お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第100話 合同婚礼式後半組

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お祝いする側は楽でいい。んな事もない。

何かの料理を拵えて贈呈する形式にしてしまったのは自業自得。なのだが作る身にも成って欲しい。

生焼けでは出せないわ。味にバラツキを持たせてはいけないわ。舌の肥えた人たちの唸らせなきゃいけないわ。

結構な手間暇を要する。

今回も身内とは言え5組も居る。主賓が5組なんて非常に稀である。

もう普通の宴会に定義してくれよ。と文句ばかり垂れてはいけない兎に角お祝いだ。

手伝っては貰うが主賓の2人のアローマとミランダを式前日に長時間拘束してしまう訳にも行かない。

本棟からの助っ人。3人目の自宅担当者のプリタを主軸に構え、試食して貰いつつ作業を進めた。
「これが、夢にまで見たお二人のお料理…」
「大袈裟」
「直ぐに本棟でも食べられるように成るよ」

朗らかに笑うと笑窪がキュートな癒やし系のプリタ。これまで何度も我が家の食卓を掠めながら、食事自体には有り付けずに悲しい思いをしていたそうな。

今日はたっぷりと試食させて満足してお帰り頂こう。

昼前に2人が合流して昼食を挟み、昼過ぎに3種のハンバーグ作成作業が片付いた。

熱々の状態で収納袋に箱詰め収納すれば明日出す時まで熱々が保てる。何て便利なお袋さん。

おかーちゃーーん!

2人を本棟と宿舎に帰し、プリタとお茶をする長閑な午後が訪れた。

「そんなに食べたかったなら言ってくれればいいのに」
「ここの担当者の1人なんだから」
「私はお邪魔かなと自重しておりました」

今後はちゃんと言うようにと伝え、いい加減今日は料理する気がしないので本棟での夕食を頼んだ。


15時過ぎに作業中のシュルツの工房にお邪魔して眼鏡を借りて戦利品の鑑定会。

始める前にフィーネとシュルツにバレッタとアンクレットを見せて選んで貰った。

何方も消費魔力軽減効果のある良品。何よりも女性らしい可愛いデザイン。普通の人でも肩凝り軽減などの効果もあったりする。

「バレッタの残りは明日とかに配る用だから1人1個ね」
「アンクレットの残り1つはどうするの?」

「渡す人居ないから…8月が誕生月だったニーダにあげようかなぁて考えてる。何ならフィーネから渡してあげて」
「そっかぁ。じゃあ私から渡します」
「宜しく」

今日はシュルツの付き人の侍女長に取り付けて貰ったシュルツが。
「どうですか?似合いますか?」
「似合う似合う」
「可愛さUPよ」

ニッコニコで贈呈品の作成に戻ったシュルツの隣で鑑定を始めた。

まずは種。
名前:ララードファイアーの種
特徴:燃える様な赤い花を咲かせる事から名付けられた
   原産地:キルワ・アメリダ
   花弁は食用も可能だが死を覚悟する激辛
   煮出した蜜は強力な発泡剤となる

「いいなこれ。炭酸系のドリンク作れるぞ」
「目指せシュワシュワ♡」

「お姉様が…」若干引いてる。

ガラナがあればコーラも出来る。裏庭に植えてみよう。


次は小瓶の薬類。

何れも夜用の精力剤ぽい薬ばかり。中には「コカ」の文字まで見えた。やばいやばい。

茶色の小瓶でヒットした。

成分:ガラナエキス
特徴:その果汁を飲料に混ぜれば無駄に元気が出る
   原産地:トルーワ・イルメリダ
   実は赤く、実から採れる果汁は若干苦い

「フィーネさん。コーラが作れちゃうよ」
「出来したわスタンさん。トルーワてどこ?」
「キルワの更に北」
「遠いわね…」
「クワァ…」

何時か…暇になったら行ってみようとなった。

その他めぼしい物は無く、麻薬入りの瓶はクリアして色付きの水に変えたった。

以外をペルシェさんの実験に回そう。


作業中のシュルツに手を休めて貰って、フィーネがお強請りを始めた。
「明後日からで良いから。この双眼鏡を海月の皮でコーティングして耐圧性能を高めて欲しいの」

返却された眼鏡をクイッと持ち上げ。
「それをどの様に使うのか。詳しく、教えて頂けるなら」

「「…」」
成長著しいシュルツに俺たちが追い付けてない!

「う、う~。解った。今夜泊まりに来て」
「はい!」



夕食に美味しいビーフシチューを頂き、シュルツに何て説明しようか悩んでいる間に時は来た。

「シュルツ。心して聞いてね」
「はい」

フィーネの口から現状説明。濁さず全部打ち撒けた。

「………」シュルツ停止中。

「信じて貰える?これ、かなーり恥ずかしいのよ」
シュルツの前には竜人化したフィーネが立つ。俺のJrも…どうでもいいな。

暫くした後、フィーネのお腹周りを触診したシュルツ。
「硬いですね。…お話は解りました。古代遺跡は危険なのではないですか?」
「とっても危険ね。誰も助けに来られないし。その攻略の手助けになるのが」
「双眼鏡の改造なのですね」

