48 / 385
5章 兄弟
8話 カニ+ガールズトーク
しおりを挟む
今わたしにできることはなんだろう……。
考え抜いた――いえ、そこまで考えてはいないけど――とにかく考えた末に出した答はひとつ。
「……」
スラリと刃渡りの長い包丁を手にして、その輝く刃を無言で見つめる。傍らにはキッチンハサミ。
今わたしは、カニと対峙していた――。
わたしはみんなのご飯を作る係。だから今できることはおいしいご飯を作ること。
ジャミルは今週いっぱい酒場のコックさんの仕事も休んだらしく、砦の自室で休んでいる。
それを聞いてわたしは市場で彼の好物であるカニを仕入れ、ジャミルの仕事道具である包丁片手にカニを捌こうとしているのだった。
「あーレイチェル、お疲れー。わっ、それカニ!?」
まさに今包丁を入れようとしている時、ベルとルカがやってきた。
「うん。奮発しちゃった」
「カニ……?」
「うん。ルカはカニ食べたことある?」
「ない。……防御力が、高そう」
「あ、殻は食べないんだ。これから捌くの」
「さばく……? そのあとは」
「身を出して色んなことに使うよ。雑炊でしょ、ドリアでしょ、それにカニクリームコロッケでしょ」
「ああん、おいしそー! 殻をラーメンスープ用にもらっていいかな?」
「うん、いいよー」
「やったぁ!」
ベルが目をキラキラさせながら両手をパンと打つ。
◇
「っていうか、よくカニ仕入れる気になったわね。剥くのめんどくさくない?」
ベルはわたしがカニを捌くのを時折見つつ、パンケーキとクッキーを焼いている。
そしてルカは無言でもくもくとパンケーキをむさぼっている。
「うん……ちょっとね。でも、慣れればなんてことないよ」
「と……、よし。これでいいか」
わたしは捌いたカニの脚部分の身をほじくりだし、小さい器に取り分けた。
「あら、それは?」
「これは雑炊用。ジャミルはカニが好きだから、カニ雑炊作ろうと思って」
「へぇー……」
「ん?」
「あのー……レイチェルってジャミル君と付き合ってるの?」
「えっ? えっ?? なんで?? 付き合ってないよぉ」
驚きの質問にわたしはカニ味噌を落としそうになってしまう。
「えー そうなの? あたしはてっきり……」
「グレンさんも言ってたけどなんで? ただの幼なじみでしかないんだけど……」
「いやー だって。伏せってるジャミル君のためにわざわざ彼の好物のカニを仕入れて捌くなんてめんどくさいことするんだもん」
「そ……」
そういう風に見られちゃうのかー! とわたしが納得していると、ベルが更に口を開いた。
「でさ、二人で同じ日に休み取ってミロワール湖に行ったでしょ」
「え、あ、あれは――」
「ミロワール湖ってデートスポットなんだけど、知らなかった?」
「そ、そうなの? わたし達子供の時から馴染んでるから今ひとつピンとこないなぁ」
「あとあと、隊長から聞いたけど、早朝からジャミル君お手製の『ドラゴン肉まん』食べてたって」
「あ、あれは……その、カイルの好きな食べ物で、供養? っていうのも変な話だけどそういう感じのもので……」
「ふ~ん……朝から、お手製の肉まんをねぇ」
「ほ、ほんとだってば……」
グレンさん、ベルとそんな話してたんだ……くうぅ。
「やー、恋人がいると精神がけっこう安定して闇堕ちが防げるのになーって思ってさー」
「やみ、おち? って?」
また耳慣れない言葉だ……。
「闇堕ちした人間は正気を失い、虚無の世界に堕ちる……むぐ」
「そうそう、それ。うーんこれおいしー!」
「きょむ……? あ、あまり食べすぎないでね」
ぷるぷるのカニの身を二人がぺろりと食べる。……わたしも一口。
おいしい。カニしゃぶとかもいいなぁ。
「……あ、それで、きょむの世界っていうのは何なの?」
「魔法は心の力っていうじゃない? 使いすぎたり、精神が不安定な時に使うと呑まれてしまって欲望とか理性に歯止めが利かなくなって、普段なら踏みとどまっているようなことを言ったりやったりするようになっちゃうの。あとは……意識が二度と戻らなくなったりね。肉体は生きてるけど、魂は『虚無の世界』を彷徨ってしまうんだって」
「そうなんだ……」
使いすぎると闇に呑まれるとかって、そういえば以前ジョアンナ先生の授業でも言ってたっけなぁ。
ジャミルがカッカしやすくなってるのはその影響なのかな……。
「あれ? でもジャミルは魔法使えないはずだけど……」
ジャミルもカイルも生まれた時に魔法の資質を調べたけど、わたしと同じに全くなかったとか聞いたことがある。
「あの剣が、ジャミルの水を汚している」
「水……」
「あの剣は闇の紋章の眷属だからねー。外に出たがってジャミル君の精神にちょっかいかけてるのよ」
「ジャミルは自分の水で、汚れた水を抑えている」
「水……」
「あたしの魔法もあるけど、彼自身の精神力でそれを抑えてるって感じかなー。あ、この身体の甲羅もらうね」
「あ、どうぞ。カニ味噌は」
「……は、いらないや」
「了解」
わたしはカニ味噌を小皿によけ、ベルは鍋にカニの甲羅をちゃぽんと鎮める。
それにしても、ベルの補足説明があってよかった。
ルカの『水』『水』じゃ全然分からないとこだった。
「あの剣、ジャミルによく話しかけている」
「話しかける? 剣が? ベルもさっき『ちょっかいかけてる』って言ったけど、しゃべるの? あの剣」
「……らしいわよ。心に話しかけて、彼の意識を乗っ取ろうっていう魂胆らしいわ」
「ジャミルには聞こえていない。……この、緑色のものは、何?」
「……これ? これはカニ味噌。食べる?」
「食べる」
ルカは無言でカニ味噌を口に入れる。
「……おいしい」
「えー、カニ味噌いけるんだ? 渋いわねー、ルカ」
「パンケーキにかければ、ダブルでおいしい?」
「そ、それはやめておいた方が……、おいしいからって掛け合わせるとまずくなるときもあるからね」
「そう……ヒトの世は難しいわ」
「そ、そうだね……で、ジャミルには剣の声は聞こえてないの?」
「わたしとお兄ちゃまは聞こえる。紋章があるから」
「!!」
「え? 紋章って『女神の祝福』?」
「そう」
「へ――っ、ルカも隊長もなんだか不思議と思ってたらそういうこと……」
「ル、ルカ……」
一応秘密なんじゃなかったっけ? またカジュアルにバラしてる……。
ダメだよー みたいな目で見てみるも、ルカはお構いなしにカニを貪り食っている。
◇
「ん――、なんというか、ね」
「うん……」
「全部食べちゃったよね、カニ」
「うん……」
ジャミルの好物のカニ。彼に食べてもらおうと思って買ったカニ。
三人でおしゃべりしながら、気付いたらまるごと全部食べてしまっていた。
彼のために少し身を取り分けているとはいえ……明らかにわたし達の取り分の方が多い。
「おいしかった」
満足気に顔を赤らめるルカ。
「うん……おいしかった、けど……あはは」
「あ、でもでも、まだ2杯あるのよね! あたしも手伝うからさ!」
「ほんと? じゃあお願いしちゃおっかな……」
「まだ食べたい。カニ味噌も」
「…………」
全員、沈黙してしまう。カニを食べたい。カニを……。
「もう一杯、いっちゃう?」
「う……ジャミル、闇堕ちしないよねぇ」
「カニで闇堕ち!? うーん でも食べ物の恨みは怖いからねぇ……」
そう言いつつわたしとベルは2杯目のカニを捌き出す。
大丈夫、1杯まるまるジャミルにあげるから。
そもそも、カニがあることを知らないんだからこれはわたし達のもの――。
カニはおいしい。だから仕方がないことなの。
許してね、ジャミル。
こうしてわたし達はカニを囲んで女子トークに花を咲かせたのでした……。
考え抜いた――いえ、そこまで考えてはいないけど――とにかく考えた末に出した答はひとつ。
「……」
スラリと刃渡りの長い包丁を手にして、その輝く刃を無言で見つめる。傍らにはキッチンハサミ。
今わたしは、カニと対峙していた――。
わたしはみんなのご飯を作る係。だから今できることはおいしいご飯を作ること。
ジャミルは今週いっぱい酒場のコックさんの仕事も休んだらしく、砦の自室で休んでいる。
それを聞いてわたしは市場で彼の好物であるカニを仕入れ、ジャミルの仕事道具である包丁片手にカニを捌こうとしているのだった。
「あーレイチェル、お疲れー。わっ、それカニ!?」
まさに今包丁を入れようとしている時、ベルとルカがやってきた。
「うん。奮発しちゃった」
「カニ……?」
「うん。ルカはカニ食べたことある?」
「ない。……防御力が、高そう」
「あ、殻は食べないんだ。これから捌くの」
「さばく……? そのあとは」
「身を出して色んなことに使うよ。雑炊でしょ、ドリアでしょ、それにカニクリームコロッケでしょ」
「ああん、おいしそー! 殻をラーメンスープ用にもらっていいかな?」
「うん、いいよー」
「やったぁ!」
ベルが目をキラキラさせながら両手をパンと打つ。
◇
「っていうか、よくカニ仕入れる気になったわね。剥くのめんどくさくない?」
ベルはわたしがカニを捌くのを時折見つつ、パンケーキとクッキーを焼いている。
そしてルカは無言でもくもくとパンケーキをむさぼっている。
「うん……ちょっとね。でも、慣れればなんてことないよ」
「と……、よし。これでいいか」
わたしは捌いたカニの脚部分の身をほじくりだし、小さい器に取り分けた。
「あら、それは?」
「これは雑炊用。ジャミルはカニが好きだから、カニ雑炊作ろうと思って」
「へぇー……」
「ん?」
「あのー……レイチェルってジャミル君と付き合ってるの?」
「えっ? えっ?? なんで?? 付き合ってないよぉ」
驚きの質問にわたしはカニ味噌を落としそうになってしまう。
「えー そうなの? あたしはてっきり……」
「グレンさんも言ってたけどなんで? ただの幼なじみでしかないんだけど……」
「いやー だって。伏せってるジャミル君のためにわざわざ彼の好物のカニを仕入れて捌くなんてめんどくさいことするんだもん」
「そ……」
そういう風に見られちゃうのかー! とわたしが納得していると、ベルが更に口を開いた。
「でさ、二人で同じ日に休み取ってミロワール湖に行ったでしょ」
「え、あ、あれは――」
「ミロワール湖ってデートスポットなんだけど、知らなかった?」
「そ、そうなの? わたし達子供の時から馴染んでるから今ひとつピンとこないなぁ」
「あとあと、隊長から聞いたけど、早朝からジャミル君お手製の『ドラゴン肉まん』食べてたって」
「あ、あれは……その、カイルの好きな食べ物で、供養? っていうのも変な話だけどそういう感じのもので……」
「ふ~ん……朝から、お手製の肉まんをねぇ」
「ほ、ほんとだってば……」
グレンさん、ベルとそんな話してたんだ……くうぅ。
「やー、恋人がいると精神がけっこう安定して闇堕ちが防げるのになーって思ってさー」
「やみ、おち? って?」
また耳慣れない言葉だ……。
「闇堕ちした人間は正気を失い、虚無の世界に堕ちる……むぐ」
「そうそう、それ。うーんこれおいしー!」
「きょむ……? あ、あまり食べすぎないでね」
ぷるぷるのカニの身を二人がぺろりと食べる。……わたしも一口。
おいしい。カニしゃぶとかもいいなぁ。
「……あ、それで、きょむの世界っていうのは何なの?」
「魔法は心の力っていうじゃない? 使いすぎたり、精神が不安定な時に使うと呑まれてしまって欲望とか理性に歯止めが利かなくなって、普段なら踏みとどまっているようなことを言ったりやったりするようになっちゃうの。あとは……意識が二度と戻らなくなったりね。肉体は生きてるけど、魂は『虚無の世界』を彷徨ってしまうんだって」
「そうなんだ……」
使いすぎると闇に呑まれるとかって、そういえば以前ジョアンナ先生の授業でも言ってたっけなぁ。
