7 / 82
2話
1
しおりを挟む「それでね、そこのケーキ屋の彼に恋しているのよ、柑菜ちゃん」
3人で、大学で本日のランチを食べながら、昨日の出来事について話している。
今日のランチは少し早めで、今はちょうど2限目の授業をしている時間だ。
そのせいか、人も少なくピアノの音楽なんかがBGMで流れていて、食堂内は落ち着いていてゆったりとしていた。
その中、3人の話している内容は、柑菜の甘酸っぱい恋について。
3人の顔は、青春真っ只中の少女そのもの。
「その人はどんな感じの人?」
まだ会ったことのない亜紀が、彼についての質問をする。
柑菜がもじもじとしていると、櫻子が代わりに口を開いた。
「そうねえ、色が白くて目が大きくて鼻が高いのだけれど、くどくなくて綺麗な印象を受ける方よ。柑菜ちゃんの隣にいたらきっとお似合いだわ」
櫻子は、思いを寄せている本人よりも詳しく、そしてどこか嬉しそうに亜紀に報告している。
それを隣で聞いている柑菜本人は、少し歯がゆく感じていた。
その恥ずかしさを消すかのように、柑奈は目の前のランチに集中する。
今日のランチは、鮭のムニエル。
これに、食堂のスープ部門2番人気のコーンスープとライス、小さめのサラダがついている。
3人はそれぞれ、これにプラスし、櫻子は夏ミカンソースのパンナコッタ、柑菜はイタリアンプリン、亜紀はフルーツヨーグルトを選んだ。
そんなランチを目の前に、話は広がりを持つ。
「それで、その人とは話したりするの?」
亜紀は、2人の恋の模様が気になるのか、質問を続けた。
「それが……まだプライベートな話はしたことなくて」
ようやく言葉を発したかと思うと、伏せた目にいつもよりも小さな声。
明らかに自信がない雰囲気を醸し出している柑菜の姿を見て、2人はどうしようかと悩んでいた。
「とりあえず、『今日はいい天気ですね』くらい話しかけたら?そんなに特別な内容じゃなくてもいいと思う」
亜紀は、積極的に柑菜にアドバイスをする。
どうやら、柑菜の恋を応援しているようだ。
こうして友達や家族と話をすることは、こんなにも簡単で気が楽なのに、それが好きな人となると、どうしてこうも困難なことになってしまうのだろう。
柑菜は、どうしようもない気持ちを抱える。
「弟を連れて行けばいいんじゃないかしら?男の人同士なら、少しくらい世間話してもきっとおかしくないわ。そこに柑菜ちゃんが加われば自然と会話ができると思うの」
櫻子は、なるべく柑菜に負担がかからないような提案をする。
それを聞いた柑菜は、先日のことを思い出した。
春樹がケーキ屋に行きたいと言っていたこと。
ーーでも、今更一緒に行くと言って怪しまれないかしら。
あの時の浅はかな考えの自分を、柑菜は少しだけ恨む。
もっとちゃんと考えてから返事をすべきだったと。
勘違いをされる、なんて考えるよりもまずはこの今の関係を壊すことがなにより大切なことなのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる