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第253話 魔神は星々の彼方へ
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人間の欲望は時として。神々や英雄の予見を飛び越える瞬間がある。
瞬間は重なり1本の撚り糸へと変化した。
ソプランたちの手合わせが終わり。昼食と偽装破りのマーカーを指定依頼各所に線引き。新薬の一部を配布後。
若鮎や高級緑茶や黒鉄茶器をお土産に頂いて。
白月宮前の枠内でクワンと皆を白ロープで繋ぎレンスブーケ南へ転移した。
アストラ皇帝発行の通行証で入町。迎えに来たトッド隊と久し振り~と伝文書を渡し。現在の状況を聞きながら港へ到着。
一般人は勿論。統一教会関係者が出るわ出るわ。
「俺は水竜教だ!聖剣は無宗教。
総会に水竜教を真面に呼んだ事も無いお前たちと馴れ合う積もりも筋合いも無い!目障りだから失せろ!!
あ、一般の方と商店経営の方々は別ですよ。
離れ小島のちょっと変わった樹木を伐採したら帰りにお魚とか買わせて下さいね~」
「遠目に眺めるだけなら怒りませんよ~」
夫婦揃って風マイクを使い宣伝予告。
中型の軍船を1隻借り受け北上。大陸から約100km離れたポツンと1軒屋。ならぬ小さな孤島が1つ。
海鳥も虫も他の植物も一切無いのに弾ける勢いで燃え続ける不思議な大木が1本。
2km付近を北側へ回り込み。双眼鏡やら肉眼やらでじっくりと観察。
昼間でも超輝いてクッキリ見えた。
「ねえねえカタリデさん。南東の木もあんな豪快に燃える物なの?」
「あんな幹まで豪快に燃えたら山火事よ。難燃性の枝葉がチリチリとゆっくり燃えるの。灰も煙も出さずに」
「ならあれは全く別物。だけど勇者と聖剣…。もしかしたら魔王様の力の復活が関係…。いやいやあっちは魔王の剣を取りに潜ってる最中。だったらカタリデか」
「かなぁ。ここまで近距離に居ても何も感じないんだけど」
「不思議ねぇ」
嫁ちゃんも自分の双眼鏡で覗き首を捻る。
「あ、スタンさん。あの木の真下。海抜100m下に不自然な空洞があるよ」
「どれどれ…。ホンマやね。外と繋がってなくて海水も入ってな……」
俺の心臓が跳ね上がる。この感覚は初めてかも。
「スタンさん?」
「ちょっと…。もっとじっくり見させて」
………
女神様の助言は直接受けられないのは当然としても。御方からの助言にもこんなのは無かった。
西大陸以外では有り得ないと考えていた予測線が1本。
ロイドさん。大変重要なお話が有ります。念話は使えないので直接会いたい。
「自宅で移動の準備は整えています。レイルさんとプレマーレも目の前に」
良かった。クワン送るからここへ。
「はい」
1分後。船上デッキに集結した遠征組フルメンバー。
全員を輪にして重大発表。
「あの燃える木の下に…。西から持ち出された魔王の因子持ちが…。鼾掻いて就寝中なんですが…」
「え!?」
ペッツたちもお口半開きで呆然。
「フィーネ。何方にも念話はするな」
「う、うん…。怖くて出来ないよ」
「ロイドも上の様子は一切見ないで」
「見ません」
「俺が時々助言を貰ってる御方とは全く無関係の予測線が突然現われた。多分ベルさんの予見からも外れた物」
「どんな奴じゃ。其奴は」
「砂漠の王。サンドワームの最上位種」
「彼奴が…。あの下に?」
「た、確かに…。長らく西では見ていませんが」
レイルとプレマーレも半信半疑。
「身体は因子部以外削ぎ落とされてコンパクトサイズ。全長10mも無い。あの島に閉じ込め。更に砂漠の王が苦手な海水で囲み。聖剣が抜かれた事を知らせる目印の木を植えた」
「な、成程の…」
「サンドワームの最上位ともなれば。大陸側に解き放つだけで帝国領は一晩で壊滅。1週間で分裂しながら中央大陸北半分が砂漠化。
それがアミシャバの復讐。最後の一手だったみたい。死なば諸共、て感じの」
「同情の余地も無いわね」
「ここからが肝心。あの木を鎮火すると下のサンドワームが起きてしまうから放置。
ソプランの大地の叫びで海岸線から海水の導入路を下の空洞まで伸ばして水没。
苦しみながら這い出た所を全力のカタリデで両断。
飛び出た因子は依代候補者のレイル、プレマーレ、フィーネの内誰かに向かって飛んで行く。
そこを俺が掴み取り。この…」
バッグから締結鎖を取出し。
