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「それはそうと、なんでメロンクリームソーダなんでしょう」

またおかしな事を言い始めた。

「だって、メロンソーダの上にクリームが乗るんだから、クリームメロンソーダじゃないですか?」

「調べたら出てくるんじゃないかな」

「カンジョーくん。なんでも調べてはダメです。まずは自分の頭で考えないと。知ってます?パンになると、クリームメロンパンになるんですよ」

「それは一部じゃない?」

「そうなんでしょうか。私はクリームが先のパンしか見たことがないです」

「日高さん。いつもそんな事を考えてるの?」

「毎日暇な奴だなこいつ。みたいに思っていますか?」

「いやいやそんな事ないよ」

幸せな奴だな、とは思っている。

「人の考えを馬鹿にしているカンジョーくんは、さぞかし崇高な考えをお持ちなんでしょう。世界平和についてでも考えてるんですか?」

「なんでそうなるのかな。俺は馬鹿になんて‥」

「顔に出てます」

そう言ったら何も言い返せないとでも思っているのか。

「どうせカンジョーくんが考えていることなんて、綾姉の事くらいでしょ」

「なっ」

核心をつかれて自身の体温が上昇している事がわかる。
まずい。また顔に出てしまう。

「やっぱり‥そもそもあなたはとても失礼な人です」

「それは君だろ?初対面なのに色々と‥」

「本当に仲が良いんだなぁ」

マスターが注文した飲み物を運んできた。

「砂糖はもう入れてるからね。ごゆっくり」

日高さんは少し毒気を抜かれたように一つ咳払いをした。

「話を戻します。あの、私別に正解が欲しいわけではないんです。ただ、カンジョーくんの考えが知りたいんです」

「だから、何で俺なの?綾姉に言われたから?」

「それは‥まぁ、そうです。お願いします」

何で俺が。しかしどうやら、このままでは埒があかない。

俺は、今聞いた情報を元に考えてみる。

誰にも言えない秘密‥。

秘密。
秘密。

‥いや、無理だろ。絶対。

「本当にごめん。どう考えても分からないよ。だって、俺は君のおじいちゃんの人となりすら知らないんだから」

「そうですか‥」

日高さんはこの上なく落ち込んだ。
いやいや、落ち込まれても‥。

「あのさ、本人に聞いたら駄目なの?」

それが確実に手っ取り早い。
日高さんは、目を見開き、少し俯き首を横に振った。

「私に取って、父のような存在の祖父は、完璧な人で‥。崇拝、とまでは言いませんが、何て言うのか、希望みたいな人なんです。辛い時にはいつもおじいちゃんに聞いてもらいました。そして、いつも心が軽くなりました」

敬愛してやまない祖父ということか。

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