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【第3部】13章 切り裂く刃
8話 「私を忘れないで」
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「ベルナデッタ。わたくしね、聖女様に選ばれたの」
「えっ」
リタ様と出会って1ヶ月ほど経ったある日のこと。
あたしとリタ様は週末ごとに寮の庭で「秘密のティーパーティ」を楽しんでいた。
この名前を考えたのはリタ様だ。
「『秘密』と付けるとワクワクするでしょう?」ということらしい。
楽しかった。毎回1時間足らずだったけれど、とても大切な時間。
リタ様はいつも笑顔でどんな話も馬鹿にせず否定せず聞いてくれるから、あたしはずっとおしゃべりが止まらない。
あたしの作ったお菓子も「おいしい、貴女は素敵」と言ってくれる。
嬉しくてたまらなかった。
これからもいいお友達でいられるかもしれない なんて思ったのに……。
「……おめでとう、ございます」
そう言うしかない。
だって、聖女に選ばれるのは名誉なこと。
寂しいなんて思ってはいけない。もっとお祝いの言葉を言わなければ……。
「リタ様は、気高くてお優しくて、聖女様にふさわしい清らかな心を持っていらっしゃるんですもの。選ばれるのは、当然の……」
「ちがうのよ、ベルナデッタ」
「え?」
「聖女というものは、清らかな心の持ち主が選ばれるのではないの。選ばれない方がむしろ、清らかなのよ」
リタ様は青銀の睫毛を伏せ、微笑を浮かべる。笑ってはいるけれど、そこに伴う感情は楽しいものではない。初めて見る、悲しみをたたえた笑みだった。
「……貴女に会うのは今日で最後……だから、少しわたくしの話を聞いて下さらない? つまらない、話だけれど」
「でも、誰にも言ったことがない話なの」と言いながら、彼女は空を見上げてまた笑う。
雲ひとつない青空を、1羽の鳥が飛んでいく。
あの鳥に何か想いを馳せているのだろうか?
それとも何か、もっと遠い遠い何かを見据えているのだろうか……。
◇
「ベルナデッタは、恋をしたことがある?」
「えっ!?」
何の話が始まるのかと思っていたら思いがけない質問が飛んできて、あたしはいつものように大声で反応してしまう。
恋、恋……?
「したことがないと思います……たぶん」
「たぶん?」
「はい」
王太子殿下、そしてそのご友人のセルジュ様とか……「素敵!」「かっこいい!」と思うことは多々あれど、恋と呼べるような想いにまで至ったことはない。
そもそも……。
「恋をしても、悲しいことになると思うんです」
「…………」
貴族の結婚は、家と家の結びつきのため。
結婚生活を送っているうちに互いに愛が芽生えることはあるかもしれないけれど、民のように自由な恋愛を経て結婚――なんてことはまずない。
愛し合っても、いつか別れが訪れるだろう。
あたしの言葉を聞いてリタ様は「そうよね」と言って目を伏せてうつむき、両手をぎゅっと握り込む。
こういう質問をするということは、つまり……。
「わたくしは、あるわ」
そうきっぱり言うと、リタ様は顔を上げてあたしの方を向いて笑う。
あたしは恋をしたことがないし、彼女と知り合って間もない――それでも、はっきりと分かった。
その目は、笑顔は、恋する女の子のそれだ。
「昔から、今も……わたくしはある人にずっと恋をしているの」
凜としていて、強く気高い彼女。住んでいる世界がちがうと最初は思った。
でも、そんなことはない。彼女はやっぱり、あたしと同年代の普通の女の子なんだわ……。
――それから彼女はその思い人の話を始めた。
リタ様がその人と出会ったのは十数年前。
お付きの者とミロワール湖のほとりを散歩していたら、湖面に少年が浮かんで漂っていた。