「ラスト1回のこの鎖で締結。西大陸に行かずして魔神コアが誰にも知られず完成する」
「……」
「完成直後にカタリデの平面を使って」
真上の晴天を指差した。
「天空竜の呪いも。大気圏も突き破って宇宙空間へと放り出せる」
「それって使命の終わりじゃない?私が消えたり」
「西の統一王が神格化する恐れが有るのと。邪神の召還の危険が有る内は俺たちの使命は終わらない。
もしカタリデが消えそうになったらフィーネの短剣を投入する。そこは心配しなくていい」
「うん…」
「西大陸全体の戦闘力が下がるから。仮にカタリデをロストして戦力ダウンしても均衡は保たれる。
この予測線に分岐は無い。たったの1本なのも初めて。依代候補の選択で分かれはするけど収束点は1つ。
この案に反対の意見は。どの道あの木が燃え尽きるまでしか猶予は無いよ」
「いやいやこんなビッグチャンス逃す馬鹿居ねえよ。下手糞でも大穴位は開けられるぜ」
「じゃの。面倒事がシトルリン原本だけに成るのじゃからのぉ。優雅に旅を満喫出来るのじゃ」
ロイドも賛成。
「賛成です。西大陸は蠅の王が封印状態に在れば統一王は生まれません。他の王に発見されるまでは時間の余裕も取れる。神の封印を解ける者も同格以外には存在しません」
他も反対意見無し。有ったら驚く。
「良し。各自最強武装で平場が多い西端海岸に上陸しよう。緊急避難要員のクワンは最初からソラリマを」
「クワッ!」
自分は大狼様のジャケット。ブーツと鎧以外の勇者装備を初着用。兜もピッタリサイズ。
兜着けると最終武装な感じがして身が引き締まる。
「何が来ても気絶すんなよルーナ」
声を掛けるとほんわり右腕が温かくなった。
空いた隙間を埋めるように霊廟を巻いた。
「色彩ハチャメチャだけど。四の五の言ってられないわ。競合はしてないから全力で行こう」
「やっぱグチャグチャに見えるよなぁ。でも後悔する位なら恥なんて捨てたる」
「そうね」
デッキに出ていた水色フィーネにも笑われた。
「組み合わせは二の次ね。フル装備だとキス出来ないのが残念」
「俺も残念」
キスは出来なくても抱き合い口元を合わせた。
アローマとグーニャは船上待機。クワンは中上空旋回。
ロープ橋を渡して徒歩移動。
ソプランに双眼鏡を渡し。カタリデを抜剣。
「縦穴が開通したらグーニャでソプラン回収。
アローマは回収後に船を北へ全速で」
「ハイニャ!」
「はい」
左隣の定位置のロイドは腰の破邪剣の柄に手を掛けた。
「ロイドは全展開で触手をカッティング」
「承知」
後方3人へ。
「出来れば散開せずに固まって。飛ぶなら真っ直ぐ西の空へ頼む」
「解った」
「了解です」
「勇者に守られる日が来るとはのぉ。上手く行ったら褒美にキスしてやろう。フィーネはプレマーレに抑えさせて」
「そりゃ光栄だね」
「い、嫌よ!」
「キス位で何をギャーギャーと。ププッ」
「煩いわね!あんた後でスフィンスラー行ってボコボコにしてやるわよ」
「楽しみですね。考案した対策方法を試しましょう」
「ピーカーは俺のバッグでいいか」
「ここより安全な場所は無いです。僕が傍に居れば因子の影響も軽減出来そうです」
「心強い。カタリデ。連続フルチャージに因る弊害は」
「後ろの2人の身体がちょっと痒くなるレベル。
充填時間は3秒。
女神ちゃんに知られるから時間操作スキルは禁止」
「おーけー」
「地味に嫌じゃの」
「ですね…」
「クワンは本体攻撃以外の最善手を」
「クワッ!」
「ソプラン。開始は任せる。道筋が見えたらやってくれ」
「おぅ…。じゃあ行くぜ!」
大地の叫びを突き立て海からの用水路を形成。浸水量を見ながら太さ調整。前方へ路を延ばし地を開いた。
少しずつ着実に海水を満たしながら深度を増して。
空洞に到達。大きな気泡が何泡も出現。
ソプランが駄目押しをして船方向へ飛翔。グーニャが蔦で巻き取りキャッチ。
船が動き出した瞬間からチャージ開始。
カタリデと引き合うかのように地面が大きく揺れた。
「これが因子持ち…」
「来ます!」
ロイドが叫び左に飛び退き真上に飛翔後銀翼展開。
大量の海水を飲み。苦しみながら顔を開口部から覗かせ髭から無数の触手を無尽に伸ばし。抜剣したロイドが剣と羽根で切り刻む。
北に向かった船を追う触手はクワンが滑空切断。
高音域のハウリングと共に飲んだ海水を吐き出し冷たい粘液の雨を大量散布。
まだ半身。呼吸を整え機を待つ。
地表に出た部分から肥大化。更に触手が枝分かれ。ロイドの展開の隙間からこちら側に。
俺を目掛けて溢れ出た。
両手持ちの上段構え。剣身は5倍。
「スー--」音を出して息を吐く。
地表に歪な尻尾までが露出。ロイドが真上から最大空刃を放ち西海岸を2つに割った。
晴天。視界は良好。道は、見えた。
分裂増殖をされる前。ロイドが地に付けた切り欠きを足場に特攻。
砂漠の王が真っ二つに割れ底辺の地面まで砕け散る。
その抜け際に黒い石炭のような物体が自立し。後方3人の内レイルの方向へ飛んだ。
左手でしっかりと後追い握り。カタリデを手放し。バッグから締結鎖を取り出した。
ベルさんが作ってくれた道具。そして道筋。
迷わず強制発動。西の方角から粒子が集まり始めた。
砂粒、大粒、塊色々な形。
鎖が消え去ると同時に掌に収まらない球体が形成。尚もレイルへと向かい動こうと藻掻くそれを上から地面に押さえ付け。右手にカタリデを戻した。
フルチャージと共に剣身を横へ拡大。
左腕から肩まで走る激痛。
「温いぜ。こんな痛みじゃなぁぁぁ」
地面を割り埋まる球体を残し。距離を離した3人の前に立ち塞がり中段構えからのバット持ち。
レイルに向かう黒バスケットボールを真っ白に輝くカタリデで横殴り。からの激しい反発。
「千年だろうが!」
球体が撓む。
「二千年だろうが!!」
半分に潰れた球体。
「この世界に!お前なんざ要らねえんだぁぁぁ!!!」
身体の全てを絞り出し切る強引なフルスイング。可動ギリギリの垂直角を目指し。
背中からフィーネの最大の魔力供給。
その熱い気持ちを力に変え。支えに振り抜いた。
大空を高速で駆け上がる白き球体。
「しゃぁぁぁ!!!」
1枚。2枚。3枚。上空の壁を突き破り。強い光を残して青空に飲まれて消えた。
カタリデとレイル。
「やっちゃったわね。この夫婦」
「やってしまったのぉ。西へ行く前に」
そんな言葉は無視をして。カタリデを手放し抱き合い喜び合った。
近場で見ていた大狼も。遠目に眺めていた黒竜も。この星の壁を貫く白直線に腹を抱えて転げ回ったそうな。
--------------
神域から下界を見下ろしていたペリニャートは白い椅子から転げ落ちた。
スターレンたちが帝国領に入ってからは。何も起きないだろうとアッテンハイム領へと目を動かしていた偶然の空白時間。
自らが施した三枚目の壁さえ貫いた白球体を。
只呆然と膝立ち姿勢で見詰めた。
「アハハハハハッ。アハハッ。ハァ苦しい。お腹が捩れるじゃない」
後方から今は一番聞きたくない笑い声が聞こえた。
「貴女が…。貴女が導いたの?姉さん…」
「私がそんな面倒な事する訳ないじゃない。あれはあの子たちが掴んだたった一度のチャンス。
でも良い気味。私が最初に目を付けた彼を。好き勝手操って誰でも良かっただなんて嘘まで吐いて。
私から奪い。彼を騙し。生身をここまで引っ張った。貴女の罪はもう拭えない。ざまー無いわ。アハハハハッ」
「…煩い!」
「何ですって?良く聞こえなーい。
だってここ別世界だしぃ。これ以上私の邪魔をするなら只じゃ置かないわよペリニャート」
「な…何をする気」
「何もしないわよ。只彼に…。貴女がフィーネちゃんかペリーニャちゃんの身体を奪って!愛しの魔王と添い遂げる積もりだって優しく教えてあげるだけよ!」
「や、止めて!それだけは…」
「あぁ情け無い声出して。そんなに嫌なら具現化出来た内に人間に戻れば良かったのよ?
これは優柔不断な貴女が招いた結果なの。誰の所為でも無く。まして彼の所為でも無い。
私はそっちに居る屑さえ消せれば満足。こっちで楽しくやってるのにそっちの世界に何て興味も無いわ。
大人しくっ。
あの子たちの子供にでも生まれ変わり為さいな。
アハハハッ」
「くっ…くぅぅ…」
「あらあら涙も出ない嘘吐きさん。こんな簡単なのに。
私の邪魔をせず。敵側に加担せず。中立を保って。魔王の幹部の子供を選ぶだけじゃないの。
解った?解ったのかな?お馬鹿なペリニャート?」
「解りましたから…。もう一人にして」
「お馬鹿で強欲な妹を持ってしまった姉としての最後の温情で。あの魔神は無機物しか存在しない遠ーくの星まで連れて行ってあ・げ・る」
「…」
「言って置くけど。もう彼は気付いてるわよ?貴女の邪な最終目標」
「え…?」
「生贄候補が全部!彼の関係者しか居ないじゃない!
