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6話
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しおりを挟む花火を終え、みんなは次の楽しみを堪能している最中だった。
「やっぱり夏でも温泉は最高だね」
櫻子の別荘には、少し広めのお風呂が2つあり、そこには最大で4人が入ることができる。
流れているお湯は、天然の温泉だ。
緑の塀に囲まれ、上は屋根で守られており、そこの隙間から見える夜空には星が輝いていた。
また、波の音も聞こえてくる。
夜の波の音を聞きながら、夜空の下で温泉に浸かる贅沢なひと時。
「美鈴さんは好きな人いるんですか?」
女子4人が集まり、そのひと時の中展開するのは甘酸っぱい恋の話。
春樹と秋斗がいない分、少しだけ話しやすい。
とはいうものの、壁の隣の湯船に浸かっているのだが。
それを知っている4人は、なるべく小さな声で体を寄せ合わせて話している。
「ふふ、どうかな」
否定をしない美鈴に、柑菜と櫻子は顔を見合わせて「いるわきっと」と盛り上がっている。
「私、柑菜ちゃんの好きな人は分かるなあ」
「え!?」
柑菜は、驚きのあまり顔の半分を温泉の中に隠す。
「美鈴さんも、分かってらしたんですね」
「櫻子ちゃんも?」
うふふ、と櫻子は微笑んでいる。
「柑菜分かりやすいもんね」
亜紀がそう言うと、柑菜はついその顔をタオルで隠した。
まさか、美鈴にばれているとは思っていなかった柑菜は、顔が茹蛸のように真っ赤だ。
「大丈夫、秋斗は鈍いからばれてないと思うわ」
「でも秋斗さんは……」
そこまで言って、柑菜は話すのをやめた。
ーーでも、秋斗さんが好きなのは美鈴さんなの……!
声に出せない気持ちを、柑菜は心の中で叫ぶ。
その叫びは、心に突き刺さって柑菜から笑顔を奪う。
「美鈴さんは秋斗さんと仲が良くて、羨ましいです……」
本当は、秋斗に好かれる美鈴が羨ましいというのが柑菜の本心であったが、柑菜はそれをそのような言葉で表現した。
それが柑菜ができる精一杯のやきもち。
そう呟いた柑菜を、美鈴は「可愛いなあ」と頭を撫でた。
「秋斗といえば、……秋斗ってそういう方面の話しないから誰が好きとか分からないなあ」
柑菜は、隣にいる亜紀をちらっと見た。
ーーやっぱり、亜紀しか知らないのね……。
「だから……困るんだよね」
美鈴はつい、そう口を滑らせてしまった。
しかし、本人は無意識に出た声にまだ気づいていないようで、隙間から見える空に輝く星を見ている。
もちろんその声は、柑菜の耳にも櫻子の耳にも入っている。
「もしかして、美鈴さんって……」
柑菜の中で、一方的だった秋斗の思いがつながる瞬間だった。
「あ……もしかして声に出てた?」
柑菜の恋心を知っているから、美鈴は自分の気持ちは絶対に柑菜には言わないでおこうと決めていた。
なのに、この温泉があまりにも心地よくて……。
「とは言っても、もう長すぎる片思いだから、そろそろ諦めるつもりよ」
柑菜の不安な気持ちを取り除こうと、美鈴は明るい口調で話す。
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