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始まり
しおりを挟む今日は僕が捨てられて10年目になる年だった、僕の国では教会が孤児院を任されている、10年目になる子はみんなシスターの力で自分の中に眠る存在の力を引き出す儀式が行われる。
これによって様々な職業に就くことが出来る
王律法第一条一節
この国では働く事は義務である、例え孤児であっても働く事は絶対なる権利であり義務である。
存在の力が何も無くても働かなければならない、もしこれを破る者や邪魔をする者は誰であろうと貴族であろうと許す事はない、必ず極刑を申し渡す。
王律法第一条二節
怪我や病気で働けなくなった場合はその限りでは無い、怪我や病気以外で働けなくなった場合、それが故意であった場合はそれを犯した者の財産を没収し、それの賠償金として受け取れる物とする。
つまり、貴族の子供だろうと平民の子供であろうと孤児院の子供であろうと生きたいなら働けって事
とてもシンプルで良い事だと思う。
家が裕福でも子供は産まれてから10年目には、働かなければ成らない。
成人は15歳からで、見習い期間が5年間ある。その間に1人前になって貰う為に10歳から働くのだ。
それがこの国の法律になっていた。 ただ、このシステムで伝えられた職業は決して絶対それに就かなければ成らない訳ではない。あくまでも参考にせよと言ってるだけだった。
今年は随分審査を受ける子が多い様で、中々順番が廻ってこなかった。そのうち日が暮れて夜になっても一向に呼ばれなかった。もしかして年を間違えてるのか?そう疑問に思えてきた頃、ようやく僕の名前が呼ばれた。
もう朝焼けで白々と東の空が明るくなり始めていた、まぁ僕は待っていただけなので其処まで大変では無かった。
大変なのは寧ろシスターだったであろう。
やっと最後の一人だと歓声があがるほど嬉しかったようだが、直ぐにその声は静まった、誰かの怒る声が聴こえたしね。
「サーチネル!サーチネルは居ますか?」
薄暗い広場を探す様にキョロキョロして僕を見付けると
「サーチ!早くしなさい!」と呼ばれ
「名前を呼ばれたら返事をしなさい!」と怒られた。
「では奥へ!シスターマエリア!案内して差し上げて」そう言われたシスターマエリアはサササッと俺の前に立ち
「コチラです」と恭しく手を背中に回して押した
中央には両手を挙げて日の光の中に立って祈りを捧げるシスターが居た、シャーマンと呼ばれる方達だ。
そして「サーチネル‥私の前に…」
そう言われたので前に立つと上げていた両手がユックリ降りて来て肩に乗せられた。
そして「彼の職業は…Bourbon!!!」
確かにシャーマンはそう言った……教会内は静まり返り、誰一人として動く者は居なかった。
その直後に全員の溜息が教会内を包んだ……
今迄一度も出て来なかった職業は必ず王様へ報告しなければイケなかったから……
まぁこの場で一番困惑してるのは絶対に誰あろう
僕である(何だろう【Bourbon】)そもそも何て書いてあるのだろう、全く読めなかった
この国の文献にも載ってないかも知れないし、見た事と無い文字だった、そのまま待つように言ってから報告へと向かったシスターマエリア。僕は椅子に腰掛け少し眠る事にした。
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