ジャミルがカッカしやすくなってるのはその影響なのかな……。
「あれ? でもジャミルは魔法使えないはずだけど……」
ジャミルもカイルも生まれた時に魔法の資質を調べたけど、わたしと同じに全くなかったとか聞いたことがある。
「あの剣が、ジャミルの水を汚している」
「水……」
「あの剣は闇の紋章の眷属だからねー。外に出たがってジャミル君の精神にちょっかいかけてるのよ」
「ジャミルは自分の水で、汚れた水を抑えている」
「水……」
「あたしの魔法もあるけど、彼自身の精神力でそれを抑えてるって感じかなー。あ、この身体の甲羅もらうね」
「あ、どうぞ。カニ味噌は」
「……は、いらないや」
「了解」
わたしはカニ味噌を小皿によけ、ベルは鍋にカニの甲羅をちゃぽんと鎮める。
それにしても、ベルの補足説明があってよかった。
ルカの『水』『水』じゃ全然分からないとこだった。
「あの剣、ジャミルによく話しかけている」
「話しかける? 剣が? ベルもさっき『ちょっかいかけてる』って言ったけど、しゃべるの? あの剣」
「……らしいわよ。心に話しかけて、彼の意識を乗っ取ろうっていう魂胆らしいわ」
「ジャミルには聞こえていない。……この、緑色のものは、何?」
「……これ? これはカニ味噌。食べる?」
「食べる」
ルカは無言でカニ味噌を口に入れる。
「……おいしい」
「えー、カニ味噌いけるんだ? 渋いわねー、ルカ」
「パンケーキにかければ、ダブルでおいしい?」
「そ、それはやめておいた方が……、おいしいからって掛け合わせるとまずくなるときもあるからね」
「そう……ヒトの世は難しいわ」
「そ、そうだね……で、ジャミルには剣の声は聞こえてないの?」
「わたしとお兄ちゃまは聞こえる。紋章があるから」
「!!」
「え? 紋章って『女神の祝福』?」
「そう」
「へ――っ、ルカも隊長もなんだか不思議と思ってたらそういうこと……」
「ル、ルカ……」
一応秘密なんじゃなかったっけ? またカジュアルにバラしてる……。
ダメだよー みたいな目で見てみるも、ルカはお構いなしにカニを貪り食っている。
◇
「ん――、なんというか、ね」
「うん……」
「全部食べちゃったよね、カニ」
「うん……」
ジャミルの好物のカニ。彼に食べてもらおうと思って買ったカニ。
三人でおしゃべりしながら、気付いたらまるごと全部食べてしまっていた。
彼のために少し身を取り分けているとはいえ……明らかにわたし達の取り分の方が多い。
「おいしかった」
満足気に顔を赤らめるルカ。
「うん……おいしかった、けど……あはは」
「あ、でもでも、まだ2杯あるのよね! あたしも手伝うからさ!」
「ほんと? じゃあお願いしちゃおっかな……」
「まだ食べたい。カニ味噌も」
「…………」
全員、沈黙してしまう。カニを食べたい。カニを……。
「もう一杯、いっちゃう?」
「う……ジャミル、闇堕ちしないよねぇ」
「カニで闇堕ち!? うーん でも食べ物の恨みは怖いからねぇ……」
そう言いつつわたしとベルは2杯目のカニを捌き出す。
大丈夫、1杯まるまるジャミルにあげるから。
そもそも、カニがあることを知らないんだからこれはわたし達のもの――。
カニはおいしい。だから仕方がないことなの。
許してね、ジャミル。
こうしてわたし達はカニを囲んで女子トークに花を咲かせたのでした……。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!
ぽんちゃん
恋愛
――仕事で疲れて会えない。
十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。
記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。
そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる