お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第228話 騒乱の載冠式典・本式前夜

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内式最後の爆弾発言で準備日の城内は騒然としていた。

それもその筈。

マッハリア国内貴族たちの献上品の総引き取り撤去から始まり。一般の催し物関係者(ロイドたち)の受け入れ。手荷物検査が被り、全ての城門がごった返していた。

父上とスタルフの防衛策の1つ。態と見逃し易い隙を作り城門間際での授受を誘発させるのが狙い。

他国主賓級は城内東寄りの迎賓宿舎。一般区画は旧後宮(悪霊退治をした館)の南。南西寄りの区画に収容。

俺たち主賓級は混乱を避ける為に引き籠もり状態。

大型の贈呈品は明日の朝に再提出する事となり1日暇。
暇を持て余す位ならやってしまいます。そうです帝国、アッテンハイム、タイラントの全員合同顔合わせ。

既に昨日の広間で互いの顔は見ているので別段問題無し。

この音頭取りは勿論俺たち。

ペリーニャたちを誘い帝国宿舎に押し掛けた。失礼を連日働いたロルーゼを放置して。

食堂に並ぶ顔触れを見渡しエンバミル氏が一言。
「スターレン君。良いのかね。他国の城内でこんな事を」
「いいのいいの。俺って元ここの王族だし。マッハリアと肩を並べる大強国と言えば帝国。そこの元帥閣下殿にご挨拶に伺うのが問題なら何が外交ですか?て話です」
「帝国とアッテンハイムと当国は私たちが堂々と転移で運んだ手前。今更親密さをアピールしても怪しむ者は居りません。
ロルーゼの邪魔者の半分は退場してくれましたので」

「ふむ。明日の挨拶回りの手間が省けたと捉えるべきか。未だ協議にすら入っていない未来構想までハルジエに暴露されてしまったしな」
「あれは良い。夢が有る。父も弟もとんでもない嫁さん貰ったとさぞ驚いているでしょう」

エンバミル氏が紅茶を一口。
「自己紹介が遅れた。私はエストラージ帝国元帥のエンバミル。隣が娘のクルシュ。その隣が現皇帝アストラの妹君の」
「レレミィと申します。政治的な実権を持たぬ親善大使。アストラの代理と捉えて頂ければ幸いです。
立場は違えどサン姫に似た様な役割だと」

「以前は元帥総司令の役を名乗っていたが軍部を完全に分離し只の参謀元帥。宰相級と捉えてくれ給え。
アッテンハイムの聖女様とこうして対面出来るとは。アストラが来れば良かったと泣いて悔しがるに違いない」
「いえいえ。私は只のおごごっ」
真後ろに控えていたドロメダ騎士がペリーニャの口を手で塞いだ。ナイスです。

「何を言おうとしていたのか気になるが気にしない。ケイブラハム枢機卿。前回の統一教会の総会に来ていたモーツァレラ卿は息災だろうか。風の噂では大病を患ったと聞いたのだが」
「あぁ。そこか…」
モーツァレラとアミシャバが会っていた場所。

「歳の所為か少し頭をやられましてな。今は根治して療養中の身。外務に復帰出来るかは微妙な所。後任代理がそのまま引き継ぐかも知れません」
「歳には勝てぬか。タイラントのメイザー王太子殿下。メルシャン王女。国も政治も真逆であるが同じスターレン君に引っ掻き回された者同士。当国とも和平を結んで欲しい所だ」
「人聞き悪」
そっちが呼んだ癖に。まあ大狼様に会いに行く序での形だったが。

「そうですね。十年計画が数ヶ月に短縮されてしまった気分です。和平の話は」
「式典後の余白時間で是非行いましょう」

「こうなるとヘルメン王とミラン妃にもお会いしたくなるな」
隣のクルシュが速攻で食い付いた。
「参りましょう御父様!政治のお話は抜きにして。南の国を見てみたいですわ」
「わ、私も!アストラからは今月一杯使っても良いと言われて居ります」
娘と妹君には弱いパパ。
「むぅ…。政治の話はここで取り決め挨拶だけに伺うか。メイザー殿らの迷惑に成らねばな」
「こちらは幾らでも。スターレンの転移で帰国するだけなので構いません。城での持て成しを期待されなければ」
「とは言え帝国の要人を城外のホテルにお泊めする訳にも行きませんしね。フィーネ。式典終わりに合わせて城の様子を」

「はい。襲い来る敵を排除した後に」
「出発前にも説明されたが本当に来るのかね。スターレン君の偽物と言うのは」
「十中八九式典期間中に。明日明後日の本式祝宴中が最も確度が高いと睨んでます。一番敵が憎み。新王に危害を加えてダメージが大きいのは俺ですから」
「大衆と各国の要人の眼前でなら尚」

「ふむ…。だがこの中で一番の年配者。老婆心で物を語るならば。別の路線も考慮した方が良い」
「と言いますと」
「ここまでは誰もが予想する。最も成果が得られるのは確かにスターレン君に相違無い。しかし私が敵なら…」
「なら?」
「どうして外してしまう。君とも有ろう者が。もう一人居るではないか。新時代を歩み出したマッハリアに打撃を与えられる者が」
…最も打撃を与えられる者…。
「父上…」
「私なら彼を選ぶ。君の偽装はフェイク。誰もが油断する相手。自ずと答えは出る」
「…」
なんで…外した…本当の馬鹿は、俺なのか。

フィーネが俺の肩を叩き胸を張る。
「怖じ気づくな。私に任せなさい。敵が誰に化けようと私なら見抜ける。こんなにも心強い仲間が居るのよ?
私たちを信じて。こちらにはペリーニャも居る。メイザー殿下も秘密兵器を持って来た。いったい何が不安なの?
そんなに私が信じられない?」
これ以上心震わせる言葉が有るだろうか。
「いや…。ありがと。やっぱフィーネには適わないな」
「そうでしょうとも」

「結局皆を集めて惚気るか」
メイザー殿下の言葉がグサリと刺さる。

「如何にも君ららしい振る舞いだ。当初の予定通りに我らは自衛に徹する。それで良いかね」
「はい。ご助言胸に刻みます」
エンバミル氏に一礼。

「今更だがこれ以上未来の話をして漏れてもいかん。
君らが旅した南西大陸や西方三国の話を聞かせてくれないか。話せる範囲でな」
「そうっすねぇ」
「話せる範囲かぁ…」

話せる範囲と問われても中々に難しい。他国には話せない事が殆ど。

俺たち夫婦2人で言葉と内容を選びながら各地のグルメを中心に話を展開した。

クワンジアで獲れる鱧の洗いにタイラントの梅肉ソースを掛けると絶品なんだよね、の話の最中。

腹ペコペリーニャのお腹が鳴った。
「……恥ずかしい」
両手で真っ赤な顔を覆って可愛いったら無いね。

「お、お昼にしよっか」
「そうよ。育ち盛りなんだから恥ずかしがる事無いわ」




--------------

夕方。ロルーゼの楽団は正門の列の最後尾。
人数や荷物的に時間が掛かると最後に回された。

貴族たちの撤収は大体午前で終わり。
その中に暗躍部隊構成員で注目していた三人が混じっていた。

やはり先に何かを入れていたらしい。
交代で飯や便所休憩に離れた時間も多い為、この限りではない。

見れた範囲でトワンクスとレンデル二人と構成員の接触は門外でも無し。俺の推察が全部外れで二人は何も起こさないならそれでいいんだが…。

正門で偽装破りに掛かった者は居ない。親父さんからの情報では線を敷いたのは門の境界と渡し橋南手前。城外門は全て親父さん直下の兵隊で固め見逃しは略無い。

東門辺りが騒がしい時間帯が有ったので多分誰かが引っ掛かったと思われる。

トワンクスとレンデルがそれに気付いた様子は無い。

姐さんは知らない人間に触れられるのが嫌だと宿で待機。今頃プレマーレと酒飲んでるだろうな。そのまま式には参加せず城外の対処をしてくれるそうだ。

心強い反面。王都の一角が消し飛ばないか若干不安。
敵主力はスターレンに譲ると言ってはいたがどうなる事やらだ。

城内の様子は俺の背中に張り付けた蝙蝠で確認出来る。

グーニャはロイド様のお胸。身体検査で服を脱ぐ瞬間に透明化して地に降りる予定。全く羨ましいぜ。

グーニャを羨んだ時。背中の蝙蝠が刺して来た。
それ位許してくれよ…姐さん。いい加減泣くぞ。泣いたって許しちゃくれまいが。

タイラント帰ったらエドワンド行こう。そう固く胸に誓う。


俺たちの順番が近付き。前の隊が検査に入った時…二人は動いた。

レンデルがトワンクスの隣から離れる。
「警護対象放って何処行くんだお前」
「…厠だ」
「さっき行ったばっかだろ。素人か。単独じゃ入れないんだから入ってから済ませろ」
「直ぐに戻る。お前にそこまで指図される覚えは無い」
何か腹が立つが正論だ。
「あーあ。俺はお前を仲間だと思ってたんだがなぁ。そんなにジョゼに告られた俺が憎いか」
「関係無い」
平静。ただ何時もと声色が違うな。

隊列を離れようとするレンデルを捕まえ強制的にトワンクスの隣に戻した。
「な、何をする!」
「小便位我慢しろ。大の大人が」
「レンデル…」
トワンクスが浮べたのは戸惑いの表情。

そんな最後尾の遣り取りが前にも伝わり、橋番たちの目にも留まった。
「そこ!何を騒いでいる」
「いやぁこいつが頻尿で検査前に便所行きたいってガキみたいに煩いんだ」
「ち、違う」
「何が違うんだ?」

「静かに並べ。列を乱せば余計な時間が掛かるぞ。検査は纏めてでないと受理しない。便所なら門を入って直ぐに在る」
「だから言ったろ」
「くっ…。我慢する!」

俺たちの順番になり先頭を行くロイド様から順に複数列で橋を渡る。責任者と引率とジョゼはロイド様の後ろ。アローマは楽団の真ん中。

全員が顔を晒した状態で進み。橋番の二人がロイド様に会釈。顔見知りだってバレるから止めろ!

そして最後尾の俺たち三人が偽装破りを跨いだ瞬間。
トワンクスとレンデルの姿がそっくり入れ替わった。
「「なっ!?」」
互いの顔を見合わせる二人。
「お前ら…」
お互いに入れ替わって何の得が?

そう思うよりも早く。二人の腰ベルト辺りを掴んで後方に投げ飛ばした。

当然元の姿にもう一度。
「まさかお前ら…。入れ替わってジョゼを交代で…」
「え…」
ジョゼが口を押さえて震えた。

最低な屑野郎がここに居た。

「ち、違う!」
「違います!」
「何が違うんだ!」
ご丁寧に口調まで真似て胸糞悪い。

「橋番!門番!衛兵隊!こいつらはたった今から部外者だ!前列を中へ。門内を固めよ!!」
親父さんから貰った赤い特務腕章はここでは出せない。

それでも指示通りに動いてくれた。二回しか通ってないのに記憶力良いなぁ。

二人は俺の顔を見ながら後退り。
「こいつらを囲め!俺が獲り押さえる」
武器も出せないので素手で行く。

左右に分かれ逃げようとした二人を交互に足払いで転がした。まあまあ速い身の熟し。お互い様だが今まで隠してたな。

退路を衛兵隊に塞がれ観念するかと思いきや。二人は同時に細い腕輪を道具袋から取り出し手首に巻いた。

何時かのピューレイが着けていた物と系統が似てる。
小粒の黒い魔石と宝石が散り填められた銀腕輪。

「二人から距離を取れ!従属系の何かが飛んで来る!」
「お前は何処まで…」
「ずっと張られてたのか」
今更気付いても遅い。

案の定両者の指先から黒い触手が五本伸び。俺の両脚に絡み付く。だが今の俺の対魔力は二千越え。タイトジットも装備してそこいらの魔物の従属なら楽勝で弾ける。

「馬鹿が…。衛兵!誰でもいいから小剣寄越せ!」
投げて寄越された二本を掴み。足元と首狙いの追撃を切り飛ばし最速で接近。

「化け物め!」
「そりゃお前らだ!」

「嘘よ…。こんなの…」
門間際のジョゼの涙が地に落ちるのと。馬鹿二人の腕が肘から飛んだのは略同時。

絶叫する二人の道具袋のベルト部を切り取り奪い。地面でのた打つ二本の腕を腕輪の部位で分割した。

腕輪の石を粉にした頃には小剣の刃はボロボロ。

その剣を地面に突き刺し。
「済まんな。触手の残骸は燃やして灰に。この剣溶かす前に聖水で綺麗に洗ってくれ。道具袋は小型の収納袋。
まだ何か危険物が入ってるかも知れない。注意して解体するように。
こいつらは重要な情報源だ。殺さないように拷問頼む」

「ご助力感謝を。止血してこの二人を牢にぶち込め!」
「ハッ!」


門内の前列に合流。嗚咽を漏らすジョゼに声を掛けた。
「悪いなジョゼ。どっちも救い様の無い屑だった」
「責任…取ってよ!ソフテルさん!」
「タイラントに来る気が有るなら。誰かいい奴一人、探してやるよ」
それが一番難しかったりするんだが。
「…うっ、ううっ…」
絵に描いた様な。悲しい、幕切れ。

俺たちの収納バッグは全部グーニャの影の中。その後の検査が念入りになったが無事に全員通過出来た。

検査員の中に主人二人が混じってたので他の荷物も問題無いだろう。

これでやっと真面に寝れるぜ。




--------------

ベッドの上でプレマーレに腕枕。
「ハァ…ハァ…。レイルダール様」
「何じゃ」

「暇潰しで私を抱くのは止めて頂けないでしょうか」
「誰も居ない時に隠れてするのが楽しいのではないか」
「ご寵愛が薄い気がして…悲しくなります」
「欲張りじゃのぉ。恥じらいが取り戻せて体力が有り余っておるのじゃからええじゃろ」
「そう言う問題では…。もう良いです。それよりも城外の十人はどうされるお積りで」

「悩ましいのぉ。固まって動いておれば纏めて屠れるのじゃが。三三四で別方向に分かれてしもうたし」
「旧派三人の屋敷方面の様ですね」

「一部を消して隠れられても面倒じゃ。東の宿場ではカルティエンと王子が合流。王女の方は離れたな。
転移具が使えないと解れば纏めて動くと思うのじゃがの」
「屋敷の中にも仲間が居るでしょうし。面倒ですね」

一気に動くのはフレゼリカが来てランディスが城内で暴れ出す時。

部屋に夕日が差し込んだ。
「城の門前でソプランがトワンクスとレンデルを倒したようじゃのぉ」
「二人で入れ替わり一人の女を…。理解に苦しみます」
「モテない雄が考える事なぞ解らんて。さてと」
身体を起こして大きく伸びを。

「他が動くか飲みに出ない?軟派されるかも知れないし」
プレマーレの頬を指背で撫でる。
「目的以外の雄に群がられそうですが」
レイルのその手に手を重ねた。
「素面で笑いながら武器を抜いた奴を順に殺して行けばいいのよ。簡単でしょ?」
「…単純明快ですね。私の偽名は何にしましょうか」
「偶には自分で考えたら?」
「そうですね…。サレマ、とでも。如何でしょうレリア様」
「良い名前。行きましょうサレマ」

夜の帳が下りた頃に。意気揚々と飲み屋を梯子してみたものの。絡んで来るのは酔っ払い。

「えれぇべっぴんさんだねぇ。男に絡まれて大変だろぉ」
お前だよ!
「それほどでも」
「気安く話掛けるな蛆虫」

「えっへぇ。キッツい姉さんだねぇ」
男は謝罪しながら離れた席に座り直した。

「サレマ。落ち着きなさい。それでは何時まで経っても一人旅が出来ないわ」
「も、申し訳有りません。つい怒りが」
東大陸に同行させるのが若干心配になった。

この店で三軒目。収穫は無く。釣れたのは酒臭いおっさんばかり。

城下北西部地区の飲食店が多く集まりディカルソン家が近い。近いとは言っても人間の徒歩だと距離は有る。

屋敷の周辺は高級住宅が並び雑貨屋以外に商店が見当たらず。夜には閉まる。詰り今時分は接近する理由が無いと来た。

直接屋敷を焼き払う手も有るが。中で働く者の大半は邪神教とは無縁の一般人。殲滅してしまうのは拙い。

他の女性客も疎らとなり。そろそろ宿に帰ろうかと念話で会話しているとディカルソン家に入った三人がこんな夜更けに表に出た。

何処に向かうのか蝙蝠の目を通して追っていると方向的にこの店?

城の内通者と会うなら人目に付くこの飲食店街は通り抜けないと思うが。

店を出ようと席を立つとウエイターが新たな酒を運んで。
「御二人様に当店からのご奉仕です」
私たちを足留め?
「頼んでないわ。何の真似かしら」
「お会計を」
置かれたグラスをサレマと飲み干して。
「…何とも無い?」
不思議な事を言う。

「濃い目の睡眠剤が入ってたわね。でも私たち特異体質で全く効かないの。極度の不眠症って奴?」
「お会計を。それともこのグラスを持って憲兵隊の所に行けば良いの?店潰れても良いならそうするけど」
「直ぐに!いえ、お代は結構です!」

出る前に大声で。
「女性客の皆さーん。この店の酒は睡眠薬入りよー。
失踪事案が出たらこの店訴えてー」
「早めのお帰りをー」
女連れの客が一斉に銀貨をバラ撒き店を出た。

多分明日潰れるわねこの店。

帰宅客の波から離れ北回りに大きく迂回して細い路地裏の袋小路へ到着。

南西のノアンマイズ家の三人と北東のマクライン家の四人に動きは無い。人の出入も。良く見えない地下の方で人が動いているので別場所に繋がっているのかも知れない。

周辺地上は静か。精々近隣の建物間を移動している程度の物だろうと思い直す。

各所の監視蝙蝠を高い建物の屋根へ再配置させた頃。鈍間な三人の追手が現われた。

男たちの呼吸の乱れは僅か。まあまあの戦闘力と装備品でも興味を惹かれる物は身に着けて無かった。

転移具でも持っていれば当りなんだけど。

この三人へ連絡したのはさっきの店の店員。店奥で様子を窺っていた店長ぽい醜男。耳当て式の通信具で。

「私に用事かしら」
「叫べば誰かに聞かれるこの場所で?」

「想像以上の上玉だな。…連れの褐色女も」
卑猥な目で私たちを値踏みする雄。何処にでも居るな。
ここで目を潰してしまおうか…。

後ろの男が片手を掲げ。
「音なら心配するな」
中指の指輪から音声遮断の局所結界が張られた。
へぇ、外で使えるのは便利ね。

あれは奪いましょうとサレマと合意。

「準備が良い。なら私の事を知ってる風ね」
「ロルーゼの楽団の衣装を用意した仕入屋で踊りと音楽の指導までする飛び切りの美女、て位だな。隣の女は今さっき知ったばかりだが」