それも若い女の子ばかり!」
「は…はぁぁ…」
「貴女の方が私よりも余っ程…。まあ良いわ。
じゃあねぇ~お馬鹿さん。次に邪魔する素振りしたら対策道具送り込むわよー。
アハハハッ、アハハハハハッ」
「…ううっ…」
神域の片隅で。ペリニャートは蹲る事しか出来なかった。
--------------
カタリデの消失は起きなかった。故に使命は継続。
砂漠の王の残骸を金角で解体しても何1つ出ず。
「なんで?」とレイルにお伺い。
「知らぬ。人の手で改造された器だったのじゃろ」
「さいですかぁ…」
「最上位の癖に魔石も出ないなんてねぇ。クワンティ。
アローマたち呼び戻してー」
「クワッ!」
「とりま皆で虹玉風呂入ろー」
「海水粘液でベチョベチョ。あ、ちょと生臭い」
戻ったアローマたちも装備のままお風呂へダイブ。
ソプランたちに何も出なかったと伝えると。
「マジで?因子持ちの最上位が?」
「マジマジ」
「最大脅威の一つが消せたのですから。それを喜ぶべきかと存じます」
「アローマの言う通りか。魔神をお星様に変えられたのが報酬って事で」
「でも何で3枚目の壁が在ったのかな」
フィーネの言葉に全員が空を見上げた。
カタリデも湯の中から。
「考えても無駄無駄。魔神が自分で張ったとか。その方が平和よ」
「だな。てか器用やねカタリデ」
「これはあれよ。振動伝達みたいな」
「まいっかぁ」
「責めてあの木だけでも持ち帰って…あれ?」
皆が東を向いても何も無い…。燃える木は何時の間にか姿を消していた。
「ま、まあ本物はレンブラントに生えてる訳だからそっちを見れば良しと。木の下少し探って。船を返して。トッドに報告して」
「お魚買って私たちの自宅で打ち上げやりましょ。季節外れの魚鍋パーティー」
「いいな。先に帰るロイド様にビール樽預けてグーニャに冷やして貰えば」
「帰る頃には冷え冷えビールがお待ち兼ね。レイルとプレマーレで全部飲むなよ」
「飲まんわ!妾は魔族の中でも節操は有る方じゃ」
何処がだよの突っ込みは伏せ。
「私は他の物でロックを楽しみます」
優しきロイドさん。
「軽くお摘まみを用意して置きます。本棟にも頼んで」
「今日明日はしっかり休んで無礼講」
「そうと決まればお片付けして帰りましょー」
燃え焦げた植木部からも何も出ず。
港へ戻ってトッドに報告。木を切り倒したら巨大ワームが湧いて出て臭かったからお空にかっ飛ばしたと。
「昼間なのに綺麗でしたねぇ。空を貫く閃光は。明日私共も確認して上に報告を上げます」
「お願いします」
魚市では大物クエを2匹。北海サーモンが6匹買えた。
地物野菜も数種買って帰宅。
自宅時間は15時過ぎ。
鍋の準備をして先にお摘まみを食べようと手を伸ばし掛けた時。レイルに行き成りその手を掴まれ。
「物を食べる前にする事が有るじゃろ」
「え…あれは…ご冗談では?」
嫁が本棟側に行っている間に。
「プレマーレ。通路で抑えよ」
「直ちに」
プレマーレが玄関へ移動。
「妾は口から出した約束は守る。早うせぬか」
「マジでいいんすか…。後で嫁にめっちゃ怒られるんですけど」
「焦れったいのぉ。女を待たすな」
優しく強引に唇を奪われ。温かくて柔らかい舌までしっかり頂き。二度目のキスも甘い苺味がしました。
「おー凄え。姐さんの方から。この家吹き飛ばない事を影ながら祈るぜ」
「私は。何も見て居りません」
アローマはキッチンへ逃げた。
「私はしっかり見ています」
ソプランの隣でロイドがこちらをガン見。何故!?
宙に浮くカタリデは。
「キス如きで怒らなくてもねぇ…。あー暴れてる。早くした方が良いわよ。ほらもっと気持ちを込めて」
俺に残された時間は色々と短いようだ。
死なば一瞬。嫁に殺されるなら本望。
レイルの腰と首背へ手を回し心を込めてたっぷりのご奉仕とご受愛。一時のハーレムを有り難う。
俺の右隣でいじける嫁。私めの左頬には紅葉マーク。
寧ろこれで許されただけで有り難し。
「そんな密着して舌まで入れなくてもいいじゃない…」
「ごめんて」
「フィーネとは一晩中キスした仲じゃろ。あれに比べれば短時間じゃ」
「思い出させないで!」
「此れっ切りだってレイルも言ってるし」
「そうじゃぞ。男でラメル以外とは何度もせんて」
「ホントに?遠征中とか大丈夫?」
「国賓と妾が同じ部屋な訳が無かろう。宿も部屋を余分に取れば良い。悄気るな。
折角の酒と料理が不味くなるわ」
「解った…。今回は許す。スタン頑張ったし」
吹っ切れた嫁と皆で楽しく打ち上げ団欒。
まーその晩は凄かったっす。何がとは言わず。
瞬間は重なり1本の撚り糸へと変化した。
ソプランたちの手合わせが終わり。昼食と偽装破りのマーカーを指定依頼各所に線引き。新薬の一部を配布後。
若鮎や高級緑茶や黒鉄茶器をお土産に頂いて。
白月宮前の枠内でクワンと皆を白ロープで繋ぎレンスブーケ南へ転移した。
アストラ皇帝発行の通行証で入町。迎えに来たトッド隊と久し振り~と伝文書を渡し。現在の状況を聞きながら港へ到着。
一般人は勿論。統一教会関係者が出るわ出るわ。
「俺は水竜教だ!聖剣は無宗教。
総会に水竜教を真面に呼んだ事も無いお前たちと馴れ合う積もりも筋合いも無い!目障りだから失せろ!!
あ、一般の方と商店経営の方々は別ですよ。
離れ小島のちょっと変わった樹木を伐採したら帰りにお魚とか買わせて下さいね~」
「遠目に眺めるだけなら怒りませんよ~」
夫婦揃って風マイクを使い宣伝予告。
中型の軍船を1隻借り受け北上。大陸から約100km離れたポツンと1軒屋。ならぬ小さな孤島が1つ。
海鳥も虫も他の植物も一切無いのに弾ける勢いで燃え続ける不思議な大木が1本。
2km付近を北側へ回り込み。双眼鏡やら肉眼やらでじっくりと観察。
昼間でも超輝いてクッキリ見えた。
「ねえねえカタリデさん。南東の木もあんな豪快に燃える物なの?」
「あんな幹まで豪快に燃えたら山火事よ。難燃性の枝葉がチリチリとゆっくり燃えるの。灰も煙も出さずに」
「ならあれは全く別物。だけど勇者と聖剣…。もしかしたら魔王様の力の復活が関係…。いやいやあっちは魔王の剣を取りに潜ってる最中。だったらカタリデか」
「かなぁ。ここまで近距離に居ても何も感じないんだけど」
「不思議ねぇ」
嫁ちゃんも自分の双眼鏡で覗き首を捻る。
「あ、スタンさん。あの木の真下。海抜100m下に不自然な空洞があるよ」
「どれどれ…。ホンマやね。外と繋がってなくて海水も入ってな……」
俺の心臓が跳ね上がる。この感覚は初めてかも。
「スタンさん?」
「ちょっと…。もっとじっくり見させて」
………
女神様の助言は直接受けられないのは当然としても。御方からの助言にもこんなのは無かった。
西大陸以外では有り得ないと考えていた予測線が1本。
ロイドさん。大変重要なお話が有ります。念話は使えないので直接会いたい。
「自宅で移動の準備は整えています。レイルさんとプレマーレも目の前に」
良かった。クワン送るからここへ。
「はい」
1分後。船上デッキに集結した遠征組フルメンバー。
全員を輪にして重大発表。
「あの燃える木の下に…。西から持ち出された魔王の因子持ちが…。鼾掻いて就寝中なんですが…」
「え!?」
ペッツたちもお口半開きで呆然。
「フィーネ。何方にも念話はするな」
「う、うん…。怖くて出来ないよ」
「ロイドも上の様子は一切見ないで」
「見ません」
「俺が時々助言を貰ってる御方とは全く無関係の予測線が突然現われた。多分ベルさんの予見からも外れた物」
「どんな奴じゃ。其奴は」
「砂漠の王。サンドワームの最上位種」
「彼奴が…。あの下に?」
「た、確かに…。長らく西では見ていませんが」
レイルとプレマーレも半信半疑。
「身体は因子部以外削ぎ落とされてコンパクトサイズ。全長10mも無い。あの島に閉じ込め。更に砂漠の王が苦手な海水で囲み。聖剣が抜かれた事を知らせる目印の木を植えた」
「な、成程の…」
「サンドワームの最上位ともなれば。大陸側に解き放つだけで帝国領は一晩で壊滅。1週間で分裂しながら中央大陸北半分が砂漠化。
それがアミシャバの復讐。最後の一手だったみたい。死なば諸共、て感じの」