引き揚げたものの、足に酷いケガを負っていて身体は冷たい。
最初は死んでいるものと思われたが、わずかに息があったため屋敷に連れ帰って治療を施し、少年は一命を取り留めた。
しかし少年は名前などの記憶が欠落しており、なぜあんなケガで湖を漂っていたのかも全く分からない。
その少年がとても気になったリタ様はお父様のゲオルク様に頼み込み、少年をユング家の小間使い兼遊び相手として迎え入れた。
月に一度ティーパーティーをひらき、あたしとやっていたようにお菓子を食べながら話をしたり、刺繍をしたり、絵本を読んだりして楽しい時間を過ごしたという。
「わたくしは楽しかったけれど……少年とはいえ、彼はわたくしよりも5歳年上。少女趣味な子供の遊びなんて、大層つまらなかったでしょうね。育った環境も全然ちがったでしょうし」
楽しい日々は、成長した彼が竜騎士見習いとなったことで終わりを告げる。
見習いとはいえ、ゲオルク様に仕える騎士となった彼――つまりリタ様もまた、仕えるべき主君。
今までずっと気軽に話してきたのに急に敬語になり、「私は騎士になりました。今までのようにリタ様と遊ぶこともお話することもできません」と言ってきたという。
「何度言っても彼は敬語をやめてくれなくて、寂しくて悲しくて……それでわたくしはあろうことか、『じゃあ騎士なんて辞めてよ』なんて言ってしまったの」
「え! ……そ、それで、彼は」
「『ワガママばかり言うなよ』ってすごく怒って、嫌われてしまって……それきり」
「…………」
「彼は騎士の寮に移ってしまって、顔を見ることも叶わなくなってしまった……やっと顔を合わせて会話をできたのは、それから8年くらい経ってから。彼とのお別れの時だったわ」
「お別れ? ……今は、騎士様ではないのですか」
「ええ。去年退役して……冒険者になると言っていたわ。最後の日わたくしは過去のことを謝って……『気にしていない、自分こそ済まなかった』と言ってくれたけれど、そう言うしかないわよね。主君の娘ですもの。しかも最後に『私のことずっと忘れないで』なんて言ってしまって……恋人でもないのに、重いわよね」
「リタ様……」
「もう、会うことは叶わない。会ったとしてもこの想いが叶うことは決してない。それなのに、わたくしは彼への気持ちを捨てられないでいる……それこそが、わたくしが聖女に選ばれた理由よ」
「え? どういう……」
「聖女には、矛盾した大きな想いを抱えた女が選ばれるの。――彼を諦めたい、諦めたくない。わたくしを忘れて欲しい、忘れないで欲しい。無事に家族の元に帰って欲しい、帰らないで欲しい……そういう、身勝手な想い。祈りは力、そして祈りは縛り。相反する心が光と闇のバランスを保ち、世を平定するわ」
「…………」
「……わたくしは浅ましい女だわ。彼の影を縫い付ける、悪い魔法使いなの」
そう言って彼女は、物憂げな顔で手に持ったしおりに目を落とす。
これは彼女が幼い頃、その騎士の彼にプレゼントされたものだという。
待ち合わせで彼女が先に来た時、いつも本を読んでいた。そして、このしおりを挟んでから本をしまい込む。
花水晶で出来ていて、中には勿忘草が閉じ込めてある。
かわいらしいけれどずっと使っていたのか色が少し褪せていて……彼女が持つには少し、安い代物に見えた。
勿忘草の花言葉は、「私を忘れないで」――彼女はこのしおりを見て、彼を思い出す。
色が褪せた水晶とはちがい、彼への想いはずっと消えることなく――。
「この泥のような気持ちがせめて彼の、人々の役に立つのなら……」
「そんなことおっしゃらないで下さい! あたし、リタ様のこと好きですわ。おしゃべりするの、とっても楽しかったんですもの。だから……お別れは、寂しいです……」
「……ありがとう。わたくしもよ。貴女と話しているとわたくし、普通の女の子のような気持ちになれるんですもの。彼と遊んでいた時みたい」
「リタ様……」
「わたくしね、聖女の任期が終わったら、旅に出ようと思っているの」
「え、旅……ですか?」
「そう。オーロラを見に行きたいのよ」
「……オーロラ」
本で見たことがある。それは極北の地でのみ見ることが出来る、空の発光現象。
……そう、極北。今もなお魔物が跋扈するノルデンの最北部か、更にその先か……。
「それを見ることが出来たらわたくし、想いを断ち切ってやっと前に進める気がするの」
どうやって行くつもりなのか分からないけれど、彼女の目は希望に満ちている。
綺麗だ。「浅ましい」だなんてとんでもない。
一緒にいると、こちらも元気になれる。
やっぱり、彼女は聖女にふさわしい……。
「ねえ、ベルナデッタ」
彼女はあたしに向き直ってからあたしの手を取り、またニコッと微笑む。
「5年経って貴女がわたくしのこと思い出してくれたら、またこうやってお話しましょう。……約束ね」
「もちろんです! お菓子作りの腕、上げておきますわね」
「ふふ、楽しみ。ねえ、わたくし、一番に貴女のところへ飛んでいくわね。飛竜に乗って」
「飛竜!? リタ様が!?」
「そうよ。『アレクサンドロス』というの。王者の竜なのよ。勇ましくて素敵でしょう?」
「……は、はい」
女性も普通に飛竜に乗ると聞いたことはあるけれど……この優雅なお嬢様が、まさかそんな。
じゃあ、オーロラは飛竜に乗って見に行くということ?
それにしたって、なかなか無茶――。
「ね、ベルナデッタ」
「!」
リタ様が小指を差し出しながら小首をかしげ、「約束よ」とウインクをしてくる。
綺麗だ。かわいい。
相手の騎士の人、よくクラクラこなかったわね……。
◇
指切りをしたあと、彼女は去って行った。
「リタさま……」
去りゆく彼女の背中を見て、涙がぼろぼろとこぼれる。
あたしも、あたしも忘れたくない。覚えていたい。
でも彼女が聖女様になったらあたしは、この思い出ごと忘れてしまうの。
封印が解けるのは、5年後――。
「えっ」
リタ様と出会って1ヶ月ほど経ったある日のこと。
あたしとリタ様は週末ごとに寮の庭で「秘密のティーパーティ」を楽しんでいた。
この名前を考えたのはリタ様だ。
「『秘密』と付けるとワクワクするでしょう?」ということらしい。
楽しかった。毎回1時間足らずだったけれど、とても大切な時間。
リタ様はいつも笑顔でどんな話も馬鹿にせず否定せず聞いてくれるから、あたしはずっとおしゃべりが止まらない。
あたしの作ったお菓子も「おいしい、貴女は素敵」と言ってくれる。
嬉しくてたまらなかった。
これからもいいお友達でいられるかもしれない なんて思ったのに……。
「……おめでとう、ございます」
そう言うしかない。
だって、聖女に選ばれるのは名誉なこと。
寂しいなんて思ってはいけない。もっとお祝いの言葉を言わなければ……。
「リタ様は、気高くてお優しくて、聖女様にふさわしい清らかな心を持っていらっしゃるんですもの。選ばれるのは、当然の……」
「ちがうのよ、ベルナデッタ」
「え?」
「聖女というものは、清らかな心の持ち主が選ばれるのではないの。選ばれない方がむしろ、清らかなのよ」
リタ様は青銀の睫毛を伏せ、微笑を浮かべる。笑ってはいるけれど、そこに伴う感情は楽しいものではない。初めて見る、悲しみをたたえた笑みだった。
「……貴女に会うのは今日で最後……だから、少しわたくしの話を聞いて下さらない? つまらない、話だけれど」
「でも、誰にも言ったことがない話なの」と言いながら、彼女は空を見上げてまた笑う。
雲ひとつない青空を、1羽の鳥が飛んでいく。
あの鳥に何か想いを馳せているのだろうか?
それとも何か、もっと遠い遠い何かを見据えているのだろうか……。
◇
「ベルナデッタは、恋をしたことがある?」
「えっ!?」
何の話が始まるのかと思っていたら思いがけない質問が飛んできて、あたしはいつものように大声で反応してしまう。
恋、恋……?
「したことがないと思います……たぶん」
「たぶん?」
「はい」
王太子殿下、そしてそのご友人のセルジュ様とか……「素敵!」「かっこいい!」と思うことは多々あれど、恋と呼べるような想いにまで至ったことはない。
そもそも……。
「恋をしても、悲しいことになると思うんです」
「…………」
貴族の結婚は、家と家の結びつきのため。
結婚生活を送っているうちに互いに愛が芽生えることはあるかもしれないけれど、民のように自由な恋愛を経て結婚――なんてことはまずない。
愛し合っても、いつか別れが訪れるだろう。
あたしの言葉を聞いてリタ様は「そうよね」と言って目を伏せてうつむき、両手をぎゅっと握り込む。
こういう質問をするということは、つまり……。
「わたくしは、あるわ」
そうきっぱり言うと、リタ様は顔を上げてあたしの方を向いて笑う。
あたしは恋をしたことがないし、彼女と知り合って間もない――それでも、はっきりと分かった。
その目は、笑顔は、恋する女の子のそれだ。
「昔から、今も……わたくしはある人にずっと恋をしているの」
凜としていて、強く気高い彼女。住んでいる世界がちがうと最初は思った。
でも、そんなことはない。彼女はやっぱり、あたしと同年代の普通の女の子なんだわ……。
――それから彼女はその思い人の話を始めた。
リタ様がその人と出会ったのは十数年前。
お付きの者とミロワール湖のほとりを散歩していたら、湖面に少年が浮かんで漂っていた。
引き揚げたものの、足に酷いケガを負っていて身体は冷たい。
最初は死んでいるものと思われたが、わずかに息があったため屋敷に連れ帰って治療を施し、少年は一命を取り留めた。
しかし少年は名前などの記憶が欠落しており、なぜあんなケガで湖を漂っていたのかも全く分からない。
その少年がとても気になったリタ様はお父様のゲオルク様に頼み込み、少年をユング家の小間使い兼遊び相手として迎え入れた。
月に一度ティーパーティーをひらき、あたしとやっていたようにお菓子を食べながら話をしたり、刺繍をしたり、絵本を読んだりして楽しい時間を過ごしたという。
「わたくしは楽しかったけれど……少年とはいえ、彼はわたくしよりも5歳年上。少女趣味な子供の遊びなんて、大層つまらなかったでしょうね。育った環境も全然ちがったでしょうし」
楽しい日々は、成長した彼が竜騎士見習いとなったことで終わりを告げる。
見習いとはいえ、ゲオルク様に仕える騎士となった彼――つまりリタ様もまた、仕えるべき主君。
今までずっと気軽に話してきたのに急に敬語になり、「私は騎士になりました。今までのようにリタ様と遊ぶこともお話することもできません」と言ってきたという。
「何度言っても彼は敬語をやめてくれなくて、寂しくて悲しくて……それでわたくしはあろうことか、『じゃあ騎士なんて辞めてよ』なんて言ってしまったの」
「え! ……そ、それで、彼は」
「『ワガママばかり言うなよ』ってすごく怒って、嫌われてしまって……それきり」
「…………」
「彼は騎士の寮に移ってしまって、顔を見ることも叶わなくなってしまった……やっと顔を合わせて会話をできたのは、それから8年くらい経ってから。彼とのお別れの時だったわ」
「お別れ? ……今は、騎士様ではないのですか」
「ええ。去年退役して……冒険者になると言っていたわ。最後の日わたくしは過去のことを謝って……『気にしていない、自分こそ済まなかった』と言ってくれたけれど、そう言うしかないわよね。主君の娘ですもの。しかも最後に『私のことずっと忘れないで』なんて言ってしまって……恋人でもないのに、重いわよね」