ジョゼからカルティエン隊経由でボブリに伝わったと。

「で?私たちをどうする気?」
「城に入った楽団を脅すのに使える。それまで静かな場所でたっぷり堪能させて貰うがな。最終的にロルーゼに送って気持ちいい肉人形に替えてやるぜ」
軽く操っただけでペラペラと。耐性具は低級品。
「ボス!何を勝手にバラしてんだよ」
「ああ悪い。あんまりにも俺のタイプでよ」
涎まで垂らし始めた。

「まあ怖い。抵抗しないからその静かな場所に連れて行ってくれない?私お外でするの嫌いなの」
「お前に満足させられるの?この短小早漏」
「そ…うるせえ!後で泣いて懇願するまで輪姦してやる」
こいつは語彙力を溝に捨てたのか。

「それは楽しみね」
「楽しみですね」

後ろの男たちに後ろ手に縛られ。ボスと呼ばれた短早が腕輪型の転移具を取り出した。

連れて行かれたのは…南西ノアンマイズ家地下の一室。

そこには初顔の雄が九人。
地上で暗躍していた三人。
暫く様子を見ているとマクライン家の四人も追加された。

扉の向こう側に見張りが一人。合計二十。
薄汚い雄共の収穫祭。釣れた釣れた。

ランディスはマクライン家に隠れ。屋敷の主や側近たちの姿は見えない。

「この十九人が今夜のお相手?満足出来るかしら。トワンクスとレンデルも来るの?」
「あいつらは城門前でヘマして捕まった。事前に通信具捨てさせて正解だったぜ」
「へぇそうなんだ」
内通確定。

「これで全員だ。超絶気持ち良くなる薬も有るからきっと大満足するぜ。へへへっ」
既に超絶気持ち悪い。

ボスが周囲の取り巻きを制止して壁際の棚から注射器入りの大箱を取り出した。

五十本入りで強力な媚薬と芥子の花から採れた濃厚な麻薬成分が盛り盛り。あんな物を打たれたら常人では堪えられまい。

「ボス。流石に勝手に使うのは」
「楽団の女用に三十のこしゃいいんだよ。どうせバーミアン家と馬鹿王子の肉便器にされるんだ。届ける前に俺たちで可愛がってやろうぜ」

太腿を擦り合わせ。
「ねぇボスさん。私他の人に声聞かれるの嫌なの。集中したいからさっきのお・ね・が・い」
「元々ここは防音仕様だ。扉も二重で見張りにも一切聞こえねえから安心しな」
あっそ。確かに壁の反響が消されてる。

「安心したわ」
「実に」

背中の縄を引き千切り。淫らな雄共が反応する前に。
手分けして胃が飛び出る程度の腹パンを進呈。意識を飛ばした所に軽度の従属。からの注射器丸々一人一本肩肉に服の上からプレゼント。

消毒してないから腐りそう。

残りの注射器。その他意味不明な薬品。転移腕輪と防音結界指輪。通信具と偽装指輪二個を回収。

それと触手系魔獣の腕輪五個も。

「どうしてエロい人間の雄は触手を好むのか」
「さあ。手を増やして女を嬲るのが好きなのかと。西の出荷品の最売れ筋でしたし」
ああ昔からその傾向は有った気も…。

仕上げに記憶書き換え冠を全員に載せて回り。
昨晩からランディス、ボブリ、カイト、ココットリィの四人と雄同士で愛し(掘り)合った後。満足したランディスが全ての道具を持ち帰った、と上書き。

妾たちと楽団と修道院と被検体の潜伏先。救出者たちに関する記憶を綺麗に消してお終い。

呆ける雄共がズボンを下ろし始めた所で近距離転移で南部町の倉庫裏に撤退。

「南部の夜店で飲み直して帰りましょう」
「はい。何処までも。何時までも」
堕落させ過ぎてしまったかもとやや後悔。遅いわね。

フードを深く被り直し腕を絡ませ夜店を巡り歩いた。
祭前夜の賑やかな夜更けに二人切り。
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