ケーキ屋の彼

みー

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9話

2

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「うん、やっぱり似てる」

 その目を見て、美鈴はそう言う。

「秋斗と柑菜ちゃん、会った時からなんだか似てると思ってて。きっと柑菜ちゃんなら秋斗の弱さを破ってくれるって思ってたの」

「そ、そんな」

 まるで、この出会いが偶然ではなく必然であったかのように感じている美鈴は、ふふっと笑っている。

 柑菜は恥ずかしさを隠すように、マグカップで顔を半分隠しながらコーヒーを啜る。

 コーヒーは苦いのに、なんだか甘い。

 それは、この前櫻子からもらったキャンディのように、柔らかく自然な甘さ。

「恋も、頑張ってね」

「それは美鈴さんもですね」

 2人の笑い声が、この部屋中に響く。

 窓から入ってから夕日の光が、2人の笑顔を照らしていた。





 ある日の金曜日、柑菜は大学を出てケーキ屋に向かっていた。

 道路に植えられている木の葉っぱは、赤や黄色に色づいていてくれ、それは秋という季節を感じさせる。

 途中、遊歩道を歩くと、両側にある金木犀が秋の香りを漂わせていた。

 柿の木にはその実がなっていて、食欲の秋を感じさせる。

 どこからともなく匂ってきたサツマイモの香りが、柑菜のお腹を空かせる。

 柑菜はそれを買おうか迷った末に、今日はやめておくことにした。

 今日は、秋斗のケーキを買う日だからだ。

 坂を登りいつもの曲がり角を曲がると見えてくるケーキ屋は、何度来ても胸を踊らせる。

 そのケーキ屋の隣には『秋のお菓子フェア』という張り紙が貼ってあった。

 柑菜がそれを見るのは、初めてではなく何度かだったが、実はそのお菓子をまだ食べたことがなかった。

 サツマイモやカボチャのお菓子を想像すると、よだれが垂れてきそうになる。

「いらっしゃいませ」

 柑菜だと気づいた秋斗は、微笑みながら会釈をした。

 ケーキ屋には、柑菜以外にも数人のお客様がいて、ショーケースに入ったケーキやテーブルに並べられてある焼き菓子を見ている。

「あの人かっこよくない?」

「うん、イケメンだよね」

 柑菜の耳に、若い女の人2人がその話をするのが聞こえてきた。

 2人は、お菓子を選びながら秋斗のこともちらちらと見ている。

「話しかけなよ」

「ええ、いいよ」

 その女の人たちは、選んだお菓子を秋斗のところに持って行った。

 2人でちらちらと目配せしている姿を、柑菜は無視せずにはいられない。

 ケーキを選ぶ余裕すらない。

「ちょっと、ケーキを見たいんですけどいいですか」

 悶々としている柑菜に、ある人が話しかけた。

 柑菜は、その声を聞き「すみません」と相手の顔を見る。
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