消滅集落見付けて住んでたら異世界に行けた件

56話

　新住人である猫又の朝は何気に早い午前3時に起き出して身支度をして3:30には家を出る、歩幅は猫なのと、二足歩行だからか一歩が普通の人間の五分の一かそれ以下で、兎に角遅いので家を早く出ないと出勤時間に間に合わないのだ。

　今日は内田料理屋の裏手にあるトマト妖精のトマヒさん宅の畑を耕しに行く日であったので、公民館下の家から下って川沿いを歩き橋を渡って向かう

　昔はこの川に橋はなく川向うには行かれなかったそうだ、内田さんがトマト専門店を作らなかったら無かった橋だという。

　今じゃ橋の真ん中では釣りをしたり、夏には泳いだり橋から飛び降りたりする狼人の子供が多い、水深が浅い為やめなさいと言っても訊かない子ばかりで偶に黒い霧を出す村長が借り出されてる。

　ただ村長の場合一緒に遊んでしまってもっと悪いと竹筏を作って川を下ろうとするから、お目付け役は必要だったりする。

　子供達以上に遊んでしまって度々子供達から注意する様にと他の大人を呼びに来るってんだから……全く……

　その時は内田さんを呼ぶと良いらしい
言葉使いは悪いが最終手段をよく知ってるし飛べるので呼びに行くのが早いらしい

　奥さんのシルフさんは昼間は殆ど居ないのだそうだ、夜間も偶に呼ばれる事があるし、大変そうだ。原因は村長らしいけど……

　この村に来て初めて教わったのが村長の扱い方だった。最初は「？」だった事も、やらかした事を暫く聴けば誰もが皆納得し行動してくれる

　村長と遊ぶときは必ず内田さんの許可を貰いに行って翅妖精を連れて行かなければならない。
これは連絡できる手段を持たない子供達の身の危険を助ける為でもある

　あくまでも、村長を通報する為のでは無く
身の安全を確保する為の手段である
それ以外には、身体能力が高ければ逃げて行けるだろうってのがあって、ちゃんと試験もある

　一番良いのは、シノ様と仲良くなる事だそうで
一番手っ取り早く、お友達として遊びに行って仲良くしてる所を村長に見てもらう。すると、遊んでる所に村長が来ても調子に乗らないそうで。

　なので生まれ子は外で遊べる歳になるとシノ様に
一番に挨拶に行き、遊ぶ行事ができた。
　私共猫又も一番最初にしたのが奥様へのお目通りでしたから。裏ボスだそうで……

　あら、お話してると早いですねたどり着くのが
それでは、これから仕事ですのでまたいつかお会いしましょう

　因みに耕すのは農耕牛という、とても小さな牛で、小型犬くらいの大きさの牛に器具を着けて、その上に私が乗り、重りにして耕すそうで、大して力は使わないんです。二度寝には丁度よいそうで、中々人気なんですよ？

　一番人気のお仕事はテスター？と言うものらしく
日本酒の利き酒をするだけだそうで、うちの又兵衛何かはずーとそればかりやりたがりブーイングが起こってるとかなんとか……

　あ、申し遅れました又兵衛の妻で……
お引けぇなすって！
わたくし 生まれも育ちも 鹿児島、指宿です
鰻池で産湯を使い 姓は木天蓼 名はゆび
人呼んでマグマの指姫と発します
とかく西へ行きましても 東へ行きまし…………
っと、こんな感じで猫又も仲良くやってるようです