お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第67話 黒ケースの中身

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緊張が走る運命の日。

気持ちの良い朝を迎え、朝食と身支度を済ませ
カメノス邸でメメット隊戦闘員全員を集めて情報共有。

ロロシュ邸も含め、離反者以外の人的被害は零。
そこは胸を撫でられた。

物損被害はカメノス邸の血みどろ中庭と本館入口付近。
明日予定の祝勝会への影響は特に無し。

入口の庭の清掃が間に合わなければ、何かシートで隠すのだそうだ。


議長のカメノス氏の謝罪から始まった。

「離反者を家から三人も出してしまった事を謝罪する。
それを早期に見出してくれていた四人には頭が上がらない思いだ。

スターレン君が言う救える可能性を信じよう。

今は言わないでくれ、多分この私でも胃に穴が空きそうだからな。聞きたくない。

更に強化剤。
これ程逆に安堵した試しはない。

真逆アレがあんなになるとは…。

中途半端な物を君に渡さなくて良かったと、研究員一同で涙した程だ」

フィーネが小声で。
「アレって何?」

「ゴメン。それだけは夜に説明する」
「…解った」

「必ず!『夜』にスターレン君から伝えて欲しい。
停滞していた薬の開発にも巧妙が見えそうだ。

それ以外は特に無い」

ムルシュが手を挙げて。
「昨夜のトーム家の周辺状況を手短に。

あちらに来たのは十五人。数を聞けば驚くかも知れないが只の雑魚だった。

侯爵家の家紋入りの武装所持許可腕章を着けていた私に向かって、漏れなく抜刀してくれて解り易かった。

余りにも暇でゴンザが来るまでトーム家周辺を何周したかも覚えていない。

玄関前を盛大に汚してレーラに怒られてしまった程度。

今は衛兵が喜んで掃除をしてくれている所だ」

次にトーム。
「今のを聞いて家に帰るのが怖くなったが…。

気になったエドガントの遺体を確認しに行った。
結果的にはあった。

念の為複数本放ったが全てあいつの頭に刺さってた。

神弓を持つのも怖くなってきた。二度と使わせるなよ。

見張りに立っていた一般の兵士は…既に手遅れだった」

続いてゴンザと一緒にデニスさんの話をした。

「その魅了の解除方法は実行出来る段階になったら説明します。

それが成功した後に、呪いを解けば必ず元に戻ります。

ただ、それに時間を幾ら要するのかは現段階では何も言えません。

手厚い保護をお願いします。

多少の悪口を言われた所で俺は気にしないので」

「私がキレますので会わせないようにお願いします」

「う、うむ。充分に配慮する」

ソプランも。
「卿とあっちには俺から伝えとく。カーネギは口下手だから俺しか居ないだろ」
「頼む」

続けてソプラン。
「城にも確認したが、モヘッドはライザー殿下の説得に応じてあっさりと縄に付いたそうだ。

内容は…まああれだな…。皆の想像通りだったと思う。

殿下はしっかりお馬鹿役を演じ切った。

モヘッドは王城の地下牢深くで繋がれてる。

少数であそこまで辿り着ける奴は中々居ない。
そんな場所だ。

ギークは別棟の牢。接点を持たせない用の配慮だな。

スターレンとお嬢ならどちらも面会は自由。

但し。モヘッドの対面の牢には彫像をぶっ壊した罪でぶち込まれてる元宰相も居るから、
相手にするかはお前ら次第だ」

「了解。今更掘り返しても何も出ないと思うけど…。
行った序でに話出来たらしてみるよ」


再びゴンザ。
「冒険者ギルドの代理支部長は俺が就く。今回何も働いてないし、ここの支部長はどうせ暇だ。

副部長にはムルシュに立って貰った。

今日帰ってくるライラに激怒されそうだが…
今朝方に本部へ申請を飛ばしてしまった。

早めに本部の位置情報をくれと付け加えたが、他に何かあるか?」

「特に。その位置情報が手に入ったら教えて下さい。

エドガント秘蔵の偽世界地図と照らし合わせて、東に行く時に持って行くかを決めます」

「まあ偽物を保管していても意味が無いからな。処遇も含めてお前に任せる。

他に何か資料が無いか漁ってみよう。

俺たちで手に負えそうになかったらノイツェ様辺りに相談してみる積もりだ」

「それでお願いします」


カメノス氏が締める。
「隊員の動向を含め、メメットとセルダには私から伝えておこう。

他に何も無ければ閉会する」

全員無言を返した。


隊の全体会議が終わり。
闘技場に行く前に早めの昼食を3区の高級レストランで済ませた。

「何だか。初めてのちゃんとした会議だったね」

「隊員が多くなるとねぇ。商団クラスになると代表者だけになるけど。

あれが普通です。

何時までも俺やフィーネだけが走り回るのは宜しくない。

ああやって全体の連絡会を定期的にやるのが重要だと俺は思います」

「私もそう思います!」


「それはそうと…。3区で食事するのも初めてだっけ」
「何だかんだ初な気がする。高そうってイメージしかなくて避けてたかも」

ランチのメニューを確認。

全体的に高め設定ではあるが、特別高い!と思える物は無かった。

これもクインザから解放された影響かな。

「このティラミスって何?」
行き成りデザートに入るのは女の子ですねぇ。
「レアチーズケーキにココアパウダーを重ねた濃厚な味わい。濃厚な中に漂うココアの甘い香りが諄さを抑え、絶妙に円やかな逸品です」

「私それにする。クワンティは?」

ケージの前半面を開けてやると、ニョキッと頭を出してメニューを物色。

彼女が選んだのは檸檬タルト。
そこを軽くトントンしていた。

昨日の檸檬を食べてどうやら気に入ったらしい。

「なら俺は…って、ここまで来たらデザートとお茶だけにするか。昼から何が起きるか解らんし」

「そうしましょ」
「クワァ」(小さく)