「リタ様……」
「もう、会うことは叶わない。会ったとしてもこの想いが叶うことは決してない。それなのに、わたくしは彼への気持ちを捨てられないでいる……それこそが、わたくしが聖女に選ばれた理由よ」
「え? どういう……」
「聖女には、矛盾した大きな想いを抱えた女が選ばれるの。――彼を諦めたい、諦めたくない。わたくしを忘れて欲しい、忘れないで欲しい。無事に家族の元に帰って欲しい、帰らないで欲しい……そういう、身勝手な想い。祈りは力、そして祈りは縛り。相反する心が光と闇のバランスを保ち、世を平定するわ」
「…………」
「……わたくしは浅ましい女だわ。彼の影を縫い付ける、悪い魔法使いなの」
そう言って彼女は、物憂げな顔で手に持ったしおりに目を落とす。
これは彼女が幼い頃、その騎士の彼にプレゼントされたものだという。
待ち合わせで彼女が先に来た時、いつも本を読んでいた。そして、このしおりを挟んでから本をしまい込む。
花水晶で出来ていて、中には勿忘草が閉じ込めてある。
かわいらしいけれどずっと使っていたのか色が少し褪せていて……彼女が持つには少し、安い代物に見えた。
勿忘草の花言葉は、「私を忘れないで」――彼女はこのしおりを見て、彼を思い出す。
色が褪せた水晶とはちがい、彼への想いはずっと消えることなく――。
「この泥のような気持ちがせめて彼の、人々の役に立つのなら……」
「そんなことおっしゃらないで下さい! あたし、リタ様のこと好きですわ。おしゃべりするの、とっても楽しかったんですもの。だから……お別れは、寂しいです……」
「……ありがとう。わたくしもよ。貴女と話しているとわたくし、普通の女の子のような気持ちになれるんですもの。彼と遊んでいた時みたい」
「リタ様……」
「わたくしね、聖女の任期が終わったら、旅に出ようと思っているの」
「え、旅……ですか?」
「そう。オーロラを見に行きたいのよ」
「……オーロラ」
本で見たことがある。それは極北の地でのみ見ることが出来る、空の発光現象。
……そう、極北。今もなお魔物が跋扈するノルデンの最北部か、更にその先か……。
「それを見ることが出来たらわたくし、想いを断ち切ってやっと前に進める気がするの」
どうやって行くつもりなのか分からないけれど、彼女の目は希望に満ちている。
綺麗だ。「浅ましい」だなんてとんでもない。
一緒にいると、こちらも元気になれる。
やっぱり、彼女は聖女にふさわしい……。
「ねえ、ベルナデッタ」
彼女はあたしに向き直ってからあたしの手を取り、またニコッと微笑む。
「5年経って貴女がわたくしのこと思い出してくれたら、またこうやってお話しましょう。……約束ね」
「もちろんです! お菓子作りの腕、上げておきますわね」
「ふふ、楽しみ。ねえ、わたくし、一番に貴女のところへ飛んでいくわね。飛竜に乗って」
「飛竜!? リタ様が!?」
「そうよ。『アレクサンドロス』というの。王者の竜なのよ。勇ましくて素敵でしょう?」
「……は、はい」
女性も普通に飛竜に乗ると聞いたことはあるけれど……この優雅なお嬢様が、まさかそんな。
じゃあ、オーロラは飛竜に乗って見に行くということ?
それにしたって、なかなか無茶――。
「ね、ベルナデッタ」
「!」
リタ様が小指を差し出しながら小首をかしげ、「約束よ」とウインクをしてくる。
綺麗だ。かわいい。
相手の騎士の人、よくクラクラこなかったわね……。
◇
指切りをしたあと、彼女は去って行った。
「リタさま……」
去りゆく彼女の背中を見て、涙がぼろぼろとこぼれる。
あたしも、あたしも忘れたくない。覚えていたい。
でも彼女が聖女様になったらあたしは、この思い出ごと忘れてしまうの。
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