妖の木漏れ日カフェ

みー

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進みゆく秋

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 災いのこと、恋のこと、ハーブのこと、宴のこと、考えることがたくさんあって、脳内は詰まり放題詰まっている。

 そんな脳内を柔らかくするために、大好きなお風呂に。

「はあ、気持ちいい」

 お湯に浸かってリラックスした状態で考えを整理する。

 頭の中がゴミ箱の中身ようにごちゃっとしているといざという時にあたふたしてしまうから。

 ふと、外の空気を吸いたくなってお風呂の窓を開けると、金木犀の香りが風とともに運ばれてくる。

「うわあ、いい匂い」

 秋だなあ、と植物の匂いからも感じることができて、このまま穏やかな時間がずっと流れればいいのにと願う。

 目を瞑ってお湯の暖かさと金木犀の香りを楽しむこと数十分、そろそろとお風呂から上がった。





「夕食、出来てるぞ」

 髪を乾かしてリビングに戻ってくると、さっきの料理がお皿に奇麗に並べられてあり、なんとも贅沢な夕食になっている。

「ごめんな、試作で」

「いえ、全然。すごく美味しそうです」

「よかった」

 ああ、まただ。

 笑顔を見ただけでどきどきと心臓がうるさく動くの。 

 宴の為に考えられた料理は、どれも絶品だった。カイさんんが一生懸命に考えて作ったのものだもの、きっとどんなものでも宴に相応しいものだと思う。

 








 土曜日。

 今いるのは、まるでよそ者を拒絶するかのように重々しく建っている門の前で、そこにいるだけで変な緊張感が襲ってきて、手に汗をかく。

 ハトリさんと2人そこに立っていると、ひとりでに門が動いてその先に男の子がいた。

「久しぶり、キキョウくん」

「ハトリ兄さん、久しぶり。……その人が僕に用がある人だね?」

 切れ長の目に薄い唇。目立ちすぎないけれど通った鼻筋。風に揺られてなびくさらさらの髪。

 一瞬で、彼に惹きつけられる。そのオーラに声を出すことを忘れてしまう。

「真由ちゃん?」

「あ、えっと、はい。その、本とかを見せてもらえたらと思いまして」

「うん、だいたいのことはヤクモから聞いてるよ。……君、人間でしょ?」

「えっ……」

 キキョウさんは笑っている。そのせいか、何を考えているのかが全く読めなくてたじろぐ。

「大丈夫。僕は人間のことを恨んでいない」

 そう言えば、アヤメさんもそんなことを言っていたのを思い出す。

「災いのこと、知りたいんでしょう? そしてそれを終息させる方法」

「は、はい」

「とりあえず、僕の部屋来て」

 キキョウさんは私の方に手を差し伸べて来た。戸惑いつつも、その白くて長い指を持つ手を握る。

 意外と温かい。勝手な想像で冷たいものばかりだと思っていたから、その温度に緊張して固まっていた心が少しだけほぐれる。

 改めてキキョウさんの横顔を見る。

 同い年くらいなのに醸し出される雰囲気が私とは全く異なって大人っぽくて、ずっと見ていると目がこっちを向いた。

 その瞬間、どくんと心臓が鳴る。

 変だよ私。カイさんだけじゃなくて、キキョウさんにもこんな気持ちを抱いてしまうなんて……。
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