通り過ぎると奥から
「ちょっと!コージ、あんた親に対して冷たくないかい? 」と、言い出した
「いや、挨拶はしたろ? 」そういうと
「全く……育て方間違えたかね……」と溜息吐きながら奥へと消えた(なになに何よ? 世間話でもしろってのか? 久し振りって言ったらおうってだけで返されたのよ?その後どう繋げってのよ?)
「おい……何か出てるぞ?その黒い霧何だよ……文句あんなら溜め込まず吐き出せよ!魔王でも言いたい事があったら言えよ? 」と、親父
「ああ」とだけ言って去ろうとしたら
「愛想がねーなぁ……」と呟いたので
「あんたの真似しただけだよクソジジイ」と言ったら、睨まれた。「お父さんと言いなさい」と、言い始めた親父様……「は? なんか変なもんでも食ったのか? 大丈夫か? 」と、心配そうにしてやったのに
「もう直ぐ孫が出来るだろうが? だから口の聞き方を考えろってんだよ馬鹿息子」とか言い出した
「安心しろよクソ親父、親の真似して育っただけだ。文句があんならそちらへどうぞ」
「口の減らねぇクソガキだな、シノちゃんが嫁なんて本当に勿体無い」と言って新聞を読み始めた
「親に似たんだよ色ボケ爺」と返事してウンディーネの部屋へと向かった
そんな二人の大きな子供を見ながら
「シノちゃん、言葉使いはあの二人以外にしましょうね? 」「はい、お義母さま! 」
とか何とか話していたそうな。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる