消滅集落見付けて住んでたら異世界に行けた件

あるちゃいる

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47話

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 トントントン「ウンディーネいるー? 」
と声を掛けたが返事は無い……再びトントントン!
「ウンディーネ!居るよね⁉ 話があるんだ! 」
そう叫ぶとようやく扉が開いて田島が登場「なに? 」

 (あっれー? )何気に冷たい反応
「ウンディーネに用があるんだけど? 」といっても
「彼女は会いたくないそうだ、帰ってくれ」と、言って扉を閉めた

 なので、仕方無く家へと帰り椅子に座ったあと……
「ウンディーネ 召喚」と、呟いてみた

 「んなっ⁉ なんで⁉ コージと私は同格の筈よ⁉ それで何で召喚が出来るのよ⁉ あんた何したのよ‼ 」と、取り乱した

 「まだお前のがレベル上だろう? 観てみろよ」そう答えると、「この……クソ魔王」とか、悪態付きながらも鑑定した


名前︰田辺浩二(52)
種族︰※※※
性別︰♂
職業︰麹村村長
称号︰魔王、世界樹全権強代理(改)、世界樹キラー、世界樹の母、妖精王を泣かせた者、精霊王を屈服させた者
加護:世界樹の加護、魔王の加護

 「……何……これ……人種観えないとか何これ?あんた何になんの? ていうか、世界樹の母ってなによ! てか、もうツッコミどころ満載になってんじゃないよう!」

 更に読み進めた結果……
「魔王の加護って何よ⁉ あんた自分で自分に加護付けたの⁉ 馬鹿じゃないの⁉ 信じらんない……」

 「私を泣かせたからって何で称号何かになってんのよ! 」
もう、何なのよ……と、膝を付いて項垂れてしまった……

 「俺に言われたって分かんねーよ……取り敢えずだな」
項垂れてしまってるウンディーネの肩に手を置いて
「草の王に話があるんだよ」と、切り出した

 「な、何しようとしてるか、知らないけど……あれは一応神だからね? 変なことしないでよ? 」と、怯えて言われる

 「別にそんな怯えなくても良くね? 何かした? 俺……」
何となく落ち込んで答えると……
「何したか? 私達の親を殺したじゃない! その後復活させてたけど……」と、殺木者さつじんしゃ扱い

 「本当に何なのよ……正直怖いのよあんた……周りの反応見て分からない? 」
「妙に冷たいよね……何かした? 好きな様にしろと言ったのお前だろよ」と、スネ気味に答えると

 「好きな様に生きて、どーやったら魔王になるのよ⁉」
何故か襟首掴まれてる俺
「知らんがなとしか言えんよ 気付いたらなってた」

 呆れてしまって何も言えないウンディーネに
「それより馬車で街に行ったら変な巫女にあったんだよ、その巫女が俺の嫁になる為に来たってんだけど何か聞いてないか? 連れてくるとシノの腹に障ると思って捨てて来たけど……」
っと、何の話の繋がりも無かったが埒が明かんので、聞いてみた

 「知らないけど……それで、草の王にってこと? 別に戦争する訳じゃないのね? 」襟首から手を放し椅子に座ると溜息を吐くウンディーネ。そのまま、こちらを睨み付けると

 「あなたね……勝手に動くの止めなさい! 何かする時は相談してよ! なんの為に私達が居ると思ってんのよ! 貴方が何かする度に、魔王の影がチラつくんだからね⁉ だから、怖くなって離れていくのよ? シノちゃんだけなんだから! 貴方を怖くないの」

 「シノが俺は怖いよ……容赦ないからな」とつい微笑んでしまった。そんな、俺の微笑みを見て呆気に取られたウンディーネは暫く固まった後……盛大に溜息を付いて

 「あんた何も変わってなかったの?」と呟いた
「なんで変わったと思ったのか知らんけど」お茶葉を取りに行きながら答えると、急須と湯呑みを2つとり、急須に湯を入れて、カラの湯呑みをウンディーネの側に置いて御茶を注ぐ
自分の湯呑みにも注ぎながら一口のみ

 「俺は昔から変わってねーよ? 一人でここに住みだした頃から何にもな」と、朗らかに微笑んだ

 その微笑みは、初めてウンディーネと出会いノームも一緒に酒を酌み交わした日の夜と、何も変わっていなかった

 「これからは何かする時は、必ず相談するよ」とウンディーネを見ながら答えた

 「……分かった 御茶有難う」そういうと微笑んだ

御茶を飲み干したウンディーネは、草の王には私からも聞いて見るから、もう少し待ってくれと伝えて席を立つと
 「今日は帰るわね」と、一言言って外に出た

 外に出て階段を降りていくと田島が待っていた
「話し合いは終わった? 村長は変わってなかったろ? 」
と、肩に手を回しながら聞くと
「そうね……昔のままだった」と微笑んで寄り添いながら歩いていった



 その日のうちに私は草の王の元へと飛んだ。
魔王コージの話では、名も無き巫女が魔王の后になる為に、やって来た。誰かあの村に魔王が居ると告げたのか?消去法でコチラの世界の誰かだろう事は明白である。ならば、誰が言ったのか?臭いのは草だと言う

 「草の王よ、居るか?ウンディーネだ」
草の王の家は何処かの公園だった。千○県の広い公園だった、其処に最近は居るらしい。風が無いのに棚引く草が、私を目指して近寄ってくると
フワリと、私の前に現れた。

 『久しいな……息災か? 」
「ボチボチな……」緑色の髪に若草色の布を巻き、ススキで編んだ草鞋を履いて、草の椅子に座りながら此方を見ると
 「して? 何用じゃ? 妖精の王よ」お前が来てから花の調子が上がったの……元気になったわ

 「単刀直入に申す、魔王に巫女を送り込んだのはお前か? 」
「ほほほ、なんじゃ、もうバレたのか? 詰まらんのぅ」
そういうと、クスクスと嘲笑った草の王

 「魔王が偶然見付けてな……危うく戦争を仕掛けるところじゃったわ……どういうつもりか? 」

 「……魔王がそこ迄怒る事だったか? 案外器の小さき者のようじゃの? ……顔を青褪める程なのか……お前が? 」まるで、信じられない者でも観たかのように狼狽する草の王

 「最初に言ってこれ以上は言わんからよく聞けよ?草の……」
「やつは最愛の妻が居てのぅ? 今は臨月じゃ、障る者皆滅ぼすぞ? 」
「な!?それ程か? 何も感じぬが……」
「忠告はしたぞ? 草の……戦争の場合、妖精と精霊は魔王に組することだけは伝えてやる。世界樹の母になってしまったのでな。逆らえん」

 「なんじゃその変な称号……」と半ば呆れていうと
「ああ、最後にもう一つ……この世に私を召喚できる者が居た事があったか? 」ではな、草の王よ。そう言うと、ウンディーネは泉に入ると溶けるように居なくなった

 「ははは、なんの冗談だ? ウンディーネを召喚だと?……ははは……」
そんなの冗談だろう? と、思ったが……冗談で言う話ではなかったと思い至ると「……誰かある」

 「はっ……これに。」と、出て来たのはカエルだった。
草の王の側近にして使い魔の殿様蛙である。
 「障り巫女さわりみこを呼び戻せ、駄々を捏ねるようなら強引でも構わぬ」
 「はっ! 」っと、本人はいったつもりであったが
草の王には、「ゲコ! 」と聴こえただけだった……
まぁ、仕事はちゃんとやる(筈の)蛙なので不安は無いが……



 コージに駅の裏手に棄てられた巫女は未だに裏手の空き地で魔王を探していた

 「おかしいのぅ……どの辺に空間があるんじゃ?異次元空間に引き摺りこまれたいのに……」

 何かの特撮を昔から観ていた為に、魔王は異次元空間に引きずり込めぇ! が、口癖だと本気で思っている巫女だった。「おかしぃのぅおかしぃのぅ」とブツブツ言いながらアッチへフラフラコッチへフラフラしていた。障り巫女

 そんな姿を遠くから眺めていた殿様蛙は
アレはアレでもうそのまま放っといても良いのでは無いかと思い始めていた。

 だがしかし、草の王の意見は最重要であるので、声だけでも掛ける事にしたカエル

 「そこな巫女そこな巫女」
「む? 何じゃ草の所のカエルではないか……なんぞようかの? 妾は忙しいんじゃ」

「草の王が呼んでおります、ご同行を……」

「はぁ? 妾を呼び出せる者は最早魔王しか居らぬぞよ? 青臭い草の王如きが呼び出そう等と……全く何様じゃ! 妾に用があるなら迎えを寄越せと伝えよ! 」

「……来てんだろ」蛙の迎えは迎えじゃねーとか?言うんかコラ!あぁん?

「草の王自ら来いってことじゃ! 蛙の脳みそは小さ過ぎてわからなかったのかぇ? そら、すまんかったのぉ? 分かったら失せろカエル」

「……」(放置しよう)
蛙は余りの妄想っぷりに辟易してしまい、報告しに帰った

蛙は、駅裏での障り巫女の行動から推測できる話をし、態度に立腹した跡依頼を断り池に帰った。

 「むむ……。あのカエルをあそこ迄怒らすとは流石ではあるが……どうした物か……」と、頭を悩ます事になった

(放っておいても、障り巫女は魔王とは気付かないだろうが、もしまた出会う事があると……わし燃えかすにならんかな……魔王の攻撃で)

(地表が焼け爛れ熱しか無かった時代、冷やして鎮めたのがウンディーネだったという。その様な昔からこの星を生きて来た妖精を呼び出せる者は神くらいしか居らぬと思って居たが……)
魔王の恐ろしさにガクブルして草の王は震えていた。しかも、密偵の話じゃ妖精王を泣かせたとかいう話もある……時のアーサー王子を叱咤した妖精王、そんな奴を泣かせるなどガクガクしかせんわ

草の王は
「困ったのぅ困ったのぅ」と言いながらその場をぐるぐる回りだした
その頃障り巫女は
「困ったのぅおかしぃのぅ」と言いながらその場をぐるぐる回って居るそうな

コージが馬車で近くを通って(栗田さんを迎えに来た)も、見向きもしないで、魔王の引き摺り込みを求めて彷徨っているらしい

そのうちコージも巫女の事など忘れてしまい、そのまま放置された

そののち数十年間探し回ったお陰で思念が表面化し始め、人の目にも見える化された障り巫女、回る巫女として心霊スポットの名所として有名になるのだが……それはまた別のお話


そして草の王もまた
「困ったのぅ困ったのぅ」と延々と回り
積み重なったお陰でミステリーサークルが公園の草原に出来上がり、人気に拍車が掛かったお陰で
渋滞が増え、本格的に大気汚染が深刻化した豊○町長は頭を悩ますのであった

◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆

「あ!コージくん」と、黑電話を握りしめながら、村役場で仕事をしていた聖人兄さんは俺を呼び止めこう言った
「お姉さんを駅まで迎えに行ってくれる? 」

俺は我が耳を疑った。
「……え? 」と、聞き返してしまうくらい驚いた

「いや、僕でも良かったんだけど、暫く手が離せなくってさ……」

俺は直ぐに、代わりに行ける奴を考えた
亮介……酒蔵
親父……遠征で兎狩り
月島……遠征で兎狩り
田島……ウンディーネと川掃除
新島……娘達と川掃除
おやっさんと弟子はそもそも子供体型……

他に人類は……居なかった
「あ! 内田居るじゃん! 」
「え? 」と、たまたまその辺を飛んでた内田が返事をした。割烹着着て両手に買い物かごを持って現れた内田
「何か用?俺忙しいんだけど? 」
「あ、うんごめん!何でも無い……」
「そ? んじゃな!」と手だけをフリフリしながら去った

「……ベロでも呼び出すか……」と呟くと
「暇なお前が行けよ」と偶々飛んでた翅妖精にツッコまれた

「はぁぁ…仕方ねぇ……か」とトボトボと馬車へと向かう背中に哀愁が漂っていたと
その背中を見送った妖精が話していたという。



    
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