半ケツブランコ

あるちゃいる

文字の大きさ
1 / 1

男らしかったのになぁ……

しおりを挟む
 僕は小学一年生まで埼玉の三郷市で育った
まだ開発途上で三郷駅の周りが赤土で覆われていた時代だ。近所のラーメン屋さんでラーメン一杯270円の時代だ。自動販売機に三角形の牛乳が売られていた時代だよ

 小学二年生から千葉県の船橋市に住んだ。僕のうちは山に囲まれていて、夏になると網戸目掛けてカブトムシやクワガタ虫が突撃して来る時も屡々あり、網戸を開けていると結構大変になる時もあった。

 一度うっかり開けっ放しにして電気を付けたまま寝てしまった時があった。朝に目を覚したら、部屋中にカブトムシ♂♀カナブン、クワガタ♂♀、ガ、蝶、各種蝉が、所狭しと這いずり回り……それはもうトラウマレベルに衝撃的な光景だった。お陰で今でもカブトムシすら触れなくなった。

 で、なれない場所で友達とも離された僕は、友達の作り方を忘れてしまった様で、ずーっとボッチだった。小学二年生でぼっちは意外と辛くて、休みがちになり、それが小学3年生まで続いた。

 それを気にしたのか、一度連休を使って埼玉に遊びに行かせてくれた、もちろん親も一緒に。
僕はもちろんはしゃいでた。久しぶりの友達に会えると思っていたから。

 だけど、たった二年で知らない街に成ってた。駅前にあった空き地はなくなりアスファルトで覆われていた。

 商店が何軒か建っていて人の行き交う量も増えていた。田んぼの横の小川は無くなり田んぼも埋められ一戸建ての新築が並んで建っていた。

 小学校の周りも開発の手が入っていたし、行きつけのラーメン屋は無くなって雑居ビルが建っていた。

 ただ変わらなかった物もあった。
それが、僕が住んでた団地だった。

 新しくマンションも建っていたから景色は変わっていなかった。人の通りは多かったけど、幼稚園もあったし、団地と団地の間の公園もちゃんとあった。

 連休中だから居ない子も居るかもと思っていたけど、テレビの音が聴こえていたから訪ねてみたら、知らない人だった。

 聞いたら引っ越したと言われた。ガッカリしたけど、まだ誰か居るかもと思って、色んな家を訪ねたけど留守だったり、知らない人だったりで全く会えなかった。

 訪ね歩いた家が多かったからか、辺りは夕方に染まりつつあった。

 トボトボと歩いていると、数人で乗るブランコに見た顔があった!あまり仲良くは無かったし、当時の僕はガキ大将だったので、その子は子分みたいな立場だった。同じ年ではあったのだけどね?

 余りにも会えない人が多すぎて、その子にも一応面識があったから、声を掛けたんだ。するとその子は

「俺が今のガキ大将だ!お前の居場所はねーよ」

そう言って一人で4人乗りのブランコをガッチャンガッチャンいわせて乗っていた。

半ケツで……

僕はなんて声を掛けていいか分からなくて暫く見てたんだ……半ケツの彼を。そしたら……

「もう帰れよ」

そう言ってまた、ガッチャンガッチャンいわせてブランコを動かした

半ケツ出したまま……

 これ以上そこに居られなくなった僕は駆け出してた
何故?なぜ彼は半ケツ出してブランコに!?
今思い出しても謎だった

 その日は母の知り合いの家に泊まった歩き疲れたのか僕はすぐに眠りに付いた。

 その次の日は、ぼーっと外にいた
近所中知り合いはいなかったから……
すると、二人の少年が話しながらこっちに歩いてきた
その顔を僕は見て走り出した

「ゲンチャン!」

仲良しだったゲンチャンだった
僕は嬉しくてゲンチャンに近寄ろうとしたら
その隣の子が

「そこで止まれ!」

って言ってきたんだ
その子も子分的な立場の子だった
その子は僕をキッと睨みつけて言ったんだよ

「ゲンは俺のだ!お前のものじゃもう無いんだぞ!」

そう言って威嚇して来たんだ
僕は何を言われているのか分からなくてゲンチャンを見たら……何故顔を赤らめてるんだ!?
僕はさらに困惑したんだ。だってただのに、話しかけただけなのにまるでみたいな反応をするんだぞ⁉困惑しない訳が無いだろう!?
しばらく唖然と佇んでいたらその子が言うんだよ

「証拠を見せてやるよ!おいゲン!」

そう言ったかと思ったら二人でキスし始めたんだよ
わかる?その時の僕の表情。信じられない顔だったと思うよ?いくら、小学3年生とはいえ、キスの意味は分かるし、まして……男同士でキスなんて初めて見たよ!

 そのまま、数分だったかなキスしてたの
唖然呆然で眺めてたら

「クチュ……チュ……ンチュ……」

って音がしてきたんだよ。分かる⁉その時の僕の表情!舌と舌が絡まるシーンなんてテレビでさえやってなかったんだよ⁉生まれて初めて見たディープキスが男同士という衝撃!

トラウマレベル超えた瞬間だったよ……

そんな事もあってさ、僕の知らない街に成ってたんだよ、三郷市……埼玉はこうして僕の記憶から強制排除されたんだ

 あれから何年経つんだろ。今でも行けないんだよね埼玉……なんか、怖くて……



    
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【1分読書】意味が分かると怖いおとぎばなし

響ぴあの
ホラー
【1分読書】 意味が分かるとこわいおとぎ話。 意外な事実や知らなかった裏話。 浦島太郎は神になった。桃太郎の闇。本当に怖いかちかち山。かぐや姫は宇宙人。白雪姫の王子の誤算。舌切りすずめは三角関係の話。早く人間になりたい人魚姫。本当は怖い眠り姫、シンデレラ、さるかに合戦、はなさかじいさん、犬の呪いなどなど面白い雑学と創作短編をお楽しみください。 どこから読んでも大丈夫です。1話完結ショートショート。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...