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男らしかったのになぁ……
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僕は小学一年生まで埼玉の三郷市で育った
まだ開発途上で三郷駅の周りが赤土で覆われていた時代だ。近所のラーメン屋さんでラーメン一杯270円の時代だ。自動販売機に三角形の牛乳が売られていた時代だよ
小学二年生から千葉県の船橋市に住んだ。僕のうちは山に囲まれていて、夏になると網戸目掛けてカブトムシやクワガタ虫が突撃して来る時も屡々あり、網戸を開けていると結構大変になる時もあった。
一度うっかり開けっ放しにして電気を付けたまま寝てしまった時があった。朝に目を覚したら、部屋中にカブトムシ♂♀カナブン、クワガタ♂♀、ガ、蝶、各種蝉が、所狭しと這いずり回り……それはもうトラウマレベルに衝撃的な光景だった。お陰で今でもカブトムシすら触れなくなった。
で、なれない場所で友達とも離された僕は、友達の作り方を忘れてしまった様で、ずーっとボッチだった。小学二年生でぼっちは意外と辛くて、休みがちになり、それが小学3年生まで続いた。
それを気にしたのか、一度連休を使って埼玉に遊びに行かせてくれた、もちろん親も一緒に。
僕はもちろんはしゃいでた。久しぶりの友達に会えると思っていたから。
だけど、たった二年で知らない街に成ってた。駅前にあった空き地はなくなりアスファルトで覆われていた。
商店が何軒か建っていて人の行き交う量も増えていた。田んぼの横の小川は無くなり田んぼも埋められ一戸建ての新築が並んで建っていた。
小学校の周りも開発の手が入っていたし、行きつけのラーメン屋は無くなって雑居ビルが建っていた。
ただ変わらなかった物もあった。
それが、僕が住んでた団地だった。
新しくマンションも建っていたから景色は変わっていなかった。人の通りは多かったけど、幼稚園もあったし、団地と団地の間の公園もちゃんとあった。
連休中だから居ない子も居るかもと思っていたけど、テレビの音が聴こえていたから訪ねてみたら、知らない人だった。
聞いたら引っ越したと言われた。ガッカリしたけど、まだ誰か居るかもと思って、色んな家を訪ねたけど留守だったり、知らない人だったりで全く会えなかった。
訪ね歩いた家が多かったからか、辺りは夕方に染まりつつあった。
トボトボと歩いていると、数人で乗るブランコに見た顔があった!あまり仲良くは無かったし、当時の僕はガキ大将だったので、その子は子分みたいな立場だった。同じ年ではあったのだけどね?
余りにも会えない人が多すぎて、その子にも一応面識があったから、声を掛けたんだ。するとその子は
「俺が今のガキ大将だ!お前の居場所はねーよ」
そう言って一人で4人乗りのブランコをガッチャンガッチャンいわせて乗っていた。
半ケツで……
僕はなんて声を掛けていいか分からなくて暫く見てたんだ……半ケツの彼を。そしたら……
「もう帰れよ」
そう言ってまた、ガッチャンガッチャンいわせてブランコを動かした
半ケツ出したまま……
これ以上そこに居られなくなった僕は駆け出してた
何故?なぜ彼は半ケツ出してブランコに!?
今思い出しても謎だった
その日は母の知り合いの家に泊まった歩き疲れたのか僕はすぐに眠りに付いた。
その次の日は、ぼーっと外にいた
近所中知り合いはいなかったから……
すると、二人の少年が話しながらこっちに歩いてきた
その顔を僕は見て走り出した
「ゲンチャン!」
仲良しだったゲンチャンだった
僕は嬉しくてゲンチャンに近寄ろうとしたら
その隣の子が
「そこで止まれ!」
って言ってきたんだ
その子も子分的な立場の子だった
その子は僕をキッと睨みつけて言ったんだよ
「ゲンは俺のだ!お前のものじゃもう無いんだぞ!」
そう言って威嚇して来たんだ
僕は何を言われているのか分からなくてゲンチャンを見たら……何故顔を赤らめてるんだ!?
僕はさらに困惑したんだ。だってただの友達に、話しかけただけなのにまるで恋人みたいな反応をするんだぞ⁉困惑しない訳が無いだろう!?
しばらく唖然と佇んでいたらその子が言うんだよ
「証拠を見せてやるよ!おいゲン!」
そう言ったかと思ったら二人でキスし始めたんだよ
わかる?その時の僕の表情。信じられない顔だったと思うよ?いくら、小学3年生とはいえ、キスの意味は分かるし、まして……男同士でキスなんて初めて見たよ!
そのまま、数分だったかなキスしてたの
唖然呆然で眺めてたら
「クチュ……チュ……ンチュ……」
って音がしてきたんだよ。分かる⁉その時の僕の表情!舌と舌が絡まるシーンなんてテレビでさえやってなかったんだよ⁉生まれて初めて見たディープキスが男同士という衝撃!
トラウマレベル超えた瞬間だったよ……
そんな事もあってさ、僕の知らない街に成ってたんだよ、三郷市……埼玉はこうして僕の記憶から強制排除されたんだ
あれから何年経つんだろ。今でも行けないんだよね埼玉……なんか、怖くて……
まだ開発途上で三郷駅の周りが赤土で覆われていた時代だ。近所のラーメン屋さんでラーメン一杯270円の時代だ。自動販売機に三角形の牛乳が売られていた時代だよ
小学二年生から千葉県の船橋市に住んだ。僕のうちは山に囲まれていて、夏になると網戸目掛けてカブトムシやクワガタ虫が突撃して来る時も屡々あり、網戸を開けていると結構大変になる時もあった。
一度うっかり開けっ放しにして電気を付けたまま寝てしまった時があった。朝に目を覚したら、部屋中にカブトムシ♂♀カナブン、クワガタ♂♀、ガ、蝶、各種蝉が、所狭しと這いずり回り……それはもうトラウマレベルに衝撃的な光景だった。お陰で今でもカブトムシすら触れなくなった。
で、なれない場所で友達とも離された僕は、友達の作り方を忘れてしまった様で、ずーっとボッチだった。小学二年生でぼっちは意外と辛くて、休みがちになり、それが小学3年生まで続いた。
それを気にしたのか、一度連休を使って埼玉に遊びに行かせてくれた、もちろん親も一緒に。
僕はもちろんはしゃいでた。久しぶりの友達に会えると思っていたから。
だけど、たった二年で知らない街に成ってた。駅前にあった空き地はなくなりアスファルトで覆われていた。
商店が何軒か建っていて人の行き交う量も増えていた。田んぼの横の小川は無くなり田んぼも埋められ一戸建ての新築が並んで建っていた。
小学校の周りも開発の手が入っていたし、行きつけのラーメン屋は無くなって雑居ビルが建っていた。
ただ変わらなかった物もあった。
それが、僕が住んでた団地だった。
新しくマンションも建っていたから景色は変わっていなかった。人の通りは多かったけど、幼稚園もあったし、団地と団地の間の公園もちゃんとあった。
連休中だから居ない子も居るかもと思っていたけど、テレビの音が聴こえていたから訪ねてみたら、知らない人だった。
聞いたら引っ越したと言われた。ガッカリしたけど、まだ誰か居るかもと思って、色んな家を訪ねたけど留守だったり、知らない人だったりで全く会えなかった。
訪ね歩いた家が多かったからか、辺りは夕方に染まりつつあった。
トボトボと歩いていると、数人で乗るブランコに見た顔があった!あまり仲良くは無かったし、当時の僕はガキ大将だったので、その子は子分みたいな立場だった。同じ年ではあったのだけどね?
余りにも会えない人が多すぎて、その子にも一応面識があったから、声を掛けたんだ。するとその子は
「俺が今のガキ大将だ!お前の居場所はねーよ」
そう言って一人で4人乗りのブランコをガッチャンガッチャンいわせて乗っていた。
半ケツで……
僕はなんて声を掛けていいか分からなくて暫く見てたんだ……半ケツの彼を。そしたら……
「もう帰れよ」
そう言ってまた、ガッチャンガッチャンいわせてブランコを動かした
半ケツ出したまま……
これ以上そこに居られなくなった僕は駆け出してた
何故?なぜ彼は半ケツ出してブランコに!?
今思い出しても謎だった
その日は母の知り合いの家に泊まった歩き疲れたのか僕はすぐに眠りに付いた。
その次の日は、ぼーっと外にいた
近所中知り合いはいなかったから……
すると、二人の少年が話しながらこっちに歩いてきた
その顔を僕は見て走り出した
「ゲンチャン!」
仲良しだったゲンチャンだった
僕は嬉しくてゲンチャンに近寄ろうとしたら
その隣の子が
「そこで止まれ!」
って言ってきたんだ
その子も子分的な立場の子だった
その子は僕をキッと睨みつけて言ったんだよ
「ゲンは俺のだ!お前のものじゃもう無いんだぞ!」
そう言って威嚇して来たんだ
僕は何を言われているのか分からなくてゲンチャンを見たら……何故顔を赤らめてるんだ!?
僕はさらに困惑したんだ。だってただの友達に、話しかけただけなのにまるで恋人みたいな反応をするんだぞ⁉困惑しない訳が無いだろう!?
しばらく唖然と佇んでいたらその子が言うんだよ
「証拠を見せてやるよ!おいゲン!」
そう言ったかと思ったら二人でキスし始めたんだよ
わかる?その時の僕の表情。信じられない顔だったと思うよ?いくら、小学3年生とはいえ、キスの意味は分かるし、まして……男同士でキスなんて初めて見たよ!
そのまま、数分だったかなキスしてたの
唖然呆然で眺めてたら
「クチュ……チュ……ンチュ……」
って音がしてきたんだよ。分かる⁉その時の僕の表情!舌と舌が絡まるシーンなんてテレビでさえやってなかったんだよ⁉生まれて初めて見たディープキスが男同士という衝撃!
トラウマレベル超えた瞬間だったよ……
そんな事もあってさ、僕の知らない街に成ってたんだよ、三郷市……埼玉はこうして僕の記憶から強制排除されたんだ
あれから何年経つんだろ。今でも行けないんだよね埼玉……なんか、怖くて……
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