生まれ変わっても無能は無能 ~ハードモード~

大味貞世氏

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第3章 大狼討伐戦

第74話 女帝誕生、前夜

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影が薄くなっているのは認める。
所詮裏方はこんな物だと。

委員長などと呼ばれていても、大した事は出来ない。

前線の指揮を放棄。
ずっと中段で何をしていたのか。

勿論遊んでいた訳じゃない。
冷気耐性を身に付けさせていた。

主に使い魔とミストに対して。
ミストは上位種だ。これまでの時間内で仕上げて来た。
ルドラの臣下としての影響も上手く働いた様だ。

問題は使い魔の方。
兎に角、寒冷地で動ける蟲が見つからなかった。

進化スピードが異常に速いGでさえ、地上では動けなくなってしまった。それでは使えない。

金Gを地下に配備させ成長を待った。
待っている間に、連絡が途絶えた中央砦の下に潜らせ、情報支配下に置いた。

距離は凡そ二百km。特殊念話が使える範囲限界。

中央の動きは筒抜け。放って置けばタッチーが言った様に自滅するのは間違いない。

間違いないはずなのに、異様な余裕を見せている。
試しに食料の供給を断ってやろうか。
こっちは情けで配給してやってるのに。

真蟲王は少々傲慢だ。伏して許せ。

次に着手したのは、二次案。
気色悪いGにばかり頼っていては王の名折れだ。

何に着目すべきか。
全世界。元と今問わず存在する物。
僅かな水分と大地さえあれば生きられる。

凍結状態で仮死に陥っても、解凍すれば元通り。

正解はバクテリア。それは蟲じゃないだろとの突っ込みは断固無視をする。蟲だけに。

こちらの世界では蟲と定義した。定義したもん勝ちだ。
卑怯?何とでも言え。

更に微小なウィルスも候補に入れたが、世界を転覆させてしまう可能性大なので候補から外した。

ウォー○ング何たらやバイ○ハザードの世界になって貰っては困る。自分一人生き残っては何の意味も無い。

もしもこの身に細菌兵器をぶち込んで、元世界にひょっこり帰った時。何が起こるかは明白だ。

冗談では済まされない。


局所的にバクテリアを制御。
中央砦一帯を掌握。これで何時でも…。

では何故、フェンリルへの攻撃手段に使わないか。

単純な話。フェンの耐性を向上させてしまう懸念が在る。

神と名の付く獣。油断も出来ないし、最強生物を造り上げる訳には行かない。

進化スピードが早いのはGだけではないからな。

まずはタッチーたちが考案した塩肉団子が何処まで通用するのかで判断する。

バクチ-トは何方かと言えば、対人向けの切り札として使いたいと考えている。

この考えと、実質中央は落としたも同然だと前回の会議で披露した所。
「キョーヤは世界を滅ぼしたいの?」

祐子を含め、その場の全員の目が冷たかった。

塩肉団子も大概だと思うがな。

「大丈夫だ。バクテリアは死体さえ溶かし切れる。残る敵は霊体だけだ。そいつらの依代すら溶かしてしまえば何の問題も無い」

「大丈夫じゃない!」
主に女性陣が猛反発していたな。意味が解らん。

使う使わないは別として。俺の報告は以上。

ミチザネの瞳が輝いて見えたのも意味不明。




-----

プリシラベート。王都ノーランス。
商業で大陸南東部一帯を治める国だけ在って、武人よりも商人の比率が高い。

ノーランス。文字通り、国全体の方針として武力を減少させ、最終的には武を持たぬ国へと移行する予定。

四代前の国王が提唱。凡そ百年の時を重ね、主な取引先の南大陸ホエラベプナ各国と調整しながら、保有武力を削減して来た。

人口は資産であり財産。貴重な労働力。
唱えられる言葉は尤もらしいが、実利は未だ伴っていないのが現状だった。

貧困層と貴族層、王族との経済的格差は一向に縮まらないでいる。

低賃金の上に重税を掛ける奴隷制度も限界。

内乱中の帝国の様に、低層を導く存在が現われればこの国は終わるだろう。

身を守る術は、冒険者ギルド、アジサイ連合からの派兵に頼り切りに成っている。本末転倒だ。

それでも切り抜けられるのは、財力在っての事。


彼の三人が残した日用品の魔道具。利便性と量産性が高く傾き掛けた国は潤った。

潤ってしまった。残念ながら。


段階的に上げられる重税。愚かな王め。
もし引き下げれば。早期に奴隷制度を撤廃していれば。

クーデターは起きるべくして起きた。

その引き金を爆発させたのは、俺ではない。

「手ぶらでは帰れないからな!エドガー殿、私に続け」
捕虜の分際で偉そうに。

散々愚弄してきた平民の少年。名をサリスと言ったか。
サリスたち数名に野望を微塵にされ、ヒッテランは心を入れ替えた。簡単な男だ。

砕かれた肢体の療養だと、このノーランスに居座った挙句にも。
何を勘違いしたか恩返しだと言い出した。

恩返しが真逆。奴隷制度撤廃を求める内乱だとは、誰にも予想出来なかった。

亡国では率先し、自分たちが敷いていた制度だと思うが当人は完全に忘れ去っている様子。


「ハァ…」
溜息しか出んわ。もう成るように成れ。

エドガーも仕方なく国剣を引き抜いた。
王族の末席としても。これ以上他国の人間の好きにはさせて置けない。

こんな事なら。
無理にでもフウと共に行けば良かった。
もっと早く国など捨ててしまえば良かった。

ここで死んだら。フウは泣いてくれるだろうか。
だとすれば、少しは意味の在る人生だったと思える。


ヒッテランの後を追うエドガー。

本人は死を覚悟していたものの。
ヒッテランの護衛部隊百騎と、解放された奴隷たちの働きに依り、勃発した内乱は非常に短期で終わった。

圧倒的損害は王国側に偏った。

「要らぬなら、我と共に西へ行こうぞ!」
そのヒッテランの宣言が後押しとなり、国に陰りが見えるや否や冒険者たちは全撤退。

アジサイ兵側は大陸西側まで航路が開けると、一夜で国を見限り寝返った。

それからは怒濤の流れ。エドガーは濁流に流されるだけだった。

カリスマ、恐るべし。影響するのは人の意志。
武力だけとは限らず。

エドガーが辿り着いた場所。

王城の最上階のテラス。

目下の王宮から広間を埋め尽くす国民。生き残った兵士たち。手を振るヒッテラン部隊。

バルコニーの先部に立ち、銀色の国剣を掲げた。

地鳴りの様な歓声。奴隷上がりの者たちは涙した。

「何だ、夢か…」

「いいえ。夢ではありません。エドガー王よ」
跪く従者は頭を垂れた。

「頼む。いや命令だ。これは夢だと言ってくれ…」

「夢ではありません!またお逃げになるのですか?あの希望に満ちた目を見捨てるのですか?解放された民たちに絶望を与えるのですか?さぁ、宣唱を」

国位宣唱。新たな王としての宣言。
これをしてしまえば、もう後戻りは出来ない。

末席第六位の人間が、通常王座などは考えられない。
弱腰の上位陣が軒並み退いた結果。

宰相が王冠が入った箱を手に跪く。

これを手にすれば、この国は俺の物。
これでいいのか?これで正しく導けるのか?

王と成れば、次は国妃の選定。
名も知らぬ貴族令嬢と?望まぬ相手と?

その時、エドガーの脳裏に居たのはフウ一人。


エドガーは薄く笑い、王冠を掴み取った。

「我、エドガー・ベート・スミッションは告げる!」

更に高まる歓声。それが収まるのを待つ。

「王国歴367年。紐解けば血と戦乱と金に踊り狂った歴史しか無い。虐げられて来た者たちにも未来を見られる道を拓いた。我、エドガーはここに宣言する!」

静まり返る場内。

「二年後を目処に。王国を解体す」

近い未来。王位の返上と共に、王制の解体を宣言した。

「私は後継者を設けない。二年の後、プリシラベートは生まれ変わる。新たな制度。新たな法。樹立の為にはまた血が流れよう。それでも尚、我らは進む。進むは茨の道成れど後悔はすまい。希望溢れる未来が在ると信ずる。我と共に歩めるか!」

各所から戸惑い、怒号、歓声が乱れ飛んだ。

呆然とする宰相と側近を横目に。
エドガーは王冠を頭上へ放り投げると、国剣で両断した。

王なぞ飾りに過ぎん。この煌びやかな王冠と同じ。

「エドガー様…。また、大それた宣言を為さる」

立ち台を降りて、顔を青くした側近に答えた。
「言っただろ?俺に王様は務まらん。だからと言って見捨てはしない。これから忙しくなるぞ。それと」

激しい反発と貴族院の抵抗が予想される。
序でに異教徒の炙り出しは必須となるだろう。

「何でしょうか」

「ヒッテランを逃すな。正式な国賓として迎え、国の立て直しに盡力して貰う。嫌でもな!」

「真逆…。エドガー様はヒッテラン卿を?」

切っ掛けを与えたのはヒッテランだ。
ならば責任も取って貰わないとな。

「奴の望みは国の再興。丁度良いだろ?」

「ええ、そうですね。とは成りませんよ!!」

「しかし今は俺が最高権力者だ。先立って西部アジサイ連合諸国とホエラ各国との協定交渉を急がせろ。宰相。これまでの様な微温湯。椅子に座る暇も与えぬ。部下一人残らず走り回れ!」

「ハッ。承知致しました、エドガー王」


先ずはこれでいい。
好く相手でもなければ、国の権力も手に入らないとなれば輿を起こす令嬢も居らぬ。

一旦国を壊し、ヒッテランを大統領に据えれば晴れて自由の身。

「これでフウに振られたら。いい笑い者だな」

エドガーは玉座に座らず、豪快に笑った。
そして玉座裏手に立つ、女神の像に目を送る。

商業の神。神とは定義されているが、伝承では歴とした人間の女性が原型。容姿は美化され、元は不明。

何も無い所から創造を施す神。
生を産み繋ぐ象徴。

エドガーはフウの姿を重ねて見ていた。

次はお互い、背負う荷を降ろして会いたいものだ。




-----

時は少し前に遡る。

トルメキヤ帝国。首都ランズハーケン。

帝国解放を目論んだ内乱は、激しい戦闘の末、佳境を迎えようとしていた。

ネフタル率いるネフタリヤ解放軍。
極少数で始められた内戦も、最終局面では国を二分化するまでの規模となった。

対する国内治安維持軍。
戦力比は五分同等。上層部の勧誘、取込に失敗。成立した均衡は崩せなかった。

それもその筈。維持軍側には邪神教徒が犇めいていたからだった。

真逆、帝国領内に異教徒の総本山が隠れていようとは。

「忌々しい。紛い物の教団め」

ネフタルは執務室のテーブルを拳で叩いた。

兄の言葉を思い出す。
「飛空挺の十機は囮だ。思わぬ敵が食い付いて来るやも知れぬ。無理なら奪い返して逃げろ」

兄の予想通り。帝都に残した飛空挺に教団残党が飛び付いた。

ここまで来て。解放を目の前にして逃げ出すなど。

思わぬ犠牲を強いられたが、辛くも船の防衛には成功。
一般民たちの非難も済んだ。

中央塔、管制塔、監視塔を序盤で奪取。
飛空挺の工夫たちを保護。そこまでは順調だった。

偉大な兄とシンシアの不在が悔やまれる。

兄ならどうするだろう。最近はそればかり考えてしまう。

人手は充分。反面誰も信用性に欠ける。
自分の背を任せられる人物が居ない。故に碌な休息も取れず疲労は溜まる一方。

戦ってくれる兵士たちも同様。

思考も追い付かずに、次の一手が浮かばない。

今更退けない。その執念だけで動いている。

「ネフタル様。少しだけでも休まれては」
国内で唯一信用に足る人物。兄に心酔する宰相の一人。
実妹である私の協力者、ノードラン・オージャ。

知略と戦略に長けているが、実戦闘能力は皆無。

「休んでる暇は無いでしょ」
寝込みを襲われないとは限らず、最近は風呂にも入らず椅子に座して仮眠を繰り返していた。


「ネフタル様!居られますか!」
伝令の兵士の声。控えの従者に扉を開けさせた。

「どうした、騒々しい。新たな異教徒でも現われたか?」

「いえ、違います。先日飛び立った飛空挺の一隻が、上空に帰着しました」

「軍旗は掲げているな。ならば味方の舟」
兄の舟で在って欲しい。
淡い期待を胸に窓の外を覗いた。

兄の舟に帯同していた機体。…違ったか。
確かに兄がこんなにも早く帰って来る筈が無い。
では乗り手は誰だ。

眠気で霞む目を擦り上げ、望遠の魔道具を覗いた。
「姉様?」一瞬希望の光に見えた。

舟を側壁に接岸し、先頭で降りて来たのは間違い無くシンシアその人。

後ろに続くのは見知らぬ5人。
中でも目立つ屈強な男性。全身を白銀装備で包み、背には大盾を負う。

シンシアを含め、女性は皆軽装プレート。

「アルバニル様ではないな」

「ネフタル様。その…、大丈夫でしょうか?シンシア殿は我らを断罪為されるお積りでは」

「その様な事があ…」どうして言い切れる?
シンシアは誰よりも厳しい人。兄よりも、アルバニルよりも尚。

彼女が邪神教徒ではない事は確信出来る。
誰よりも己が正義を貫く、強い人。

希望に胸躍り、部屋を退出しようとする足が止まった。
回らない頭を振ると、直ぐに足を動かした。

「問題は無い。私が始めた戦だ。弁明の余地は無い。例えこの場で裁かれ様ともな」
帝国では勝利こそ全て。
勝てば天上、負ければ地下奴隷。

捕まればどうなるかは覚悟している。

訳の解らない男たちの慰み者に成る位なら、いっそ敬愛するシンシアの手を汚して貰う方が余程善い。

あの人なら、それでも生きよと言いそうだが。

「どの道次の手立ては無い。独り善がりの戦火の責任はこの私が取る。この命だけで償えれば良いのだがな」
火消しまで頼める義理は無いが、それでもと願う。
本当に他力本願で身勝手な女だ。熟々私は。

「ネフタル様…」

結局ノードランは止めなかった。

フラつく足に力を入れ、胸を張って迎えよう。
贖罪の代償は、この身一つしか無いのだから。
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