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4章 悲しむこと
4話 "人"として(後)
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「まさか……」
可能性の話とはいえ、ビクトルのもたらした情報はショックが大きい。
トモミチには味覚・嗅覚がなく、眠りの魔法が効かない。
それらの異常は彼が生前から抱えていたものであり、おそらく精神的なストレスが原因である。
(なら、食欲がないのも……?)
「食材の色が受け付けない」から食欲が湧かないのだと思っていた。
だが、それも生前から抱えていた精神ストレスのせいだとしたら?
多大な精神ストレスを抱えた人間が行き着く先は……?
全ての点が線で繋がる。トモミチが「自死者」である事実が固まっていく――。
「し……真の完成体までいったのは1人だけだった、と言うが、そうならなかったホロウ達との差は何かあったのか?」
――落ち着け。
トモミチが自死者であるのなら、彼が崩れないためにどうすればいいか対策を考えなければ。
僕の質問を聞いたビクトルは「他のホロウ達との差ですか」とつぶやくと少しの間考え込み、やがてまた口を開いた。
「……私はあの事件があるまでホロウを〝泥の人形〟、〝商売道具〟としか見ておらず、扱いも雑でした。しかし事件以降はホロウと極力〝人〟として接するようになった。明確な違いはそこでしょうか。……しかし」
そこで一旦言葉を句切るとビクトルは溜息を吐き、紅茶に砂糖を入れスプーンでかき混ぜ始める。
「しかし?」
続きが気になって、つい急かしてしまう。
ビクトルは紅茶の水面の揺れをしばらく見つめたあと、ソーサーごとカップを持ち上げ紅茶を一口飲む。
勿体付けているのだろうか。それとも、言いにくい事実でもあるのだろうか……。
「……皮肉なことに、そうするようになってから完成体で現れたホロウ達はみな途中で〝死〟を取り戻すようになってしまった。ほんの些細なことで、急激に」
「些細なこととは……?」
「何もかもです。本を読む、絵を見る、鼻歌を歌う……ことの大小を問わず、日常の全ての動作・事象が何らかの記憶の鍵穴に必ず合致して、扉が開いてしまう。……あるホロウは完成まであと1日というところで、『落ちたペンを拾った』だけのことで自死の記憶を取り戻して溶けてしまいました。あれはさすがの私も落ち込みました……どうやら、小説家だったそうで」
「…………」
思い当たる節が多分にある。
トモミチは昨日、財布の中身を見ただけで自分の実年齢と死因を誤認していたことを思い出してしまった。
他に何かまずいところはなかっただろうか。
料理を食べさせたこと、嗅覚がない事実に気付かせたことは何かの記憶の鍵になってはいないか?
習字道具を買い与えたことは? 今日のための対策会議をしたことは?
……全ての事象が死にまつわる記憶につながってしまうというのなら……。
「そのホロウを完成まで持っていきたいならば〝人間〟ではなく終始〝泥の塊〟として扱い続け、会話もせず目も合わせず、無視をし続けるのが最善となりましょう。……それが出来れば、ですが」
「あ……」
――『ホロウを知るな、ホロウの質問に答えるな』……かつてゴーチエが僕に、呪文のように言い聞かせてきた言葉。
トモミチを失わず完成させるには、それらを再び実践するのが最適解であるということになる。
彼を呼び出したばかりの僕がそれを聞いたなら、何のためらいもなく実践していただろう。
でももうそれはできない。彼を思い、強く欲している自分に気がついてしまったのだから。
「……お、お前は、天海から落ちてきた魂を誤って組成したことがあるか?」
トモミチが自死者ではない可能性を探したくて、悪あがきをしてしまう。
病気、事故、寿命など、自死以外が死因の善き魂が、次の生を目指して流れ泳いでいく〝天海〟――ごくまれに、そこから魂が落ちてしまうことがあるという。
天海の魂達は生きる力が強い。だから始めから完成体で現れてもおかしくない。
――何かの間違いなんだ。だってあのトモミチが、自殺なんて……!
「天海から魂が落ちる? ありえませんよ」
「え……?」
肯定、否定のどちらかが返ってくると思っていたのに、ビクトルの返答は思いもよらぬものだった。
「逆を考えてください。〝黒の大河〟や〝底の海〟を流れる魂が、誤って天海に昇ることがありますか?」
「…………」
何も返せない。
「地獄の魂が手違いで天国へ昇ることがあるか」――内容としてはそれと同じことを言っている。そんなことはありえない。
「で、でも、……ゴーチエ、先生が」
「ゴーチエ氏にそう教わったというのですか?」
黙って首肯を返すとビクトルはしかめ面でアゴを手で持ち首をひねって唸り、少しの間のあと目を伏せながら口を開いた。
「ロラン君、それは嘘ですよ。君は嘘を教え込まれている」
「そ……そんな」
頭がグラグラする。
ゴーチエは暴力的な言動で常に僕を貶め続けてきた。
その振る舞いは高慢かつ不遜。常に自分が中心で、僕ばかりではなく他者を全て「愚か者」と断じる歪んだ思想と性格の持ち主だ。
でも魔法や屍霊術の腕と知識は確かなものだし、その教えは全て真実であると思っていた。
――だって、先生は〝燐灰の隠者〟と呼ばれていた。屍霊術師、魔術師で知らぬ者はいない、権威的存在なのだ。
なのに僕によく分からない嘘を常識として叩き込み、真実の多くを意図的に教えずにいた。
僕が何も知らない、他に行き場所のない馬鹿な子供であるのをいいことに……。
「……ロラン君」
「!」
「顔色が悪いようです。今日は帰ってお休みになっては?」
「あ……」
先ほどのトモミチの話に加え、ゴーチエの「嘘の教育」の話――情報量が多いうえ、内容も全く良いものではない。
確かに、このかき乱された心のままでは冷静に話し合いは続けられない。
「……私も君に聞きたいことがある。また明日にでもおいでなさい」
「何の、話だ? 前も言ったが、僕はゴーチエのことは知らな……」
「それです。『何も知らない』ということをお聞きしたい」
「……?」
言わんとすることが分からない。
うつむいていた顔を上げビクトルの方を見ると、後ろに立つメイドに何か耳打ちをしているところだった。メイドは頭を下げて部屋を出て行く。
「〝北の魔女〟……ザビーネ・リルケ様をご存知ですか」
「知らない。有名なのか」
「60年屍霊術師をやっておられるそうですよ」
――知らない。
〝北の魔女〟ということは、その女はニライ・カナイ北部に拡がる〝大森林〟に住んでいるのだろう。
大森林は僕の住む燐灰の森とは対極に位置している。
僕は北の都には行ったことがない。その女と面識がなくとも、またその名を聞くことがなくとも別におかしくはない。
だがゴーチエの〝嘘〟の教育の話を聞いた今、ゴーチエがその女の情報を僕に聞かせないようにしていたのではという疑念が湧いてくる。
「私がホロウに襲撃された時、ザビーネ様が色々と力になってくださいました。あの転送陣も彼女に教わったものです。あの方なら、きっと君の力にもなってくださるはず……」
◇
僕の体調が悪くなってしまったため今日の話は打ち切りとなり、明日またザビーネという女を交えて話をすることになった。
帰る間際ビクトルが「燐灰の森から南の都まで馬車で往復するのは大変だろう」と、転送陣の魔法円が書かれた紙を僕によこした。
この魔法円を僕の庵のどこかに書いて念じれば、今日飛んできたビクトルの庵の転送陣に飛べるのだという。
だが僕は転移魔法を使えないから、転送陣とやらも使えない。
僕がそう言うとビクトルは、「君が教わってきた転移魔法の術式を書いてみてほしい」と言ってきた。
言葉の通り、ゴーチエに教わった転移魔法の術式を書いたのだが……。
「……ロラン君、この術式は文字が欠けています。でたらめですよ……」
憤りと憐れみが混じったような表情で、ビクトルがそうつぶやいた――。
帰りの馬車の中、僕は昔のことを思い返していた。
いくら練習してもうまくいかない転移魔法――失敗するたびにゴーチエは僕を蔑み罵倒した。
だが、できなくて当然だったのだ。ゴーチエは僕に全くでたらめの術式を教えていたのだから。
――どうして。
なんでゴーチエは僕に嘘を教えたんだ。どうして僕は、謂れのない罵倒を受けなければならなかった?
魔術ばかりでなく、屍霊術師の教育にも嘘が混じっていた。
僕を買った時ゴーチエは『お前には類い希なる魔力がある』と言った。
……もしかして、それすらも嘘なのか? それなら僕は何のために……僕の人生は、一体何だったんだ?
「っ……トモミチ……」
震える声で彼の名を唱える。
馬車は常にガタゴトと音を立てているから、アンソニーの耳には届かない。
「トモミチ……」
何度呼んでも不安が頭から消えることはない。だがそれでも、呼ばずにいられない。
帰りたい、トモミチのところへ。顔を見たい。声を聞きたい。
トモミチ、嫌なことがいっぱいあったんだ。
僕はこれからどうしたらいい?
