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終章 未来へ
◆カイル―自由な空へ(2)
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"もう、全部めちゃくちゃにしていいかな"――。
そう書いたあと、少し間を置いて"「めちゃくちゃ」って?"という一文が返ってきた。
"前に同じこと言ったよ。内容覚えてる?"
"覚えているわ"
"その通りのことをするよ"
――2人の間に目障りな壁がある。そいつをぶっ壊して、リタを連れ去りたい。
身分を忘れるくらいに、めちゃくちゃにかき乱したい……。
"これから、リタをさらいに行く"
…………
「クライブ? どこかに行くのか」
「!!」
夜、自宅近くの竜舎にいるシーザーのところへ行くと、乗る寸前でロジャーじいさんに声をかけられた。
時刻は夜の11時――いつもなら寝ている時間だからと油断していた。
――「あっちの世界」でもそうだったけど、どうして大事な決断で抜け出すときに限って、近しい人に見つかってしまうんだろう?
「うん。ちょっと……遠乗り」
「遠乗り?」
「うん」
「…………」
沈黙の間。
――見え見えの嘘だ。今の俺とシーザーの身なりは、どう見ても遠乗りのそれじゃない。
だがじいさんは訝しむことなく、いつも俺がここを発つ時と同じように目を細めて笑った。
「気を付けてなあ」
「うん」
「……今、ゲオルク様の元にラルス様とイザベラ様がおいでになっている」
「えっ」
「覚えとると思うが、東館には応接室や客室がある。近づくんじゃないぞ」
「……」
――何をしようとしているかお見通しってわけか。
さすが16年一緒に過ごしていただけのことはある。
けど……。
「止めないの? 俺、とんでもないことしようとしてるのに」
「お前が貴族社会に閉じ込められるよりずっといいよ。伯爵など、お前には似合わん。お前には空が合っている」
「俺も……そう思うよ」
「クライブ、お前は"風"だ。人の停滞した心を動かし、駆け抜けていく風だ。そして風は自由だ。誰にも縛られることはない」
「……風」
「これからはリタ様の心に、風を吹かせてやるんだ。……行きなさい。リタ様を頼んだぞ」
その言葉に大きく首肯を返し、シーザーの背をそっと撫でた。
「これから乗るぞ」という合図だ――シーザーが体勢を低くしてくれたので、鐙に足をかけ一気に飛び乗る。
「行こう、シーザー……!」
◇
家から5分くらい飛んでいくと、ユング侯爵邸だ。
屋敷は切り立った崖の上に建っており、周辺は山林で覆われている。独立戦争の頃は砦だったらしい。
"自然"という最大の防壁を得ているこの土地は、攻め入られることも外敵の侵入も想定していない。そのため、敷地内の警備には力を入れているが、外部の警備兵は少ない。
飛兵を擁しているのは竜騎士団領だけだから、他国の人間が空から攻め入ってくることもない。
飛竜で侵入を企てたとしても、絶対に入ることはできない。"王"がそれを拒むからだ。
"王"というのは、三竜侯の血族のみが乗ることを許されている黒竜のこと。"翼の王"、"風の担い手"とも呼ばれる王者の竜。リタの乗っているアレクサンドロスがそれだ。ユング侯爵家では他に、ゲオルク様とその甥御が所有している。
"王"が一鳴きすれば風が戦慄き、僕たる竜は翼を閉じ、地に伏せる。
"王"、そしてその半身である三竜侯に悪意や害意を抱いた者は、空から"王"の領域に入ることはできない。
――早い話、普通ならリタの部屋に空から近づくことはできない。
だが、今の俺にはそれができる。
俺には悪意も害意もない。ただ欲しているだけだ。そして、"王"アレクサンドロスの半身であるリタが、それを許している。
ゲオルク様の黒竜が俺を拒んだとしても、リタの黒竜が許したならそちらが勝つ。リタが俺を望む気持ちの方が、はるかに強いからだ。
「ありがとうリタ、俺を招き入れてくれて」
「カイル……」
リタが大きなバルコニーから俺を見下ろしている。
シーザーの手綱を引っ張って、飛ぶ高度を少し上げてもらう。それでも俺の方がバルコニーよりも下にいる。でも、それでいい。
「今日、あんまり風が強くなくて助かったな……」
「え……?」
「よっ……と」
「カ、カイル! 何を」
「大丈夫だよ」
鐙から足を外し、シーザーの背の上に立ち上がる。それを見たリタが、大きく息を吸って手すりから身を乗り出した。
「駄目よカイル、危ないわ! ねえ、早く座って――」
「……リタ。準備はもう万全かな。荷物はその箱だけ?」
「え? ええ……」
「小さいね」
「……これだけあれば、十分なの」
リタの手元にあるのは、ビーズで彩られた箱。
――覚えてる。昔、彼女が作った箱だ。自分が好きなビーズをいっぱいくっつけて、出来上がったのを俺に見せてきた。
「素敵でしょう?」と聞く彼女に俺は生返事をして、「ちゃんと見て!」って怒られた……。
「……そろそろ行こう、ゲオルク様に見つかる前に」
「もう少し待って、アレクサンドロスがこっちに来るから。……ねえカイル、お願いだから座って。もし風が強くなったら、落ちてしまうわ――」
「落ちないよ。……こんな大それたことをするんだから、振る舞いも大仰じゃないとね」
「何を……」
「リタ。俺と一緒に生きてくれるんだよね」
「もちろんよ――」
「こんな土壇場だけど、つまらない現実の話をするよ。……リタ、こっちには何もないんだ。今までみたいな生活はできない。……綺麗な服や宝飾品はないし、髪を結ってくれる人も、着替えの用意をしてくれる人もいない。自分のことは自分でやらなくちゃいけないんだ。もちろん、俺は色々やるつもりでいるけど、足りないことの方が絶対多いよ。不満が募るかもしれない。カイル・レッドフォードという人間を知って、失望するかもしれない。理想と現実の違いに苦しむ日が来るかもしれない――」
遠くの方で、竜が嘶く声がする。
リタの飛竜、アレクサンドロスだ。家を出る前に、竜舎の入り口を開け放っておいてくれとリタに頼んだ――もうすぐこっちへ来るはずだ。
リタは何も言わない。
――もしかして、迷っているのだろうか。
こんな話はすべきじゃなかっただろうか。夢と希望だけ抱えて、旅立たせてやるべきだっただろうか。
でも、それじゃあ駄目なんだ――。
「リタ、それでも俺は、リタが欲しい。……こっちには何もない。けど、自由がある。それに今のリタにはアレクサンドロスがいる。翼があるんだ。自由に空を駆け回る翼が。だから……俺と一緒に来てほしい。……俺の隣を飛んでいてほしいんだ。この先ずっと……」
「……カイ、ル……」
「……泣かないで」
リタが口元を抑えながら嗚咽する。薄青色の目から涙がぽろぽろと流れ、バルコニーの手すりを濡らしていく。
「……リタ」
彼女を見上げ、手を大きく広げる。
――まだ言いたいことがあるんだ。……こんなの全然、ガラじゃないけど……。
「リタ。……リタ・アガーテ・アレッサ・フォン・ユング。どうか、その名も身分も全部捨てて、俺の元へ……」
「……カイル……」
「――おいで」
その言葉と同時にリタが手すりに手をかけて乗り出し、俺の腕の中に飛び込んできた。
それを抱き止めると、彼女は俺にしがみつき、小さい子供のように泣きながら俺の名前を連呼する。
「カイル、カイル、カイル……!」
「……リタ……」
一度身を離して唇を数回合わせ、また抱き合う。
「そろそろ行こう」と声をかけようとした瞬間、竜の嘶き声が耳に入ってきた。リタの飛竜アレクサンドロスだ。
それと同時にバルコニーの窓が勢いよく開け放たれ、鳶色の髪の壮年男性が現れた。リタの父上でありかつての俺の主君、ユング侯爵ゲオルク様――少し遅れて、ゲオルク様の弟妹ラルス様とイザベラ様もやってきた。その後ろには騎士が数人――中には見知った顔もいる。
――思った以上にギャラリーが多い。
リタとアレクサンドロスがこちらにいる以上弓や魔法で撃ち落とされたりはしないだろうが、正直言って恐ろしくてたまらない。
できれば見つかる前に抜け出したかった。
……ここからが、正念場だ……。
そう書いたあと、少し間を置いて"「めちゃくちゃ」って?"という一文が返ってきた。
"前に同じこと言ったよ。内容覚えてる?"
"覚えているわ"
"その通りのことをするよ"
――2人の間に目障りな壁がある。そいつをぶっ壊して、リタを連れ去りたい。
身分を忘れるくらいに、めちゃくちゃにかき乱したい……。
"これから、リタをさらいに行く"
…………
「クライブ? どこかに行くのか」
「!!」
夜、自宅近くの竜舎にいるシーザーのところへ行くと、乗る寸前でロジャーじいさんに声をかけられた。
時刻は夜の11時――いつもなら寝ている時間だからと油断していた。
――「あっちの世界」でもそうだったけど、どうして大事な決断で抜け出すときに限って、近しい人に見つかってしまうんだろう?
「うん。ちょっと……遠乗り」
「遠乗り?」
「うん」
「…………」
沈黙の間。
――見え見えの嘘だ。今の俺とシーザーの身なりは、どう見ても遠乗りのそれじゃない。
だがじいさんは訝しむことなく、いつも俺がここを発つ時と同じように目を細めて笑った。
「気を付けてなあ」
「うん」
「……今、ゲオルク様の元にラルス様とイザベラ様がおいでになっている」
「えっ」
「覚えとると思うが、東館には応接室や客室がある。近づくんじゃないぞ」
「……」
――何をしようとしているかお見通しってわけか。
さすが16年一緒に過ごしていただけのことはある。
けど……。
「止めないの? 俺、とんでもないことしようとしてるのに」
「お前が貴族社会に閉じ込められるよりずっといいよ。伯爵など、お前には似合わん。お前には空が合っている」
「俺も……そう思うよ」
「クライブ、お前は"風"だ。人の停滞した心を動かし、駆け抜けていく風だ。そして風は自由だ。誰にも縛られることはない」
「……風」
「これからはリタ様の心に、風を吹かせてやるんだ。……行きなさい。リタ様を頼んだぞ」
その言葉に大きく首肯を返し、シーザーの背をそっと撫でた。
「これから乗るぞ」という合図だ――シーザーが体勢を低くしてくれたので、鐙に足をかけ一気に飛び乗る。
「行こう、シーザー……!」
◇
家から5分くらい飛んでいくと、ユング侯爵邸だ。
屋敷は切り立った崖の上に建っており、周辺は山林で覆われている。独立戦争の頃は砦だったらしい。
"自然"という最大の防壁を得ているこの土地は、攻め入られることも外敵の侵入も想定していない。そのため、敷地内の警備には力を入れているが、外部の警備兵は少ない。
飛兵を擁しているのは竜騎士団領だけだから、他国の人間が空から攻め入ってくることもない。
飛竜で侵入を企てたとしても、絶対に入ることはできない。"王"がそれを拒むからだ。
"王"というのは、三竜侯の血族のみが乗ることを許されている黒竜のこと。"翼の王"、"風の担い手"とも呼ばれる王者の竜。リタの乗っているアレクサンドロスがそれだ。ユング侯爵家では他に、ゲオルク様とその甥御が所有している。
"王"が一鳴きすれば風が戦慄き、僕たる竜は翼を閉じ、地に伏せる。
"王"、そしてその半身である三竜侯に悪意や害意を抱いた者は、空から"王"の領域に入ることはできない。
――早い話、普通ならリタの部屋に空から近づくことはできない。
だが、今の俺にはそれができる。
俺には悪意も害意もない。ただ欲しているだけだ。そして、"王"アレクサンドロスの半身であるリタが、それを許している。
ゲオルク様の黒竜が俺を拒んだとしても、リタの黒竜が許したならそちらが勝つ。リタが俺を望む気持ちの方が、はるかに強いからだ。
「ありがとうリタ、俺を招き入れてくれて」
「カイル……」
リタが大きなバルコニーから俺を見下ろしている。
シーザーの手綱を引っ張って、飛ぶ高度を少し上げてもらう。それでも俺の方がバルコニーよりも下にいる。でも、それでいい。
「今日、あんまり風が強くなくて助かったな……」
「え……?」
「よっ……と」
「カ、カイル! 何を」
「大丈夫だよ」
鐙から足を外し、シーザーの背の上に立ち上がる。それを見たリタが、大きく息を吸って手すりから身を乗り出した。
「駄目よカイル、危ないわ! ねえ、早く座って――」
「……リタ。準備はもう万全かな。荷物はその箱だけ?」
「え? ええ……」
「小さいね」
「……これだけあれば、十分なの」
リタの手元にあるのは、ビーズで彩られた箱。
――覚えてる。昔、彼女が作った箱だ。自分が好きなビーズをいっぱいくっつけて、出来上がったのを俺に見せてきた。
「素敵でしょう?」と聞く彼女に俺は生返事をして、「ちゃんと見て!」って怒られた……。
「……そろそろ行こう、ゲオルク様に見つかる前に」
「もう少し待って、アレクサンドロスがこっちに来るから。……ねえカイル、お願いだから座って。もし風が強くなったら、落ちてしまうわ――」
「落ちないよ。……こんな大それたことをするんだから、振る舞いも大仰じゃないとね」
「何を……」
「リタ。俺と一緒に生きてくれるんだよね」
「もちろんよ――」
「こんな土壇場だけど、つまらない現実の話をするよ。……リタ、こっちには何もないんだ。今までみたいな生活はできない。……綺麗な服や宝飾品はないし、髪を結ってくれる人も、着替えの用意をしてくれる人もいない。自分のことは自分でやらなくちゃいけないんだ。もちろん、俺は色々やるつもりでいるけど、足りないことの方が絶対多いよ。不満が募るかもしれない。カイル・レッドフォードという人間を知って、失望するかもしれない。理想と現実の違いに苦しむ日が来るかもしれない――」
遠くの方で、竜が嘶く声がする。
リタの飛竜、アレクサンドロスだ。家を出る前に、竜舎の入り口を開け放っておいてくれとリタに頼んだ――もうすぐこっちへ来るはずだ。
リタは何も言わない。
――もしかして、迷っているのだろうか。
こんな話はすべきじゃなかっただろうか。夢と希望だけ抱えて、旅立たせてやるべきだっただろうか。
でも、それじゃあ駄目なんだ――。
「リタ、それでも俺は、リタが欲しい。……こっちには何もない。けど、自由がある。それに今のリタにはアレクサンドロスがいる。翼があるんだ。自由に空を駆け回る翼が。だから……俺と一緒に来てほしい。……俺の隣を飛んでいてほしいんだ。この先ずっと……」
「……カイ、ル……」
「……泣かないで」
リタが口元を抑えながら嗚咽する。薄青色の目から涙がぽろぽろと流れ、バルコニーの手すりを濡らしていく。
「……リタ」
彼女を見上げ、手を大きく広げる。
――まだ言いたいことがあるんだ。……こんなの全然、ガラじゃないけど……。
「リタ。……リタ・アガーテ・アレッサ・フォン・ユング。どうか、その名も身分も全部捨てて、俺の元へ……」
「……カイル……」
「――おいで」
その言葉と同時にリタが手すりに手をかけて乗り出し、俺の腕の中に飛び込んできた。
それを抱き止めると、彼女は俺にしがみつき、小さい子供のように泣きながら俺の名前を連呼する。
「カイル、カイル、カイル……!」
「……リタ……」
一度身を離して唇を数回合わせ、また抱き合う。
「そろそろ行こう」と声をかけようとした瞬間、竜の嘶き声が耳に入ってきた。リタの飛竜アレクサンドロスだ。
それと同時にバルコニーの窓が勢いよく開け放たれ、鳶色の髪の壮年男性が現れた。リタの父上でありかつての俺の主君、ユング侯爵ゲオルク様――少し遅れて、ゲオルク様の弟妹ラルス様とイザベラ様もやってきた。その後ろには騎士が数人――中には見知った顔もいる。
――思った以上にギャラリーが多い。
リタとアレクサンドロスがこちらにいる以上弓や魔法で撃ち落とされたりはしないだろうが、正直言って恐ろしくてたまらない。
できれば見つかる前に抜け出したかった。
……ここからが、正念場だ……。
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