お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第239話 最も深き迷宮攻略・2

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迷宮3層目で弓兵のウルガアーチャーが追加。
序盤なのにかなり速い矢を放つ難敵。接近すると拳や脚を繰り出す体術系を駆使。

ソルジャーキングとカラースイーパも性能強化された。

以降5層目までウルガアーチャーが階層主。

宝箱は全く出ず。

敵戦力を維持出来たのは5層目までの話。
6層目に入ると3種同時に入れ替わった。

ウィークソルジャー。
こちらの弱点を突きに来るスライムコートされた骨兵。

ウィークスイーパ。
同じく弱点狙いの投擲や弓を放つ兼業兵。

シックネスバット。
子供サイズの人型蝙蝠。飛行種に対応され種別変更。
小隊の遊撃に加わり主は大人サイズ。

「うおー。敵構成維持出来るのは最大5層までかぁ。プレマーレの不死属性も見抜かれてるし。ベルさんの鬼!」
「先が思い遣られるわぁ…。ギルドの公開情報が複数層同じ構成なのも頷けるわね。疲弊したり怪我したりで戦術変えると敵も入替え」
「まだ余裕は有るがジリ貧の極みだな」
「少し頭痛が…。熱ではなく精神的に来ます…」

ロイドとプレマーレも。
「私とプレマーレが翼を出すと。敵の飛行種が追加強化されますね」
「ええ。間違い無く」


10層まで敵種別維持、戦力強化に留まる。

問題は…10層で初めて現われた宝箱。

発見者のソプランが叫んだ。
「スターレン!拙いぞ。階層主倒した瞬間に岩場の隙間に填まってた宝箱が消えた!」
「嘘だろ…」
敵を殲滅し切った10層の地に尻を着けて座った。
「あぁ…。そう言う事か。最下層付近の階層主か迷宮主と戦闘中に隠し通路に入れって事かよ…」

フィーネが大きな溜息。
「捜索する人を絞って他で盾になるか。戦闘中に複製体出すかね」
「複製体は止めよう。フェイクだったらその次で階層主が増えて苦労する。奥の手のピーカー君出すととんでもない化け物が出現する…。
あーもー!どうせ次の11層から入れ替わるし。
明日は1日お休みにします!」
「賛成!」
全員賛同。休息は大切です。




--------------

迷宮突入から4日目の夜。
恥も外聞も羞恥心も捨て去り。それぞれペアの部屋に重厚なサイレントを施し……迎えた5日目休暇日の朝。

「えー。お相手が遠方に居るロイドさんとプレマーレさんには大変。申し訳無く思いましたが。
何卒、広い心でお許し下さい」
「私は慣れているので全く構いませんよ」
「私はレイルダール様と心が繋がって居ますので。肉体的な接触は帰ってからの楽しみに」
貴女方は神か…。上位種族でしたね。

「悪いな…」
「精神的に堪えられませんでした」
従者カップルも陳謝。

フィーネが咳払い。
「正常な夫婦ですもの。サイレントは今日1日余裕で持つので明日に響かない程度に愛を育みましょう。
迷宮は一旦忘れ。美味しい物を食べ。プレマーレは好きなお酒を飲み。リフレッシュです!」

「ピーカーも御免な。バッグから出してやれなくて」
「いえいえ。敵が増強してしまう可能性が有るなら出られません。バッグの収納側は僕には天国です」
偉い子じゃのぉ~。
「拡大桶の中で工作しても良いですか?」
「じゃんじゃんやって。世界樹と古代樹以外の木材なら幾らでも」
「はい!」

「さて。何作ろうか。ちょっと手の込んだ物は気分じゃないんで出来れば単純な物で」

ソプランが空かさず挙手。
「獄炎竜の焼肉で」
「ソプランさんもお好きですねぇ。朝から竜焼肉とは」
「今日は恥を捨てる日だ」
「止めて下さい。そんなハッキリと…」
真っ赤なアローマがキュート。

ロイドも挙手。
「豚生姜焼きの甘酢だれを。それは自分で作るので白米を頂きたいです」
「了解」
「米はもう残り少ないから今日で使い切りましょう。焼肉や生姜焼きにはやっぱり白飯よね」
「後は適当にサラダとスープか味噌汁で。クワンとグーニャもそれで良い?」
「クワッ!」
「ハイニャ!」

プレマーレは。
「モーランゼアのブランデーをチビチビやるのでお構いなく。氷は使っても?」
「どうぞどうぞ。暫く使う予定無いし」
「私も夕方飲もうかな。氷無くなっても直ぐ作れるし」
「うっかり念話先間違えないように」

「もう大丈夫よ。水竜様と黒竜様の切り分けと個別化は完璧に出来た。神様とそれに近しい存在だからなのか。とっても波長が似ててあの時黒竜様に触れてしまったの。
天竜じゃなくて良かったぁ…」
「ホントそれ。じゃあささっと作りますかね」
「ささっと!」




--------------

突入6日目。ゆったり起きて朝食と身支度。

いざ出陣!んが!

ハウリングソルジャー。
共鳴使いの近接武装兵。

ハウリングレンジャー。
共鳴使いの遠距離投擲弓兵。

ハウリングバット。
共鳴使いの完全人型飛行遊撃兵。

11層入口崖の上。
「オーマイガ。今度は隣接小隊同士で連携して来る。音のダメージもデカい」
「まだ前中半なのに…嫌がらせじゃないこれ」
「耳栓すると念話が出来ない俺らが一歩遅れるな」

「念話が出来ても全部繋がってる訳じゃないし…拙いな。
呪いは受けなくても耳栓無しだと鼓膜は破れる」

バッグの中のピーカー君。
「スターレン様。時間は有りますか?」
「ここから動かなければ時間は大丈夫」
「でしたら全員分のヘッドセット式の耳栓を普通の木材で作成します。味方の声以外を遮断する物を。僕が作れば共振も無効化出来ます」

「おぉ。急場の道具屋さんがここに居た」
「時間掛けていいからお願い」

地べたに座って待つ事15分。

ピーカー君急造の無名の耳栓。それぞれの頭の形と耳穴の大きさにピタリとフィット。しかも接面に何の負荷も掛からず耳障りも柔らかい。てかフワフワ綿毛が当ってるようで気持ち良い。

「おぉこれ気持ち良い~」
「耳栓の概念飛び越してる」
「耳通も大変良いです」
「小声でも聞こえるぜ」
「距離が離れても届きそうですね」
「これが普通の木材とは…。病み付きに成りそう」
「クワァ~」
「巨大化しない内はバッチリニャ」
グーニャはそれが切り札の1つだもんな。

全面カッチリフィットで頭を激しく振っても外れない。
「良し。ありがとピーカー君。これでもう少し今の装備のまま稼げるぞ」
「ありがとね」
「どの道僕はまだ戦えませんのでサポート係ですよ」
「涙出そう。うん。こんな前半で躓いてられないぜ」
「ピーカー君の分まで戦うわ」

皆気合いの言葉で立ち上がる。

「消える宝箱には何も無い。残った箱だけゆっくり開けて行こう」
「行こー」

味方の声のみなので最初は周囲の状況変化の把握に難が有ったが11層を終えるまでには慣れた。

まだまだブーツの性能で押し通れる。
越えられない限りは抑え気味に動き踏破層を重ねたい。

踏破ペースは2日で5層。急いでしまうと敵も強く成る。

15層で主討伐後に残る宝箱を2個発見。
だがしかし両方空っぽ…。

「何でやねん!2つも」
「スフィンスラーが豪華過ぎたのよ。両方で貰えるって考えが甘かった」
「今頃別世界でベルさん笑ってるんだろうなぁ…」
もっと沢山お話したかった。心底。


突入8日目の16層。

キラーナイト。
スピード特化。駆動性重視。武器多彩騎馬兵。

キラーアーネスツ。
スピード特化。機動性重視。速射連投遠隔兵。

ネックキラー。
スピード特化。飛行性能重視。首狩り蝙蝠。

「もう騎馬兵って。ベルさん気が早いよ!」
「こっちのスピード探りに来てる」
「ここが我慢の為所ってか」
「寧ろ清々しい気持ちです」
「戦場の高揚感…。前世の頃を思い出してしまいそう」
「そのお話。個人的にお窺いしても?」

「次の休暇日にでもゆっくりと」
「是非」
ロイドとプレマーレって正反対の存在の筈なのに妙に気が合うんだなぁ。

「どうやら音攻撃は諦めた様子。でもまた複合で被せて来るだろうから耳栓したまま乱戦に慣れて置こう。
遊撃は上での撃破スピードを保つ。
アローマは遠距離攻撃に回避限界感じたら迷わず反射盾を出す事。どうせ後中半で使うから」
「クワッ!」
「ハイニャ!」
「承知しました」

スピーディーな乱戦。そんな誘いには乗りません。
結局全ての攻撃は自分の身体に帰結する。俊敏性を上げずに腰を起点に前後左右の最小限の動きで見切る。

アローマも途中からソプランを真似て見切りで最後まで乗り切った。

ドロップは主の魔石と小型化された装備品ばかり。
層を重ねるとグレードが上昇。
防具は最終討伐者に合う形状。
道具類は全く出ない。

20層で出た宝箱は2つ。1つは空。もう1つは…。

卑猥な筆。
好きな人物の裸体を鮮明に描ける魔法の筆。

「おちょくってんすか!そんなもん自力で描けますよ!」
「スタンさん。自慢するような事じゃない」
「はい」

また何かに使えるかもとフィーネさん預かり一択。


9日目の夜は恒例の。10日目はオフデー。

シュルツ発注で食材は豊富(米や小豆以外)
毎度竜焼肉では芸が無いと2口唐揚げにしてみた。
どんな調理でも美味しさは爆上げ。気分と共に。

ロイド用には普通の唐揚げと蒸し酢鶏。
クワンも一線を乗り越えたのか遂に美味しそうに食べられるようになった。

「米黒酢があればもっと美味しいの作れるんだけどなぁ」
「自分たちで作れるようになるのは遙か先ね」
酢と聞いてロイドが食い付いた。
「タイラントのお酢とは違うのですか?」

「風味が豊かでコクが有って。全然違うと感じると思うよ」
「米を買い付けに行くペイルロンドのカカンカでも少量しか生産してなくて買えないの。きっと南東の周辺国でもっと沢山作ってる」
「何時か旅してみたいものですね。行商として」

「聖剣抜いて南東が解放されたら。大陸中の国からわんさと招待状が届くよ。
何たってタイラントの外交官で最上級冒険者で勇者なんだからそれはもう……。助けてフィーネさん!」
嫁のお胸へ顔面ダイブ。
「おーヨシヨシ。邪魔者は私がしっかり踏み潰して蹴り飛ばしてお空の彼方に飛ばしてあげまちゅからねぇ」
「うん!」

「仲が良くて結構だが。言ってる内容えげつないぞ」
「ここには無関係者は居ませんし。良いのでは」

「これがレイルダール様が仰る落差ですか…」
プレマーレが1人で納得顔。

「大体行く国は決めてる。
北西部のミリータリア王国。お米の流通を広げたい。
中央部のレンブラント公国。今度は表から。
商業ギルド本部訪問も。
南東部のキリータルニア王国。クワンジアとは違うもう1人のアデルが居る国。
プレマーレは何か知ってる?」

「クワンジアのアデルとは面識が。西から入国する時に数回顔を。南東大陸は殆どノータッチです。
世界樹が何処に在るのかも存じません。あの杖はシトルリンから渡された物なので」
「そかぁ。クワンジアの方はいいや。レイルが見張っててくれてるし。問題はキリータルニアかぁ。
このメンバーはもう裏では動けないし。やっぱあの2人に頼むかな」
「まだ誰にも知られてない存在だしねぇ。元雇い主は消えてくれたし」
トロイヤとティマーンの出番も近付きつつある。


「あー将来の事より明日の方が気が重いよ」
「どんなの来るかなぁ。怖さ半分ワクワク2割」
「3割何処?」
「スタンと皆が居るから超余裕」
「だと良いですね」
ロイドがニッコリ。

ホントにどんなのが出るのやら…。
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