15 / 115
第1章 紅峠
第15話 寝台急行王都行き
しおりを挟む
何の力も持たない僕らが、何も無いこの世界を渡る。
何処へ行くのかではなく、何処まで行けるのか。単純な興味。
見た事もなかった平原。見た事もなかった荒野。
見た事もなかった山々。見た事もなかった清流。
どんな風景動画よりも美しい。どんな高精細な静止画よりも目に染みる。
天幕の隙間から見える流れる景色。情景に胸が高鳴る。
「おい、お前たち」
「タッチー。これからどうする?王都行ってから」
「どうしよっかなぁ。暫く腰据えて頑張ってみるのもいいし。東海岸でも目指そうか」
「海かぁ。メイリダさんと行ってみたいなぁ」
彼女の水着姿でもイメージしているのだろう。鼻の下が垂れている。
ま、僕もキュリオさんの姿を想像して頬が緩々だからお互い様ってやつ。
「お、おい!お前たち!」
「でもツーザサからだと、かなり長旅になるしなぁ。何かもっと速い乗り物とかあればいいけど」
「移動が馬車だけってのはねぇ。乗り心地最悪だし。乗り合いだとやたら五月蠅いし」
「五月蠅いとは何だ!好い加減に、私の話を聞け」
「ほい、ジャンケン。最初は・・・」
どちらが先に、次の宿場町までの仮眠をするかをジャンケンで決める。
大抵僕が勝つので。
「また負けたーーー」
「んじゃお先にー」
藁と干し草詰め合わせの俵を枕にしてヒオシに手を振った。
キュリオさんの膝枕・・・。Zzz
「次こそは勝つぞ」
起きてるほうは自分たちの荷物の見張り。2人旅の特権。1人だとこうは行かなかった。
馬車隊の行者の身元は保証されてて、ある程度は信用出来る。
乗り合いで乗り手のほうは知らん人。単純に誰も信用出来ない。
信用した瞬間に裏切りとか、よく有るテンプレじゃん。人は性別や顔では判別出来ない。
「クソッ、貴様らこの私を無視するか!」
「ぼ、坊ちゃま。荷上で暴れるのは規約違反ですぞ。一方的に暴れては、最悪途中で降ろされてしまいます故。お気を確かに」
-----
例えばそう、このやたらと俺らに絡んで来る王都の貴族のボンボン。
付き添いのお爺さん。従者よりは執事って感じかな。頭の天辺禿げはストレスが原因に違いないだろ。
スースー眠るタッチーを横目に、周囲に気を払いながら外の景色を楽しむ。
馬車での長旅にはもう慣れて、何時でも何処でも寝られるようになった。馬車では流石にふかふか俵が無いと無理だけどさ。
景色を楽しみたいのに、難題が一つ。
この喧しい貴族のボーン。多分年下。成人してるかも微妙。爆発して死ねばいいのに。
王都までの道程で半分近い所まで来た。
車列4台の中規模の乗り合い馬車隊。中でもこの馬車が人気が無い。
この、爆発暴言ボンボーンのお陰で。マジで死ねばいいのに。
裏でくじ引きして、今日は俺が見事外れを引き抜いた。あの時の俺を殴りたい。
何この罰ゲーム。寝てる人居ても構わず、叫き散らすとか有り得ないだろ。
何で貴族の子居るのかって?
よく話は聞いてないけど、なんか盗賊集団に襲われて台車が荷物と一緒に丸っと奪われたらしいよ。
手持ちの現金だけで購入出来たのは、この乗り合い馬車だけって流れ。
殺されれば良かったのに。
護衛隊の生き残り数名は、この馬列サイドに加わって併走してる。
この世界の盗賊って・・・。義賊か何かか?殺しはしないで金品だけ奪うとは。
こいつの運が良いのか、誰かの策略か。・・・なんて。
関係無し。絶対に関わらないぞ。俺らは決意して一切の無視を決め込んだ。
考えなくちゃいけない事は山程ある。あの学校が在った場所の事。見捨ててきたクラスメイトたちの事。これからの先の事。帰還方法の事。
見捨てたってのは違うかな。誰一人タッチーの言う言葉を聞いてなかったし。
死んでしまっても自業自得。
一番の問題は、帰還方法。どうやったら見つかるかも、方法は無いのかも知れない。
無いなら無いで、この世界で生き抜くしかない。何度も覚悟したはずなのに、心は乱れる。
乱される。
「・・・フンッ・・・」ボーンが小石を打つけて来た。
人殺しはまだ未経験だけど、殺意が湧いて来る。
左手で続投のタッチー側に流れた石を掴み取り、右手を自作の鈍鞍短剣に手を掛ける。
寝てる人に、投石するなんて。
「攻撃、したね?」作り笑いで一睨み。
「ヒッ」たったのそれだけで、怖じ気づいて振り上げた腕を引っ込めた。
このボーンデブ。痩せていればあの梶田みたいだ。あいつよりは喧嘩は強くないだろうけど。