俺はいちごタルトをチョイス。

店員さんを呼び注文。

運んで来た水グラスを置く時もガタガタ震えて、デザートを繰り返す時も声が裏返り。

「俺アイスティー」
「私はジャスミンティーをアイスで」
クワンはレモンティーのアイス。檸檬尽しやな。
「レモンティーのアイスを低い器で」

「ひゃい!か、畏まってしまいましたぁ~」
逃げてしまった。

こう言うのも慣れて行かないと何処にも行けなくなるしな。

フィーネは鼻歌でフードメニューを眺め、クワンはグラスに首を突っ込んでいた。

鼻歌?そういやこのメロディー…って。

「その歌って…」

「ん?鼻歌の事?」

「それって」

「日本のポップス。90年代だったかな」

「???」

「あれ?まだ言ってなかったっけ。
私、前の前は日本に住んでたよ」

「初耳なんですけど…」

「スタンに日本の桜の説明受けて。ほんの少しだけ思い出したの。アーガイアの前の事。
後醤油の味やら、ラフドッグでお米のお話聞いたりして」

「…マジっすか…」

「でもホントに少しだけ。風景的な物と良く好きで聞いてた曲とか。もしかして…ちょっと怒ってる?」

「いやぁ。別に怒るとこじゃないし…唯々驚いてる」

「ゴメンね。前にも言ったけど。それは思い出の一部。
風景画や油絵と一緒。懐かしくてもそれは過去のお話。
取り戻そうとかも思わない。帰りたいとも思わない。

だってスタンとクワンティと一緒に居る今が。
何より大切で幸せな時間だから」

「今…か…」

「私がスタンに怒ったのは。その過去を忘れられずに。
その時の責任まで背負い込もうとしているようにしか見えなかったから」

「…」

「今がどんなに辛くても。私はスタンと生きて行くと決めたの。だから、取り戻せない過去まで背負おうとするスタンが嫌だった。それで怒ったんだよ」

胸が空く言葉が、彼女の口から溢れ出す。

自分に足りなかった物…これが答えであると。

勝手に涙が流れた。

過去の罪まで背負う必要は無い……

「どうしたの?大丈夫?」

対面席から隣に座り直して布巾で頬を拭いてくれた。

「え?…ちょっと、感動してた」

今を生きる。次は考えない。

どんなに言葉を並べても。俺はまだ…過去にしがみ付いていた。

フィーネの怒りに対して、言い訳を並べていた。
そんな俺が情けなくて、フラリと何処かへ逃げそうで。

だから彼女は、本気で怒ったんだ。

初めて本気で口喧嘩をしたあの夜に。
私を見て。今の私を見てと。


彼女から布巾を受け取り、自分で涙と鼻水を拭いた。

フィーネが対面へ座り直した時、丁度ケーキが運ばれて来た。

店員さんの手は相変わらず震えていたが、決して零す事はなかった。


「…よし!何だか解らんけど。兎に角やる気出て来た。
食べますか。美味しいスイーツ」

「食べよ。元気出して。前を向こう」
何て優しい言葉なんだろう。


その昼前のケーキは。ちょぴり切ない塩味がした。


二口目からアーンのトライアングルで楽しんでいると。

「あのー。お楽しみ中済みません」
そこはお食事中ではないの?

「何ですか?ここってアーンは禁止とか?」

「いいえ全く。スターレン様に限らず、それはお客様の自由です。

お声掛けしたのはですね。こちらを是非御覧頂きたくて」

彼女が持って来たのは。

「当店の夜のスペシャルメニューです。

このご案内は本当は店長がやるべきなのですが、お二人の御入店を見た途端にぎっくりをやってしまいまして。

ですので私からご案内を」

言葉も段々と流暢になってきた。頑張ってるな。

メニューは大きなステーキの挿絵。

「「ほうほう」」

ヒレ、サーロイン、リブ、テンダーロインなど。

お土産にヒレのカツレツサンド。

「それらは先月入荷した大型冷蔵庫内で低温熟成させた差しが少なめの赤身肉。
熟成自体はまだ短いのですが、それでもこれまでお出ししていた商品に比べて、
柔らかくジューシーな仕上がりです。

是非ともお二人に夜のご来店をと願いまして
お勧めした次第です」

「いいですね」
「見当してみますね」

「はい。どうぞ宜しくお願い致します」

一礼してカウンター内に戻って行った。

奥から。
「よっしゃー!!」とそれを称える歓声が聞こえたが。
聞こえなかった事にしよう。


店名:トワイライト 夜明け間近か…。


「今直ぐじゃなくても。一度来てみる?」
「勿論です!」
「クワッ!」


無事にお会計を受け取って貰い。
「夜の予約ってどうすればいいですか?」

「何時かご来店して頂けるものと信じ、お二人様用の個室は常に空いたままとなっております。

深夜の零時までがラストオーダーとなっており、お好きな時間にお越し頂くだけで結構で御座います」

ここで突っ込んでもまた拗れるしな。

「解りました。出来るだけ早く来ます」
「またお伺いしますね」

「ご来店お待ちしております」



店を出て。

「またしても過剰な対応だけど。
店名も雰囲気も悪くない。近い内に来よう」
「おー」




---------------

闘技場内に入った。

今回で3度目。

王族以外の何時ものメンバーに加え、ゴンザとムルシュとソプランの姿もあった。

ソプランはロロシュ氏の付き添いも兼ねて。

ゴンザとムルシュは新ギルド職員長として。


ヘルメン陛下の到着前に。

アリーナ中央に黒ケースをセット。

「ソラリマはスタンだよ」
先に言われた。

「解りましたよー」

俺はソラリマを完全武装。予め聖属性。
フィーネはガントレットとハンマーを装備。
クワンは俺たちから少しだけ距離を取った地面に待機。

武装状態のソラリマを初めて見る人たちが響めいた。


陛下登場までストレッチと深呼吸。


ミミックだったらと脳裏を過ったが、
俺はベルさんを信じる。


ロイドちゃん。
「大丈夫です。付近に赤色は居ません。そちらの監視を続けます」
本当に助かります。


王族が並び、王国騎士団の3人もその後ろ。

「始め!」

一度だけフィーネと目を合わせ頷き合った。

「参ります!」


ロックの無いケースは普通に開いた。
サイド中央のフックを外しただけ。


中は二層式。

一段目に並んでいた物は黒い鏡面硝子のスマホが6台。

……は?

「「スマホじゃん!!??」」
それに反応出来たのは俺たちだけ。当然だ。

「お、落ち着けフィーネ。だ、大丈夫だ。
べ、別にこれは過去とか、か、関係ないから」
「そ、そそそうよね。そ、それはちょっとだけ、後回しにしようか。うん、それがいいよ」

鑑定する前に、スマホは一旦脇に敷いたシートの上に並べて置いた。

かなり手が震えた。


一段目の板をゆっくりと引き上げると、下の段には…。

小型の双眼鏡。掌サイズの大瓶が2つ。
拳大の小瓶が1つ。

「取り敢えず、罠は無いみたい」
「それは非常に良かった」

先ずは双眼鏡。

名前:天見の双眼(古代兵器)
性能:100km圏内の物体を解析
特徴:意識した対象物の素性が丸裸
   透視まで無条件で出来る
   鑑定機能搭載(接触条件付きは無効)
   看破スキルの最上位互換

「透視が…無条件!?」
「それは私が没収します」

フィーネさんに奪われてしまった。
速攻でポーチにIN。

これで更に浮気がで…やるかボケ!!


次に同じ透明な液体が入った大瓶。

それを1つ手に取った。

名前:泥沼のローション(新品未開封)
性能:浸透率零、摩擦抵抗零
特徴:とある植物の粘液
   夜の御供に最適
   マンネ

「そんなんばっかか!」

またもフィーネに奪われた。

「待て!破壊するな。落ち着け。
それはエッチな道具じゃない!ペルシェさんに分析させれば医療用の塗り薬の発展にも繋げられる物だぞ」

深呼吸を繰り返して瓶を戻してくれた。
「ご、ごめん。暴走するとこだった。
そうよね。薬は表裏一体だったわね…」

「それが狙いの品だったらどうすんだよ。
今のはちょっと怒ったぞ」

「…ごめんなさい…」

「兎に角落着いて」


もう1つの大瓶も同じ新品だった。
あの腐れ勇者の考えてる事が解らん。


小瓶の中身も無色透明だった。

名前:魅惑の惚れ薬(飲料:一気に全部)
性能:どんな異性でも必ず惚れさせる
   例えそれが絶対耐性を持つ者であっても
   事例:神、聖者、魔族、人間、動物
特徴:原材料、大魔王のフェロモン分泌液

俺は鼻で笑ってしまった。
「これだな…」

「それしか、無いわね」

「だとすると…狙いはフィーネだけじゃない。
女神様や聖女も対象に入ってくる。気持ち悪ぃなこれ」

「反吐が出るわね」


俺はふと考えた。

フィーネのリバイブで加工したらと。

「フィーネって魔法を同時に発動させたり出来る?」

「三つまでなら…試した事はあるけど?」

「なら。コンフェとクリアとリバイブって行けそう?」

「…中身を造り変えるの?」

「そう。一発勝負だけど。その組み合わせなら、全く逆の物に変えられるかも知れない」

フィーネは少し考え、答えた。
「やるわ。でも、スタンの力も貸して」

そう言って貴重品ポーチから、イエローダイヤの指輪を取り出して左薬指に嵌めた。

俺も頷き、同じ指輪をして瓶を持つ手に両手を添えた。



それは一瞬の閃光。誰もが目を覆う目映い光。

数秒後に光は明けた。

「…どう、かな…」

僅かに呼吸が乱れたフィーネから瓶を返して貰った。

中身の色には変化は無い。無色なまま。

名前:混沌の嫌われ薬(飲料:一気に全部)
性能:全ての者から嫌われる
   末代の子孫にまで反映
特徴:原材料大魔王のフェロモン分泌液
   生まれたその日が貴方の最期

「俺たちってやっぱり」
「ついてるね」


「陛下!皇帝の狙いは惚れ薬でした。
その対象は神でも聖者でも誰でもです。

ちょっと気持ち悪かったんで中身を全く逆の物に造り変えました。

ノイツェ殿の眼鏡でご確認を」

客席のノイちゃんに手渡し、運んで貰った。

「毎度の事でもう慣れたが。一言相談しろ。
遣る前に!」
「すんませーん」

瓶を覗いたノイちゃんが途中で大笑いして、危うく落とし掛けた。

落下寸前で掴み取った。

「何してんの!」
「す、すまん…。陛下、どうぞ」

「気を付けろ。冗談では済まんぞ」
「面目ありません…」


しかし受け取った陛下も、大爆笑だった。

「これは愉快だ。しかし…これをどう使う。
それにそっちに置いた四角い黒い物体はなんだ」

「こっちの黒い物体は見なくてもなんとなく解りましたんで後程ご説明します。簡単に言えば遠距離通話を可能にする物です。

瓶の方は…何とか偽装して皇帝に飲ませたいと考えています!」

「全く恐ろしい奴め!」
もう一度爆笑。

他の聴衆にも瓶の中身をご説明。

皆腹を抱えて笑っていた。愉快愉快。

フィーネが心配そうに。
「ねえ。宛てははあるの?」

「道具は一番詳しい人に聞かないとね。
今晩ちょっと飲みに行こう。エドワンドに」

「エド…。あぁ!成程ねぇ。それは是非行きましょう。
近場に居てくれるといいなぁ」

「それは聞いてみないと」

客席から返って来た瓶を受け取り、リュックに入れた。

そしてシートに置いたスマホと向い合った。

どれどれ。

裏に大きく英数字で「1」と書かれた物を掴んだ。

名前:異世界のスマートホン(No.1)
性能:通話可能距離、この星の外周2周分
   遮蔽物貫通。地下通話可能
   6台同時通話可能(初期登録済に限る)
   GPS機能搭載(衛星不要)
   他の5台の位置情報表示機能搭載
特徴:仲間たちと何時も一緒

「性能えげつねぇ~。あいつ独りぼっちだったのに」
「ベルエイガさんが最期に作った物って事にしない?」

「そう言う事にしよう。うん。その方がいいな」

誰に渡すかは後々に考えればいい。


奪われた双眼鏡以外は全てリュックに入れ。

「陛下!この黒い隠蔽鞄欲しいですか?」

「また破壊する気か」

「お察しの通りです」

「宝物庫に入れる。それはくれ」
「了解です!…では私を謁見の」
「それは駄目だ!」

「ケチ!」

空の黒鞄をノイちゃん経由で渡しながら、上と下でそんな言い合いをした。



取り敢えず今回のご開帳は無事に終わった。




---------------

闘技場が早めにお開きになったので、早速ペルシェさんの所に向かった。

「これは…何ですか?」

「純度の高い増粘剤で出来た潤滑剤です。とある植物から取れる物らしくて。軟膏や塗り薬の参考にならないかと」

見えた性能を紙に書いて手渡した。

「凄い性能ですね。浸透せず抵抗が全く無い。
そんな植物あったかしら。研究棟で解析してみます。
簡単に思い付く限りでは、貼付よりも保護材などに転用出来るかも知れませんね」

「2本とも使って下さい。俺も何か文献見付けたら持って来ます」

「有り難う御座います」


明日の準備で忙しいカメノス邸を後にした。

「だから言ったでしょ」
「猛省してます…」

「そんな正義感が強いフィーネさんが大好きですが。
暴走も自分で制御出来るようになって欲しいです。
支え合うのは前提ですがね」
「頑張ります!前向きにって言ったの私だし」


「ではでは。夜のお店の状況確認へと参りましょう」
「参りましょー」



エドワンドの受付。

前に来た時のお兄さん。
「ようこそ…とは言え開店前ですが」

「近くを歩いた序でに、今夜の予約とジェシカさんって今日は出勤ですか?の確認です」
「今夜は私も同伴です。浮気がとっても心配なので」

「態々お足を運んで頂き恐縮です。
本日は…大丈夫です。ジェシカは出勤です。
VIP室も本日のご予約はありません。
ご夫婦のご都合の良い時間でお越し下さいませ」



店を出て。

「どっか行くには半端な時間だな」
「偶には何も考えずお参りして、出店回って、何か買って着替えに戻る。ではどうですか?」

また先を考える癖が出てしまったか。

考え過ぎず、前を向く。意外に難しいもんだ。

「そのプランで行きましょう」
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