消滅集落見付けて住んでたら異世界に行けた件

お茶会②

　暫く休んだあと再び中村くんと対峙する。
　顔を見ると血色は良くなっていたので、次の食品（ポイもの）をテーブルに置く。

　「こ、これはなんですか？」
　「見ての通りホールケーキだよ！」
　
　二十号の大きさのケーキには白い生クリームが全体的に塗られ、イチゴっぽい物が乗っかっている。

　中村くんが匂いを嗅いでいたので、4つに切ると中を見せた。

　「…………あの……何か動いてるみたいなんですけど……」

　中を覗いた瞬間鳥肌が腕に立ちボツボツとしていた。

　「うん！活きが良いのを見繕ったからね！」
　「……因みにこれは……」
　何故か再び顔を青褪めさせてる中村くんに見たままを伝える。

　「見ての通り！虫ケーキだよ！」
　生クリーム風になってるのは三回濾してクリーミーにした芋虫を蒸かしたやつ。
　蝉の幼虫を飴に潜らせたなんちゃってイチゴに
　スポンジの間にはミルワームがこれでもかとふんだんに使っている。

　「さ、食べてみてくれ」
　「……ガチで無理です」
　「美味しいよ？（多分）」
　「試食はしたんですか？」
　「うん！（蜂君が）」
　「人が試食してますか？」
　「……ちっ」

　中々食べない中村くんに突っ込まれ仕方なく諦める村長と、ちゃんと質問して良かったと安堵する中村くん。



　「じゃあ次ね……」
　何故かガッカリしてる村長をジト目で見詰める中村くん。

　次にと出されたケーキは比較的マトモだった。

　「モンブランです！」
　「ちゃんとした食材を使ってるんですか？」
　「……ちっ」

　そう疑わしそうな目で訴える中村くんに再び舌打ちをしたあと、片付ける村長。

　どんな食材を使って作ったのか聞きたいような聞きたくないような複雑な面持ちだった中村くんは結局聞くのを辞めた。

　「……ケーキはもう辞めようかな……」と、ポツリと呟くと今日は取り敢えずもういいやと言われ、帰ることにした。

　再び空中を中村くんを抱えたまま飛び降りると、また今度試す時は呼んでも良いか訪ねた。

　「あ、はい……元気だったら……」

　そう言うと中村くんはフラフラしながら帰っていった。



◇



　「ただいまー！帰ったよー」
　寄り道しないで家へ帰ると子供達が出迎える。

　「お土産は？」
　と、クビを傾げられたので生肉で作ったモンブラン風のケーキを出した。

　「何これ？なんか良い匂い……」
　そういって喜んで狼の尻尾を振る。

　「次の試食は蜂くんに頼もうかな」
　そんな事を呟いて喜ぶ子供達を眺める村長だった。