前に一度だけ、梶田は俺をイジメの標的にしようとした事がある。
外見ガリガリだから勘違いしたのかな、とも思う。
余りにも嘗めた態度で意味不明な命令をして来たので、本気で殴ってあいつの奥歯をへし折ってやった。
それからは平和で何よりだったのに。狂犬の異名が付いたっけな。
-スキル【狂犬】この場で発動させますか?-
異世界に来てまでコレかよ・・・。
「お、お許しを!このじいが後で言って聞かせますので。どーか」
シラけたので、柄から手を離す。
-スキルの発動は見送られました。尚、スキルの固定化に伴い、以降は任意の場所で発動可能状態となります-
「お爺さん。お付きならしっかり面倒見ないと。君、黙らないと通報するぞ!!」
「ヒッ」すっかり怯えてブルってる。
これ見よがしに、銀鉄鋼の短剣を取り出して眺める。
この腕に余る逸品。刃毀れ無い美しい光沢。いつか・・・。
ザイリス(御兄)さんのように、熊を一人で狩れる位にならないと。
元世界での精神力なんて塵同然。タッチーと同じく仲良くお漏らし。本当に笑える。
あの域まではまだ遠く。偏に目指すは長剣だな。
ザイリスさんとゴルザさんってどっちが強いんだろ・・・。少なくとも同格ではあると見た。
この世界の強き武人たちに思いを馳せる。
王都でも沢山出会えるといいなぁ。美人さんは・・・、もう大丈夫。たぶん。多分ね。
何時までも裸身で剣を持っていても危ないだけなので、分厚い鞘に戻した。
「タッチーが居なかったら、とっくに暴れてますよ。どうか、気を付けて」
やっと静かに戻った荷台の中。そう。今この馬車の荷台には、俺らとボーンと執事さん。
たったの4人だけだった。
何処へ行くのかではなく、何処まで行けるのか。単純な興味。
見た事もなかった平原。見た事もなかった荒野。
見た事もなかった山々。見た事もなかった清流。
どんな風景動画よりも美しい。どんな高精細な静止画よりも目に染みる。
天幕の隙間から見える流れる景色。情景に胸が高鳴る。
「おい、お前たち」
「タッチー。これからどうする?王都行ってから」
「どうしよっかなぁ。暫く腰据えて頑張ってみるのもいいし。東海岸でも目指そうか」
「海かぁ。メイリダさんと行ってみたいなぁ」
彼女の水着姿でもイメージしているのだろう。鼻の下が垂れている。
ま、僕もキュリオさんの姿を想像して頬が緩々だからお互い様ってやつ。
「お、おい!お前たち!」
「でもツーザサからだと、かなり長旅になるしなぁ。何かもっと速い乗り物とかあればいいけど」
「移動が馬車だけってのはねぇ。乗り心地最悪だし。乗り合いだとやたら五月蠅いし」
「五月蠅いとは何だ!好い加減に、私の話を聞け」
「ほい、ジャンケン。最初は・・・」
どちらが先に、次の宿場町までの仮眠をするかをジャンケンで決める。
大抵僕が勝つので。
「また負けたーーー」
「んじゃお先にー」
藁と干し草詰め合わせの俵を枕にしてヒオシに手を振った。
キュリオさんの膝枕・・・。Zzz
「次こそは勝つぞ」
起きてるほうは自分たちの荷物の見張り。2人旅の特権。1人だとこうは行かなかった。
馬車隊の行者の身元は保証されてて、ある程度は信用出来る。
乗り合いで乗り手のほうは知らん人。単純に誰も信用出来ない。
信用した瞬間に裏切りとか、よく有るテンプレじゃん。人は性別や顔では判別出来ない。
「クソッ、貴様らこの私を無視するか!」
「ぼ、坊ちゃま。荷上で暴れるのは規約違反ですぞ。一方的に暴れては、最悪途中で降ろされてしまいます故。お気を確かに」
-----
例えばそう、このやたらと俺らに絡んで来る王都の貴族のボンボン。
付き添いのお爺さん。従者よりは執事って感じかな。頭の天辺禿げはストレスが原因に違いないだろ。
スースー眠るタッチーを横目に、周囲に気を払いながら外の景色を楽しむ。
馬車での長旅にはもう慣れて、何時でも何処でも寝られるようになった。馬車では流石にふかふか俵が無いと無理だけどさ。
景色を楽しみたいのに、難題が一つ。
この喧しい貴族のボーン。多分年下。成人してるかも微妙。爆発して死ねばいいのに。
王都までの道程で半分近い所まで来た。
車列4台の中規模の乗り合い馬車隊。中でもこの馬車が人気が無い。
この、爆発暴言ボンボーンのお陰で。マジで死ねばいいのに。
裏でくじ引きして、今日は俺が見事外れを引き抜いた。あの時の俺を殴りたい。
何この罰ゲーム。寝てる人居ても構わず、叫き散らすとか有り得ないだろ。
何で貴族の子居るのかって?
よく話は聞いてないけど、なんか盗賊集団に襲われて台車が荷物と一緒に丸っと奪われたらしいよ。
手持ちの現金だけで購入出来たのは、この乗り合い馬車だけって流れ。
殺されれば良かったのに。
護衛隊の生き残り数名は、この馬列サイドに加わって併走してる。
この世界の盗賊って・・・。義賊か何かか?殺しはしないで金品だけ奪うとは。
こいつの運が良いのか、誰かの策略か。・・・なんて。
関係無し。絶対に関わらないぞ。俺らは決意して一切の無視を決め込んだ。
考えなくちゃいけない事は山程ある。あの学校が在った場所の事。見捨ててきたクラスメイトたちの事。これからの先の事。帰還方法の事。
見捨てたってのは違うかな。誰一人タッチーの言う言葉を聞いてなかったし。
死んでしまっても自業自得。
一番の問題は、帰還方法。どうやったら見つかるかも、方法は無いのかも知れない。
無いなら無いで、この世界で生き抜くしかない。何度も覚悟したはずなのに、心は乱れる。
乱される。
「・・・フンッ・・・」ボーンが小石を打つけて来た。
人殺しはまだ未経験だけど、殺意が湧いて来る。
左手で続投のタッチー側に流れた石を掴み取り、右手を自作の鈍鞍短剣に手を掛ける。
寝てる人に、投石するなんて。
「攻撃、したね?」作り笑いで一睨み。
「ヒッ」たったのそれだけで、怖じ気づいて振り上げた腕を引っ込めた。
このボーンデブ。痩せていればあの梶田みたいだ。あいつよりは喧嘩は強くないだろうけど。
前に一度だけ、梶田は俺をイジメの標的にしようとした事がある。
外見ガリガリだから勘違いしたのかな、とも思う。
余りにも嘗めた態度で意味不明な命令をして来たので、本気で殴ってあいつの奥歯をへし折ってやった。
それからは平和で何よりだったのに。狂犬の異名が付いたっけな。
-スキル【狂犬】この場で発動させますか?-
異世界に来てまでコレかよ・・・。
「お、お許しを!このじいが後で言って聞かせますので。どーか」
シラけたので、柄から手を離す。
-スキルの発動は見送られました。尚、スキルの固定化に伴い、以降は任意の場所で発動可能状態となります-
「お爺さん。お付きならしっかり面倒見ないと。君、黙らないと通報するぞ!!」
「ヒッ」すっかり怯えてブルってる。
これ見よがしに、銀鉄鋼の短剣を取り出して眺める。
この腕に余る逸品。刃毀れ無い美しい光沢。いつか・・・。
ザイリス(御兄)さんのように、熊を一人で狩れる位にならないと。
元世界での精神力なんて塵同然。タッチーと同じく仲良くお漏らし。本当に笑える。
あの域まではまだ遠く。偏に目指すは長剣だな。
ザイリスさんとゴルザさんってどっちが強いんだろ・・・。少なくとも同格ではあると見た。
この世界の強き武人たちに思いを馳せる。
王都でも沢山出会えるといいなぁ。美人さんは・・・、もう大丈夫。たぶん。多分ね。
何時までも裸身で剣を持っていても危ないだけなので、分厚い鞘に戻した。
「タッチーが居なかったら、とっくに暴れてますよ。どうか、気を付けて」
やっと静かに戻った荷台の中。そう。今この馬車の荷台には、俺らとボーンと執事さん。
たったの4人だけだった。
0
あなたにおすすめの小説
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れ果てた俺がたどり着いたのは、圧倒的な自由度を誇るVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は、幼い頃から密かに憧れていた“料理人”。しかし戦闘とは無縁のその職業は、目立つこともなく、ゲーム内でも完全に負け組。素材を集めては料理を作るだけの、地味で退屈な日々が続いていた。
だが、ある日突然――運命は動き出す。
フレンドに誘われて参加したレベル上げの最中、突如として現れたネームドモンスター「猛き猪」。本来なら三パーティ十八人で挑むべき強敵に対し、俺たちはたった六人。しかも、頼みの綱であるアタッカーたちはログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク・クマサン、ヒーラーのミコトさん、そして非戦闘職の俺だけ。
「逃げろ」と言われても、仲間を見捨てるわけにはいかない。
死を覚悟し、包丁を構えたその瞬間――料理スキルがまさかの効果を発揮し、常識外のダメージがモンスターに突き刺さる。
この予想外の一撃が、俺の運命を一変させた。
孤独だった俺がギルドを立ち上げ、仲間と出会い、ひょんなことからクマサンの意外すぎる正体を知り、ついにはVチューバーとしての活動まで始めることに。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業。
そんな俺が、仲間と共にゲームと現実の垣根を越えて奇跡を起こしていく物語が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる