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告白される。
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次の日から授業が始まり、中学のときとはペースの速さにすでに脱線しそうになる。
唯一の安堵の時間はお昼休みの時間。
一華は可愛らしい小さなお弁当に、色とりどりの野菜が入れられた昼食。
わたしは、お母さんが手抜きで作った茶色の多いお弁当。
「うう、ちょっと教科書捲るペース速いよね? 宿題もかなり多いし」
「でも、理系クラスはもっとやばいって聞くよ? ほら、校舎も違うし。ほとんど普通科とは会わないしね。特別って感じで。てか、留衣って理系なのに希望出さなかったの?」
「確かに理系が得意だけど、文系の学問にも興味あるから。高校に入学してから決めようと思ったの」
「そっか。うん、よかった。そのおかげで一緒のクラスになれたしね」
うん、と言おうと前を向いたとき、また目が合う。
神山くん。
わたしは本当に、彼の癪に障るようなことを無意識のうちにしてしまったんじゃないだろうか。
だけど、思い出しても記憶の中に彼はいなくて。
目が合う度に不安は雪のように積もっていくばかり。
「留衣?」
「あ、うん、なんでも」
なにかあるなら直接話してくれればいいのに、と思いながらミニトマトをぷちっと口の中で潰した。
金曜日の昼。
一華が職員室に呼ばれて1人待っていたとき、自分に近付いてくる影が視界にはいってくる。
心臓が動く。
まるで、耳のすぐ隣で鼓動しているかのように、大きく鳴る。
直接話してくれればいい、そうは思っていたけれど、いざそのときが来るかもしれないと思うと、目が見開く。
「あの、上野さん」
「は、はい」
紛れもなく神山君の声。
急な緊張のせいで声が裏返る。
「あのさ、今時間ある?」
廊下を見ると、一華の姿はまだない。
「ちょっとだけなら」
「じゃあ、ちょっとだけいいかな」
神山君は廊下に出た。
私も彼を追って廊下に出ると、神山君は人気の少ない校舎を目指して歩きはじめた。
うう、やっぱり何か怒らせるようなことをしてしまったのかもしれない。
神山君は、ただただ黙って前を向いて歩く。
立ち止まってしまおうか。
考えたけれど、そのあとのことのほうが怖くてできなかった。
完全に人の姿が消えた廊下で、神山君は止まった。
「ねえ、上野さん」
「は、はい」
「僕と付き合ってください。好きです」
神山君の赤い顔。
白うさぎのように真っ白な肌が、今はほんのりと赤色に染められていて、いつもわたしを見ている目は潤んでいる。
「って、え!? す、好き? わたしを?」
「うん、上野さんのことが好きです」
「え、ど、どうして?」
「覚えていないかもしれないけど、僕が引っ越す前、留衣ちゃんと一緒に何度か遊んだんだ。そのとき一目惚れして。ずっと会えないかなって思ってた。上野さんが昨日僕と同じ駅にいて、確信したんだ。名前も同じだし。あのときの女の子はきっと上野さんだって」
唯一の安堵の時間はお昼休みの時間。
一華は可愛らしい小さなお弁当に、色とりどりの野菜が入れられた昼食。
わたしは、お母さんが手抜きで作った茶色の多いお弁当。
「うう、ちょっと教科書捲るペース速いよね? 宿題もかなり多いし」
「でも、理系クラスはもっとやばいって聞くよ? ほら、校舎も違うし。ほとんど普通科とは会わないしね。特別って感じで。てか、留衣って理系なのに希望出さなかったの?」
「確かに理系が得意だけど、文系の学問にも興味あるから。高校に入学してから決めようと思ったの」
「そっか。うん、よかった。そのおかげで一緒のクラスになれたしね」
うん、と言おうと前を向いたとき、また目が合う。
神山くん。
わたしは本当に、彼の癪に障るようなことを無意識のうちにしてしまったんじゃないだろうか。
だけど、思い出しても記憶の中に彼はいなくて。
目が合う度に不安は雪のように積もっていくばかり。
「留衣?」
「あ、うん、なんでも」
なにかあるなら直接話してくれればいいのに、と思いながらミニトマトをぷちっと口の中で潰した。
金曜日の昼。
一華が職員室に呼ばれて1人待っていたとき、自分に近付いてくる影が視界にはいってくる。
心臓が動く。
まるで、耳のすぐ隣で鼓動しているかのように、大きく鳴る。
直接話してくれればいい、そうは思っていたけれど、いざそのときが来るかもしれないと思うと、目が見開く。
「あの、上野さん」
「は、はい」
紛れもなく神山君の声。
急な緊張のせいで声が裏返る。
「あのさ、今時間ある?」
廊下を見ると、一華の姿はまだない。
「ちょっとだけなら」
「じゃあ、ちょっとだけいいかな」
神山君は廊下に出た。
私も彼を追って廊下に出ると、神山君は人気の少ない校舎を目指して歩きはじめた。
うう、やっぱり何か怒らせるようなことをしてしまったのかもしれない。
神山君は、ただただ黙って前を向いて歩く。
立ち止まってしまおうか。
考えたけれど、そのあとのことのほうが怖くてできなかった。
完全に人の姿が消えた廊下で、神山君は止まった。
「ねえ、上野さん」
「は、はい」
「僕と付き合ってください。好きです」
神山君の赤い顔。
白うさぎのように真っ白な肌が、今はほんのりと赤色に染められていて、いつもわたしを見ている目は潤んでいる。
「って、え!? す、好き? わたしを?」
「うん、上野さんのことが好きです」
「え、ど、どうして?」
「覚えていないかもしれないけど、僕が引っ越す前、留衣ちゃんと一緒に何度か遊んだんだ。そのとき一目惚れして。ずっと会えないかなって思ってた。上野さんが昨日僕と同じ駅にいて、確信したんだ。名前も同じだし。あのときの女の子はきっと上野さんだって」
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