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始まりの夏
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買い物を終えて、昨日は案内してもらわなかった小高いところにある公園らしきところに来た。ちょうど頂上付近にベンチがあって、そこに腰かける。
「わあ、奇麗ですね」
そこからは、街の風景を見渡すことが出来て、ちょうど夕日も上ってきた時間帯でその美しさに見惚れてしまう。
「いいでしょ? ここ。さあ、夕日を見ながら私のお気に入りのお菓子、食べましょう」
「はいっ」
スミレさんは小さな紙袋から可愛らしいピンク色花の形をしたお菓子を取り出す。
「これね、米の粉でできたサブレなの。桜の味がして美味しいのよ」
「可愛らしいですね」
「そうでしょ? 女の人に人気なの」
受け取って早速サクっと一口分を口の中に入れる。
ふんわりと、スミレさんの言っていた桜の風味が広がって優しい味に心がほっこりとする。春の香りは、心地よい。
「美味しいです」
「よかった」
夕日を見ながら食べるお菓子は、いつも食べるお菓子よりも心に染みる気がした。
「ただいま」
「おかえり」
カフェに戻ってくると、今日もお魚の香りが漂ってきてお腹を刺激する。
「夜ごはん、用意してるから食べろ」
「ありがとうございます」
「私の分ももちろんあるわよね?」
「ああ」
今日はカウンター席でスミレさんと一緒に夕食を味わう。
「あいつらには気付かれなかったか?」
「ええ、大丈夫よ」
「ならいいんだ」
2人は、なにやら話をしているようだけれど、私の入られるような雰囲気ではなく、私は料理の味に集中することにした。
今日の魚は鯛で、多分味付けは西京漬けで味噌の香りが魚とマッチしていて美味しい。
昔から、西京漬けの味が好きでよく食べていた。一度、京都でこれを食べてから、なんて美味しいお魚の味付けなんだろう、と感動してから、この料理にすっかりとはまってしまったんだっけ。
「すごく美味しそうに食べるのね」
カイさんとの話が終わったスミレさんは、私の顔を見て話し掛けてくる。
「はいっ、お味噌の味がすごく美味しいです」
「そうね」
料理を堪能していると、空はすっかりと暗くなった。
「いらっしゃいませ」
1人の女の人が店内に入ってくる。
「はあ」
隣の隣に座ってきたその人は、座るなり大きなため息をつく。
「どうしたんですか?」
「失恋、しちゃったのよ。こんな時に飲むハーブティはある?」
「ええ、アモールというハーブティが良いと思いますよ」
「じゃあ、それちょうだい」
「かしこまりました」
カイさんは棚から茶葉を選び、それを淹れていく。少し酸味のある香りが漂ってくる。透明のティポットから見えるその色は奇麗なピンク色で、視覚からでも十分に楽しむことが出来る。
「ここね、その日の気分によってハーブティを淹れてくれるのよ。食欲がない、とか、気分が落ち込んでる、とかね」
「へえ、そうなんですね。すごいです」
カイさんの頭の中にはどれだけのハーブの種類がインプットされているのだろう。きっと、膨大な量に違いない。
カイさんのお店を手伝うと決めたのだから、私も1つずつハーブを覚えていかないと。
「わあ、奇麗ですね」
そこからは、街の風景を見渡すことが出来て、ちょうど夕日も上ってきた時間帯でその美しさに見惚れてしまう。
「いいでしょ? ここ。さあ、夕日を見ながら私のお気に入りのお菓子、食べましょう」
「はいっ」
スミレさんは小さな紙袋から可愛らしいピンク色花の形をしたお菓子を取り出す。
「これね、米の粉でできたサブレなの。桜の味がして美味しいのよ」
「可愛らしいですね」
「そうでしょ? 女の人に人気なの」
受け取って早速サクっと一口分を口の中に入れる。
ふんわりと、スミレさんの言っていた桜の風味が広がって優しい味に心がほっこりとする。春の香りは、心地よい。
「美味しいです」
「よかった」
夕日を見ながら食べるお菓子は、いつも食べるお菓子よりも心に染みる気がした。
「ただいま」
「おかえり」
カフェに戻ってくると、今日もお魚の香りが漂ってきてお腹を刺激する。
「夜ごはん、用意してるから食べろ」
「ありがとうございます」
「私の分ももちろんあるわよね?」
「ああ」
今日はカウンター席でスミレさんと一緒に夕食を味わう。
「あいつらには気付かれなかったか?」
「ええ、大丈夫よ」
「ならいいんだ」
2人は、なにやら話をしているようだけれど、私の入られるような雰囲気ではなく、私は料理の味に集中することにした。
今日の魚は鯛で、多分味付けは西京漬けで味噌の香りが魚とマッチしていて美味しい。
昔から、西京漬けの味が好きでよく食べていた。一度、京都でこれを食べてから、なんて美味しいお魚の味付けなんだろう、と感動してから、この料理にすっかりとはまってしまったんだっけ。
「すごく美味しそうに食べるのね」
カイさんとの話が終わったスミレさんは、私の顔を見て話し掛けてくる。
「はいっ、お味噌の味がすごく美味しいです」
「そうね」
料理を堪能していると、空はすっかりと暗くなった。
「いらっしゃいませ」
1人の女の人が店内に入ってくる。
「はあ」
隣の隣に座ってきたその人は、座るなり大きなため息をつく。
「どうしたんですか?」
「失恋、しちゃったのよ。こんな時に飲むハーブティはある?」
「ええ、アモールというハーブティが良いと思いますよ」
「じゃあ、それちょうだい」
「かしこまりました」
カイさんは棚から茶葉を選び、それを淹れていく。少し酸味のある香りが漂ってくる。透明のティポットから見えるその色は奇麗なピンク色で、視覚からでも十分に楽しむことが出来る。
「ここね、その日の気分によってハーブティを淹れてくれるのよ。食欲がない、とか、気分が落ち込んでる、とかね」
「へえ、そうなんですね。すごいです」
カイさんの頭の中にはどれだけのハーブの種類がインプットされているのだろう。きっと、膨大な量に違いない。
カイさんのお店を手伝うと決めたのだから、私も1つずつハーブを覚えていかないと。
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