稲荷印の焼き芋屋

あるちゃいる

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 マダムは気絶させられた後、たぬ吉の仲間だという男達に連れて行かれた。
 次の日にはたぬ吉本人もタワマンに来てくれたので、ゴンは今後如何したら良いか相談すると

 「ゴンは焼き芋屋をやりたいんだろ? なら、次は運転免許なんだけど……教習所に通いながら、少し勉強しようか」
 「勉強?」
 「そうだ、個人でやりたいんだよな? 焼き芋屋」
 「うん、地元でサツマイモ育ててるだろ? それを使いたいんだよ」
 「肉食の癖に畑やってたよな……お前の村」
 「芋を目当てに来る猪とかを狙ってたんだけど、それでも食料足りないんで如何にか金に変えれないかと思ってさ」

 村を追い出されたゴンだったが、還元したいという。
 たぬ吉には分からない思いだったが、ならやっぱり勉強をする様に提案した。
 消滅集落をそのまま狐達が住み着き暮らして居るゴンの実家にも、一応小中学校が登録を抹消されずに残っている。
 それを利用しようと考えたたぬ吉は地元の中学から都内の学校に転入申請を出す様に提案。

 その日からゴンは中学に通うことになった。
 人間の常識を学ぶ必要がある為だった。
 塾も経営していたたぬ吉は名古屋から家庭教師を連れてきた。
 明け方から昼間はゴンは寝る為、授業中は寝て過ごす事が頻繁で、中々憶えが悪かった為、学校から帰って来たらすぐに常識の勉強をさせる為だ。
 学業の方は夕方からは塾へ通わせるので問題はなかった。

 バイトがまるで出来なくなって収入が無くなったゴンだったが、ホストで稼いだ金とマダムを操った狸達がゴンに似せて化け、潰れたホストクラブを格安で買い、そのあとの店でBarをやり始めた。

 人類側から見ればパトロンと一緒に店をやり始めた様に映る。
 チャンスをモノにした男として、まぁまぁ流行る店となっていた。

 なので、たぬ吉はその店の売上をゴンの生活費に宛ててくれていた。
 流石に悪いからと言って断ろうとしたゴンを制して、これはお礼だという。
 なんのお礼か分からなかったゴンは、たぬ吉に聞いた。

 「東京にも拠点が出来たからな、その礼だよ」

 と、言っていた。
 因みにたぬ吉がこのタワマンに来る時はマダムに化けてくる。
 最初見た時、ゴンは恐怖に震える事になった。
 蘇る獣姦強要の恐怖で、人型からうっかり狐に戻ってしまう程の恐怖だったという。

 「ごめん!ゴン、俺だ俺!たぬ吉だよ!」

 そういって笑い出すまでカタカタと震えていた。

 マダムはひとり暮らしだった事もあり、狸達は簡単に背取りが出来たと喜んだ。

 頃合いを見て完全に乗っ取る事になるが、それは別の話になるので割愛する。







 昼間は中学校と家庭教師、夜は塾とで勉強漬けにされたゴンは、土日を使って教習所に通う事になった。

 その都度化け方が変わるので、偶に間違えて教習所に通う姿で中学に通ったりしたのだが、イケメンだった事もありお兄さんと思われ特に問題なく過ごせていた。

 一年間中学に通いながら家庭教師と塾で常識と学問を学んだゴンは、ようやく人間らしく振る舞える様になっていった。

 卒業出来る時期になる頃は運転免許も取れ、ようやくスタート地点までたどり着く事が出来た。

 タワマンに住みながら焼き芋屋をするのは少し目立つと言うので、タワマンをたぬ吉に売り払い、千葉に引っ越したゴンは軽トラを買い改造する。
 普通は薪をや炊いて石焼き芋を作るのだが、狐には狐火があるので薪代を浮かせる事に成功した。

 サツマイモも地元から着払いで送られて来るので、運送代だけ払えば仕入れ代もそれなりに安く済んた。

 赤い暖簾を買い、目立つ様に稲荷の白キツネを店のマークにして、ようやく念願の石焼き芋屋を始める事が出来た。

 
 

 
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