何も全然、分からないんだ。
可能性の話とはいえ、ビクトルのもたらした情報はショックが大きい。
トモミチには味覚・嗅覚がなく、眠りの魔法が効かない。
それらの異常は彼が生前から抱えていたものであり、おそらく精神的なストレスが原因である。
(なら、食欲がないのも……?)
「食材の色が受け付けない」から食欲が湧かないのだと思っていた。
だが、それも生前から抱えていた精神ストレスのせいだとしたら?
多大な精神ストレスを抱えた人間が行き着く先は……?
全ての点が線で繋がる。トモミチが「自死者」である事実が固まっていく――。
「し……真の完成体までいったのは1人だけだった、と言うが、そうならなかったホロウ達との差は何かあったのか?」
――落ち着け。
トモミチが自死者であるのなら、彼が崩れないためにどうすればいいか対策を考えなければ。
僕の質問を聞いたビクトルは「他のホロウ達との差ですか」とつぶやくと少しの間考え込み、やがてまた口を開いた。
「……私はあの事件があるまでホロウを〝泥の人形〟、〝商売道具〟としか見ておらず、扱いも雑でした。しかし事件以降はホロウと極力〝人〟として接するようになった。明確な違いはそこでしょうか。……しかし」
そこで一旦言葉を句切るとビクトルは溜息を吐き、紅茶に砂糖を入れスプーンでかき混ぜ始める。
「しかし?」
続きが気になって、つい急かしてしまう。
ビクトルは紅茶の水面の揺れをしばらく見つめたあと、ソーサーごとカップを持ち上げ紅茶を一口飲む。
勿体付けているのだろうか。それとも、言いにくい事実でもあるのだろうか……。
「……皮肉なことに、そうするようになってから完成体で現れたホロウ達はみな途中で〝死〟を取り戻すようになってしまった。ほんの些細なことで、急激に」
「些細なこととは……?」
「何もかもです。本を読む、絵を見る、鼻歌を歌う……ことの大小を問わず、日常の全ての動作・事象が何らかの記憶の鍵穴に必ず合致して、扉が開いてしまう。……あるホロウは完成まであと1日というところで、『落ちたペンを拾った』だけのことで自死の記憶を取り戻して溶けてしまいました。あれはさすがの私も落ち込みました……どうやら、小説家だったそうで」
「…………」
思い当たる節が多分にある。
トモミチは昨日、財布の中身を見ただけで自分の実年齢と死因を誤認していたことを思い出してしまった。
他に何かまずいところはなかっただろうか。
料理を食べさせたこと、嗅覚がない事実に気付かせたことは何かの記憶の鍵になってはいないか?
習字道具を買い与えたことは? 今日のための対策会議をしたことは?
……全ての事象が死にまつわる記憶につながってしまうというのなら……。
「そのホロウを完成まで持っていきたいならば〝人間〟ではなく終始〝泥の塊〟として扱い続け、会話もせず目も合わせず、無視をし続けるのが最善となりましょう。……それが出来れば、ですが」
「あ……」
――『ホロウを知るな、ホロウの質問に答えるな』……かつてゴーチエが僕に、呪文のように言い聞かせてきた言葉。
トモミチを失わず完成させるには、それらを再び実践するのが最適解であるということになる。
彼を呼び出したばかりの僕がそれを聞いたなら、何のためらいもなく実践していただろう。
でももうそれはできない。彼を思い、強く欲している自分に気がついてしまったのだから。
「……お、お前は、天海から落ちてきた魂を誤って組成したことがあるか?」
トモミチが自死者ではない可能性を探したくて、悪あがきをしてしまう。
病気、事故、寿命など、自死以外が死因の善き魂が、次の生を目指して流れ泳いでいく〝天海〟――ごくまれに、そこから魂が落ちてしまうことがあるという。
天海の魂達は生きる力が強い。だから始めから完成体で現れてもおかしくない。
――何かの間違いなんだ。だってあのトモミチが、自殺なんて……!
「天海から魂が落ちる? ありえませんよ」
「え……?」
肯定、否定のどちらかが返ってくると思っていたのに、ビクトルの返答は思いもよらぬものだった。
「逆を考えてください。〝黒の大河〟や〝底の海〟を流れる魂が、誤って天海に昇ることがありますか?」
「…………」
何も返せない。
「地獄の魂が手違いで天国へ昇ることがあるか」――内容としてはそれと同じことを言っている。そんなことはありえない。
「で、でも、……ゴーチエ、先生が」
「ゴーチエ氏にそう教わったというのですか?」
黙って首肯を返すとビクトルはしかめ面でアゴを手で持ち首をひねって唸り、少しの間のあと目を伏せながら口を開いた。
「ロラン君、それは嘘ですよ。君は嘘を教え込まれている」
「そ……そんな」
頭がグラグラする。
ゴーチエは暴力的な言動で常に僕を貶め続けてきた。
その振る舞いは高慢かつ不遜。常に自分が中心で、僕ばかりではなく他者を全て「愚か者」と断じる歪んだ思想と性格の持ち主だ。
でも魔法や屍霊術の腕と知識は確かなものだし、その教えは全て真実であると思っていた。
――だって、先生は〝燐灰の隠者〟と呼ばれていた。屍霊術師、魔術師で知らぬ者はいない、権威的存在なのだ。
なのに僕によく分からない嘘を常識として叩き込み、真実の多くを意図的に教えずにいた。
僕が何も知らない、他に行き場所のない馬鹿な子供であるのをいいことに……。
「……ロラン君」
「!」
「顔色が悪いようです。今日は帰ってお休みになっては?」
「あ……」
先ほどのトモミチの話に加え、ゴーチエの「嘘の教育」の話――情報量が多いうえ、内容も全く良いものではない。
確かに、このかき乱された心のままでは冷静に話し合いは続けられない。
「……私も君に聞きたいことがある。また明日にでもおいでなさい」
「何の、話だ? 前も言ったが、僕はゴーチエのことは知らな……」
「それです。『何も知らない』ということをお聞きしたい」
「……?」
言わんとすることが分からない。
うつむいていた顔を上げビクトルの方を見ると、後ろに立つメイドに何か耳打ちをしているところだった。メイドは頭を下げて部屋を出て行く。
「〝北の魔女〟……ザビーネ・リルケ様をご存知ですか」
「知らない。有名なのか」
「60年屍霊術師をやっておられるそうですよ」
――知らない。
〝北の魔女〟ということは、その女はニライ・カナイ北部に拡がる〝大森林〟に住んでいるのだろう。
大森林は僕の住む燐灰の森とは対極に位置している。
僕は北の都には行ったことがない。その女と面識がなくとも、またその名を聞くことがなくとも別におかしくはない。
だがゴーチエの〝嘘〟の教育の話を聞いた今、ゴーチエがその女の情報を僕に聞かせないようにしていたのではという疑念が湧いてくる。
「私がホロウに襲撃された時、ザビーネ様が色々と力になってくださいました。あの転送陣も彼女に教わったものです。あの方なら、きっと君の力にもなってくださるはず……」
◇
僕の体調が悪くなってしまったため今日の話は打ち切りとなり、明日またザビーネという女を交えて話をすることになった。
帰る間際ビクトルが「燐灰の森から南の都まで馬車で往復するのは大変だろう」と、転送陣の魔法円が書かれた紙を僕によこした。
この魔法円を僕の庵のどこかに書いて念じれば、今日飛んできたビクトルの庵の転送陣に飛べるのだという。
だが僕は転移魔法を使えないから、転送陣とやらも使えない。
僕がそう言うとビクトルは、「君が教わってきた転移魔法の術式を書いてみてほしい」と言ってきた。
言葉の通り、ゴーチエに教わった転移魔法の術式を書いたのだが……。
「……ロラン君、この術式は文字が欠けています。でたらめですよ……」
憤りと憐れみが混じったような表情で、ビクトルがそうつぶやいた――。
帰りの馬車の中、僕は昔のことを思い返していた。
いくら練習してもうまくいかない転移魔法――失敗するたびにゴーチエは僕を蔑み罵倒した。
だが、できなくて当然だったのだ。ゴーチエは僕に全くでたらめの術式を教えていたのだから。
――どうして。
なんでゴーチエは僕に嘘を教えたんだ。どうして僕は、謂れのない罵倒を受けなければならなかった?
魔術ばかりでなく、屍霊術師の教育にも嘘が混じっていた。
僕を買った時ゴーチエは『お前には類い希なる魔力がある』と言った。
……もしかして、それすらも嘘なのか? それなら僕は何のために……僕の人生は、一体何だったんだ?
「っ……トモミチ……」
震える声で彼の名を唱える。
馬車は常にガタゴトと音を立てているから、アンソニーの耳には届かない。
「トモミチ……」
何度呼んでも不安が頭から消えることはない。だがそれでも、呼ばずにいられない。
帰りたい、トモミチのところへ。顔を見たい。声を聞きたい。
トモミチ、嫌なことがいっぱいあったんだ。
僕はこれからどうしたらいい?
何も全然、分からないんだ。
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