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「肝心の中身が見えないじゃん」
「俺は登録するつもりはないからなぁ」
「お前はこれをどこで知ったんだ?」
「結構、有名だよ。風の噂で流れてくる」
明間さんはそのような噂が流れる程、良くも悪くも有名だってことだ。
「どうせ一部生徒がやってることだろ?」
「まぁ、そうかもね」
「くだらねぇな」
俺がそう吐き捨てると、望は一瞬複雑そうな顔をしたが、またもパッと顔を変えて「まぁそうだな。下らない事を言った。気にせずに当たって砕けろ!骨は写真に収めてやる」と親指を立てた。
この親指、折ってやろーか。
---
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放課後、終礼から三時間が経ったのを見計らって俺は職員室へと足を運んだ。
今日から学校はテスト週間で教室内はおろか、校内にも殆ど生徒はいない。
俺は忘れ物をしました、という名目で教室の鍵を受け取り、そのまま教室へと向かう。
教室の中を覗き込む。
よし、誰も居ない。
鍵を差し込み、ゆっくりとドアを開ける。
明間さんの席は俺の席と間反対である廊下の窓際。
丹精込めた手紙を再度確認。
『ずっと好きでした』
告白はストレートがいい。
いらない定型分なんぞに頼らず、男ならビシッと。
手紙を大切に封筒へとしまい、俺は机の中へとそれを滑らせる。
流石明間さん。テスト週間ということもあってか机の中には何一つ残っては‥
ガサっと何かが手に触れる感触がした。
「うん?」
反射的にそれを取り出す。
それは、宛名も何も書かれていない、真っ黒な封筒だった。
なんだ、これ?
裏を見ても何も書かれていない。
テープやシールで止めてもいないので、口は開いている。
これがもし、ラブレターだとしたら、何で配慮に欠けるものなのだろう。
いや、今殆どの生徒がスマホを持っている中でラブレターなんか入れるか?
と自虐的に突っ込む。
だったらこれは一体‥。
俺はダメなことだと一瞬考えたが、欲望には勝てずにそれを開けようとする。
その時、ガラガラっと教室のドアが開いた。
長い艶がある黒髪が、彼女が中へと入ってきたと同時に揺れる。
目が合う。
時が止まった気がした。
長いまつ毛にパッチリと見開かれた大きな目。
夕日に照らされた彼女は、この世の物とは思えないくらいに綺麗だった。
彼女は僕の手にある黒い封筒を見て、近づいてきた。
「やっ、これは、ちがくて、その!」
俺は慌てて封筒を机の中へと押し込む。
そして自分が書いた白い封筒を手に取った。
「俺のは、これで」
「見つけたっ!」
彼女は目と鼻の先まで顔を近づき、俺の両手を掴んだ。
拍子に、白い封筒がパサッと情けない音と共に落ちる。
「俺は登録するつもりはないからなぁ」
「お前はこれをどこで知ったんだ?」
「結構、有名だよ。風の噂で流れてくる」
明間さんはそのような噂が流れる程、良くも悪くも有名だってことだ。
「どうせ一部生徒がやってることだろ?」
「まぁ、そうかもね」
「くだらねぇな」
俺がそう吐き捨てると、望は一瞬複雑そうな顔をしたが、またもパッと顔を変えて「まぁそうだな。下らない事を言った。気にせずに当たって砕けろ!骨は写真に収めてやる」と親指を立てた。
この親指、折ってやろーか。
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放課後、終礼から三時間が経ったのを見計らって俺は職員室へと足を運んだ。
今日から学校はテスト週間で教室内はおろか、校内にも殆ど生徒はいない。
俺は忘れ物をしました、という名目で教室の鍵を受け取り、そのまま教室へと向かう。
教室の中を覗き込む。
よし、誰も居ない。
鍵を差し込み、ゆっくりとドアを開ける。
明間さんの席は俺の席と間反対である廊下の窓際。
丹精込めた手紙を再度確認。
『ずっと好きでした』
告白はストレートがいい。
いらない定型分なんぞに頼らず、男ならビシッと。
手紙を大切に封筒へとしまい、俺は机の中へとそれを滑らせる。
流石明間さん。テスト週間ということもあってか机の中には何一つ残っては‥
ガサっと何かが手に触れる感触がした。
「うん?」
反射的にそれを取り出す。
それは、宛名も何も書かれていない、真っ黒な封筒だった。
なんだ、これ?
裏を見ても何も書かれていない。
テープやシールで止めてもいないので、口は開いている。
これがもし、ラブレターだとしたら、何で配慮に欠けるものなのだろう。
いや、今殆どの生徒がスマホを持っている中でラブレターなんか入れるか?
と自虐的に突っ込む。
だったらこれは一体‥。
俺はダメなことだと一瞬考えたが、欲望には勝てずにそれを開けようとする。
その時、ガラガラっと教室のドアが開いた。
長い艶がある黒髪が、彼女が中へと入ってきたと同時に揺れる。
目が合う。
時が止まった気がした。
長いまつ毛にパッチリと見開かれた大きな目。
夕日に照らされた彼女は、この世の物とは思えないくらいに綺麗だった。
彼女は僕の手にある黒い封筒を見て、近づいてきた。
「やっ、これは、ちがくて、その!」
俺は慌てて封筒を机の中へと押し込む。
そして自分が書いた白い封筒を手に取った。
「俺のは、これで」
「見つけたっ!」
彼女は目と鼻の先まで顔を近づき、俺の両手を掴んだ。
拍子に、白い封筒がパサッと情けない音と共に落ちる。
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