妖の木漏れ日カフェ

みー

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進みゆく秋

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 門の中は、広大な敷地が広がっていて、まるで1つの村のようなものがそこに出来上がっている。

 大きな家のある一室に連れて来られると、「お茶持って来るから、ここで待ってて」とキキョウさんは部屋を出て行った。

「すごいですね……この敷地内」

「そうだねえ、大昔からの一族だからね。それにしてもキキョウくんは相変わらず麗しい雰囲気……。真由ちゃん、見惚れてたでしょ?」

「あ、いえ、そんなこと」

 さっきの私の一部始終をハトリさんに見られていたと思うと、顔から火が出る程恥ずかしくなって顔を何かにうずめたくなる。

 それにしても……キキョウさんの部屋は簡素でほとんど物がなく、その代わりというのか本だけは大量に棚に並べられていた。

 多分、相当本が好きなんだろう。題名を見ると、小説らしきものから専門書らしきものまで様々な種類の本がある。

 その中にはハーブに関するものもあって、借りて読んでみたいなあと思った。

「お待たせ」

 キキョウさんが返ってくると、緑茶の香りが部屋に充満する。

「それじゃあ、災いに関する本、だよね」

 キキョウさんは棚ではなく机の引き出しから二冊の本を出してきた。

「これだよ。あまりなくてごめんね」

「いえ、十分有難いです」

「ああ、でも……。どちらも肝心なことは書いてないんだ。多分知っていると思うけど、『キセキバナ』ってあるだろう? 結局それがどこにあるのかはどの本にも載っていない。ただ、それを奉納する場所とか地図とかはそれに書いてあるから見ると良いよ」

「はい。その……結局、地主に信頼されなければ私は殺される運命になるのでしょうか?」

 もし種を見つけたとしても、花を咲かせられなければなにも意味がない。

「そうだね……。そうじゃないとこの街が滅びる。こんなことを今言うのは多分真由さんにとって良くないことかもしれないけど、事実は伝えておくよ。今までに災いが起きたときにキセキバナを見つけられた人間はいない。でも、それならどうしてこの街が残っているか。……皆、殺されているんだ」

 ここに来る前からなんとなく予想はしていたけれど、やっぱりそれは現実だった。そうだよ、だって、本になるくらいなんだから災いは何度か起きていて、でもこの街はこうして存在しているんだもの。

「でも僕は、もう嫌なんだ。実際に見たわけじゃないけど、人間が殺されるのは。僕についている動物の妖は、捨てられたあとに拾われた家ではそれはもう幸福な時間を過ごしていた。僕は人間が全て悪者だとは思わない。心優しい人もいる。だから、もう、人間が犠牲になるのは嫌なんだ。真由さん、どうか災いを終息させてください、お願いします」

「キキョウさん……。分かりました、約束、します」

「ありがとう」

 その瞬間、キキョウさんが私の体を包む。

 私はどうしたらいいか分からなくて、抱きしめられたまま固まってしまう。

「キキョウくん、真由ちゃんが困ってるよ」

「あ……ごめん。嬉しくて。真由さんの言葉が」

 あどけなくキキョウさんは笑った。 

 大人っぽいって思ったけど、こうして見るとやっぱり私と同じ、思春期の真只中を生きている若者で、少しの親近感がわいて嬉しくなった。

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