「同情の余地も無いわね」
「ここからが肝心。あの木を鎮火すると下のサンドワームが起きてしまうから放置。
ソプランの大地の叫びで海岸線から海水の導入路を下の空洞まで伸ばして水没。
苦しみながら這い出た所を全力のカタリデで両断。
飛び出た因子は依代候補者のレイル、プレマーレ、フィーネの内誰かに向かって飛んで行く。
そこを俺が掴み取り。この…」
バッグから締結鎖を取出し。
「ラスト1回のこの鎖で締結。西大陸に行かずして魔神コアが誰にも知られず完成する」
「……」
「完成直後にカタリデの平面を使って」
真上の晴天を指差した。
「天空竜の呪いも。大気圏も突き破って宇宙空間へと放り出せる」
「それって使命の終わりじゃない?私が消えたり」
「西の統一王が神格化する恐れが有るのと。邪神の召還の危険が有る内は俺たちの使命は終わらない。
もしカタリデが消えそうになったらフィーネの短剣を投入する。そこは心配しなくていい」
「うん…」
「西大陸全体の戦闘力が下がるから。仮にカタリデをロストして戦力ダウンしても均衡は保たれる。
この予測線に分岐は無い。たったの1本なのも初めて。依代候補の選択で分かれはするけど収束点は1つ。
この案に反対の意見は。どの道あの木が燃え尽きるまでしか猶予は無いよ」
「いやいやこんなビッグチャンス逃す馬鹿居ねえよ。下手糞でも大穴位は開けられるぜ」
「じゃの。面倒事がシトルリン原本だけに成るのじゃからのぉ。優雅に旅を満喫出来るのじゃ」
ロイドも賛成。
「賛成です。西大陸は蠅の王が封印状態に在れば統一王は生まれません。他の王に発見されるまでは時間の余裕も取れる。神の封印を解ける者も同格以外には存在しません」
他も反対意見無し。有ったら驚く。
「良し。各自最強武装で平場が多い西端海岸に上陸しよう。緊急避難要員のクワンは最初からソラリマを」
「クワッ!」
自分は大狼様のジャケット。ブーツと鎧以外の勇者装備を初着用。兜もピッタリサイズ。
兜着けると最終武装な感じがして身が引き締まる。
「何が来ても気絶すんなよルーナ」
声を掛けるとほんわり右腕が温かくなった。
空いた隙間を埋めるように霊廟を巻いた。
「色彩ハチャメチャだけど。四の五の言ってられないわ。競合はしてないから全力で行こう」
「やっぱグチャグチャに見えるよなぁ。でも後悔する位なら恥なんて捨てたる」
「そうね」
デッキに出ていた水色フィーネにも笑われた。
「組み合わせは二の次ね。フル装備だとキス出来ないのが残念」
「俺も残念」
キスは出来なくても抱き合い口元を合わせた。
アローマとグーニャは船上待機。クワンは中上空旋回。
ロープ橋を渡して徒歩移動。
ソプランに双眼鏡を渡し。カタリデを抜剣。
「縦穴が開通したらグーニャでソプラン回収。
アローマは回収後に船を北へ全速で」
「ハイニャ!」
「はい」
左隣の定位置のロイドは腰の破邪剣の柄に手を掛けた。
「ロイドは全展開で触手をカッティング」
「承知」
後方3人へ。
「出来れば散開せずに固まって。飛ぶなら真っ直ぐ西の空へ頼む」
「解った」
「了解です」
「勇者に守られる日が来るとはのぉ。上手く行ったら褒美にキスしてやろう。フィーネはプレマーレに抑えさせて」
「そりゃ光栄だね」
「い、嫌よ!」
「キス位で何をギャーギャーと。ププッ」
「煩いわね!あんた後でスフィンスラー行ってボコボコにしてやるわよ」
「楽しみですね。考案した対策方法を試しましょう」
「ピーカーは俺のバッグでいいか」
「ここより安全な場所は無いです。僕が傍に居れば因子の影響も軽減出来そうです」
「心強い。カタリデ。連続フルチャージに因る弊害は」
「後ろの2人の身体がちょっと痒くなるレベル。
充填時間は3秒。
女神ちゃんに知られるから時間操作スキルは禁止」
「おーけー」
「地味に嫌じゃの」
「ですね…」
「クワンは本体攻撃以外の最善手を」
「クワッ!」
「ソプラン。開始は任せる。道筋が見えたらやってくれ」
「おぅ…。じゃあ行くぜ!」
大地の叫びを突き立て海からの用水路を形成。浸水量を見ながら太さ調整。前方へ路を延ばし地を開いた。
少しずつ着実に海水を満たしながら深度を増して。
空洞に到達。大きな気泡が何泡も出現。
ソプランが駄目押しをして船方向へ飛翔。グーニャが蔦で巻き取りキャッチ。
船が動き出した瞬間からチャージ開始。
カタリデと引き合うかのように地面が大きく揺れた。
「これが因子持ち…」
「来ます!」
ロイドが叫び左に飛び退き真上に飛翔後銀翼展開。
大量の海水を飲み。苦しみながら顔を開口部から覗かせ髭から無数の触手を無尽に伸ばし。抜剣したロイドが剣と羽根で切り刻む。
北に向かった船を追う触手はクワンが滑空切断。
高音域のハウリングと共に飲んだ海水を吐き出し冷たい粘液の雨を大量散布。
まだ半身。呼吸を整え機を待つ。
地表に出た部分から肥大化。更に触手が枝分かれ。ロイドの展開の隙間からこちら側に。
俺を目掛けて溢れ出た。
両手持ちの上段構え。剣身は5倍。
「スー--」音を出して息を吐く。
地表に歪な尻尾までが露出。ロイドが真上から最大空刃を放ち西海岸を2つに割った。
晴天。視界は良好。道は、見えた。
分裂増殖をされる前。ロイドが地に付けた切り欠きを足場に特攻。
砂漠の王が真っ二つに割れ底辺の地面まで砕け散る。
その抜け際に黒い石炭のような物体が自立し。後方3人の内レイルの方向へ飛んだ。
左手でしっかりと後追い握り。カタリデを手放し。バッグから締結鎖を取り出した。
ベルさんが作ってくれた道具。そして道筋。
迷わず強制発動。西の方角から粒子が集まり始めた。
砂粒、大粒、塊色々な形。
鎖が消え去ると同時に掌に収まらない球体が形成。尚もレイルへと向かい動こうと藻掻くそれを上から地面に押さえ付け。右手にカタリデを戻した。
フルチャージと共に剣身を横へ拡大。
左腕から肩まで走る激痛。
「温いぜ。こんな痛みじゃなぁぁぁ」
地面を割り埋まる球体を残し。距離を離した3人の前に立ち塞がり中段構えからのバット持ち。
レイルに向かう黒バスケットボールを真っ白に輝くカタリデで横殴り。からの激しい反発。
「千年だろうが!」
球体が撓む。
「二千年だろうが!!」
半分に潰れた球体。
「この世界に!お前なんざ要らねえんだぁぁぁ!!!」
身体の全てを絞り出し切る強引なフルスイング。可動ギリギリの垂直角を目指し。
背中からフィーネの最大の魔力供給。
その熱い気持ちを力に変え。支えに振り抜いた。
大空を高速で駆け上がる白き球体。
「しゃぁぁぁ!!!」
1枚。2枚。3枚。上空の壁を突き破り。強い光を残して青空に飲まれて消えた。
カタリデとレイル。
「やっちゃったわね。この夫婦」
「やってしまったのぉ。西へ行く前に」
そんな言葉は無視をして。カタリデを手放し抱き合い喜び合った。
近場で見ていた大狼も。遠目に眺めていた黒竜も。この星の壁を貫く白直線に腹を抱えて転げ回ったそうな。
--------------
神域から下界を見下ろしていたペリニャートは白い椅子から転げ落ちた。
スターレンたちが帝国領に入ってからは。何も起きないだろうとアッテンハイム領へと目を動かしていた偶然の空白時間。
自らが施した三枚目の壁さえ貫いた白球体を。
只呆然と膝立ち姿勢で見詰めた。
「アハハハハハッ。アハハッ。ハァ苦しい。お腹が捩れるじゃない」
後方から今は一番聞きたくない笑い声が聞こえた。
「貴女が…。貴女が導いたの?姉さん…」
「私がそんな面倒な事する訳ないじゃない。あれはあの子たちが掴んだたった一度のチャンス。
でも良い気味。私が最初に目を付けた彼を。好き勝手操って誰でも良かっただなんて嘘まで吐いて。
私から奪い。彼を騙し。生身をここまで引っ張った。貴女の罪はもう拭えない。ざまー無いわ。アハハハハッ」
「…煩い!」
「何ですって?良く聞こえなーい。
だってここ別世界だしぃ。これ以上私の邪魔をするなら只じゃ置かないわよペリニャート」
「な…何をする気」
「何もしないわよ。只彼に…。貴女がフィーネちゃんかペリーニャちゃんの身体を奪って!愛しの魔王と添い遂げる積もりだって優しく教えてあげるだけよ!」
「や、止めて!それだけは…」
「あぁ情け無い声出して。そんなに嫌なら具現化出来た内に人間に戻れば良かったのよ?
これは優柔不断な貴女が招いた結果なの。誰の所為でも無く。まして彼の所為でも無い。
私はそっちに居る屑さえ消せれば満足。こっちで楽しくやってるのにそっちの世界に何て興味も無いわ。
大人しくっ。
あの子たちの子供にでも生まれ変わり為さいな。
アハハハッ」
「くっ…くぅぅ…」
「あらあら涙も出ない嘘吐きさん。こんな簡単なのに。
私の邪魔をせず。敵側に加担せず。中立を保って。魔王の幹部の子供を選ぶだけじゃないの。
解った?解ったのかな?お馬鹿なペリニャート?」
「解りましたから…。もう一人にして」
「お馬鹿で強欲な妹を持ってしまった姉としての最後の温情で。あの魔神は無機物しか存在しない遠ーくの星まで連れて行ってあ・げ・る」
「…」
「言って置くけど。もう彼は気付いてるわよ?貴女の邪な最終目標」
「え…?」
「生贄候補が全部!彼の関係者しか居ないじゃない!
それも若い女の子ばかり!」
「は…はぁぁ…」
「貴女の方が私よりも余っ程…。まあ良いわ。
じゃあねぇ~お馬鹿さん。次に邪魔する素振りしたら対策道具送り込むわよー。
アハハハッ、アハハハハハッ」
「…ううっ…」
神域の片隅で。ペリニャートは蹲る事しか出来なかった。
--------------
カタリデの消失は起きなかった。故に使命は継続。
砂漠の王の残骸を金角で解体しても何1つ出ず。
「なんで?」とレイルにお伺い。
「知らぬ。人の手で改造された器だったのじゃろ」
「さいですかぁ…」
「最上位の癖に魔石も出ないなんてねぇ。クワンティ。
アローマたち呼び戻してー」
「クワッ!」
「とりま皆で虹玉風呂入ろー」
「海水粘液でベチョベチョ。あ、ちょと生臭い」
戻ったアローマたちも装備のままお風呂へダイブ。
ソプランたちに何も出なかったと伝えると。
「マジで?因子持ちの最上位が?」
「マジマジ」
「最大脅威の一つが消せたのですから。それを喜ぶべきかと存じます」
「アローマの言う通りか。魔神をお星様に変えられたのが報酬って事で」
「でも何で3枚目の壁が在ったのかな」
フィーネの言葉に全員が空を見上げた。
カタリデも湯の中から。
「考えても無駄無駄。魔神が自分で張ったとか。その方が平和よ」
「だな。てか器用やねカタリデ」
「これはあれよ。振動伝達みたいな」
「まいっかぁ」
「責めてあの木だけでも持ち帰って…あれ?」
皆が東を向いても何も無い…。燃える木は何時の間にか姿を消していた。
「ま、まあ本物はレンブラントに生えてる訳だからそっちを見れば良しと。木の下少し探って。船を返して。トッドに報告して」
「お魚買って私たちの自宅で打ち上げやりましょ。季節外れの魚鍋パーティー」
「いいな。先に帰るロイド様にビール樽預けてグーニャに冷やして貰えば」
「帰る頃には冷え冷えビールがお待ち兼ね。レイルとプレマーレで全部飲むなよ」
「飲まんわ!妾は魔族の中でも節操は有る方じゃ」
何処がだよの突っ込みは伏せ。
「私は他の物でロックを楽しみます」
優しきロイドさん。
「軽くお摘まみを用意して置きます。本棟にも頼んで」
「今日明日はしっかり休んで無礼講」
「そうと決まればお片付けして帰りましょー」
燃え焦げた植木部からも何も出ず。
港へ戻ってトッドに報告。木を切り倒したら巨大ワームが湧いて出て臭かったからお空にかっ飛ばしたと。
「昼間なのに綺麗でしたねぇ。空を貫く閃光は。明日私共も確認して上に報告を上げます」
「お願いします」
魚市では大物クエを2匹。北海サーモンが6匹買えた。
地物野菜も数種買って帰宅。
自宅時間は15時過ぎ。
鍋の準備をして先にお摘まみを食べようと手を伸ばし掛けた時。レイルに行き成りその手を掴まれ。
「物を食べる前にする事が有るじゃろ」
「え…あれは…ご冗談では?」
嫁が本棟側に行っている間に。
「プレマーレ。通路で抑えよ」
「直ちに」
プレマーレが玄関へ移動。
「妾は口から出した約束は守る。早うせぬか」
「マジでいいんすか…。後で嫁にめっちゃ怒られるんですけど」
「焦れったいのぉ。女を待たすな」
優しく強引に唇を奪われ。温かくて柔らかい舌までしっかり頂き。二度目のキスも甘い苺味がしました。
「おー凄え。姐さんの方から。この家吹き飛ばない事を影ながら祈るぜ」
「私は。何も見て居りません」
アローマはキッチンへ逃げた。
「私はしっかり見ています」
ソプランの隣でロイドがこちらをガン見。何故!?
宙に浮くカタリデは。
「キス如きで怒らなくてもねぇ…。あー暴れてる。早くした方が良いわよ。ほらもっと気持ちを込めて」
俺に残された時間は色々と短いようだ。
死なば一瞬。嫁に殺されるなら本望。
レイルの腰と首背へ手を回し心を込めてたっぷりのご奉仕とご受愛。一時のハーレムを有り難う。
俺の右隣でいじける嫁。私めの左頬には紅葉マーク。
寧ろこれで許されただけで有り難し。
「そんな密着して舌まで入れなくてもいいじゃない…」
「ごめんて」
「フィーネとは一晩中キスした仲じゃろ。あれに比べれば短時間じゃ」
「思い出させないで!」
「此れっ切りだってレイルも言ってるし」
「そうじゃぞ。男でラメル以外とは何度もせんて」
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