妖の木漏れ日カフェ

みー

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終わらない冬

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 カイさんの家に戻ると、ハトリさんやスミレさん、そしてヤクモさんの姿があった。

「皆さん……」

 皆の顔を見ると、どっと安堵の波が押し寄せてくる。

「よく分かんないけど、真由のおかげでこの世界が守られたんだろ?」

「本当にありがとう、真由ちゃん。私、なんだか感動しちゃったわ」

「そうだねえ、僕もだよ」

 皆で話していると、ポンとなにかが頭に乗っかってそれを確認しようと後ろを向いたらカイさんがいた。

「本当によくやったな」

 窓から見える、どこまでも澄んだ水色の空が本当に終わったんだと言うことを示していて、眼頭が熱くなってくる。

「……カイさん……」

 ぽんぽんと、大きな手が私の頭を撫でる。

 ああ、この気持ち。まただ。心臓が早く動いて苦しくて、カイさんの顔を見れなくなる。

 でも、キキョウさんにも同じ思いを抱いていて……。

 私、おかしいよ。

「真由ちゃん、今度女同士で話しましょ?」

 耳元でそうスミレさんが呟く。

「えっ、あ、あの」

 スミレさんには私の気持ちはお見通しのようで、それに対して恥ずかしさが込み上げてきた。

「真由? 顔赤いぞ? 熱でもあるのか?」

「え、いや、あの」

「あ、そうだ。そろそろクリスマスだし、クリスマスパーティーやろうぜ!」

「そうだねえ。いいかも」

「だな。カフェを早めに終えてそこでやるか」

 クリスマス……やっと何かを心から楽しめる気持ちを取り戻すことができて、今からそのパーティーが待ち遠しい。

 それより……私はやっぱり恋をしてしまったの?

 でも、どっちに?







「真由ちゃん、ようこそ」

 一度浴衣を試着するときに来た時のあるスミレさんの家に2度目の訪問をする。

 前に来た時はゆっくり出来なかったけど、今日は時間がたっぷりあると言うことで、一緒にお菓子作りをすることになっていた。

「クリスマスも近いし、ジンジャークッキーなんてどうかしら?」

「いいですねっ」

 人形の可愛らしいクッキーはクリスマスの風物詩。

 幼い頃から、そのクッキーを見るとクリスマスの訪れに胸を高鳴らせていた。

「さて、恋愛トークでもしながら作りましょうか」

「は、はい……」

 スパイスのいい香りがキッチンを充満する。

「見たところ……キキョウくんとカイの2人が気になっているようだけど」

 スミレさんは鋭い。

 それとも、私が分かりやすいのかな?

「その……2人に対してドキドキしちゃって……おかしいですよね?!」

「まあでも、どっちかと恋人関係ってわけでもないんだし、まだセーフよ。真由ちゃんは……どっちといる時が安心できる?」

「そうですね……」

 カイさんに対してもキキョウさんに対しても、安心感は抱いている。

 カイさんの場合は、何か大きなものに包まれるような感じで、キキョウさんの場合は包まれるというよりは一緒にいることそのものに安心を感じる。

「どっちにも違った安心感を覚えるんです」

「そうね……基本的にあの2人は優しいものね。まあキキョウくんの場合は、真由ちゃんに、って感じにも見えるけど」

 ふふっと笑って言う。

 キキョウさんはいつも隣にいてくれて、私を見てくれる。

 同じ歳くらいなのに、キキョウさんから感じる余裕は私なんかの何倍もあって、そこに居心地よさを受け取ってしまうのかな?



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