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三章 長谷川高介
第5話 暗殺
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ここッスね……
時間でいえば深夜二時。
まあ、世界夜での話なんでいつでも夜なんッスが、この時間帯は精神体さんたちもご就寝。
それぞれ眠りについているッス。
そんで私がいま居るのは高介氏の自宅マンションの中ッス。
高介氏は探理官の仕事で忙しくて今夜は不在ッスが、奥様と娘の穂波さんはここに居るッス。
当然、招待されたわけではなく、ヒッソリコッソリの侵入。
セキュリティ関連は探理局へ潜入したときと同じく、私とジュマが神霊である文姫さんの接触物として無害判定させたり、鍵神にちょっと協力してもらって中へ入っていったッス。
────目的は穂波さんの暗殺。
黒い薄皮の手袋をした手でドアを開ける私。
静かに穂波さんの部屋へ入るッス。
照明はついてないんで暗いのは当たり前ッスが、魔導具のロックグラスをかけているんで光がなくても良く見えるッス。
きれいな部屋ッスね。
いや、きれいすぎるッス。
机や本棚、タンスなんかがピシッと整頓されすぎて生活感がないッス。
主が使ってないからッスね。
そしてその主、穂波さんは木製の立派なベッドで眠っているッス。
毛布をかけて横になっているッスが、その左手足部分にふくらみがなく、顔から見える肌も赤黒くなっているうえに、左まぶたは更に濃い。
寝てるんで表情がないのは当然としても心が感じられない。
まるで壊れた人形のよう。
同じ人間として、胸が痛くなるッス。
でも、ここで感傷的になっているわけにはいかないッス。
目的はこれッスから。
私は左手にジュマを抱きかかえたまま、空間倉庫から取り出したパイソンを右手に持つ。
シリンダーにはヤエさんが貸してくれた効果筒が装填され、銃口にはブーストサプレッサーがつけられているッス。
ブーストサプレッサーは魔法を発動した際の唱音と魔力の拡散を抑えつつ、魔法の威力を増強する優れもの。
つけた分、十五センチほど長くなるッスけどね。
────そっと、穂波さんの額に向けてパイソンを構える。
その距離一センチ程度。
ゆっくり、確実に引き金を引く。
無音で、パンっと血のように花びらが飛び散り消える。
かまわず私は、心臓、腹部、下腹部に向け、続けて引き金を引く。
額と同様に、被弾部から花びらが飛び散っていくッス。
タンポポみたいッスが、何の花びらッスかね。
「キンセンカね……」
?
私の心を読んだかのように文姫さんが耳元で囁いたッス。
「花言葉は、悲嘆。寂しさ。失望ね」
なるほど。
それがいま飛び散って消えたってわけッスか。
おや?
今度は被弾部から花が咲いて、身体の中へ入っていったッス。
えっと、桜?
「桃の花ね。桃は邪気を払うし、不老長寿の象徴でもあるの」
ふむふむ。
「そして花言葉は、魅惑的。気立てのよさ。天下無敵ね」
なんか強気なものが含まれているッスが、そんくらいでないと悲嘆やらに勝てないかもしれないッスね。
ヤエさんの効果筒、桃福弾。
東洋魔法から生まれたものをスピールで撃てるようにしたものッスが、効果は抜群ッスね。
────さて、目的は達成したので引き上げるッス。
パイソンを空間倉庫に戻し、部屋を出ようとする私たち。
「……」
ふと、穂波さんの顔を見ると、人形の印象が無くなってたッス。
時間でいえば深夜二時。
まあ、世界夜での話なんでいつでも夜なんッスが、この時間帯は精神体さんたちもご就寝。
それぞれ眠りについているッス。
そんで私がいま居るのは高介氏の自宅マンションの中ッス。
高介氏は探理官の仕事で忙しくて今夜は不在ッスが、奥様と娘の穂波さんはここに居るッス。
当然、招待されたわけではなく、ヒッソリコッソリの侵入。
セキュリティ関連は探理局へ潜入したときと同じく、私とジュマが神霊である文姫さんの接触物として無害判定させたり、鍵神にちょっと協力してもらって中へ入っていったッス。
────目的は穂波さんの暗殺。
黒い薄皮の手袋をした手でドアを開ける私。
静かに穂波さんの部屋へ入るッス。
照明はついてないんで暗いのは当たり前ッスが、魔導具のロックグラスをかけているんで光がなくても良く見えるッス。
きれいな部屋ッスね。
いや、きれいすぎるッス。
机や本棚、タンスなんかがピシッと整頓されすぎて生活感がないッス。
主が使ってないからッスね。
そしてその主、穂波さんは木製の立派なベッドで眠っているッス。
毛布をかけて横になっているッスが、その左手足部分にふくらみがなく、顔から見える肌も赤黒くなっているうえに、左まぶたは更に濃い。
寝てるんで表情がないのは当然としても心が感じられない。
まるで壊れた人形のよう。
同じ人間として、胸が痛くなるッス。
でも、ここで感傷的になっているわけにはいかないッス。
目的はこれッスから。
私は左手にジュマを抱きかかえたまま、空間倉庫から取り出したパイソンを右手に持つ。
シリンダーにはヤエさんが貸してくれた効果筒が装填され、銃口にはブーストサプレッサーがつけられているッス。
ブーストサプレッサーは魔法を発動した際の唱音と魔力の拡散を抑えつつ、魔法の威力を増強する優れもの。
つけた分、十五センチほど長くなるッスけどね。
────そっと、穂波さんの額に向けてパイソンを構える。
その距離一センチ程度。
ゆっくり、確実に引き金を引く。
無音で、パンっと血のように花びらが飛び散り消える。
かまわず私は、心臓、腹部、下腹部に向け、続けて引き金を引く。
額と同様に、被弾部から花びらが飛び散っていくッス。
タンポポみたいッスが、何の花びらッスかね。
「キンセンカね……」
?
私の心を読んだかのように文姫さんが耳元で囁いたッス。
「花言葉は、悲嘆。寂しさ。失望ね」
なるほど。
それがいま飛び散って消えたってわけッスか。
おや?
今度は被弾部から花が咲いて、身体の中へ入っていったッス。
えっと、桜?
「桃の花ね。桃は邪気を払うし、不老長寿の象徴でもあるの」
ふむふむ。
「そして花言葉は、魅惑的。気立てのよさ。天下無敵ね」
なんか強気なものが含まれているッスが、そんくらいでないと悲嘆やらに勝てないかもしれないッスね。
ヤエさんの効果筒、桃福弾。
東洋魔法から生まれたものをスピールで撃てるようにしたものッスが、効果は抜群ッスね。
────さて、目的は達成したので引き上げるッス。
パイソンを空間倉庫に戻し、部屋を出ようとする私たち。
「……」
ふと、穂波さんの顔を見ると、人形の印象が無くなってたッス。
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