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7話
しおりを挟む沖縄から羽田に来て田中と大塚氏と別れた俺は今、行きなれた繁華街を彷徨いている。
引っ越しの準備と言っても、持ち運ぶ物は衣類や何かで特に大きな物は無いし、ベッドは捨てて行くので集めても2㎥あるか無いかしか荷物は無い。
やる事は明日にならないと出来ない事ばかりだったので、今夜はちょっとお高め目のキャバクラにでも行こうかと、金も卸してきた。
って言っても田舎の街のキャバクラだ。
纏まった金が当たる前は、指名込みで2時間一万円の店に通っていたが、今回行くのは2時間七万円という店だ。
この界隈で一番高い店ではあるが、都内とかと比べると安目なのだそうだ。
俺は都内は行った事が無いので、比較はできないし、もしかしたらもっと安いのかも知れないが、呑んでから電車に乗るのが嫌なので、地元の店にしか行ったことはない。
その店に着いて早々ご指名は?と、聞かれた所で初来店だ。
取りあえず適当にっと頼んで案内された席に座る。
ドキドキしながら出された付近で手を拭くと、えらい若い子が来てしまった。
最初こそ話は合わないだろうと思って時間まで居てもらって、次の子に……っと、思ってたが、これが中々話のわかる子で、むしろ俺の方が知識足らずで教わる事が多かった。
まだ指名客が居ないと聞いたので、そのまま指名して、捨てるつもりでボトルを頼む。五十万くらいの横文字で書かれたよく分からない酒を頼むと、喜んでくれた。
その後はお決まりのお仕事何してるんですかー的な話をする訳だが、当然今は無職なのでそう言う。
そう言うとお高いお酒を頼むくらいだから、資産家なんですねー?と言うので、これまた違うと言うと、考え込んでから
ヤーンわからなぁいとか可愛い声で言うもんだから、纏まった金が当たりまして~と言うと、食い付いてきた。
其処からはくだらない話とか真面目な話やらして、ガンガン飲まされた。
捨てるつもりだった酒はいつの間にか飲み干していて、記憶が曖昧になりながら帰宅した。
次の日になり、大家と不動産屋に電話して契約の破棄を申請し、役所に向かって転移届を出してもらった後に、引越し屋に電話して予約する。
大して時間も掛からなかったから、部屋に帰って少し寝ようかとアパートに向かうと誰かが立ってた。
「こんにちは~」と、声を掛けられ適当に会釈すると通り過ぎようとする俺の腕を掴むじゃないか。
俺が惑って振り向くと、その娘は覚えてませんか? とか聴くわけだ。
で、よーく顔を見ると昨晩キャバクラで指名した女の子だった。
俺住所なんて教えたっけ?
と、少し考えちゃったけど酔ってたから忘れてんのかと思って、取りあえず何故ここに居るのか聞いてみた。
誰か知り合いでも居るのかと思ったからね。
「知り合いは塩崎さんですぅ~プンプン」とか、言い出した。
「何か約束してたっけ?」
と聴くと、
「約束ないと着ちゃ駄目なんですかぁ?うるうる」とか、言ってきてシナを作って媚びてくるんだわ。
あー、これ俺何か言ったのかなぁ?とか、考えてたけど何を言ったか憶えてないんだよね……。
参ったなぁと思ってると都合よく大家さんから電話を貰ったので、電話に出てさ?
部屋の査定がどうたら聴いて、明日に部屋の検査するから居てくれって言われてから、電話を切られたんだけど。
そのまま、まだ話してます的な振りして今から会うとか約束したフリをして、その場から離れたんだよ。
その時はその娘は聞き分けてくれて帰っていってくれたんで、部屋に戻ったんだけどね?
暫くしたらショートメールが届いて、知らない番号だったけど、気になって読んでみたのよ。
そしたらさぁ……。
「あれ? 出掛けてないんですか?」
とか、書かれてんの。
それ読んだら直ぐにその番号から電話が掛かってきてね?
出たらさっきの女の子からなのよ。
俺はゾッとしちゃってさぁ……。
つい、今から北海道に行きますとか言っちゃったわけよ。
「そうなんですか?偶然ですね!私も行くので一緒にいきましょ~♪」とか、言ってきたのよ。
俺も流石に迷惑だから辞めてって言ったのよ? それなのに羽田に着いたらその娘が待ってんの!
しかも態々俺の分のチケットまで買っててね?
成り行きで飛行機乗って北海道行ったよ。そこで何故か飯食べに行く事になってて、あれよあれよと言う間にホテルに居たのよ。部屋まで取っててさぁ……。
で、「あ、ちょっと売店行ってくるから待ってて!」って言って出てきたんだよ。
「そしたらお風呂入って待ってますね♡」とか、言われちゃったわけよ。
これはガチでやばいと思ったからさ?
売店行かずにタクシー拾って空港行ってさ? そのまま羽田行きに飛び乗ったのよ。
したら携帯見たら着信とメールの履歴がヤバイことになってて……。
それ読まずに沖縄行の飛行機に乗り換えて……。
いま那覇空港に居るんだけどね?
ちょっとマジで怖いから、助けてくんね?
と、俺は事細かに現状をメールに書いて美琴に送った。
そしたら直ぐに連絡があって、其処には
「任せなさい!」という、心強い言葉が書かれていたので、ホッと胸を撫で下ろしてるところだ。
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