妖の木漏れ日カフェ

みー

文字の大きさ
9 / 74
始まりの夏

しおりを挟む
 次の日の朝。

 カイさんはやっぱり私より早く起きていて、もうすでに畑の作業をしていた。カイさんは一体、何時に起きているのだろう。

 何か、目覚まし時計のようなものがあれば私ももっと早く起きられるはずなのだけれど、今度雑貨屋さんのようなところに連れて行ってもらおう。あるかは分からないけれど……。

 すぐに冷たい水で顔を洗って、着替えをして外に出た。

「おはようございますっ」

「おお、おはよう」

「今日もお野菜収穫しますか?」

「ああ、そこの辺りのよろしく」

「はいっ」

 新鮮な野菜は相変わらず色艶が良くて食欲を引き立たせる。

 噛めば噛むほど野菜の味の深みが出る。野菜って美味しいんだなって、カイさんの料理を食べて改めて思った。

「カイさん」

「ん?」

「私にもハーブのこと教えてください」

「いいけど」

「ありがとうございます」

「お前って、本当に変わってるな」

「そ、そんなことないですよ」

「まあ、いいんじゃね?」

 カイさんが笑うと、私まで同じように笑いたくなる。カイさんの笑顔は不思議で、心を軽くしてくれる。

 可愛らしい野菜たちを採っていると、遠くの方から足音が聞こえてきた。

 そちらの方を見ると、朝から美しいハトリさんの姿が見えてくる。私なんて起きたばかりで髪の毛もまだまだぼさぼさなのに、ハトリさんはすでに仕上がっている。

「2人ともおはよう」

「おはようございます」

「おう」

「僕も朝ご飯ご一緒していいかな?」

「いつも来てるだろ。昨日はたまたま来なかっただけで」

「まあね。ってことで、先に家の中お邪魔させてもらうね」

「へいへい」









 カイさんの朝ご飯を、3人で囲む。採りたての野菜と卵とお魚のヘルシーな料理は朝にぴったり。お味噌汁には、たくさんの野菜が使われていてそれだけで栄養豊富に思える。

「たまには肉も食べたいねえ」

「昼に食べてるだろどうせ」

「ばれた? 真由ちゃんもお肉食べたいでしょ?」

 そういえば、ここに来てからずっとお魚の料理しか食べていない。

「そうですね」

「今日の昼は僕のところに来なよ。ご馳走してあげるから」

「でも、お手伝いが」

「いいぞ、行ってきて」

「ありがとうございます。じゃあ、お邪魔します」

「うんうん、待ってるよ」

 2人とも本当に良くしてくれて、逆に私からは何もあげられるものが無くて、何かないかなって考えたけれど特にない。

 私の料理なんて大したこともなく、……あ、そうだ。

 昔から肩もみだけはお父さんから褒められていたから、今夜にでもカイさんにしてあげるのはどうだろう。

 でも、いきなり肩もみなんて言ったら、驚くかもしれない。

「真由ちゃん、どうかした?」

「あ、いえ」

「なんかあったら言うんだよ?」

「はい」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...