決心が付いたのか。
「解りました。コーティングだけでは足りません。蛸から出たと言う墨も貸して下さい。光源を避けて暗闇まで覗ける双眼鏡に改造します」
「お願いね」

「はい。それともう一つ。水竜様の御鱗を私にも分けて頂けませんか」
「シュルツなら構わないわ。口外無用でね」
「口が裂けても誰にも言えません。お二人とクワンティとだけの秘密です。秘密の共有とは、重いですね」

「だから教えたくなかったの」
竜人化を解いて寝間着に着替えたフィーネがベッドに潜り込んだ。
「隠されたら余計に気になる物ですよ」
シュルツが一番大人かも…。

「明日は午前からだから。さっさと寝ようぜ。お休み」

「お休みぃ~」
「お休みなさい」




---------------

運良く晴れ間が出た。しかし中庭は濡れてグショグショ。

見越して別館の宴会場の反対側の大部屋に、仮設の祭壇場が組まれてそこで本式が執り行われた。

5組が連続で儀式と祈りを捧げ最後は横並びで一礼。

こちらも礼を返して本式は終了。

贈呈品の授与と昼食会、酒宴と続いた。

大人たちもわんぱく育ち盛りの子供たちも、大量に用意したハンバーグをペロリと平らげご満悦。

レーラさんがトモラ君のお口に混合ハンバーグ肉の破片をトライIN。
緊張の一時。…何事も無くトモラ君はキャッキャと笑っていた。良かった!

夜の分を残してギリギリでした。


ノイちゃんがマリカさんを同伴しての出席で会場が盛り上がったり、フィーネからアンクレットのプレゼントを受け取ったニーダが誤ってワインをガブ飲みしフィーネにキスをせがんだり、酒を飲めないライラが苛ついていたり。

新たな旦那連中が上半身裸で腕相撲を始め、カーネギの一人勝ちだったのにフィーネの参戦で全員土下座でお許しを願ったり。

色々あったが楽しかった。

今日は冒険者らしい荒っぽい婚礼式だった。皆が和気藹々と笑い合う。これぞ庶民。

思い出に残る、ある意味黒歴史にもなるそんな和やかな日になった。

殆どの女性陣は宴会場に残りお喋り開始。
二次会のデニスさんの店に付いて来た女性はマリカのみ。名残惜しそうな顔をしていたが他の仲間が二次会会場に居る為涙を吞んで。

早々に潰れたセルダさんとメメットをカメノス邸に預け、残りの男衆とマリカの馬車2台で移動した。

「ノイちゃん、マリカさんの仕事決まった?」
「ちゃんと用意した。余計なお世話だ」
「はいはい。さいですか」

「済みません」とマリカが恐縮。

「貴族様でも上から目線は良くないよ」
「…気を付ける。どうも長年の癖がな」


店の玄関前には本日貸し切り看板。

店内に入るとエドワンド組と各ペアの男性陣で賑やか。
そんな輪の外。カウンター席に意外な人物が座っていた。

「お久し振り。ヒエリンドさん。珍しいっすね」
コマネさんだがな。
「エドワンドの指名上位が外で集まると聞いてね」

コマネ氏の隣にはジェシカさんが居たが構わず。
「来月に南西へ旅立ちます。南東への目処も立ったんでご連絡は早まりそうです」
「…流石だな。追い付くこちらも一苦労だ」

「直接訪ねに行けばいいですか?」
「何かコマネに仕事の話を持って来て欲しいな」

「了解です。デニスさんブランデー。何なら交代」
「いやそれは結構だ」

「はーい」とカウンター裏からパメラが顔を出した。

「半ば強引にな」
「何言ってるんですか。こちらからグイグイ行かないと何時まで経っても待ち惚けですよ」
早くも尻に敷かれてるぜ。

その場の皆にハンバーグの残りをご提供。

パメラが目を輝かせて。
「スターレン様ぁ。これのレシピ教えて下さらない?」
「カンナさんが知ってる筈」

「やだあの子ったら内緒にして」

「内緒じゃないです!伝える暇が無かったの」
「冗談よ。後で教えてね。このお店の名物料理になる、かも知れないから」

デニスさんとコマネ氏が揃って不思議な味がする肉だと言うので特殊肉の説明を加えた。

サーペントとビッグベアのお肉だと。

知らなかった人たちは絶句。の後で何度も咀嚼して飲み込みやっぱり美味いとなった。

美味けりゃ勝ちですわ。

「伝説級の魔物まで次々と。君の底が見えない」
「ビッグベアは聖騎士隊と合同で。サーペントなんて我こそは海の覇者とか意味不明な妄言を宣うんで首をズバッと斬り落としただけで。あんなん雑魚っすよ雑魚」

「早くに引退して正解だったな。そう言えば最近見えなくなっていた目が段々と見えるようになった気が」
「こないだノイツェ殿の家で提供した蛇肉の所為かも知れないですね。持病や沈んだ気分を治してくれる効果もあるっぽいんで」

「…あのサンドイッチか」
「です」

コマネ氏は笑いながら。
「確かに。妙に気分が高揚して来た。ジェシカ。今夜君を連れて帰りたい」
「まあ何て大胆なお言葉。でも嬉しい。望む所ですわ」
こちらも成立しちゃったみたいだ。

新しい旦那連中もこれからの人たちも騒ぎ騒がれ。

俺たちは未来に向かって進んでいる。
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