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複雑な気持ち
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凛花は内心嬉しいような焦るような気持ちでいた。
それをなんとか隠しつつ、僚太が詰まっている問題の解説をする。
凛花にとって過去に会ったことがあることがバレるのは良いことでもあるが、今は悪いことでもあった。
彼からの好意を完全に自覚するまではまだ悪いことのままだろう。
自分の感情が複雑であり面倒くさいことは自身で理解しているつもりだ。
そして、自分を好きにさせるということが叶うと僚太を苦しめてしまうことも理解しているつもりである。
お祖父さんの話を聞いて彼が何故約束を大事にしていたのかを理解した。
あの約束が特別というわけではないのを残念に感じてしまう自分もいれば、その姿にまた格好いいと思っている自分もいる。
◆
この場所はとても静かだ。自分の解説の声しか聞こえてこない。
だからこそ、思考が途切れることなく進んでいく。
今のこの複雑な気持ちにそれはあまりに辛いものだった。
途切れることがないためさらに複雑で難解になってくる。
「そういえば引っ越しはいつなの?」
その声は途切れることのない思考から引き剥がしてくれた。
「・・・・・・夏休みの終わりの予定だよ。良い物件が見つかったんだって。手続きとかがあるからまだ入れないみたいだけど」
「そうなんだ・・・・・・」
「もしかして、寂しいとか思ってる?」
「別に・・・」
「安心して良いよ?何でもお願いできる券がある内は呼び出してあげるから」
ため息をつく僚太を見て自然と笑顔になる凛花。
そして、いつも救ってくれるのはりょうちゃんだなと感じる。
あの時だって、急に凄いことを言い出したな、なんて思ったけど、横顔を見てその未来の想像が一気に膨らんだ。
それでも、すぐに彼に声をかけなかったのは印象が180度変わっていたこともあるが、私を私だと認識しなかったこととあの件を少し引きずっていたためであった。
彼のことを視界の隅に捉えながらの生活で分かったのは彼が約束を覚えていることだった。
それを理解し、お父さんに説明するとすぐに動いてくれた。
そして、りょうちゃんのご両親に事情を説明すると快く私を泊めていただけることになった。
そこでりょうちゃんの事情を知り、あの件の引きずりも綺麗に消え去った。
そして、今に至るわけだ。
ここは沙羅から聞いた場所なのだが、本当に静かで脳内は記憶の整理やらなんやら忙しなく回り続ける。
勉強にはうってつけの場所だと思う。
こんな良い場所を沙羅に教えた人はさぞ沙羅に心を開いているのだろうと確信する凛花であった。
それをなんとか隠しつつ、僚太が詰まっている問題の解説をする。
凛花にとって過去に会ったことがあることがバレるのは良いことでもあるが、今は悪いことでもあった。
彼からの好意を完全に自覚するまではまだ悪いことのままだろう。
自分の感情が複雑であり面倒くさいことは自身で理解しているつもりだ。
そして、自分を好きにさせるということが叶うと僚太を苦しめてしまうことも理解しているつもりである。
お祖父さんの話を聞いて彼が何故約束を大事にしていたのかを理解した。
あの約束が特別というわけではないのを残念に感じてしまう自分もいれば、その姿にまた格好いいと思っている自分もいる。
◆
この場所はとても静かだ。自分の解説の声しか聞こえてこない。
だからこそ、思考が途切れることなく進んでいく。
今のこの複雑な気持ちにそれはあまりに辛いものだった。
途切れることがないためさらに複雑で難解になってくる。
「そういえば引っ越しはいつなの?」
その声は途切れることのない思考から引き剥がしてくれた。
「・・・・・・夏休みの終わりの予定だよ。良い物件が見つかったんだって。手続きとかがあるからまだ入れないみたいだけど」
「そうなんだ・・・・・・」
「もしかして、寂しいとか思ってる?」
「別に・・・」
「安心して良いよ?何でもお願いできる券がある内は呼び出してあげるから」
ため息をつく僚太を見て自然と笑顔になる凛花。
そして、いつも救ってくれるのはりょうちゃんだなと感じる。
あの時だって、急に凄いことを言い出したな、なんて思ったけど、横顔を見てその未来の想像が一気に膨らんだ。
それでも、すぐに彼に声をかけなかったのは印象が180度変わっていたこともあるが、私を私だと認識しなかったこととあの件を少し引きずっていたためであった。
彼のことを視界の隅に捉えながらの生活で分かったのは彼が約束を覚えていることだった。
それを理解し、お父さんに説明するとすぐに動いてくれた。
そして、りょうちゃんのご両親に事情を説明すると快く私を泊めていただけることになった。
そこでりょうちゃんの事情を知り、あの件の引きずりも綺麗に消え去った。
そして、今に至るわけだ。
ここは沙羅から聞いた場所なのだが、本当に静かで脳内は記憶の整理やらなんやら忙しなく回り続ける。
勉強にはうってつけの場所だと思う。
こんな良い場所を沙羅に教えた人はさぞ沙羅に心を開いているのだろうと確信する凛花であった。
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